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第534話 ふとした誰かの言葉
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「よ、よう。久しぶりだな」
そういってトウマはアリスへと手を差し出す。
アリスは少し戸惑いながらもトウマの手を取り、その場から立ち上がる。
「ありがとう、トウマ。でも、どうしてここに?」
「どうしてって、そりゃクラスメイトの試合なんだから見に来るのは当然だろ」
「いや、さも当然かのように言っているけど私の状況分かっているよね? 自分で言うのもなんだけど」
「知ってるよ。でもよ、だからって避ける必要も来ちゃいけない理由にもならないだろ?」
トウマの今までと変わらない態度に、アリスは少し俯きながら安堵の表情を見せる。
状況が変わってもこうして自然と接してくれるトウマが、今は凄く嬉しく思う。
「にしても凄い試合だったな。俺も途中からしら見れてないけどよ、やっぱりニックは強えよな。もちろんアリスも凄かったぞ! あのニックに善戦してたんだしよ」
「ううん。善戦なんかじゃなかったよ」
「え?」
「ニックの全力に私は全力で答えなかった。私は次の試合もあるし、力を温存して戦おうとしていた。あはは、責められはしそれが普通だってニックにも言われた。けれど、ニックはルールまでも破って出してくれた全力に私は応えなかった」
アリスは再び俯きながら自らの手を握りしめながら答える。
今になって後悔が自分の中で大きくなり始めていたのだ。
あの時全力でぶつかっていたら、勝敗に関係なくこんなモヤモヤした気持ちにはならなかったはずと、たらればの事を考えだす。
「アリス、後悔なんて誰にでもあるもんだ。一つ一つにそんなに向き合ってたらきりないぞ」
「トウマには分からないよ! っ、ごめん、トウマ……」
「たしかに俺には分からないよ。でもよ、今は試験中反省や考えている時間は少ない。だから今は、次その失敗を後悔をしない為に出せる範囲の、納得が出来るアリスの全力を出せばいいじゃないか!」
その言葉に俯きかけていたアリスの顔が上がる。
出せる範囲で、私が納得のできる全力を出す、か。全然前の事を考えず、、後ろの事ばかり考えていたな私。
失敗や後悔ばかり引きずっても、消そうとしてもそれは消えないになかった事には出来ないよね。
どうしても考えてしまうし、切り替えも難しい。
でも、ふとした誰かの言葉がきっかけで切り替えられる、前を向き進み出せる。
それが私にとってはトウマだった。
決して失敗を忘れる訳じゃない、見ない訳でもない。これから先同じ失敗を、同じ思いをしないために私はトウマの言う出せる範囲で、納得のできる全力を出せばいいんだ。
「……ありがとうトウマ」
「お、おう。何だかよく分からんが、どういたしましてだ」
「ふふふ、何それ」
「いやそんな事言ってもだな、咄嗟に出た言葉なんだよ」
久しぶりに笑った気がする。こうしていた時間が懐かしい、楽しい、嬉しい。あ~皆ともまたこんな風に戻れるといいな。
するとそこへタツミがやって来る。
「おーい、ここで何してるんだトウマ」
「げぇ、タツミ先生」
「げぇ、じゃないだろ全く。さっさとお前は自分の待機場所に戻って、自分の試験に集中しろ。行くぞ、アリス。次の対戦者が来る前に治療など済ませる」
「は、はい」
アリスは言われるがままタツミに付いて行くと、トウマが引き下がって声を掛けて来た。
「そんなに邪険にしなくてもいいじゃないですか。クラスメイトの試合を見に来たくらいで」
「今は他人のことよりも、自分のことに集中しろトウマ」
タツミの言葉にトウマは黙ってしまう。
アリスはそんな姿を見て、歩いて行きながら最後に声を掛けた。
「トウマ私のことは気にしないで大丈夫。今さっき話せて本当に良かった。ありがとうトウマ」
そう告げアリスはタツミと共に対戦場へと戻って行く。
「アリス、俺はお前を応援しているからな」
トウマは力強く自らの手を握りしめながら小さく呟き、その場から立ち去って行くのだった。
一方でアリスは、対戦場に戻りタツミの診察を受けていた。
「身体へのダメージはあるが、ひとまずは大丈夫だ。魔力回復はこの飲み物を飲んどけ。後は次の試合が始まるまで安静にしていれば万全に戦える」
「はい、ありがとうございますタツミ先生」
アリスは、タツミが渡された飲み物を飲んでいるとタツミが診察に使用した用具を片付け始める。
「全くあれほどの攻撃魔法を受けて、大きな傷がないお前もそうだが、あれほどの威力を放つニックもニックだ。はぁ~」
タツミのため息にアリスは苦笑いをする。
用具を全て片付け終えると、タツミは立ち上がる。
「何か気になる箇所が出来たら、これを張っとけ。一時的に痛みなどを和らげる物だ。俺はこのまま一度診察場に戻る、何故か他の生徒でパンクしかけているらしいからな」
実力試験の際には、必ずけが人が出るため診察場を設けている。
そこで治療や試合後の大きな消耗の回復などを担当しているのだ。
タツミから湿布を受け取ると、そのままタツミは対戦場から出て行く。
アリスは暫く用意された椅子に座り安静にし体力を回復させていると、そこに次の対戦者がやって来た。
「クリス、ニックには負けたそうだな」
そう少し威圧する様に声を掛けて来たのは、ヴァンであった。
「ヴァン」
「その様子だと、まだ完全に体力回復してないのか。全快までどれくらいかかる? 僕は全快の君と勝負をつけたいんだ。その為に君との試合を希望したんだからね」
「……後十分は欲しい。そしたら全力で相手出来る」
「分かった、十分だね。試験官それくらい許してくれますよね」
ヴァンの言葉に担当試験官は渋々承諾した。
そしてヴァンも用意されいた椅子に座り、無言で静まり返った対戦場内でアリスの体力全快待ちの十分間が始まる。
そういってトウマはアリスへと手を差し出す。
アリスは少し戸惑いながらもトウマの手を取り、その場から立ち上がる。
「ありがとう、トウマ。でも、どうしてここに?」
「どうしてって、そりゃクラスメイトの試合なんだから見に来るのは当然だろ」
「いや、さも当然かのように言っているけど私の状況分かっているよね? 自分で言うのもなんだけど」
「知ってるよ。でもよ、だからって避ける必要も来ちゃいけない理由にもならないだろ?」
トウマの今までと変わらない態度に、アリスは少し俯きながら安堵の表情を見せる。
状況が変わってもこうして自然と接してくれるトウマが、今は凄く嬉しく思う。
「にしても凄い試合だったな。俺も途中からしら見れてないけどよ、やっぱりニックは強えよな。もちろんアリスも凄かったぞ! あのニックに善戦してたんだしよ」
「ううん。善戦なんかじゃなかったよ」
「え?」
「ニックの全力に私は全力で答えなかった。私は次の試合もあるし、力を温存して戦おうとしていた。あはは、責められはしそれが普通だってニックにも言われた。けれど、ニックはルールまでも破って出してくれた全力に私は応えなかった」
アリスは再び俯きながら自らの手を握りしめながら答える。
今になって後悔が自分の中で大きくなり始めていたのだ。
あの時全力でぶつかっていたら、勝敗に関係なくこんなモヤモヤした気持ちにはならなかったはずと、たらればの事を考えだす。
「アリス、後悔なんて誰にでもあるもんだ。一つ一つにそんなに向き合ってたらきりないぞ」
「トウマには分からないよ! っ、ごめん、トウマ……」
「たしかに俺には分からないよ。でもよ、今は試験中反省や考えている時間は少ない。だから今は、次その失敗を後悔をしない為に出せる範囲の、納得が出来るアリスの全力を出せばいいじゃないか!」
その言葉に俯きかけていたアリスの顔が上がる。
出せる範囲で、私が納得のできる全力を出す、か。全然前の事を考えず、、後ろの事ばかり考えていたな私。
失敗や後悔ばかり引きずっても、消そうとしてもそれは消えないになかった事には出来ないよね。
どうしても考えてしまうし、切り替えも難しい。
でも、ふとした誰かの言葉がきっかけで切り替えられる、前を向き進み出せる。
それが私にとってはトウマだった。
決して失敗を忘れる訳じゃない、見ない訳でもない。これから先同じ失敗を、同じ思いをしないために私はトウマの言う出せる範囲で、納得のできる全力を出せばいいんだ。
「……ありがとうトウマ」
「お、おう。何だかよく分からんが、どういたしましてだ」
「ふふふ、何それ」
「いやそんな事言ってもだな、咄嗟に出た言葉なんだよ」
久しぶりに笑った気がする。こうしていた時間が懐かしい、楽しい、嬉しい。あ~皆ともまたこんな風に戻れるといいな。
するとそこへタツミがやって来る。
「おーい、ここで何してるんだトウマ」
「げぇ、タツミ先生」
「げぇ、じゃないだろ全く。さっさとお前は自分の待機場所に戻って、自分の試験に集中しろ。行くぞ、アリス。次の対戦者が来る前に治療など済ませる」
「は、はい」
アリスは言われるがままタツミに付いて行くと、トウマが引き下がって声を掛けて来た。
「そんなに邪険にしなくてもいいじゃないですか。クラスメイトの試合を見に来たくらいで」
「今は他人のことよりも、自分のことに集中しろトウマ」
タツミの言葉にトウマは黙ってしまう。
アリスはそんな姿を見て、歩いて行きながら最後に声を掛けた。
「トウマ私のことは気にしないで大丈夫。今さっき話せて本当に良かった。ありがとうトウマ」
そう告げアリスはタツミと共に対戦場へと戻って行く。
「アリス、俺はお前を応援しているからな」
トウマは力強く自らの手を握りしめながら小さく呟き、その場から立ち去って行くのだった。
一方でアリスは、対戦場に戻りタツミの診察を受けていた。
「身体へのダメージはあるが、ひとまずは大丈夫だ。魔力回復はこの飲み物を飲んどけ。後は次の試合が始まるまで安静にしていれば万全に戦える」
「はい、ありがとうございますタツミ先生」
アリスは、タツミが渡された飲み物を飲んでいるとタツミが診察に使用した用具を片付け始める。
「全くあれほどの攻撃魔法を受けて、大きな傷がないお前もそうだが、あれほどの威力を放つニックもニックだ。はぁ~」
タツミのため息にアリスは苦笑いをする。
用具を全て片付け終えると、タツミは立ち上がる。
「何か気になる箇所が出来たら、これを張っとけ。一時的に痛みなどを和らげる物だ。俺はこのまま一度診察場に戻る、何故か他の生徒でパンクしかけているらしいからな」
実力試験の際には、必ずけが人が出るため診察場を設けている。
そこで治療や試合後の大きな消耗の回復などを担当しているのだ。
タツミから湿布を受け取ると、そのままタツミは対戦場から出て行く。
アリスは暫く用意された椅子に座り安静にし体力を回復させていると、そこに次の対戦者がやって来た。
「クリス、ニックには負けたそうだな」
そう少し威圧する様に声を掛けて来たのは、ヴァンであった。
「ヴァン」
「その様子だと、まだ完全に体力回復してないのか。全快までどれくらいかかる? 僕は全快の君と勝負をつけたいんだ。その為に君との試合を希望したんだからね」
「……後十分は欲しい。そしたら全力で相手出来る」
「分かった、十分だね。試験官それくらい許してくれますよね」
ヴァンの言葉に担当試験官は渋々承諾した。
そしてヴァンも用意されいた椅子に座り、無言で静まり返った対戦場内でアリスの体力全快待ちの十分間が始まる。
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