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第539話 もう一度あの日の勝負を
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「こうして直接戦えるのは、寮対抗魔力腕比べ以来かな」
「何でゲイネスが?」
驚くアリスにゲイネスは経緯を伝え始める。
元々はアリスと試験で試合をする予定もなかったが、教員側から頼まれたと口にする。
強制ではなかったが、滅多にない機会であり今の状況から今後クリスとは勝負は出来ないと思い、引き受けたのであった。
「頼まれたってどういうこと? 同クラス内で教員側が私の試験相手を決めてるんじゃない」
「聞いた話だと、教員側が相手を決めているというより挙手性だったらしいよ」
「挙手? ってことは、今までの皆は自分から私と戦うと挙手した人だったってこと?」
「そうじゃないかな。俺も自分から勝負をしたいから、ここに居る訳だし」
そこでようやくアリスは自分の対戦相手の選ばれ方を知る。
ランダムで選ばれて仕方なく試合を組まされ、それでも真っ正面からぶつかってくれていたのだと思っていたがそうではなく、自らの意思で試合をしていたことに驚いてしまう。
今更ながらにこんな自分と試合することになったとしても、あそこまで本気でぶつかって来るだろうかと思う。
もし自分が彼ら側だったら、ランダムで決められて仕方なく決められたものだったら本気を出してぶつかっただろうか? いや、していないかもしれない。
アリスは勝手に彼らの気持ちを違う方に思い込んでいた自分に憤るのだった。
全く、私は馬鹿だ。考えれば分かることじゃないか。
改めて自分の過ちを理解し、軽く両頬を叩く。
そしてゲイネスの方へと視線を向けた。
「ごめんゲイネス。もう大丈夫、それとこんな状況の私と勝負をしたいと思ってくれてありがとう」
「お礼を言われるほどじゃないさ。俺はただ、もう一度あの日の勝負をしたかっただけさ」
その言葉にアリスはすぐに何の勝負をしたいのかピンと来たが、今回の試験でそれは出来ないことだと思うのだった。
だが、ゲイネスは続けて出来ないはずの勝負方式を担当試験官に告げた。
「俺は、寮対抗魔力腕比べ技量部門で行われる造形勝負を希望する」
予想していた勝負だったが、アリスはそれは認めらるはずはないとゲイネスに声を掛けようとするが、先に担当試験官が口を開く。
「分かった、この勝負方式にゲイネスの案を認める。後はアリス側だが、何を希望する」
「ちょっと待って下さい。認めるんですか? ゴーレム方式か対人方式だけじゃないんですか?」
「本来はそうだが、今回だけはこちらから勝負を引き受けてもらっている。引き受ける条件で提示する勝負方式の案を認めて欲しいとあるため、そうしている。あくまで認めているだけで、後は相手次第でよいとされている」
「これくらいの我儘は許されるだろ? 向こうから依頼されている側だしね。後は君次第さ。受けるのも受けないのも」
私が決めろってことか。
でも今までのこと、ゲイネスの気持ちも知って選ばないわけないでしょ。
そしてアリスは迷わずゲイネスが提示した勝負方式を受け入れた。
「では今回の勝負方式は、造形対決とする。これより準備に入る、暫く待つように」
直後、数名の教員らが対戦場に入って来ると中心部に造形対決用の巨大な氷の塊を創造し始める。
そういえば、この勝負の勝敗はどうつけるのかしら? 確か以前は評価者がいて勝敗をつけた気がするけど。
アリスがそう思っていると、ゲイネスの方から心を読んだかの様に声が掛かる。
「今回の勝敗は、ある人たちに評価してもらっての勝敗になるよ。評価してくれるのはあちらの人たちなんだけどね」
ゲイネスが視線を向けた方にアリスも視線を向けると、そこにいたのはまたしても思いもしない人物らであった。
「面白い勝負だな! 芸術はよく分からんが、凄かった方に一票だ!」
「おい、本当にこいつが評価者でいいのか? 僕だったら嫌だけどね」
「ふぁ~あ……あ、ごめん。えっとまだこれからだよね?」
そこにいたのは、各現寮長らであるダイモン、スバン、イルダであった。
更には現副寮長らも集まっていたのだった。
「ほらイルダ、頼まれた側なんだからしっかりして」
「当方は寮長と同意見です。この脳筋寮長と寝不足寮長に、芸術が分かる様には思えません」
「おいおい、スニーク。さらっとうちの寮長とイルダのことを馬鹿にするな」
「別に馬鹿になどしていませんよワイズ。当然の事実を述べただけです」
「だから、それがな……はぁ~もういい」
そこでイルダがスニークの方に振り返り、名前を口にするとスニークは「すいません寮長」とすぐに謝る。
その姿を見てワイズは「イルダの言葉でしか素直にならないんだよな、こいつは」と思うのであった。
アリスはそんなやり取りが行われているとは知らず、対戦場外にいる面子に開いた口が塞がらずにいた。
「え、ゲイネスが呼び掛けたのあの面子?」
「んな訳ないだろ! わざわざ上級生になんてお願いなんてしないよ! 教員らが仮にそうなった際は評価者はこちらに準備するといってたから、俺はてっきり教員だと思ってたよ」
「じゃ、誰があの面子を」
するとそこにタツミがやって来てアリスの疑問に答える。
「学院長さ」
「タツミ先生」
「試験期間でそんな事が出来る人は限られているからね。教員は試験で手一杯、同学年者も試験中、そして消去法で残ったのが彼らさ。ちなみに強制じゃないよ、やれるかと聞き彼らはそれを引き受けたんだ」
「なるほど、そういう経緯だったんですね。言われるとたしかに出来る人は限られますし」
ゲイネスは納得していると、教員らの準備が終わり対戦場外に出て行き始める。
それに伴いタツミも外へと出て行く。
「それじゃ、俺もあっち側で見させてもらうよ」
「それでは両者氷の前へ」
担当試験官の言葉に二人は移動を始める。
「時間制限は三十分間。勝敗は評価者三名の票にて決定。相手の妨害はなし、互いに作品が見えない様仕切りは作る。魔法の制限はないが、魔力分類に関しては創造は禁止とする。両者異論は?」
「ありません」
「私もです」
二人の言葉を聞き担当試験官が片腕を上げる。
「では、これより造形勝負開始!」
その言葉と共に担当試験官が上げた腕を振り下ろすと、両者一斉に作業に取り掛かるのだった。
「何でゲイネスが?」
驚くアリスにゲイネスは経緯を伝え始める。
元々はアリスと試験で試合をする予定もなかったが、教員側から頼まれたと口にする。
強制ではなかったが、滅多にない機会であり今の状況から今後クリスとは勝負は出来ないと思い、引き受けたのであった。
「頼まれたってどういうこと? 同クラス内で教員側が私の試験相手を決めてるんじゃない」
「聞いた話だと、教員側が相手を決めているというより挙手性だったらしいよ」
「挙手? ってことは、今までの皆は自分から私と戦うと挙手した人だったってこと?」
「そうじゃないかな。俺も自分から勝負をしたいから、ここに居る訳だし」
そこでようやくアリスは自分の対戦相手の選ばれ方を知る。
ランダムで選ばれて仕方なく試合を組まされ、それでも真っ正面からぶつかってくれていたのだと思っていたがそうではなく、自らの意思で試合をしていたことに驚いてしまう。
今更ながらにこんな自分と試合することになったとしても、あそこまで本気でぶつかって来るだろうかと思う。
もし自分が彼ら側だったら、ランダムで決められて仕方なく決められたものだったら本気を出してぶつかっただろうか? いや、していないかもしれない。
アリスは勝手に彼らの気持ちを違う方に思い込んでいた自分に憤るのだった。
全く、私は馬鹿だ。考えれば分かることじゃないか。
改めて自分の過ちを理解し、軽く両頬を叩く。
そしてゲイネスの方へと視線を向けた。
「ごめんゲイネス。もう大丈夫、それとこんな状況の私と勝負をしたいと思ってくれてありがとう」
「お礼を言われるほどじゃないさ。俺はただ、もう一度あの日の勝負をしたかっただけさ」
その言葉にアリスはすぐに何の勝負をしたいのかピンと来たが、今回の試験でそれは出来ないことだと思うのだった。
だが、ゲイネスは続けて出来ないはずの勝負方式を担当試験官に告げた。
「俺は、寮対抗魔力腕比べ技量部門で行われる造形勝負を希望する」
予想していた勝負だったが、アリスはそれは認めらるはずはないとゲイネスに声を掛けようとするが、先に担当試験官が口を開く。
「分かった、この勝負方式にゲイネスの案を認める。後はアリス側だが、何を希望する」
「ちょっと待って下さい。認めるんですか? ゴーレム方式か対人方式だけじゃないんですか?」
「本来はそうだが、今回だけはこちらから勝負を引き受けてもらっている。引き受ける条件で提示する勝負方式の案を認めて欲しいとあるため、そうしている。あくまで認めているだけで、後は相手次第でよいとされている」
「これくらいの我儘は許されるだろ? 向こうから依頼されている側だしね。後は君次第さ。受けるのも受けないのも」
私が決めろってことか。
でも今までのこと、ゲイネスの気持ちも知って選ばないわけないでしょ。
そしてアリスは迷わずゲイネスが提示した勝負方式を受け入れた。
「では今回の勝負方式は、造形対決とする。これより準備に入る、暫く待つように」
直後、数名の教員らが対戦場に入って来ると中心部に造形対決用の巨大な氷の塊を創造し始める。
そういえば、この勝負の勝敗はどうつけるのかしら? 確か以前は評価者がいて勝敗をつけた気がするけど。
アリスがそう思っていると、ゲイネスの方から心を読んだかの様に声が掛かる。
「今回の勝敗は、ある人たちに評価してもらっての勝敗になるよ。評価してくれるのはあちらの人たちなんだけどね」
ゲイネスが視線を向けた方にアリスも視線を向けると、そこにいたのはまたしても思いもしない人物らであった。
「面白い勝負だな! 芸術はよく分からんが、凄かった方に一票だ!」
「おい、本当にこいつが評価者でいいのか? 僕だったら嫌だけどね」
「ふぁ~あ……あ、ごめん。えっとまだこれからだよね?」
そこにいたのは、各現寮長らであるダイモン、スバン、イルダであった。
更には現副寮長らも集まっていたのだった。
「ほらイルダ、頼まれた側なんだからしっかりして」
「当方は寮長と同意見です。この脳筋寮長と寝不足寮長に、芸術が分かる様には思えません」
「おいおい、スニーク。さらっとうちの寮長とイルダのことを馬鹿にするな」
「別に馬鹿になどしていませんよワイズ。当然の事実を述べただけです」
「だから、それがな……はぁ~もういい」
そこでイルダがスニークの方に振り返り、名前を口にするとスニークは「すいません寮長」とすぐに謝る。
その姿を見てワイズは「イルダの言葉でしか素直にならないんだよな、こいつは」と思うのであった。
アリスはそんなやり取りが行われているとは知らず、対戦場外にいる面子に開いた口が塞がらずにいた。
「え、ゲイネスが呼び掛けたのあの面子?」
「んな訳ないだろ! わざわざ上級生になんてお願いなんてしないよ! 教員らが仮にそうなった際は評価者はこちらに準備するといってたから、俺はてっきり教員だと思ってたよ」
「じゃ、誰があの面子を」
するとそこにタツミがやって来てアリスの疑問に答える。
「学院長さ」
「タツミ先生」
「試験期間でそんな事が出来る人は限られているからね。教員は試験で手一杯、同学年者も試験中、そして消去法で残ったのが彼らさ。ちなみに強制じゃないよ、やれるかと聞き彼らはそれを引き受けたんだ」
「なるほど、そういう経緯だったんですね。言われるとたしかに出来る人は限られますし」
ゲイネスは納得していると、教員らの準備が終わり対戦場外に出て行き始める。
それに伴いタツミも外へと出て行く。
「それじゃ、俺もあっち側で見させてもらうよ」
「それでは両者氷の前へ」
担当試験官の言葉に二人は移動を始める。
「時間制限は三十分間。勝敗は評価者三名の票にて決定。相手の妨害はなし、互いに作品が見えない様仕切りは作る。魔法の制限はないが、魔力分類に関しては創造は禁止とする。両者異論は?」
「ありません」
「私もです」
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