魔女っ娘珍道中~薔薇の魔女は好き勝手に生きていきます~

にわかオタクと犬好き

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魔女っ娘、冒険者組合に行く

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「クソ!!刃が全然通らない!」

「私の魔法も効果が薄いわ!」

「諦めるな!何とか隙を見て撤退するんだ!」

「んなこと言ったって、全然隙なんかねぇよ!」

  ゴリラと戦ってる4人の声が聞こえる。やっぱり苦戦してるみたいだ。これなら私がゴリラを倒しても文句は言われないよね。
  4人の冒険者たちの間をすり抜けゴリラの懐に入る。突然現れた私に一瞬、動きを止めるゴリラと4人。その隙を見逃さず棍でゴリラの身体をぶん殴る。殴られたゴリラは転がるように吹き飛んで行く。唖然とする4人に振り返る。

「あのゴリラもらっていい?」

「え、あ、あぁ」

  リーダーっぽい青年に話しかけると未だ状況が飲み込めていない様子。
まぁ言質はとったしいいや。私は4人を放置してゴリラのところまで歩いて行く。

「グオォォォォォォォォ!」

  起き上がったゴリラが雄叫びをあげる。

「うるさいよ」

「グ、グオォ……」

  “威圧の魔眼”でうるさいゴリラを黙らせる。“威圧の魔眼”は人間よりも本能で生きている動物や魔物の方が効果が高い。
  先程の威勢はどこへやらゴリラは完全に私に恐れを抱いている。あまり怖がらせると逃げようとするのですぐに解除してゴリラに棍を叩きつける。
  最初に足を砕き動きを封じる。そして膝をつくゴリラの頭を砕いてトドメを刺す。地面に倒れ臥すゴリラ。
  ゴリラを指輪にしまって振り返ると冒険者4人はまだ呆然と立ち竦んでいた。逃げる隙を探してたのにいざそのタイミングになると行動できないのは未熟な証拠。よく見ると装備も新人が身につけるような量産品みたいだしね。
  まぁ、私には関係ないか。もう少し魔物を狩ってから帰ろうかな。帰ろうとすると冒険者たちに呼び止められる。

「待ってくれ。君は一体……」

「誰でもいいでしょ。たまたまあなたたちが襲われている所に私が居合わせた。それだけよ」

「しかし、何かお礼を……」

「いらない。たまたまって言ったでしょ。私はこれからまだ魔物を倒さなきゃいけないから、これで」

「あ、ちょっと……」

  呼び止める声を無視して進む。ああいうタイプの男はあんまり好きじゃないし。




  ゴリラはこの辺じゃけっこう強い魔物に分類される筈だからそうそう出くわすこともないかと思ったけど、よく出会う。
ゴリラなのに群れない魔物だから少し不思議だけど、まぁ気にしないようにしよう。
  その後、昼頃までにゴリラを5匹程倒して町に帰ることにする。これだけ倒せばそこそこの稼ぎになるよね。
帰り際またあの4人を見かけた。
  先程と違ってゴブリン4匹と問題なく戦えていたので気にせず私は町まで帰り着いた。
門を通って冒険者組合に向かう。昨日のオジさんの店で串焼きを買っていく。ちょっとハマったかもこれ。
  しばらくして剣と盾の看板が見えてくる。確かあれが冒険者組合の看板だった筈。いくらで売れるかなゴリラ。
  中に入って正面にあるカウンターに向かう。
そこに座ってるお姉さんに話しかける。

「こんにちは」

「こんにちは。ご依頼ですか?」

「魔物の買い取りをお願い」

「え?」

「魔物の買い取りをお願い」

「えっと……」

「もういいです」

  どうせ私みたいな女の子が魔物を倒したなんて信じられないんだろうな。
人を見た目で判断するのはプロとしてどうかと思う。別の所で売ろうっと。

「あっ、ちょっと……。」

  今日はよく呼び止められるな。まぁ無視するけど。
  外に出ようとすると、1人の女性が私の前にやってくる。そして頭を下げた。

「この度はうちの新人が申し訳ありません。私が担当致しますので、よろしければ買い取りをさせていただけませんでしょうか」

  メガネをかけたいかにもできる女って感じのお姉さん。私の横を抜けカウンターまで歩いていくお姉さんを追う。
空いているカウンターの椅子に座るお姉さん。

「買い取りに際し、注意事項をご説明します。まず組合員でない方からの買い取りは原則として組合員から買い取るよりも二割程安くなります。また買い取る魔物の状態によっては買い取りをお断りさせていただく場合があります。これは組合員でもそうでなくても関係ありません。よろしいですか?」

  一息で説明を終えるお姉さん。要点だけを説明するという彼女の姿勢は好ましい。
私が組合員じゃないのもわかってるみたいだし。

「いいよ」

「ありがとうございます。つきましては冒険者の登録を推奨していますが如何なさいますか?」

「いい。めんどくさいから」

「そうですか。わかりました」

  即答した私に特に表情を動かさずに頷くお姉さん。事務的に聞いただけなんだろうな。

「それでは査定を致しますので別室にご案内致します」

  立ち上がり、先導するお姉さんについていく。少し広めの倉庫みたいな場所に行くと40歳くらいのオジさんがいた。

「バッカスさん。魔物の買い取り査定をお願いします」

「おう。じゃあそこに頼むわ」

  オジさん改めバッカスさんはお姉さんに言われると私に向かってそう言って広めのスペースを指差す。
  私はそこまで歩いて行き、イノシシの皮と肉、ゴリラ5匹を指輪から出す。

「やっぱり収納魔法使いだったか。便利だよなぁ」

  そう感心しながら呟くバッカスさん。収納魔法はその名の通り、物を収納する魔法。それを利用した鞄なんかもある。私の指輪との違いは入る量。
  収納魔法に入る量は使い手の魔力に依存するのであまり多く入らない。市販されている鞄は最初から入る量が決まっているので、ママの造った指輪がどれだけすごいかわかる。

「ブラッドコング5匹にこれはワイルドボアか。状態もいい……いい腕してんな嬢ちゃん」

「ありがとう。オジさん」

「バッカスさんどうですか?」

「そうだな。これなら正規の値段にすこし色つけてもいいくらいだ。ワイルドボアの皮が12000シエル、肉が1キロ300シエルで、ブラッドコングは1匹40000シエルだな」

  おお。ゴリラだけで200000シエルになった。肉も100キロはあるから皮も合わせて合計242000シエルか。
けっこう儲かったなぁ。あ、でもここから二割引かれるんだっけ。こうやって考えるとけっこう痛いなぁ。

「了解しました。では後はお任せします。お金をお渡ししますので戻りましょう」

  そう言って歩き出すお姉さん。またカウンターまで戻る。

「それではこちらが査定額から二割引いた193600シエルです。ご確認下さい」

  お姉さんに渡された袋に入っているお金を数える。
小金貨1枚に銀貨が9枚、小銀貨3枚、銅貨が6枚。うん、あってる。

「大丈夫」

「それではこれで終了とさせていただきます。またのご利用をお待ちしております」

  一礼するお姉さん。仕事も早いし、また来た時はこのお姉さんに頼もうっと。外に出て買い食いしながらぶらぶらする。

「あ、あのお姉さんの名前聞かなかったな。まぁ次回聞けばいいか」

「あ、君」

「ん?」

  後ろを振り向くとゴリラに苦戦していた冒険者たちがいた。

「何か用?」

「ちゃんとお礼を言ってなかったと思って。さっきはありがとう」

「どういたしまして。それじゃあ」

「あ、待って!お礼に食事でもどうかな?」

「いらないってさっき言ったよね。私、忙しいの」

「暇そうに見えたけど?」

  最初に話しかけてきたリーダーとは別の槍を背負ってる男がそう言ってくる。勝手に決めないでほしい。私は今、買い食いで忙しいんだから。

「勝手に決めないで。私が忙しいって言ってるんだから。ナンパしてる暇があったら訓練でもしてなさい」

「ちょっと!そんな言い方!」

  今度は魔法使いの少女が突っかかってくる。めんどくさいなぁ。

「よさないか。アディ、レーナ。彼女にも予定があるんだから無理を言っちゃいけない」

  突っかかってきた2人を窘めるリーダーの青年。爽やかな笑顔でこちらに微笑んでくる。私こういうタイプ苦手。

「そういうことだから。この話はこれでおしまい。お礼も言ってもらったし、もういいから」

  私はそのまま彼らと別れた。突っかかってきた2人は不満そうだったが知らない。私は悪くない。1人は全然喋らなかったな。なんか影薄かったし。
  あのリーダーらしき青年はなんかヤダ。ああいう好青年みたいなタイプは苦手なんだよね。爽やかな笑顔を見ると鳥肌立つもん。私がひねくれてるだけ?いや、絶対わかってくれる人はいる。
  まだ買い食いしようと思ったけど、気分が乗らないから宿に戻ってアンナちゃんを愛でよう。朝出るときに宿も延長したしね。
  明日は何しようかなぁ~。




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