魔女っ娘珍道中~薔薇の魔女は好き勝手に生きていきます~

にわかオタクと犬好き

文字の大きさ
5 / 17

魔女っ娘、“アンティーク”を見つける

しおりを挟む




  次の日、目覚めた私は悩んでいた。今日、何をしようかと。昨日のゴリラとイノシシを売ったお金があるの生活に困ることはない。そうなると本当にやることがないんだよね。町の中の主な場所はほとんど見て回ったし。
悩んでても仕方ないからとりあえず外に出よう。そしたら何か思いつくかもしれないし。
  宿を出ようとした私は大きな荷物を持ったアンナちゃんを見つけた。荷物といってもどうやらゴミのようだけど。

「アンナちゃんおはよう」

「あ、ロゼお姉ちゃん。おはよう」

「ゴミ出し?」

「うん。お母さんは食堂の準備で忙しいから。いつもはお父さんがやるんだけど、今いないから私がやろうと思って」

  自分から率先してお手伝いをしようとしているのだろう。本当にいい子だ。

「まだ帰ってこないの?」

「うん。でももうすぐ帰ってくるよ。昨日手紙来たから」

「そう。よかったね。ゴミ出し手伝おうか?」

「ううん。ロゼお姉ちゃんはお客さんだから。気にしないで」

  とはいえアンナちゃんが持つには少々ゴミの量が多い。宿だから量が多いのは仕方ないんだろうけど、このまま何もしないのもなんだか悪い気がするのでアンナちゃんが持っているゴミを半分持つ。アンナちゃんは恐縮していたけど私が押し切った。アンナちゃんと並んでゴミ捨場に向かう。
ゴミ捨場に持っていたゴミを置く。決められた場所に置いておくと専門の業者が持って行ってくれるらしい。
  ゴミ捨場につくとしらないおじいちゃんがいた。私たち、というよりアンナちゃんを見つけて話しかけてくる。

「おや、アンナちゃんおはよう。お手伝いかい?偉いねぇ」

「グノおじいちゃんおはようございます。お父さんまだ帰ってこないので」

「そうかい。おや?そちらのお嬢さんは初めましてだね」

  おじいちゃんが私の方を見る。アンナちゃんの知り合いみたいだし、挨拶しといた方がいいよね。

「うちの宿に泊まってるロゼお姉ちゃん。私のお手伝いしてくれてるの」

  アンナちゃんに先を越されちゃったよ。まぁいいけどね。とりあえず会釈しておこう。

「そうかい。ありがとうね。アンナちゃんをよろしく頼むよ。儂にとっても孫みたいなもんじゃから」

「うん」

  返事するとおじいちゃんは嬉しそうに頷いて持っていたゴミを置く。
しかし私はそのゴミを思わず二度見してしまった。なんであんなものが。

「ねぇおじいちゃん、それ……」

「ん?あぁこれかい?」

  私の指差す物を見て持ち上げる。それは直径10cm程の円盤。改めて見て確信を持つ。

「やっぱり“アンティーク”」

  “アンティーク”とは今から1万年程前に栄えた文明の遺物の総称で剣や槍、鎧や盾などの武器から日常で使う物、果ては何に使うのかよくわかってない物まで多種多様でこのおじいちゃんが持っている円盤はデータを記録した物。
  端末で読み込むことで中のデータを取り出すことが出来る。そしてこれは多分音楽を記録した物だと思う。
  なんでわかるかって?私も持ってるからだよ。“アンティーク”集めは私の趣味みたいなものだからいっぱい持ってるよ。私が住んでた森には“アンティーク”の倉庫みたいなのがあってね。ママは商品を管理する倉庫だったんじゃないかって言ってたけど。
そこで見た“アンティーク”に一目惚れした私は倉庫にあったものを全種類指輪に入れてコレクションすることにしたの。
  中にはこの円盤のデータを読み取って音楽を聴く為の携帯型端末とか映像を移す機械とかいろいろあるんだ。
  それはおいといて、そんな“アンティーク”コレクターの私が言うんだから間違いない。この円盤は“アンティーク”。
  私が円盤を凝視していることに気づいたおじいちゃんは円盤を私に差し出す。

「ほしいならあげるよ」

「え!?いいの?」

「あぁ。儂にとっては特に必要のないものだからね。倉庫を整理してたら出てきて、いつからあるのかもわからないし、何に使うかもわからないから捨てようと思ってたんだ。お嬢さんが欲しいならあげるよ」

「ありがとう!おじいちゃん!」

  やった~!新しい“アンティーク”ゲット!!
ちょっと傷が目立つけどこのくらいなら大丈夫。頬ずりしそうな勢いで円盤を見つめる私をおじいちゃんは微笑ましそうに、アンナちゃんは不思議そうに眺める。
  よし、今日の予定は全部キャンセルだ。宿に戻ってこの“アンティーク”を楽しむことにしよう。

「アンナちゃん、早く宿に戻ろう!おじいちゃん本当にありがとう!」

「え!?ロゼお姉ちゃん!?」

  困惑するアンナちゃんを引きずって私は宿に走った。




  部屋に戻った私はベッドの上に円盤を置く。ベッドに上って正座する。
  指輪からデータを読み取る為の携帯型端末を出す。縦14cm、横7cmの薄い板のようなもので、実はこれ、離れた人と会話が出来るというすごい機械なんだけど、ママと私以外使ってるのを見たことないからほとんど使ってないけどね。
  円盤を読み込む機能を使う。赤い光が円盤をなぞるように照射される。データの読み込みが完了したのですぐに再生する。
  どんな音楽か楽しみにしてたんだけど、全然再生されない。データの読み込みは出来てるから壊れてるわけじゃないんだけどなぁ。

「……これを聞いている者よ」

「ん?」

  急に誰かの声が聞こえてきた。声を聞く限り、男。そこそこの年齢だと思う。

「どうか…あれを目覚めさせては……あれは……あく……の……きだ。あれが……るとたい……なことに……どうか…頼む……」

  途中、音が飛んでほとんど何を言ってるかわからなかった。目覚めさせるとまずいものがあるみたいな感じだったけど。
  まぁ、気にしてもしょうがないよね。実際、どうしようもないし。端末の中にから別の音楽を再生した。




  しばらく音楽を聴きながら過ごしていると、部屋のドアがノックされる。

「ロゼお姉ちゃん、下にお客さんが来てるよ」

  お客さん?誰だろう。この町に知り合いなんてほとんどいないのに。
まぁ、行ってみればわかるよね。
  教えに来てくれたアンナちゃんと一緒に下に降りる。

「あの人だよ」

  そうしてアンナちゃんが指差す方向を見ると女性が一人席についていた。
確かあれは冒険者組合のお姉さんだよね。
  こちらに気づいたお姉さんは立ち上がって礼をする。

「こんにちは」

「こんにちは。私に何か用?」

「えぇ。今日は勧誘に来ました」

「勧誘?」

「冒険者組合への勧誘です」

「それはこの前断ったはずだけど」

「まぁそうなんですが、支部長からの命令なので」

「支部長?冒険者組合の?」

「そうです」

  まためんどくさいことを持ち込んでくれた。なんで冒険者組合の支部長がたった一度行っただけの私を勧誘してくるのか。なんにせよ話を聞いて断らないとね。

「じゃあ座って話を聞くよ」

「ありがとうございます」

  私たちは席についてアンナちゃんに飲み物を注文した。飲み物がきて落ち着いてから話し始めることにした。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

処理中です...