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魔女っ娘、“アンティーク”を見つける
しおりを挟む次の日、目覚めた私は悩んでいた。今日、何をしようかと。昨日のゴリラとイノシシを売ったお金があるの生活に困ることはない。そうなると本当にやることがないんだよね。町の中の主な場所はほとんど見て回ったし。
悩んでても仕方ないからとりあえず外に出よう。そしたら何か思いつくかもしれないし。
宿を出ようとした私は大きな荷物を持ったアンナちゃんを見つけた。荷物といってもどうやらゴミのようだけど。
「アンナちゃんおはよう」
「あ、ロゼお姉ちゃん。おはよう」
「ゴミ出し?」
「うん。お母さんは食堂の準備で忙しいから。いつもはお父さんがやるんだけど、今いないから私がやろうと思って」
自分から率先してお手伝いをしようとしているのだろう。本当にいい子だ。
「まだ帰ってこないの?」
「うん。でももうすぐ帰ってくるよ。昨日手紙来たから」
「そう。よかったね。ゴミ出し手伝おうか?」
「ううん。ロゼお姉ちゃんはお客さんだから。気にしないで」
とはいえアンナちゃんが持つには少々ゴミの量が多い。宿だから量が多いのは仕方ないんだろうけど、このまま何もしないのもなんだか悪い気がするのでアンナちゃんが持っているゴミを半分持つ。アンナちゃんは恐縮していたけど私が押し切った。アンナちゃんと並んでゴミ捨場に向かう。
ゴミ捨場に持っていたゴミを置く。決められた場所に置いておくと専門の業者が持って行ってくれるらしい。
ゴミ捨場につくとしらないおじいちゃんがいた。私たち、というよりアンナちゃんを見つけて話しかけてくる。
「おや、アンナちゃんおはよう。お手伝いかい?偉いねぇ」
「グノおじいちゃんおはようございます。お父さんまだ帰ってこないので」
「そうかい。おや?そちらのお嬢さんは初めましてだね」
おじいちゃんが私の方を見る。アンナちゃんの知り合いみたいだし、挨拶しといた方がいいよね。
「うちの宿に泊まってるロゼお姉ちゃん。私のお手伝いしてくれてるの」
アンナちゃんに先を越されちゃったよ。まぁいいけどね。とりあえず会釈しておこう。
「そうかい。ありがとうね。アンナちゃんをよろしく頼むよ。儂にとっても孫みたいなもんじゃから」
「うん」
返事するとおじいちゃんは嬉しそうに頷いて持っていたゴミを置く。
しかし私はそのゴミを思わず二度見してしまった。なんであんなものが。
「ねぇおじいちゃん、それ……」
「ん?あぁこれかい?」
私の指差す物を見て持ち上げる。それは直径10cm程の円盤。改めて見て確信を持つ。
「やっぱり“アンティーク”」
“アンティーク”とは今から1万年程前に栄えた文明の遺物の総称で剣や槍、鎧や盾などの武器から日常で使う物、果ては何に使うのかよくわかってない物まで多種多様でこのおじいちゃんが持っている円盤はデータを記録した物。
端末で読み込むことで中のデータを取り出すことが出来る。そしてこれは多分音楽を記録した物だと思う。
なんでわかるかって?私も持ってるからだよ。“アンティーク”集めは私の趣味みたいなものだからいっぱい持ってるよ。私が住んでた森には“アンティーク”の倉庫みたいなのがあってね。ママは商品を管理する倉庫だったんじゃないかって言ってたけど。
そこで見た“アンティーク”に一目惚れした私は倉庫にあったものを全種類指輪に入れてコレクションすることにしたの。
中にはこの円盤のデータを読み取って音楽を聴く為の携帯型端末とか映像を移す機械とかいろいろあるんだ。
それはおいといて、そんな“アンティーク”コレクターの私が言うんだから間違いない。この円盤は“アンティーク”。
私が円盤を凝視していることに気づいたおじいちゃんは円盤を私に差し出す。
「ほしいならあげるよ」
「え!?いいの?」
「あぁ。儂にとっては特に必要のないものだからね。倉庫を整理してたら出てきて、いつからあるのかもわからないし、何に使うかもわからないから捨てようと思ってたんだ。お嬢さんが欲しいならあげるよ」
「ありがとう!おじいちゃん!」
やった~!新しい“アンティーク”ゲット!!
ちょっと傷が目立つけどこのくらいなら大丈夫。頬ずりしそうな勢いで円盤を見つめる私をおじいちゃんは微笑ましそうに、アンナちゃんは不思議そうに眺める。
よし、今日の予定は全部キャンセルだ。宿に戻ってこの“アンティーク”を楽しむことにしよう。
「アンナちゃん、早く宿に戻ろう!おじいちゃん本当にありがとう!」
「え!?ロゼお姉ちゃん!?」
困惑するアンナちゃんを引きずって私は宿に走った。
部屋に戻った私はベッドの上に円盤を置く。ベッドに上って正座する。
指輪からデータを読み取る為の携帯型端末を出す。縦14cm、横7cmの薄い板のようなもので、実はこれ、離れた人と会話が出来るというすごい機械なんだけど、ママと私以外使ってるのを見たことないからほとんど使ってないけどね。
円盤を読み込む機能を使う。赤い光が円盤をなぞるように照射される。データの読み込みが完了したのですぐに再生する。
どんな音楽か楽しみにしてたんだけど、全然再生されない。データの読み込みは出来てるから壊れてるわけじゃないんだけどなぁ。
「……これを聞いている者よ」
「ん?」
急に誰かの声が聞こえてきた。声を聞く限り、男。そこそこの年齢だと思う。
「どうか…あれを目覚めさせては……あれは……あく……の……きだ。あれが……るとたい……なことに……どうか…頼む……」
途中、音が飛んでほとんど何を言ってるかわからなかった。目覚めさせるとまずいものがあるみたいな感じだったけど。
まぁ、気にしてもしょうがないよね。実際、どうしようもないし。端末の中にから別の音楽を再生した。
しばらく音楽を聴きながら過ごしていると、部屋のドアがノックされる。
「ロゼお姉ちゃん、下にお客さんが来てるよ」
お客さん?誰だろう。この町に知り合いなんてほとんどいないのに。
まぁ、行ってみればわかるよね。
教えに来てくれたアンナちゃんと一緒に下に降りる。
「あの人だよ」
そうしてアンナちゃんが指差す方向を見ると女性が一人席についていた。
確かあれは冒険者組合のお姉さんだよね。
こちらに気づいたお姉さんは立ち上がって礼をする。
「こんにちは」
「こんにちは。私に何か用?」
「えぇ。今日は勧誘に来ました」
「勧誘?」
「冒険者組合への勧誘です」
「それはこの前断ったはずだけど」
「まぁそうなんですが、支部長からの命令なので」
「支部長?冒険者組合の?」
「そうです」
まためんどくさいことを持ち込んでくれた。なんで冒険者組合の支部長がたった一度行っただけの私を勧誘してくるのか。なんにせよ話を聞いて断らないとね。
「じゃあ座って話を聞くよ」
「ありがとうございます」
私たちは席についてアンナちゃんに飲み物を注文した。飲み物がきて落ち着いてから話し始めることにした。
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