魔女っ娘珍道中~薔薇の魔女は好き勝手に生きていきます~

にわかオタクと犬好き

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魔女っ娘、被害者を送り届ける

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  私が外に出ると捕まってた女性たちが隅に固まっていた。

「大丈夫?」

「あ、あなたは。大丈夫です。でも、あの……」

  怯えた表情で地面に転がっている盗賊たちを指差す。あぁ、そうか。自分たちに酷いことをした奴らがいるんだもんね。怖いよね。

「あ、ゴメン。ちょっと待ってね」

  私は盗賊たちを縛っている茨を操作して一ヶ所に集める。そして地面を操作して土で箱を作って盗賊たちをその中に詰める。檻ではなく箱。女性たちが怖がらないように外からは見えないようにした。
  窒息しないように空気が通る穴だけは空けたけどね。次に洞窟の中に戻って放置していた盗賊たちとボコボコにした親玉を連れて来る。
  親玉を見て回復魔法をかけてあげた女性が悲鳴をあげたので、やっぱり暴力を振るったのはこいつだったみたい。他の盗賊たちと一緒に箱に放り込む。
開かないようにしっかり固めて、女性たちのところに戻る。捕まっていたのは全部で8人だった。

「もう大丈夫だよ」

  安心させるように声をかけると恐る恐るこちらへやって来る。

「本当にありがとうございました。助けに来ていただけなかったら今頃どうなっていたか……」

「助けられてよかったよ。町まで送るから一緒に行こう」

  とりあえず、町まで送れば後は衛兵の人がなんとかしてくれるでしょ。それまでは私が守ってあげる。え?盗賊たち?もちろん置いて来たよ?連れて行くのはめんどくさいし、女性たちが怖がるからね。一応、箱の下に車輪付けといたから後で衛兵が連れて来るでしょ。
  ちなみに私とさっき話してた人はリエナさん。捕まってた人の中で一番年上で20歳。馬車で来る途中にあの盗賊たちに襲われて捕まったんだって。
他の人も同じ馬車に乗ってたらしい。捕まったときは何が何だかわからず、混乱してたけど状況がわかってからは毎日震えてたらしい。まぁ、あえて言わないけど酷いこともされたみたい。
  虫の息だった女性はクラリスさん17歳。気の強い性格が災いして面白半分に暴力を振るわれたらしい。それでも気丈に振る舞っていたのはすごいと思う。



  他の人とも話しながら歩いて町が見えるところまでやって来た。その間、魔物は出てこなかった。ゴブリンくらいは出て来るかと思ったんだけど、まぁリエナさんたちもいるし今回は出なくて幸いだったね。
  門まで来ると最初に私がこの町に来た時に担当したオジさんがいた。

「おぉ、お嬢ちゃん。今帰りかい?」

「うん。そうだオジさん、この人たち盗賊に捕まってたの保護してあげて」

「何だって!?」

  私の言葉に驚くオジさん。すぐに詰め所の中に通された。私は帰ろうと思ったんだけど、オジさんに事情を聞きたいって言われて引き止められた。
  リエナさんたちからも出来れば一緒にいて欲しいと言われて断れなかった。盗賊たちにあんな事されたし、男が怖いっていうのもわかるし助けた責任もあるしね。
  1時間程、色々聞かれた。どこで盗賊にあったのか、アジトはどこなのか、人数は、倒した盗賊たちはどうしたのか、などなど。
  私の話が本当だとリエナさんたちが支持してくれたのでオジさんも信じてくれた。
盗賊たちは箱に詰めてアジトの前に置いて来たと言うと、すぐに衛兵を向かわせるから案内して欲しいと言われた。また戻るの?めんどくさいなぁ。

「そこを何とか頼む。被害者にそこに戻れとは言えないし、お嬢ちゃんにしか頼めないんだよ。この通り!」

  そう言って頭を下げるオジさん。そこまでやられて断ると私が悪者になりそうだし、仕方がないか。

「わかった。いいよ」

「ありがとう。お嬢ちゃん。すぐに準備するから待っていてくれ」

  そう言うなり急いで出て行くオジさん。

「そういうわけだから、ここでお別れね」

「本当にありがとうございました。このご恩は一生忘れません」

「本当にありがとうロゼちゃん。もし何か私に出来ることがあったら言ってね。いつでも力になるから!」

  リエナさん、クラリスさん他の皆もお礼を言ってくれる。実際、彼女たちはこれからが大変なんだろうな。色々と噂もされるだろうし、きっと上手くいかないことばかりだと思うけど、頑張って欲しい。

  オジさんが来たので彼女たちに挨拶して部屋を出る。
  外には鎧を着込んだ衛兵が5人いて、オジさんと私で7人で馬車に乗って向かう。私は道案内だけだから馬車に乗ってるだけでいい。
  そろそろ日が傾いてくる時刻なので早速出発する。

「それにしても、お嬢ちゃんは強かったんだな。盗賊を1人で倒しちまうなんて。冒険者なのかい?」

  馬車が出発して少しして正面に座るオジさんが話しかけてくる。

「違うよ。組合には所属してない」

「そうなのか?お嬢ちゃんの腕なら冒険者かなと思ったんだが」

  まぁ、普通はそう考えるよね。でも別に冒険者になるメリットって私にはあんまりないし、逆に色々と規則があったりしてめんどくさそう。冒険者じゃないと魔物を狩れないわけじゃないし、問題ない。

「めんどくさいから冒険者にはならないよ」

  正直に言うとオジさんは声をあげて笑い出した。

「そうかそうか。まぁ、それは個人の自由だもんな」



  他愛ない話をしながら馬車は進み、盗賊を詰めた箱の近くにやって来た。
  魔物が出るかもしれないのでここから馬車を降りて歩いて向かう。私が先導しながら木々の間を抜けて、魔法で作った箱が見えてくる。

「止まって」

「ん?どうしたお嬢ちゃん」

  急に歩みを止めた私に訝しむオジさん。他の人も気づいていないみたいだけど、箱の周りにゴブリンが5体ほどいる。箱を不思議そうに眺め、持っている棍棒で叩いたりしている。
  ゴブリンが箱を叩く度に中の盗賊たちから悲鳴が上がる。

「な、なんだ!?」

「ひぃぃ!」

「勘弁してくれ!」

  外の様子がわからないように作ってあるし、茨で縛ったままだから何をされるのか気が気じゃないんだね。ざまぁみろ。

「ゴブリンがいる。数は5体。箱の周りに集まってるよ。どうする?」

  こっちには気づいてないからこのまま引き返せば戦わなくて済む。それにゴブリンにあの箱は壊せないからほっといても大丈夫。
  それを伝えるとオジさんは少し考え、首を横に振る。

「いや、ゴブリンを倒して盗賊を連れて行こう。出来れば今日中に町に連れて行きたい」

「了解。じゃあちょっと待ってね」

  オジさんの言葉に同意し剣を抜いて意気込む衛兵たちにそう言って私は雷魔法を発動する。5体のゴブリンは雷に焼かれ死ぬ。
  バタバタ倒れるゴブリンたちに呆然とするオジさんたち。

「お嬢ちゃん……」

「ん?ダメだった?」

「いや、うん、いいんだ……」

  もしかして戦いたかったのかな?だとしたら申し訳ないけど、ゴブリンなんかに時間取られるわけにはいかないからね。私は早く帰りたいの。
  まだいるかもしれないので一応、警戒しながら箱へ近づく。ゴブリンは私が火魔法で焼く。ほっとくと他の魔物が寄ってくるからね。
  オジさんたちは箱を調べてる。下に車輪もついてるし、オジさんたちなら運べるよね。

「これなら押していけるな。あとは馬車に繋ぐか」

  オジさんたちが相談している間、私は近くの薬草を採取する。途中で盗賊たちに絡まれたから中途半端だったんだよね。
  うん。これくらいでいいかな。ある程度で止めるのがマナーだよね。
  私が薬草の採取を終えるのとほぼ同時にオジさんたちが相談を終える。

「お嬢ちゃん、俺たちがこの箱を運ぶから魔物が出て来たらお願いしてもいいかな?」

「いいよ。その代わり倒した魔物の素材とかはもらうよ?」

「もちろんだ。じゃあ出発するから頼むよ」

  オジさんたちが箱を押し出す。私は先を歩きながら魔物を警戒する。と言っても探知魔法で調べても周りに魔物はいない。
  少し離れた所にゴブリンとかはいるけどこっちから近寄らなければ大丈夫。馬車が置いてあるところまで戻って来た。オジさんたちは箱を馬車に取り付けている。もちろん私が魔法で馬車に繋げるように変形させたんだけどね。
  繋げ終わったので馬車に乗り込み町に戻る。はぁ……薬草を採りにきただけなのに随分と時間をくってしまった。
  ポーションを作るのは明日にしようかな。急ぎじゃないし。お腹すいたなぁ早く帰ってご飯食べたい。
  日が沈む頃、私は空腹に耐えながら馬車に揺られて町に戻った。


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