魔女っ娘珍道中~薔薇の魔女は好き勝手に生きていきます~

にわかオタクと犬好き

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魔女っ娘、王都へ向かう

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  カイルくんの家庭教師になってから一ヶ月が経った。
  今日、私は家庭教師を終え、この街を去る。私としては結構、長くいたなぁと思うけど。
  屋敷の入り口で私を見送るため、領主とカイルくん、あと隊長さんもいた。その後ろには執事さんにメイドさんもいる。あと、領主の隣に奥さんもいるよ。
  実はカイルくんの授業が終わると結構な頻度で奥さんとお茶してたんだよね~。他愛ない話ばかりだったけど、たまに領主の秘密を聞いたり、カイルくんの生まれたときのこととかも教えてもらった。秘密にする約束だから内容は言わないけどね。
  そんなわけでストライド辺境伯家総出でお見送りを受けているわけです。

「今回は本当に世話になった。もしなにかあったらできるだけ力になるからいつでも頼ってくれ」

「じゃあその時は遠慮なく」

  領主と握手を交わす。

「また一緒にお茶しましょうねロゼちゃん」

「うん。街に来た時は寄らせてもらうよ」

  奥さんとハグする。

「ロゼ先生……」

「またね。次に会うときはまた魔法を教えてあげるよ」

  淋しそうな顔をするカイルくんの頭を撫でる。照れながらも笑顔を見せてくれる。

「ロゼ殿、お世話になりました。次にお会いするときまでにもっと精進します」

「うん。隊長さんも元気でね。またやろうね」

  隊長さんと握手する。騎士たちを訓練する合間に隊長さんと手合わせしたんだ。結果?もちろん私が勝ったよ。

「じゃあ、そろそろ行くよ」

「次はどこに行くんだ?」

  領主に聞かれる。考えたら次の目的地を決めてなかったな。

「特に考えてなかったな。……まぁとりあえず、王都にでも行ってみるかな。途中で行き先を変えるかもだけど」

「自由だな。相変わらず」

  私の答えに領主が苦笑を漏らす。

「それが私だからね」

  そう。自由気ままに旅するのが私なのだ。興味を引くもののところへ進んで行くのが一番楽しいしね。

「じゃあね。またどこかで」

  領主たちに見送られて私は街を出た。必要なものは領主が用意してくれたのですぐに旅立てる。




  街の門を出てから少し歩いたところで私は携帯端末を取り出す。

「さて、次の街は……」

  携帯端末のマップ機能を起動させる。マップを操作すると空中に四角い映像が投射される。前に使ってた音楽も聴ける携帯端末だよ。
  映像にはここら辺の地図が映し出されている。携帯端末の画面でも見れるけどこっちの方が見やすいからね。
  私は映像を指で上下左右に動かし、街を探す。

「うーんと……あった。徒歩で行くと一週間か」

  ここから北へ一週間のところに次の街はあった。その街を更に北へ行くと、辺境伯領を抜けてツァール伯爵領に入るらしい。
  特に急ぐ旅でもないけど、遠いな。

「……飛んで行くか」

  そう決めると私は飛行魔法を発動。空へ飛び上がり、北へ進む。気流を操作して風圧を防ぐ。
  飛行魔法は風魔法の一種だ。ただそれだけだと魔力を無駄に消費するので重力魔法も併用する。加減を間違えると空の彼方に飛んで行ってお星さまになっちゃうけどね。
  三時間程で次の街が見えてくる。ゆっくり来たつもりだけど、思ってたよりも早く着いたな。
ここら辺で降りて歩いて行こう。
  少し歩いて、街の門に辿り着く。街に入ろうとしている旅人や商人、冒険者の後ろに並ぶ。商人の馬車とかは結構念入りにチェックしてるけど、そんなに数はいないから順番は早く来そうだ。
  予想どおり、大して待たずに私の番が来る。

「おや、お嬢さん。一人で来たのかい?」

「うん。そうだけど」

「そうかい。大変だったろう。住民証か組合証は持ってるかい?なかったら500シエル払ってもらわなきゃならないんだけど」

「はい。500シエル」

  門に立つおじさんに500シエル払う。この街の通行証は持ってないからね。こういう時に組合証があると便利なんだろうけど、私は冒険者になるつもりはないので仕方ない。

「うん。確かに。じゃあ、これが通行証ね。無くさないようにね。再発行にはまた500シエル払わないといけないから」

  500シエルを私から受け取ったおじさんは通行証を私に手渡しながら注意してくる。

「うん。わかったよ」

「ようこそ、トラバの街へ」

  おじさんの笑顔に迎えられ、トラバの街に入る。実を言うと、領主から特別通行証を貰っていて、それがあれば辺境伯領のどの街でも自由に出入りできるんだけど、そんなの使ったら目立つしね。だから普通の通行証を買うことにした。特別通行証はスクリアの街に行ったときにでも使おう。
  そこそこ大きい宿で部屋を取り、街を散策することにした。
  屋台を冷やかしながら街の中央にある広場に出た。
  老人が椅子で休んでいたり子どもたちが走り回っていたりと穏やかな時間が流れている。平和が一番だよね~。
しばらく広場でのんびりした後、宿へ戻った。



  次の日、宿を引き払って屋台で買い食いしながら街を出る。少し歩いてから飛行魔法で更に北へ。伯爵領までは距離があるので昨日よりも速度を上げて行く。
  一時間ほど空を飛んでいるとゴブリンに追われている馬車が見えた。
  光魔法を発動。光が矢となってゴブリンたちに降り注ぐ。光の矢に貫かれ、ゴブリンたちは呆気なく生き絶える。
  馬車に乗っていた家族は何が起こったのかわからず周りをキョロキョロと見回す。まぁ気まぐれに助けたよ。乗ってるのが母親と小さな女の子だったからね。
  なんとなくママのことを思い出してほっこりしたからそのお礼ってことで。
  私は空を飛んで先を行く。私の探知魔法に魔物は引っかからなかったから大丈夫だと思うけど、気をつけるんだよ。
伯爵領の関所から少し離れたところに降りる。
  関所に入る順番待ちをしているとさっき助けた親子が最後尾に並んでいた。うんうん。無事に来れて何より。
  私の順番が来て通行税を払って通る。ここから伯爵領だ。通行税が1000シエルもしたのはちょっと痛かったな。まぁ家庭教師代で領主から結構貰ってるから問題はないんだけど。通行税に1000シエルっていうのがね……。まぁ通行税は領主が勝手に決めれるらしいからしょうがないか。
間者が入るのを防ぐ役割もあるんだろうし。
  関所から街まで距離があるみたいで、関所に併設されてる宿に泊まっていく人が大半みたい。私はすぐ出発するよ。関所なんかに用はないしね。
  関所の兵士に泊まっていった方がいいって言われたけど、断った。忠告はありがたく受け取っとくよ。
  また少し歩いて飛行魔法を発動する。飛びながら携帯端末でマップを確認して街へ向かう。今日はその街で一泊かな。
  途中、目に映る魔物を光の矢で倒して指輪に収納しながら街に着いたのは太陽が傾いてきた頃だった。
  また500シエル払って通行証を貰って街に入り、宿を取る。さて明日はどうしようか。そのまま王都を目指して進んでもいいけど……。街を散策して何もなさそうだったら次の街に行こうかな。



  次の日、街を散策する。市場に行って店を見て回る。ふと、通りの隅に屋台が見えたので寄ってみる。
  屋台には老人とおじさんの二人がいた。顔が似てるから親子かな。

「いらっしゃい。お嬢さん、一ついらんかね?」

  老人が私に勧めてきたのは果物だった。でも見たことない果物だなぁ。

「おじいさん、これ何?」

「これはオレプという果物じゃ。この辺りの地域でしか取れんもんでな。他の土地から来た者には珍しいかもしれんのう。味見してみるかい?」

「いいの?じゃあお言葉に甘えて」

  息子だと思われるおじさんが皮を剥いて切り分けてくれる。赤っぽい皮を剥くと中から白っぽい実が出てくる。
  切り分けてもらったのをかじると、甘酸っぱい爽やかな味が口の中に広がる。美味しい。

「美味しいね」

「そうかい。良かったよ」

「おじいさん、これいくら?」

  結構、気に入ったので買っていくことにした。指輪に収納しておけば腐らないしね。

「一つ40シエルじゃ」

「うーん。じゃあ、全部ちょうだい」

  安かったので全部買うことにした。そしたらおじいさんだけじゃなくて、おじさんも驚いてる。なんか変なこといったかな?

「ぜ、全部かい?」

「うん。美味しかったから全部もらうよ。あれ、ダメ?」

「いや、買ってくれる分にはええんじゃが、お嬢さんお金はあるのかい?いくら安いと言っても、結構な値になるぞ?」

「ん?大丈夫だよ。ほら」

  指輪からお金の入った袋を出して二人に見せる。その厚みを見て納得してくれたよう。

「そ、そうかい。じゃあ、全部で368個あるから……14720シエルじゃな」

「うん、わかったよ」

  銀貨が一枚、小銀貨が四枚、銅貨が七枚、小銅貨が二枚。しめて14720シエルをおじいさんに渡す。
  おじいさんは受け取ったお金を丁寧に数える。

「確かに。じゃあ、ここにあるオレプはお嬢さんのもんじゃ。どうする?宿の場所さえ教えてくれれば運ぶぞ?」

「ううん。いいよ。ここで貰ってくから」

  そう言いながら私はオレプを全て指輪に収納する。
  一瞬にしてオレプが消えた光景に目を見開くおじいさんたち。おじいさん、口開いてるよ。

「じゃあ、私はこれで。また買いに来るかもしれないからその時はよろしくね」

  おじいさんの返事を待たず、その場を後にする私。いや~思わぬ掘り出し物だったな~。思わず衝動買いしちゃった。
これ、料理とかにも使えるのかな?おじいさんに聞いとけばよかった。まぁ試してみてダメだったらそのまま食べればいいよね。
  その後も街を散策し、特に珍しい物もなかったので、そのまま街を出ることにした。



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