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騙されたウェルヘム①
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ウェルヘムはクルルギ大司教の思惑など知る由もなく、ただただスカーレットとの安定した生活を送れることが出来る!!
とはしゃぐばかりで彼を疑うことをせずに全面的な支援をすることを約束した。
(もうあんな面倒な立場と責務を負うことなどする必要はないな、まぁ堅物な司教の服を着てミサを含めた地味で目立たず社交界には二度と出席することは叶わなことを差し引いても充分なメリットがある!!)
彼自身は、元々から教会のことをそれ程詳しく知っているわけではないというか興味が無かった。
ただ、教会との関係…いや、教会の教皇や大司教といった権力者との深い繋がりを持った方が利益に繋がるからという理由で信仰していたに過ぎない。
だからこそ、クルルギ大司教の上手い話に乗る。
彼はにこやかに笑う。
「感謝しますよウェルヘム様とスカーレット様、これにて取引は成立しました、あなた方お二人には本当に感謝をしております。いやはや本気で焦りましたよ、この取引が成立しなかったら私はどうなってしまうのかと……なんせ教皇様からのご指示でしたので……なんという慈悲深いお二人でしょうね、私達として助かる想いです。」
ペコペコと何度も頭を下げてお礼をするクルルギ。
「いいえお気になさらずとも大司教様。これは私からの善意の一部に過ぎません。これからももっと君に金銭的な援助をしてあげますよ。」
言葉遣いは優しいものの口調の方は何処となく彼に対して私の方が上!!ともとれた。
(私はこの国の公爵様だ、この大司教に金銭的な恩を売ることなど容易い事だ!)
お金などいくらでもあると高をくくる。
あの妻からの小遣い等微々たるものだが、両親や一族からの援助や上位貴族である公爵である為、国王からも莫大な金銭的な援助を受ける事が出来ている。
別に困ることはない、それどころかスカーレットとの安定した生活を得る為ともなればいくらでもお金をくれてやる!!
「そうですわ、私も出来る限り協力しますわよ大司教様!」
ウェルヘムの表情を見て彼の考えを知ったスカーレットも喜んで引き受けた。
もっとも、クルルギにとって彼女の事など大して興味のある存在ではなかったので「はい、感謝しております。」と軽く返事をしただけである。
クルルギは微笑み、商談は成立した。
彼は、直属の部下の一人で巨躯な体格を持つルーブル司教に「この事は一切他言無用だ、他の司教やシスターにもな!!」とウェルヘムの時とは打って変わって高圧的ともいえる口調の強い念押しをする。
ルーブルは厳つい表情を変えずに返事をした。
「はい、かしこまりました。」
彼はすぐにこの場を立ち去り、教会堂へと向かっていった。
「お気になさらずに。彼は私の忠実な部下ですよ、私の告げたことは何一つ文句を言う事もなく聞いてくれます。」
「そうですかそれは良かったです。」
「私もですわ。急に出て来られて何事かと思いましたわ。」
「これはこれはお気になさらずに、この教会の司教やシスター達はみんな私の言いなりですからね、今は。」
自信ありげなクルルギにウェルヘムとスカーレットは同調する。
「当然だろうな。」
「そうですわ!それでこそ大司教様ですわ!!」
自身を疑わずに褒めてくれる二人に都合のいい取引相手だとクルルギは心の中で笑っていた。
『ウェルヘム様とスカーレット様、あなた方お二人は私に全面的な信頼を置いてくれて本当に感謝しておりますよ…ただし、全ての約束を守る気が私にはあるかどうか分かりませんがね…。』
ウェルヘムはクルルギのことを詳しく知らないし、何より疑わかった。
とはしゃぐばかりで彼を疑うことをせずに全面的な支援をすることを約束した。
(もうあんな面倒な立場と責務を負うことなどする必要はないな、まぁ堅物な司教の服を着てミサを含めた地味で目立たず社交界には二度と出席することは叶わなことを差し引いても充分なメリットがある!!)
彼自身は、元々から教会のことをそれ程詳しく知っているわけではないというか興味が無かった。
ただ、教会との関係…いや、教会の教皇や大司教といった権力者との深い繋がりを持った方が利益に繋がるからという理由で信仰していたに過ぎない。
だからこそ、クルルギ大司教の上手い話に乗る。
彼はにこやかに笑う。
「感謝しますよウェルヘム様とスカーレット様、これにて取引は成立しました、あなた方お二人には本当に感謝をしております。いやはや本気で焦りましたよ、この取引が成立しなかったら私はどうなってしまうのかと……なんせ教皇様からのご指示でしたので……なんという慈悲深いお二人でしょうね、私達として助かる想いです。」
ペコペコと何度も頭を下げてお礼をするクルルギ。
「いいえお気になさらずとも大司教様。これは私からの善意の一部に過ぎません。これからももっと君に金銭的な援助をしてあげますよ。」
言葉遣いは優しいものの口調の方は何処となく彼に対して私の方が上!!ともとれた。
(私はこの国の公爵様だ、この大司教に金銭的な恩を売ることなど容易い事だ!)
お金などいくらでもあると高をくくる。
あの妻からの小遣い等微々たるものだが、両親や一族からの援助や上位貴族である公爵である為、国王からも莫大な金銭的な援助を受ける事が出来ている。
別に困ることはない、それどころかスカーレットとの安定した生活を得る為ともなればいくらでもお金をくれてやる!!
「そうですわ、私も出来る限り協力しますわよ大司教様!」
ウェルヘムの表情を見て彼の考えを知ったスカーレットも喜んで引き受けた。
もっとも、クルルギにとって彼女の事など大して興味のある存在ではなかったので「はい、感謝しております。」と軽く返事をしただけである。
クルルギは微笑み、商談は成立した。
彼は、直属の部下の一人で巨躯な体格を持つルーブル司教に「この事は一切他言無用だ、他の司教やシスターにもな!!」とウェルヘムの時とは打って変わって高圧的ともいえる口調の強い念押しをする。
ルーブルは厳つい表情を変えずに返事をした。
「はい、かしこまりました。」
彼はすぐにこの場を立ち去り、教会堂へと向かっていった。
「お気になさらずに。彼は私の忠実な部下ですよ、私の告げたことは何一つ文句を言う事もなく聞いてくれます。」
「そうですかそれは良かったです。」
「私もですわ。急に出て来られて何事かと思いましたわ。」
「これはこれはお気になさらずに、この教会の司教やシスター達はみんな私の言いなりですからね、今は。」
自信ありげなクルルギにウェルヘムとスカーレットは同調する。
「当然だろうな。」
「そうですわ!それでこそ大司教様ですわ!!」
自身を疑わずに褒めてくれる二人に都合のいい取引相手だとクルルギは心の中で笑っていた。
『ウェルヘム様とスカーレット様、あなた方お二人は私に全面的な信頼を置いてくれて本当に感謝しておりますよ…ただし、全ての約束を守る気が私にはあるかどうか分かりませんがね…。』
ウェルヘムはクルルギのことを詳しく知らないし、何より疑わかった。
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