汚部屋へGO!〜戦いの記録

はに丸

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私と汚部屋の戦い

第8話 2024年4月、限界点突破

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 細かいことはどうでもよい。というか、覚えていない。


 この時期、私の部屋はいわゆる汚部屋への道を歩んでいた。

 買った古書は袋に入れたまま床に放置されている。ウキウキで買った高村光雲の自叙伝もそのままである。

 某世界を取り戻す英霊ソシャゲのグッズは箱に入ったままである。このFでGなゲームはコミックマーケットと周年、アニメジャパンなどごとに期間限定グッズを出すため、それを購入し、だいたい数カ月後に届いているのだが、届いて一ヶ月以上経つというのにそのままなのだ。

 また、出しては読んでそのまま片付けていない本が床や机の上に積み上げられたり散乱していたりと、本がかわいそうでしかない。箱本も、中身と箱がバラバラに放置されている。

 部屋はごみが散乱している。コンビニやマクドのゴミ、ペットボトル、アマゾンの空箱、ゴミ箱からあふれて落ちたティッシュゴミ、毎日使っては適当に放置してる使い捨てマスクなど、多岐にわたっている

 服は洗濯したものを一部使い回しており、あとは散乱していた。

 掃除もしてないため、抜け毛もかなり落ちていたろうが、ここまでゴミだらけだとそういうのはもはやわからなくなるものである。

 唯一無事なのはロフトベッドとパソコン周辺の机と椅子だけという有様である。

 時折、目についたゴミを袋にまとめて捨てるのだが、その程度なので、またゴミがゴミ箱より溢れていく。



 私は、なすすべもなく放置していた。



 仕事で煮詰まっており、何もかも心が削れていた。ブラックというわけではないが、派遣会社からの要請で当初より1時間多い勤務時間になったことと、とにかく派遣先の上司が適当であった。

 駐車場契約に必要な重要書類が行方不明になったときは気が遠くなった。最後に持っていたのはその上司だったがその後、発見されてない。

 私はほうぼう、稟議書を出した別部署に再発行依頼し、決定印を押す役員たち、契約金管理の経理、取引先にも頭を下げて契約金振り込みの延期と使用の前倒しを頼む羽目になった。

 また、勤務時間を戻してほしいと派遣会社に相談したところ、派遣先と相談してくれと信じられない返事が来る。初めてお世話になったところなのだが、派遣会社が信用できないところと気付いて呆然とした。

 この仕事の話は本題ではないのでこれ以上は語らない。


 このようなわけで、もともと片付かなかった部屋は、私が疲れすぎて悪化し、5月には取り返しのつかないところまで来てしまっていた。

 私のタンスは二重棚になっており、奥と手前を入れ替えることによって簡単に衣替えができるという触れ込みのものであった。

 それは、タンスの中に服がきちんと収まっていることが前提である。

 夏物合物を着ようとしても冬物は散乱して片付けられない。衣替えができない。とにかく、服を着たい。

 冬物の引き出しを外に出しきり、その上に夏物の服の引き出しを重ねるという狂気でしかないことをして、服を着替え出勤したのである。



 ここに、もうどうして良いかわからない部屋ができあがった。



 タンスは空っぽで部屋に出されてる時点で邪魔すぎる。買った本は袋に入れっぱなしか読んで机の上。資料とマンガと小説がつみあげられていく。

 そのうち椅子にも服や本が積み上げられる。

 そして最後のダメ押しが、文具を入れた小物の引き出しだった。

 その時の私が何を考えてたのかわからない。焦っていたのか、雑だったのか。

 その引き出しを出し切って、椅子の上に置いたのである。何かを探していて焦っていたのかも知れないが、ほんとそれ元に戻せよ。

 戻されなかった椅子の上の引き出しは、机の上にあるノートパソコンの使用を完全に封じた。

 私は唯一無事のロフトベッドにノートパソコンも持ち込んで作業をするようになった。

 これが、ゴールデンウィーク前、この派遣会社自体がやべえから何がなんでもやめよう縁を切ろうと思ったあたりの、部屋の状況だった。

 ちなみに一人暮らしではないので、台所や風呂に被害がない。というか、風呂や台所は私が掃除担当である。会社の書類もきれいに整頓している。

 部屋を片付けられない人間のなかには、使用が特化した場所は片付けられるがそうでないものはどうしていいかわからない、というのがあると、私は私自身に学んだ。
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