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始まり
2話
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…一体、私に何があったのか。
なんで急にこんな場所にいるんだろうか。
いつも通り、頼まれた日直の仕事を終わらせて、帰り道だったはず…。
「おまえ、人間か?」
突然後ろから、しゃがれた、しかし力強い声に問われて思わずその場から飛び退いた。
声の主は白髪を一つに束ねた、巫女服のおばーさん。
…コスプレ?
…その歳で?
私がまた考え込み始めると、もう一度、そのおばーさんは「人間か?」とたずねてきた。
私が「人間です。」と答えると、「そうか。」と言い、しげしげと私を見つめてくる。
その視線に耐えられず、「あの、東京には、どうやったら帰れますか?」と私から質問をしてみた。
「とうきょう」その言葉を出した途端、老婆は目を見開いた。
「おまえ、その言葉をどこで聞いた!!」
その剣幕に驚き、そして恐怖を感じた私は思わず後ずさり、後ろの森に向かって走った。
後ろから老婆の「追えぇー!」と言う声が聞こえてくる。後ろから、着物の軍団が追ってくる気配がする。
怖い、怖い、怖い。
森の中をひたすら駆けた。
どんどん足音が離れていって、ついに聞こえなくなった。恐る恐る、後ろを振り返ってみる。
…誰もいない。
良かった。
何だったの、マジで。
あのおばーさんは、あきらかに「東京」と言う言葉に反応した。なんで?「東京」なんてニュースとかでもよく言ってるし。それと、あのコスプレ。あのおばーさん、どう見ても70歳以上だった。
それが、巫女服とかちょっと…いや、かなりキツいでしょ。
本当に何なの。ここ。もうやだ。
…家に帰りたい。皆、心配してるだろうな。
なんで急にこんな場所にいるんだろうか。
いつも通り、頼まれた日直の仕事を終わらせて、帰り道だったはず…。
「おまえ、人間か?」
突然後ろから、しゃがれた、しかし力強い声に問われて思わずその場から飛び退いた。
声の主は白髪を一つに束ねた、巫女服のおばーさん。
…コスプレ?
…その歳で?
私がまた考え込み始めると、もう一度、そのおばーさんは「人間か?」とたずねてきた。
私が「人間です。」と答えると、「そうか。」と言い、しげしげと私を見つめてくる。
その視線に耐えられず、「あの、東京には、どうやったら帰れますか?」と私から質問をしてみた。
「とうきょう」その言葉を出した途端、老婆は目を見開いた。
「おまえ、その言葉をどこで聞いた!!」
その剣幕に驚き、そして恐怖を感じた私は思わず後ずさり、後ろの森に向かって走った。
後ろから老婆の「追えぇー!」と言う声が聞こえてくる。後ろから、着物の軍団が追ってくる気配がする。
怖い、怖い、怖い。
森の中をひたすら駆けた。
どんどん足音が離れていって、ついに聞こえなくなった。恐る恐る、後ろを振り返ってみる。
…誰もいない。
良かった。
何だったの、マジで。
あのおばーさんは、あきらかに「東京」と言う言葉に反応した。なんで?「東京」なんてニュースとかでもよく言ってるし。それと、あのコスプレ。あのおばーさん、どう見ても70歳以上だった。
それが、巫女服とかちょっと…いや、かなりキツいでしょ。
本当に何なの。ここ。もうやだ。
…家に帰りたい。皆、心配してるだろうな。
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