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2話

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「あっははー……くっくっ」

と必死に笑いをこらえるアリスベータだったが、止まりはしなかった。
周りの貴族たちは顔を見合わせアリスベータから距離をとった。 王子からヘイトを向けられないように。
アリスベータは笑いながら器用に心の中で呟いた。「この国の貴族は腐っている者が多い」と。隣国で引きこもりのアリスベータは隣国でもごく1部の人しか顔を知らないため、この国の人間が知っているはずもない。現時点ではアリスベータは弱い立場の人間だった。
それなのに、守るでもなく離れていく選択をとった貴族を見て心の中で失笑した。確かにだ。この場面で笑うアリスベータを囲うやつなど1しか思い浮かばない。しかし、少しぐらい声をかけてくれても良いのでは?っと我儘なアリスベータは思う。

「なんだ貴様。何がおかしい?何を笑っている。」

この国の第3王子はこちらを睨み付けている。普通の令嬢なら恐れおののき縮こまっているところだろう。
しかし、アリスベータはそこら辺の女とは違う。今の夫と結ばれる前は数多の令嬢から呼び出され、鋭い目で見られたものだ。そう比べると第3王子の視線などそこら辺のゴミと同じだった。
アリスベータは一旦笑いを止めると、凛とした佇まいで王子を見たあと鼻で笑った。

「これはこれは。王子殿下?失礼。本当にこの国の王子殿下なのか疑っておりまして。」

「なに?我を侮辱するか?貴様!!」

アリスベータは王子を下から上までじっとりと見つめた。

「その胸元の紋様。確かにインディード王国の物ですわね。失礼致しました。」

そう言ってやっとカーテシーをとった。

「ほぉ?それでそなたは許されると思っておるのか?」

頭に血が上っているのか、カルナ公爵令嬢の事も隣のリリア伯爵令嬢の事も忘れ、こちらを少し赤い顔でこちらを見ている。恋愛ストーリーにありがちな私に惚れているとかでは断じてない。
あと少しつついたら、本気でアリスベータを殺しに来そうだ。

「私は、かよわき乙女でございますわ。それでは、お許しいただけませんか?」

「弱いものは壁にでも居たらいい。お前のようなやつを弱いやつとは言わない。ところでお前家名を言え。今すぐ潰してやる。」

王子の傲慢な振る舞いに呆れ、アリスベータは、はぁっと深く息を吐いた。
今日引きこもりのアリスベータがわざわざ隣国から夜会へと来た理由はこの国と外交を続けるか?っという議題に対し、半々と意見で別れていたため、来たのだ。それなのにこの有様である。
本当に本当に


「王子様。残念で残念で仕方がありませんわ。」

と、王子を見下ろした。
物理的には王子が上の位置にいる。
しかし、王子は見下ろされた感覚がした。
そして玉座に座っている王族達は震え上がった。何か、すごく恐ろしいことが起こるような悪寒がした。
そして皆こう考えた。

「この少女は何者か…」

と。

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