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3話
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「質問には答えで返せ。貴様の名はなんという?家名を言え。」
王子は少し怯みながらも未だ少女を睨みつけている。
「私の名はアリスベータ。家名は黙秘させていただきますわ。」
ふんっと鼻で笑うアリスベータを心底気に入らない様子の第3王子は、もう一度問いかける。
「まぁいい。どうせ後で調べる。だが、どうして笑った??答えよ。」
どこまでも命令口調な第3王子に少しずつふつふつと怒りが湧いてくる。
「……単刀直入に申し上げますわ。あまりにもこの茶番は面白くもありませんし、見ていて不快でしたわ。」
会場中に響き渡る。
国王はどうしてるのかって?
あぁあの王様は顔を青くしてこちらを見ておられます。
まぁそれもそのはず彼は私の家名を知るごく1部の人間ですもの。
「不快?どういうとこがだ?俺とリリアは結ばれて晴れてのハッピーエンドではないか?」
どこまでも馬鹿な第3王子の頭をかち割りたいぐらいの気持ちで拳に力を入れる。ご安心を。殴りはしません。
「王子殿下は今回のカルナ公爵令嬢との婚約をどうお考えですの?どうして結ばれたのか分かっておいでですか?」
動じない。ただこの馬鹿な王子に分からせてやりたい。王族と上級貴族のあるべき姿を。
「はん。どうせカルナ公爵令嬢が俺に惚れたとかだろ?それ以外に何がある。」
ちらっとカルナ公爵令嬢を見ると今まで王子にすがっていた顔が怒りに満ちていることが分かる。
本当にこの国はこの王子に何を教え、何を見せてきたのか。
怒りを通り越して呆れた。
「お馬鹿な王子殿下。少し私とお勉強致しませんこと?なに。すぐに終わりますわ。貴方様のお馬鹿な頭がしっかりと働いて下さればですけど。」
何か言おうと口を開いた王子より先にアリスベータが口を開く。
「まず、貴方とカルナ公爵令嬢が婚約を結んだ理由は派閥が偏らないためですわ。この国の第1王子と結婚したのはメルベーユ公爵家というのは理解しておりますわよね?そして第2王子と結婚したのは、マルハラ伯爵家ですわ。そしてここで大きな問題が生じたのです。マルハラ伯爵家がメルベーユ公爵家の派閥に入ったことです。」
第3王子でも足りない頭をフル回転させているらしい複雑な顔をしているのはまだピンと来ていないからだろう。
ごくんっと唾を飲み込んで、もう一度口を開く。
「派閥が大きくメルベーユ公爵家に傾いてしまったのです。ここにいる貴族なら誰にでもわかりますわ。派閥が偏るということは均等を保っていた公爵家は、傾き、王よりも強い権力を持ってしまう可能性があるのです。そう。争いが起こってしまうのですわ。」
鋭い目で見つめた。
お前の個人的な事情でこの国を戦火に見舞うことがどれほど恐ろしく、どれほど滑稽だろうか。
そんな意味を込めて。
王子は少し怯みながらも未だ少女を睨みつけている。
「私の名はアリスベータ。家名は黙秘させていただきますわ。」
ふんっと鼻で笑うアリスベータを心底気に入らない様子の第3王子は、もう一度問いかける。
「まぁいい。どうせ後で調べる。だが、どうして笑った??答えよ。」
どこまでも命令口調な第3王子に少しずつふつふつと怒りが湧いてくる。
「……単刀直入に申し上げますわ。あまりにもこの茶番は面白くもありませんし、見ていて不快でしたわ。」
会場中に響き渡る。
国王はどうしてるのかって?
あぁあの王様は顔を青くしてこちらを見ておられます。
まぁそれもそのはず彼は私の家名を知るごく1部の人間ですもの。
「不快?どういうとこがだ?俺とリリアは結ばれて晴れてのハッピーエンドではないか?」
どこまでも馬鹿な第3王子の頭をかち割りたいぐらいの気持ちで拳に力を入れる。ご安心を。殴りはしません。
「王子殿下は今回のカルナ公爵令嬢との婚約をどうお考えですの?どうして結ばれたのか分かっておいでですか?」
動じない。ただこの馬鹿な王子に分からせてやりたい。王族と上級貴族のあるべき姿を。
「はん。どうせカルナ公爵令嬢が俺に惚れたとかだろ?それ以外に何がある。」
ちらっとカルナ公爵令嬢を見ると今まで王子にすがっていた顔が怒りに満ちていることが分かる。
本当にこの国はこの王子に何を教え、何を見せてきたのか。
怒りを通り越して呆れた。
「お馬鹿な王子殿下。少し私とお勉強致しませんこと?なに。すぐに終わりますわ。貴方様のお馬鹿な頭がしっかりと働いて下さればですけど。」
何か言おうと口を開いた王子より先にアリスベータが口を開く。
「まず、貴方とカルナ公爵令嬢が婚約を結んだ理由は派閥が偏らないためですわ。この国の第1王子と結婚したのはメルベーユ公爵家というのは理解しておりますわよね?そして第2王子と結婚したのは、マルハラ伯爵家ですわ。そしてここで大きな問題が生じたのです。マルハラ伯爵家がメルベーユ公爵家の派閥に入ったことです。」
第3王子でも足りない頭をフル回転させているらしい複雑な顔をしているのはまだピンと来ていないからだろう。
ごくんっと唾を飲み込んで、もう一度口を開く。
「派閥が大きくメルベーユ公爵家に傾いてしまったのです。ここにいる貴族なら誰にでもわかりますわ。派閥が偏るということは均等を保っていた公爵家は、傾き、王よりも強い権力を持ってしまう可能性があるのです。そう。争いが起こってしまうのですわ。」
鋭い目で見つめた。
お前の個人的な事情でこの国を戦火に見舞うことがどれほど恐ろしく、どれほど滑稽だろうか。
そんな意味を込めて。
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