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6話(従者視点)
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「……おい。アリスはどこへ行った」
主人、ウィスタリア・メイレシアの低い声は宿泊先の王宮の別荘に響いた。
ウィスタリアに仕えている者達の顔は真っ青だ。それもこれも全て面白い事があるとすぐに飛んでいってしまうウィスタリアの妻、アリスベータのせいである。
私は、ウィスタリア様の側近を務めておりますものにございます。あぁ私なんてこれっきり出来ませんので名前何て聞く必要は皆無です。
というよりも今、私は頭痛が起きております。あのお転婆姫と言ったら……。
お転婆姫、アリス様は1時間前に、
「風の噂で面白い事が起きそうだと聞いたのよ。おほほほほ。では行ってくるわね。…………あ!ウィスにはダメよ?言っちゃダメよ!絶対よ!?あなたと私の約束よ!」
そう叫ばれて、出ていってしまった。
もうその時から私は頭がガンガンしていたというのに、主人の顔を見た現在では今にも倒れてしまいそうである。
「お前はなにか知っているだろう?」
ギロリと私を睨みつける主人。はぁ。
ワンコの手網はしっかりと握っていて欲しいです。
「アリス様は、夜会で面白そうな事が起きるとおっしゃっておりまして、1時間ほど前に出発なされました。」
「なぜ言わなかった?夜会は夫が妻をエスコートしてこそだろ?」
まったくもってその通りである。
「えぇ。こちらとしてもお止め致しましたが……。」
はぁ。っと手をこめかみに当て、溜息をつく主人は何をしてもやはり絵になる。
「今すぐだ。」
「はい?」
「今すぐ夜会へ向かうぞ」
私は今夜会で大暴れしているであろうアリス様に祈りを捧げた。
(どうか、穏便にすみますよーに。)
私達が、夜会に入った時、妙な空気感だった。それはあながち間違っていないだろう。騎士に囲まれた女。……あれは第三王子ですね。その右腕にへばりついている女。そして、壁際に逃げるアリス様。目立っておりますよ。それはそれは。王族の身だしなみとして、夜会に招待してくれた同じ王族へ敬意を表し、すぐにアリス様の元へ直進する主人に目を細める。
そして、我妻のアリスベータだ!っと宣言した途端、第三王子の顔色が真っ白になるのを私は見逃しませんでした。
青白い顔をしたアリス様とその腰をひき、庭園へと向かう主人。その主人と一瞬目が合う。情報を整理しろということだろう。
私の主人は自分勝手。その妻はお転婆。
メイレシア帝国に仕える者たちは日々苦悩している。
主人、ウィスタリア・メイレシアの低い声は宿泊先の王宮の別荘に響いた。
ウィスタリアに仕えている者達の顔は真っ青だ。それもこれも全て面白い事があるとすぐに飛んでいってしまうウィスタリアの妻、アリスベータのせいである。
私は、ウィスタリア様の側近を務めておりますものにございます。あぁ私なんてこれっきり出来ませんので名前何て聞く必要は皆無です。
というよりも今、私は頭痛が起きております。あのお転婆姫と言ったら……。
お転婆姫、アリス様は1時間前に、
「風の噂で面白い事が起きそうだと聞いたのよ。おほほほほ。では行ってくるわね。…………あ!ウィスにはダメよ?言っちゃダメよ!絶対よ!?あなたと私の約束よ!」
そう叫ばれて、出ていってしまった。
もうその時から私は頭がガンガンしていたというのに、主人の顔を見た現在では今にも倒れてしまいそうである。
「お前はなにか知っているだろう?」
ギロリと私を睨みつける主人。はぁ。
ワンコの手網はしっかりと握っていて欲しいです。
「アリス様は、夜会で面白そうな事が起きるとおっしゃっておりまして、1時間ほど前に出発なされました。」
「なぜ言わなかった?夜会は夫が妻をエスコートしてこそだろ?」
まったくもってその通りである。
「えぇ。こちらとしてもお止め致しましたが……。」
はぁ。っと手をこめかみに当て、溜息をつく主人は何をしてもやはり絵になる。
「今すぐだ。」
「はい?」
「今すぐ夜会へ向かうぞ」
私は今夜会で大暴れしているであろうアリス様に祈りを捧げた。
(どうか、穏便にすみますよーに。)
私達が、夜会に入った時、妙な空気感だった。それはあながち間違っていないだろう。騎士に囲まれた女。……あれは第三王子ですね。その右腕にへばりついている女。そして、壁際に逃げるアリス様。目立っておりますよ。それはそれは。王族の身だしなみとして、夜会に招待してくれた同じ王族へ敬意を表し、すぐにアリス様の元へ直進する主人に目を細める。
そして、我妻のアリスベータだ!っと宣言した途端、第三王子の顔色が真っ白になるのを私は見逃しませんでした。
青白い顔をしたアリス様とその腰をひき、庭園へと向かう主人。その主人と一瞬目が合う。情報を整理しろということだろう。
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メイレシア帝国に仕える者たちは日々苦悩している。
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