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9章 アルビオン攻防戦
第36話 堕天会議:鉄屑議場
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暗い森の只中に鉄の断崖が聳えている。黒々と捻れたその鉄塊は星空の半分を隠していた。裂けた生木と焦げた樹皮、鉄と油の混じった匂いが、まだ辺りには煙っている。それらを一蹴するほどに、夕餉の香りが目の前にあった。
千切れて果てた大きな汽車の足許に、残骸で組んだ天幕が張られている。内に熾した火を囲むのは、どうにか生き延びたザイナスと御使いたちだ。
そこには、新顔のビルギットも混じっている。
ザイナスに資格を奪われた後、彼女は呆気なく服従を宣言した。あれからザイナスも思い直して、その場に呑まれた手荒な扱いを悔いている。
後ろめたくもビルギットを受け入れたのは、皆の殺気を鎮める為だ。血塗れのザイナスを前にして、矛を収めさせるのは容易ではなかった。
重傷を負ったザイナスだが、今は傷跡ひとつもない。六人も御使いが集っていれば、信心が無くとも奇跡は容易かった。魂の選別場の手前であれば、どんな容態でも持ち直しただろう。
治癒を無暗に重ねたお陰で、却って身体が気怠いほどだ。
気づけば、焚火は華やいでいる。
「あんた、あたしにどれだけ借金があるかわかってる?」
先輩風を吹かせたクリスタが、ビルギットに詰め寄った。
「知らない、そんなの。親方衆に言って」
もそもそ、とビルギットは言い返す。どうやら彼女の強気は自分の領域だけで、普段は気弱で口数も少ない様子だ。ただ、芯は異様に頑なだった。
「あんたが趣味に注ぎ込んだんでしょうが」
クリスタはビルギットに飛び掛かり、がしりと首を抱え込んだ。ザイナスの膝の上で舟を漕ぐエステルを見遣り、リズベットが二人に煩い、と叱った。
そうした皆の燥いだ声も、森に吸われて消えて行く。思いの外に、気にならない。ザイナスは、星空を埋める影をぼんやり見上げた。
鉄屑になった巨人機には、居住性が微塵もない。元より人員は部品のように詰め込まれる仕様だ。形ばかりの詰所には、形ばかりの備品もあるが、そこで都合がついたのは、せいぜいザイナスの服の替えだけだった。
とはいえ、夜天も悪くはない。
そんなザイナスの表情を察したのか、ラーズも目線で同意した。
クリスタはしつこくビルギットにじゃれついている。玩具を見つけた猫のようだ。
「だったら、この乳で幾ら返して貰おうか」
逃れようと身を捩るビルギットの胸を揉みしだいた。
「やめてよ、ぼくはザイナスのだから」
一方のビルギットは自身をそう主張して憚らない。彼女の芯の頑なな所以だ。ある意味、無敵の庇護先を見つけたかのように、それを堂々と主張する。
こと、リズベットの視線が痛くて、ザイナスには居心地の悪い限りだった。
「使いが色気に走るな」
横からリズベットが口を挟み、ビルギットの胸をぺしりと打った。
「皆もこうして打ち解けた事だし」
アベルがザイナスに笑って告げる。ザイナスは顔を顰めて振り返った。
「第三回『ザイナスにむりやり純潔を奪われた天使同盟』の会議を始めよう」
ビルギットの悲鳴を聞き流し、アベルは澄ましてそう宣言した。
「それは、もういい」
いつまでそれを続けるつもりか、微妙に酷くなって行く。どうやらビルギットを助けたことで、アベルは静かに不機嫌だった。むしろ、ザイナスに拗ねている。
「大きくなる?」
重い瞼のエステルが、ザイナスの膝で顎を逸らした。
「そのままでいろ。おまえは全部大きくなるから関係ない」
横からラーズがエステルに応え、手を伸ばして頭を撫でた。落ち着いて見えるラーズだが、彼女も独特の一夫多妻観だ。考えはむしろビルギットに近い。
「さて、現状で人の身が判明している使いは二人だ」
アベルは皆を無視して話を進めた。
「二人?」
オルガと、誰だろう。
「スルーズとレイヴだね」
レイヴは血統の護り手、血族神の御使いだ。三柱四組の新聖座における冠絶神、二柱六組の旧聖座では人神の一柱に組されている。
「なんと、レイヴは第三王女、ペトロネラ・グランフェルト殿下だ」
おどけてザイナスにそう告げる。前から知っていたのだろう。そうザイナスが睨むと、アベルはにっこり微笑んだ。悪戯な目に息を吐く。
こと、民を導く神格は降臨先にも地位のある傾向だ。とはいえ、王女殿下とは。イエルンシェルツの最高峰だ。しかも、王都は市政派と王党派の争いの真っ只中。つまり、筆頭執政官であるオルガとは敵対関係にある。
「レイヴの奴、シムリスまで来て王党派の支援を取り付けて行ったみたい」
ビルギットを放り出し、クリスタが話に加わった。
「王都の白黒はもうついてるから、貴族連中の尻拭いってとこね」
クリスタは呆れたように鼻を鳴らして見せる。正しくは、レイヴの目的は王家の存続だ。その環境の為だろう。むしろ王家の血が繋がれば、後はどうでも構わない。あれは血統の守護者だから、とリズベットが捕捉した。
「オルガはどうなる?」
ザイナスは、クリスタの倉庫で見た雄牛の彫像を思い出した。黄金に焼けたあの中に入れられるかと思うと、他人事ながら、ぞっとしない。
「運が良くて普通の処刑かな。勿論、スルーズが大人しく従えばだけれど。ただ、どうだろう。最近の様子を見るに、似合わないのに感傷的だね、彼女」
アベルが答えると、リズベットは半目になってザイナスに訊ねた。
「心配なの? 兄さん」
ザイナスを最初に捕らえたのがオルガだ。為人に触れる機会も少しはあった。職務には十二分に忠実だったが、それに命を賭すほどか。それに、とザイナスはふと思う、最初に捉えたという意味では、オルガは少し違うかも知れない。
黙り込んだザイナスに、リズベットが勘ぐるような目を向ける。
「相手がが王女殿下となると、地位的に釣り合う味方が欲しいからね」
気づいて、ザイナスは肩を竦めた。
「あたしがいるでしょ、ザイナスくん」
クリスタが口を尖らせる。
「とはいえ、さすがに宮廷は面倒だな」
ラーズの呟きは潜入を図っての事だろう。気が早い。
確かに相手が王女殿下ともなれば、口づけ以前の問題だ。近づく事さえ難しい。第一、田舎暮らしのザイナスは王女どころか宮廷も王都も見た事がない。
「教会に知人は隠していない?」
ふと、ザイナスがアベルに訊ねる。
「教会の何が怪しい?」
アベルはザイナスの問いの先に応えて訊ね返した。
「魂なきものの手配を決めたのは誰だろう。十年前の事だけど、御使いが絡んでいるかも知れない」
アベルは参った、と頷いた。互いの権域が明確なだけに、教会は手付かずの部分もあった。とはいえ、これだけ数が揃っていれば多少の強気も適うだろう。
「取り敢えず、王都に行って調べてみよう」
アベルの指針にリズベットが訊ねる。
「危なくない?」
「実のところ、革命騒ぎは局地的だ」
アベルが言うに、貴族の見栄とオルガの誘導が相まって、執政庁舎の他は静かなものらしい。何より王都は教会の勢力が強く、市民の生活も安定している。
ビルギットがはい、と手を挙げた。
「城に攻め込むなら巨人機を修理して欲しい」
彼女も彼女で気が早い。誰が攻め込むなんて言った、とザイナスが呻く。
「あんな鉄屑をどうやって直す気だ」
ラーズが空を指して言う。もっともな話だ。
「工房に二号機がある。部品を持ち帰ればすぐにできる。もっと良くなる」
「そんな無駄金が使えるか」
クリスタが叱る。
「あの蜘蛛だか蛸だかでよくない?」
沢山いるし、とリズベットが口を挟んだ。
「長く動けない。巨人機なしだと釜が破裂する」
「そんなものをシムリスに持ち込んだのか」
アベルさえ呆れて呟いた。
中央制御がどうの、神聖転換炉がどうの、とビルギットが早口で説明するも、もそもそと難しく良く聞き取れない。詰め寄る目つきがぐるぐるとして怖かった。
「エステルが燃料でないなら」
気押されたザイナスが思わず頷く。
「大丈夫、使い捨てなら人でも動かせる。教会から司祭を攫って来れば――」
信心が必要ならザイナスは除外されそうだ。思わず他人事になって考える。
「何が大丈夫だ。先に見積と企画書を出せ」
クリスタがビルギットの襟首を掴んで引き戻した。
「取り敢えず、目指すは王都イエルンシェルツだね」
アベルが纏めてザイナスに言った。
「とはいえ、何処かで馬車を調達しないと。それとも、司祭を攫って来ようか?」
千切れて果てた大きな汽車の足許に、残骸で組んだ天幕が張られている。内に熾した火を囲むのは、どうにか生き延びたザイナスと御使いたちだ。
そこには、新顔のビルギットも混じっている。
ザイナスに資格を奪われた後、彼女は呆気なく服従を宣言した。あれからザイナスも思い直して、その場に呑まれた手荒な扱いを悔いている。
後ろめたくもビルギットを受け入れたのは、皆の殺気を鎮める為だ。血塗れのザイナスを前にして、矛を収めさせるのは容易ではなかった。
重傷を負ったザイナスだが、今は傷跡ひとつもない。六人も御使いが集っていれば、信心が無くとも奇跡は容易かった。魂の選別場の手前であれば、どんな容態でも持ち直しただろう。
治癒を無暗に重ねたお陰で、却って身体が気怠いほどだ。
気づけば、焚火は華やいでいる。
「あんた、あたしにどれだけ借金があるかわかってる?」
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「知らない、そんなの。親方衆に言って」
もそもそ、とビルギットは言い返す。どうやら彼女の強気は自分の領域だけで、普段は気弱で口数も少ない様子だ。ただ、芯は異様に頑なだった。
「あんたが趣味に注ぎ込んだんでしょうが」
クリスタはビルギットに飛び掛かり、がしりと首を抱え込んだ。ザイナスの膝の上で舟を漕ぐエステルを見遣り、リズベットが二人に煩い、と叱った。
そうした皆の燥いだ声も、森に吸われて消えて行く。思いの外に、気にならない。ザイナスは、星空を埋める影をぼんやり見上げた。
鉄屑になった巨人機には、居住性が微塵もない。元より人員は部品のように詰め込まれる仕様だ。形ばかりの詰所には、形ばかりの備品もあるが、そこで都合がついたのは、せいぜいザイナスの服の替えだけだった。
とはいえ、夜天も悪くはない。
そんなザイナスの表情を察したのか、ラーズも目線で同意した。
クリスタはしつこくビルギットにじゃれついている。玩具を見つけた猫のようだ。
「だったら、この乳で幾ら返して貰おうか」
逃れようと身を捩るビルギットの胸を揉みしだいた。
「やめてよ、ぼくはザイナスのだから」
一方のビルギットは自身をそう主張して憚らない。彼女の芯の頑なな所以だ。ある意味、無敵の庇護先を見つけたかのように、それを堂々と主張する。
こと、リズベットの視線が痛くて、ザイナスには居心地の悪い限りだった。
「使いが色気に走るな」
横からリズベットが口を挟み、ビルギットの胸をぺしりと打った。
「皆もこうして打ち解けた事だし」
アベルがザイナスに笑って告げる。ザイナスは顔を顰めて振り返った。
「第三回『ザイナスにむりやり純潔を奪われた天使同盟』の会議を始めよう」
ビルギットの悲鳴を聞き流し、アベルは澄ましてそう宣言した。
「それは、もういい」
いつまでそれを続けるつもりか、微妙に酷くなって行く。どうやらビルギットを助けたことで、アベルは静かに不機嫌だった。むしろ、ザイナスに拗ねている。
「大きくなる?」
重い瞼のエステルが、ザイナスの膝で顎を逸らした。
「そのままでいろ。おまえは全部大きくなるから関係ない」
横からラーズがエステルに応え、手を伸ばして頭を撫でた。落ち着いて見えるラーズだが、彼女も独特の一夫多妻観だ。考えはむしろビルギットに近い。
「さて、現状で人の身が判明している使いは二人だ」
アベルは皆を無視して話を進めた。
「二人?」
オルガと、誰だろう。
「スルーズとレイヴだね」
レイヴは血統の護り手、血族神の御使いだ。三柱四組の新聖座における冠絶神、二柱六組の旧聖座では人神の一柱に組されている。
「なんと、レイヴは第三王女、ペトロネラ・グランフェルト殿下だ」
おどけてザイナスにそう告げる。前から知っていたのだろう。そうザイナスが睨むと、アベルはにっこり微笑んだ。悪戯な目に息を吐く。
こと、民を導く神格は降臨先にも地位のある傾向だ。とはいえ、王女殿下とは。イエルンシェルツの最高峰だ。しかも、王都は市政派と王党派の争いの真っ只中。つまり、筆頭執政官であるオルガとは敵対関係にある。
「レイヴの奴、シムリスまで来て王党派の支援を取り付けて行ったみたい」
ビルギットを放り出し、クリスタが話に加わった。
「王都の白黒はもうついてるから、貴族連中の尻拭いってとこね」
クリスタは呆れたように鼻を鳴らして見せる。正しくは、レイヴの目的は王家の存続だ。その環境の為だろう。むしろ王家の血が繋がれば、後はどうでも構わない。あれは血統の守護者だから、とリズベットが捕捉した。
「オルガはどうなる?」
ザイナスは、クリスタの倉庫で見た雄牛の彫像を思い出した。黄金に焼けたあの中に入れられるかと思うと、他人事ながら、ぞっとしない。
「運が良くて普通の処刑かな。勿論、スルーズが大人しく従えばだけれど。ただ、どうだろう。最近の様子を見るに、似合わないのに感傷的だね、彼女」
アベルが答えると、リズベットは半目になってザイナスに訊ねた。
「心配なの? 兄さん」
ザイナスを最初に捕らえたのがオルガだ。為人に触れる機会も少しはあった。職務には十二分に忠実だったが、それに命を賭すほどか。それに、とザイナスはふと思う、最初に捉えたという意味では、オルガは少し違うかも知れない。
黙り込んだザイナスに、リズベットが勘ぐるような目を向ける。
「相手がが王女殿下となると、地位的に釣り合う味方が欲しいからね」
気づいて、ザイナスは肩を竦めた。
「あたしがいるでしょ、ザイナスくん」
クリスタが口を尖らせる。
「とはいえ、さすがに宮廷は面倒だな」
ラーズの呟きは潜入を図っての事だろう。気が早い。
確かに相手が王女殿下ともなれば、口づけ以前の問題だ。近づく事さえ難しい。第一、田舎暮らしのザイナスは王女どころか宮廷も王都も見た事がない。
「教会に知人は隠していない?」
ふと、ザイナスがアベルに訊ねる。
「教会の何が怪しい?」
アベルはザイナスの問いの先に応えて訊ね返した。
「魂なきものの手配を決めたのは誰だろう。十年前の事だけど、御使いが絡んでいるかも知れない」
アベルは参った、と頷いた。互いの権域が明確なだけに、教会は手付かずの部分もあった。とはいえ、これだけ数が揃っていれば多少の強気も適うだろう。
「取り敢えず、王都に行って調べてみよう」
アベルの指針にリズベットが訊ねる。
「危なくない?」
「実のところ、革命騒ぎは局地的だ」
アベルが言うに、貴族の見栄とオルガの誘導が相まって、執政庁舎の他は静かなものらしい。何より王都は教会の勢力が強く、市民の生活も安定している。
ビルギットがはい、と手を挙げた。
「城に攻め込むなら巨人機を修理して欲しい」
彼女も彼女で気が早い。誰が攻め込むなんて言った、とザイナスが呻く。
「あんな鉄屑をどうやって直す気だ」
ラーズが空を指して言う。もっともな話だ。
「工房に二号機がある。部品を持ち帰ればすぐにできる。もっと良くなる」
「そんな無駄金が使えるか」
クリスタが叱る。
「あの蜘蛛だか蛸だかでよくない?」
沢山いるし、とリズベットが口を挟んだ。
「長く動けない。巨人機なしだと釜が破裂する」
「そんなものをシムリスに持ち込んだのか」
アベルさえ呆れて呟いた。
中央制御がどうの、神聖転換炉がどうの、とビルギットが早口で説明するも、もそもそと難しく良く聞き取れない。詰め寄る目つきがぐるぐるとして怖かった。
「エステルが燃料でないなら」
気押されたザイナスが思わず頷く。
「大丈夫、使い捨てなら人でも動かせる。教会から司祭を攫って来れば――」
信心が必要ならザイナスは除外されそうだ。思わず他人事になって考える。
「何が大丈夫だ。先に見積と企画書を出せ」
クリスタがビルギットの襟首を掴んで引き戻した。
「取り敢えず、目指すは王都イエルンシェルツだね」
アベルが纏めてザイナスに言った。
「とはいえ、何処かで馬車を調達しないと。それとも、司祭を攫って来ようか?」
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