使徒と神獣と選定者のゆったり生活(仮)

待雪 菖蒲

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街の外壁部へ向かうと大きな門とその前にお揃いの鎧を着た兵隊さんが2人立っている。

「おおっ昨日の坊主じゃねぇか。元気になったか。そうかそうか良かったなぁ」

兵隊さんは大きな手で奏の頭をグリグリ撫でてくる。力が強く意識が薄くなっていると、もう一人の兵隊さんが飛び蹴りで助けてくれた。

「冒険者登録も済んだみたいだし、これで大丈夫だな。いやぁ門番部隊全員で心配してたんだ。安心したよ。」

どうやら昨日ここを通ったときに覚えられていたらしい。確かに黒狼の背に乗せられてぐったりしながら来たら有名にもなるだろう。

「外へは何しに行くんだ?」

「冒険者として働く練習と魔法の鍛練かな。昼食は持ったから夕方に帰ってくる予定だよ」

「了解。気を付けろよ。この周辺は衛兵の方で見回りをしているが、魔獣がでないとは限らねえ。何かあれば走って逃げてこい。わかったな」

「はーい」

門番さんたちに見送られながら街の外へと出ていく。小さく手を振ると笑いながら振り替えしてくれた。思わずスキップしそうになるくらい嬉しくなってしまった。

どうしちゃったんだろう。さっきから感情の起伏がおかしい。ユキの手もガイの尻尾も掴んでいると安心するし、逆にいないと凄く不安になる。知らない場所で慣れてないだけなのかな。

門を出てすぐに森かと思っていたがそうではなく、見渡す限りの大草原が広がっている。霧の向こうに気高い山々と濃い森が微かに見える。

「奥に小さく見える森。あそこから来たんだよ」

門から少し歩いて見つけたいい感じの岩に二人で腰かける。ガイは夕飯を探してくると森の方へ走っていった。遠くに感じた森もガイの速さだと近いんだな。

「まずは魔力を感じるところから始めよう。私の手を握って。魔力を流してみるから感じてみて」

奏はユキの手を握って静かに目を閉じる。

魔力って何だろう。前の世界では御伽噺でしか聞いたことがなかった。おばあさんが少女に魔法をかけたみたいに、僕も魔法が使えるのかな。

「魔力ってどういうものなの?」

「私は水が流れるように感じるんだけど、人それぞれなんだ。ガイはもやもやするって言ってたかな」

もやもや?わからないながらもユキの手に集中する。

風が草花を擦る音の中にトクン、トクンと身体の中を何かが流れていく音がする。少しずつ繊細にしかし力強く流れてくる。

「なんだか温かいのが僕の方に流れてくる感じがする。なんかね。安心するの」

閉じていた目を開ける。ユキと目が合うと褒めるように優しく微笑んでくれた。

「それが魔力だよ。良かった。奏は私と魔力の質が似ているようだ。教えやすいよ。それじゃあその温かいのを身体に廻らせてごらん」

ユキに言われるがまま、少しずつ魔力を動かしてみる。水が流れるようにするといいのかな。

雨が大地に染み込んで集まり、湧き水となって地上へと流れ込む。そして空気に溶け込んでまた雨へと戻る。水が循環するように、魔力も廻っていくのかな。

「上手にできているよ。それじゃあ次は魔力を手に集められるかい?」

今度は廻らせるのではなくて留める。流れをそのままに、手のひらで塞き止めて集めていく。

「上出来だ。もうこれで魔法を使う下地はできているよ。奏は優秀だね」
 
手放しで褒められると経験のない奏はどうすればいいのかわからなくなってしまう。両腕で赤くなった顔を隠しているとユキはひょいっと奏の身体を抱き上げて座った自身の足の上へと乗せた。

「まずは奏のステータスを確認しよう」

「ステータス?」

「奏の状態がわかる魔法だよ。身体に魔力を廻らせながらステータスと言ってみて」

「えっと、ステータス」

そういうと、奏の前に四角いボードが出てきた。

「わわっ」

思わず後ろのユキにしがみつく。急にでてくるとビックリしちゃうよ。今度からは気を付けないと。

「よくできたね。これが奏のステータスボードだよ。周りの人にも見えるから気を付けてね」

 

名前 奏

種族 人(仮)

年齢 10

性別 男

level 1

職業 選定者 冒険者

HP(生命力) 10

MP (魔力)10000

LUK (幸運・善悪値)1000000【MAX】

スキル

称号 世界を渡りし者 世界を見極めし者 世界神の愛し子

加護 世界神の加護

 

「やっぱり魔力が多いね」

「……なっ………」

「LUKが最大値か。これは神の加護の影響かな。あとは前の世界での善行の結果だね」

「……なっなっなっ」

「HPが少し低いね。冒険者になるならこれから鍛えないと。スキルは私とガイでたくさん教えてあげるよ」

「っなんで10歳になってるのーっ!!」

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