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第一章―旅立ちと双子―
1−3・アンドロイドの秘密
しおりを挟む―――山小屋―――
「早紀ちゃん、スマホのバッテリーあったよねぇ?」
「そういえばあったかも!やってみようか」
山小屋の前に突然現れた人型のロボット……バッテリー交換ランプを見つけ、早紀と舞はバッテリーを交換しようと試みる。
「うーん、形が違うなぁ。うまく入らない……」
「早紀ちゃん早紀ちゃん!今、動いた気がする!」
ちょっとした接触だろうか。早紀がバッテリーをテープで巻いて繋いでみる。すると――
「ミィィィィ――」
なぜか、ミィィィィという起動音で起き上がる女性のロボット。そしてこちらを振り向く――キラーン!
「ギャァァァァァ!!」
先に悲鳴をあげたのは舞だった!
「来ないれえぇぇぇぇ!!」
続けて早紀も悲鳴をあげる!
「あ……え?え……と、何か怖がらせてすみまセン……」
謝る礼儀正しいロボット。
過呼吸の早紀と舞が押入れを背にガタガタと震えて、ロボットを指差す。
「か、顔が……!!」
「お、おばけぇぇぇ!!」
「お、おばけ?失礼な、これでもかの有名ナ……」
ロボットはポケットから手鏡を出し、自分の顔を覗き込む。
「……ンギャァァァァァァァァ!!!おばけぇぇ!!」
――三十分後
赤い血に見立た何かを拭き取り、顔にバンソーコーを貼り、水のうをあて、手当が終わるとようやく早紀と舞が話始める……
「この度は玄関から引きずり、顔面を傷つけたこと深く反省しております。本当にすいませんでした」
「すいませんでした……」
「あ、いえ、こちらこそ助けて頂いて傷の手当までして頂いてありがとうございメス」
「ロボットさん、お名前は――」
「あっ!すいません。自己紹介の前に、バッテリーと乾電池をお借りできメスか」
そう言うと、ポシェットから色々と精密機器を出し手際よく自分のバッテリーを修理していく……
「すいません、先程のバッテリーとこの純正を付け替えてもらえメスか」
「あっ!はい!」
早紀は手際良くバッテリーを交換する。
「出来ました!いかがですか?」
「ミィィィィ――」
プシュウゥゥゥ……お尻の辺りから、空気が抜ける音が聞こえた。
「はい――これでしばらくは持ちそうです。早紀様、舞様、ありがとうございメスた」
お尻をガン見していた舞が、慌てて取り繕う。
「よ、良かったですぅ!元気になって!」
「そ、そうね!改めてお名前を伺っても?」
「はい。私は、アンドロイドの型番はARU02番。名前は……ありません。ご主人様は、メイドと呼んでおられメスた」
「メイド……変態のおっさんか」
早紀のツッコミにちょっと苦笑いする彼女。すると、舞が……
「じゃぁ、メイちゃんね!よろしくね!メイちゃん!」
「メイちゃん?舞、そんな安直な……」
「メイちゃん!それが私の……名前!!」
涙を流すメイドのメイちゃん。
「喜んでくれたみたい!メイちゃんは、となりのトト……」
「ぬぉぉぉぉぉい!!」
早紀のするどいツッコミに、あ然とするメイ。
「ありがとうございます。名前を頂いたのは二百年生きてきて初めてです。ありがとうございメス」
よほど嬉しかったのだろう。また涙を流すメイ。
「二百年ですかっ!?」
「いったいいくつなんですかぁ!?」
天然素材の舞が、解答が出ている質問をする。
「二百歳メスよ」
それでも優しく答えるメイ。大丈夫か、この二人……
「遠い昔の話です。まだこの大陸に魔法があった時代――」
メイが遠くを見つめて話始める。
「その頃は――」
「あぁぁぁぁ!!鍋の火を消してないぃぃ!!」
舞が慌てて炊事場に行く。箸やらスプーンやら色々入ったスープがグツグツ煮立っている。
「その頃は――」
「あっ、メイちゃんちょっと待ってね!朝ごはんの準備をしていたんだ!食べるよね?」
「あ、はイ……」
完全に切り出すタイミングを見失うメイであった……
◆◇◆◇◆
メイの話では、この山小屋でご主人様と呼ばれる方と数ヶ月前まで暮らしていたそうだ。
ある日、ご主人様は「神の山へ行ってくる」と言い残し、それっきり帰って来なかったという。
「ここで待て」という命令を無視して、ご主人様を探しに行ったものの見つからず、こうしてまた山小屋へと帰って来たのだった。
「ふぅん……そっか。メイちゃんも大変だったんだ」
「あっ!だからお布団とか、調理器具は綺麗だったんだね!」
「数ヶ月前までは使っていましたので、皆さんが使われてると知りお役に立ったのなら嬉しいメス」
スープを飲み干し、三人共、ようやく一息ついた。
「そうだっ!早紀様と舞様のために、今夜の晩ごはんを取ってきますね!こう見えて狩りは得意でスて!」
「狩り?この近辺でそういえば動物を見ないね」
「この近辺は狩り尽くしてしまったのでしょう。川向こうの森でしたらまだ狩られてないかと思いメス」
「メイちゃん、川はね!おっきくて深いから危ないよ」
「舞様、大丈夫です。充電もありますし、ちょっと行ってきメスね!」
そう言うとメイは立ち上がり、玄関のドアを開けてこちらを振り向き、手を振った。
「行ってきメス!!」
「え、ちょ、私達も――」
バシュッッ!!
早紀が何か手伝える事がないかと問う前に、メイは行ってしまった。
空を飛んで……
「飛んだ……」
「飛ぶってどういう原理なのかな……」
こうして新たな共同生活者が加わり、山小屋での生活は続く……
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