異世界おにぃたん漫遊記

雑魚ぴぃ

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第一章―旅立ちと双子―

1−7・神の名前

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―――山すその集落―――

「皆様、着きまシタ。ここがトメト村デス!」
「え?やっぱりトメト村って言うのか?」
「はい!トメト村デス」

 跳躍、飛行、着地を繰り返すこと十五分、あっと言う間にトメト村に到着した。山あり谷ありの三時間ばかりの道のりを考えると、飛行って便利だな、と思う。

「村長に会って来ますので、少々お待ちくだサイ」
「わかった。気をつけて」

 メイは、すたこらさっさと村へと入っていく。門番のおじちゃんと目が合った。

「あ……先日はどうも……」
「あぁ、君は確か……神様の使者の方でしたか。道理で言葉が通じないと」
「桃矢と言います。神様の使者ですか?……あれ?言葉がわかる」
「はい、このエスポワールを支配する神様によって作られた神様の使者の一人メイ様です」
「なるほど、アンドロイドを神様の使者としているのか」
「アンドロイド?そういう呼び方は聞いたことがないですが……おや?そちらのお二方もお連れ様ですか?」
「はい、こっちが早紀で、こっちがマイ――」

カランカランカラン――

突然、門番のおじちゃんが平伏する!

「な!何事っ!?」

あっけに取られる僕達。

「マイヒメ様!!まさか生きてお戻りになられるとは!!ハハァァァ!!」
「ちょ、ちょっと!顔をあげてください!マイヒメって方では無いですよ!」
「そんなはずはありません!おぉい!誰か!誰か来てくれ!!」

数人の門番がやって来て、舞を見るなり平伏する。

「マイヒメ様じゃぁ!おぉい!誰か!」

と、今度は村人Aがやってきて平伏する。村人Aが村人Bを呼んできて平伏する。

「なんだコレ?」
「マイヒメ様!桃矢様!早紀様!万歳!」
『マイヒメ様!桃矢様!早紀様!万歳!』

最終的に村人全員が出てきて、舞とおまけであろう僕と早紀を崇める。と、メイが帰って来た。

「さっ、行きまショウ!皆様に先に見て頂きたいメス」
「……いや、あの皆さんが顔を上げて……くれない」
「すぐ意味がわかりマス、付いて来てくだサイ」

メイに付いて村に入ると、中央の石像が目に入る。

「おいっ!早紀!舞!あの石像!!」
「……何で?あの石像って……ねぇ!舞!」
「私そっくり……どういうことなの?」
「皆様、石像の中へどうゾ」

舞とそっくりな石像の中へと続く階段を、地下へと降りていく。

カツン……カツン……カツン……

ひんやりとした空気を感じる。しばらく地下への階段を降りるとぼんやりとした明かりが灯る部屋へと着く。

「着きまシタ。ここが神の間デス」
「神の間……?」

部屋はドーム上で中央に棺がある。かなり立派な石の棺で、装飾も見事だ。

カツン……カツン……カツン……

後ろから一人の老人と、数人の女性が階段を降りてきた。そして、舞の姿を見てやはり平伏する。

「マイヒメ様、よくぞよくぞお戻りになられました。私共、先祖代々護身体をお守りして参りました、マイア一族です」

涙声の老人。この人がこの村の長老か。マイア一族……それともマイア族……

「マイア族なのか、マイアー族なのか……」
「桃矢、それは今はどっちでもいい」
「うん……桃矢くん……それは口に出さなくていいよ」
「すいません……」

僕らは棺の中を覗き込む――

「舞っ!?」
「うそっ!?舞……」
「私がもう一人……」

そこには冷凍状態の舞がいた。

「舞様、覚えておられないカモしれませんが、アナタ様はこの国を司る――」

カーンカーンカーンカーン!!

その時だった!地上から鐘が打ち鳴らされる!

「魔物が出たぞ!全員配置に付けっ!!」

カーンカーンカーンカーン!!

「魔物!?皆!行くぞ!」
「わ、わかったわ!何も出来ないかもしれないけど!」
「う、うん!戦おう!」
「皆様!行きましょウ!」

(ねぇさん――)

「え?」
「舞!どうしたの!行くわよ!」
「う、うん!」

舞にだけハッキリ聞こえた。ねぇさん――と。

◆◇◆◇◆

「これは!?数千体はいるかもしれないな」
「桃矢、この数はいくら何でも無理なんじゃぁ……」

木製の監視塔から眼下を見てあ然とする。

「桃矢様の技は直線的な攻撃――広範囲となると少々やっかいですネ」
「メイ、私の加護魔法はこの村をどの位包める?」
「この範囲ですと、舞様の今のお力ではもって……五分と言うところでスカ」
「五分かぁ……できる限りやってみるよ」
「そうですネ、ギリギリまで引き付けて発動致しまショウ」
「わかった……」
「私が引きつけマス。桃矢様は魔物が門扉に集まった所で――」
「あぁ……できる限りやってみるよ」
「私は……」

早紀が監視塔から降りていく。早紀には悪いがこの場面では隠れていてもらうしかない。

カーンカーンカーンカーン!

鐘が村中に鳴り響き、門は閉じられ、メイと僕は門の外で待機する。舞は石像のあった村の中心へ移動する。

「桃矢様!来マス!引きつけマスのでご準備ヲ!!」
「わかった!!」

メイが魔物の群れに突っ込んで行く!

「うぉぉぉぉぉォォォ!!」

メイが前線で数体の魔物相手に戦闘が始まる。門の上からは弓矢が飛んで来てメイを援護する!

「ヒーリングサークル!!」

村全体に舞の加護魔法が広がっていく!

「メイッ!!行くぞ!!」
「ハイッ!桃矢様!」

竜の咆哮ドラゴングリーヴ!!!』

腕が光り出し、激しい轟音が響く!!

ズドォォォォォォォォン!!!

メイがギリギリでかわし、集まってきた魔物の群れを一掃する!!

バチバチバチバチ!!

ゴゴゴゴ………

「七割くらいは削れ……た……か……」

意識が遠のいていく……

「桃矢様!一旦、戻りマス!!」

メイは僕を抱え、村の中へと入って行った。
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