異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

文字の大きさ
8 / 92
第一章―旅立ちと双子―

1−7・神の名前

しおりを挟む

―――山すその集落―――

「皆様、着きまシタ。ここがトメト村デス!」
「え?やっぱりトメト村って言うのか?」
「はい!トメト村デス」

 跳躍、飛行、着地を繰り返すこと十五分、あっと言う間にトメト村に到着した。山あり谷ありの三時間ばかりの道のりを考えると、飛行って便利だな、と思う。

「村長に会って来ますので、少々お待ちくだサイ」
「わかった。気をつけて」

 メイは、すたこらさっさと村へと入っていく。門番のおじちゃんと目が合った。

「あ……先日はどうも……」
「あぁ、君は確か……神様の使者の方でしたか。道理で言葉が通じないと」
「桃矢と言います。神様の使者ですか?……あれ?言葉がわかる」
「はい、このエスポワールを支配する神様によって作られた神様の使者の一人メイ様です」
「なるほど、アンドロイドを神様の使者としているのか」
「アンドロイド?そういう呼び方は聞いたことがないですが……おや?そちらのお二方もお連れ様ですか?」
「はい、こっちが早紀で、こっちがマイ――」

カランカランカラン――

突然、門番のおじちゃんが平伏する!

「な!何事っ!?」

あっけに取られる僕達。

「マイヒメ様!!まさか生きてお戻りになられるとは!!ハハァァァ!!」
「ちょ、ちょっと!顔をあげてください!マイヒメって方では無いですよ!」
「そんなはずはありません!おぉい!誰か!誰か来てくれ!!」

数人の門番がやって来て、舞を見るなり平伏する。

「マイヒメ様じゃぁ!おぉい!誰か!」

と、今度は村人Aがやってきて平伏する。村人Aが村人Bを呼んできて平伏する。

「なんだコレ?」
「マイヒメ様!桃矢様!早紀様!万歳!」
『マイヒメ様!桃矢様!早紀様!万歳!』

最終的に村人全員が出てきて、舞とおまけであろう僕と早紀を崇める。と、メイが帰って来た。

「さっ、行きまショウ!皆様に先に見て頂きたいメス」
「……いや、あの皆さんが顔を上げて……くれない」
「すぐ意味がわかりマス、付いて来てくだサイ」

メイに付いて村に入ると、中央の石像が目に入る。

「おいっ!早紀!舞!あの石像!!」
「……何で?あの石像って……ねぇ!舞!」
「私そっくり……どういうことなの?」
「皆様、石像の中へどうゾ」

舞とそっくりな石像の中へと続く階段を、地下へと降りていく。

カツン……カツン……カツン……

ひんやりとした空気を感じる。しばらく地下への階段を降りるとぼんやりとした明かりが灯る部屋へと着く。

「着きまシタ。ここが神の間デス」
「神の間……?」

部屋はドーム上で中央に棺がある。かなり立派な石の棺で、装飾も見事だ。

カツン……カツン……カツン……

後ろから一人の老人と、数人の女性が階段を降りてきた。そして、舞の姿を見てやはり平伏する。

「マイヒメ様、よくぞよくぞお戻りになられました。私共、先祖代々護身体をお守りして参りました、マイア一族です」

涙声の老人。この人がこの村の長老か。マイア一族……それともマイア族……

「マイア族なのか、マイアー族なのか……」
「桃矢、それは今はどっちでもいい」
「うん……桃矢くん……それは口に出さなくていいよ」
「すいません……」

僕らは棺の中を覗き込む――

「舞っ!?」
「うそっ!?舞……」
「私がもう一人……」

そこには冷凍状態の舞がいた。

「舞様、覚えておられないカモしれませんが、アナタ様はこの国を司る――」

カーンカーンカーンカーン!!

その時だった!地上から鐘が打ち鳴らされる!

「魔物が出たぞ!全員配置に付けっ!!」

カーンカーンカーンカーン!!

「魔物!?皆!行くぞ!」
「わ、わかったわ!何も出来ないかもしれないけど!」
「う、うん!戦おう!」
「皆様!行きましょウ!」

(ねぇさん――)

「え?」
「舞!どうしたの!行くわよ!」
「う、うん!」

舞にだけハッキリ聞こえた。ねぇさん――と。

◆◇◆◇◆

「これは!?数千体はいるかもしれないな」
「桃矢、この数はいくら何でも無理なんじゃぁ……」

木製の監視塔から眼下を見てあ然とする。

「桃矢様の技は直線的な攻撃――広範囲となると少々やっかいですネ」
「メイ、私の加護魔法はこの村をどの位包める?」
「この範囲ですと、舞様の今のお力ではもって……五分と言うところでスカ」
「五分かぁ……できる限りやってみるよ」
「そうですネ、ギリギリまで引き付けて発動致しまショウ」
「わかった……」
「私が引きつけマス。桃矢様は魔物が門扉に集まった所で――」
「あぁ……できる限りやってみるよ」
「私は……」

早紀が監視塔から降りていく。早紀には悪いがこの場面では隠れていてもらうしかない。

カーンカーンカーンカーン!

鐘が村中に鳴り響き、門は閉じられ、メイと僕は門の外で待機する。舞は石像のあった村の中心へ移動する。

「桃矢様!来マス!引きつけマスのでご準備ヲ!!」
「わかった!!」

メイが魔物の群れに突っ込んで行く!

「うぉぉぉぉぉォォォ!!」

メイが前線で数体の魔物相手に戦闘が始まる。門の上からは弓矢が飛んで来てメイを援護する!

「ヒーリングサークル!!」

村全体に舞の加護魔法が広がっていく!

「メイッ!!行くぞ!!」
「ハイッ!桃矢様!」

竜の咆哮ドラゴングリーヴ!!!』

腕が光り出し、激しい轟音が響く!!

ズドォォォォォォォォン!!!

メイがギリギリでかわし、集まってきた魔物の群れを一掃する!!

バチバチバチバチ!!

ゴゴゴゴ………

「七割くらいは削れ……た……か……」

意識が遠のいていく……

「桃矢様!一旦、戻りマス!!」

メイは僕を抱え、村の中へと入って行った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

処理中です...