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第一章―旅立ちと双子―
1−8・マイア様
しおりを挟む―――トメト村―――
魔物が攻めてきたここトメト村。桃矢は攻撃魔法の反動で力を使い果たし気を失う。村人が必死に抵抗してはいるが時間の問題だ。舞のヒーリングサークルも消えかけようとしていた――
「村長サン!このままでは突破されマス!」
「ぐっ……しかしマイア様の御神体を守らねば!!」
「――開門してくだサイ!私ができる限り応戦しメス!」
「使徒様……!しかし一人では!」
ガコォォォォォン!!
ついに村の門が破壊され、魔物が村へと入ってくる!
「グガァァァァ!!」
「クソォォォォ!!」
メイが一人、魔物に立ち向かう。しかし魔物が減ったとは言えまだ数百体の魔物が残っている!
「クッ……これは無謀だったかもしれナイ……マイア様――」
その時だった!!
ダダダダダダダダダダダッッ!!
耳をつんざく音が聞こえ、メイの周りの魔物が倒れていく!!
「お待たせっ!メイ!反撃開始よ!」
「早紀様っ!!それはっ!!」
「へっへぇん!早紀様と機関銃!!」
「は?」
目が点になるメイ。知識の中で知ってはいるが、実際に見たことも触ったこともない代物が目の前にある。
「いやいやイヤ、いくら鋳造合成の技術が合ったとしても、いきなり機関銃というのは聞いたことがないデス……」
「行くわよ!!死になさい!魔物共!!」
ダダダダダダダダダダダッッ!!
凄まじい勢いで銃弾が発射され、みるみる魔物が倒れていく!!
「アッハッハッハ!!愉快愉快!」
「エェェ……」
村の中にいた魔物がすべて殲滅し、残りは外にザッと百匹程度!
「行けるわ!私の一人勝ちよ!アッハッハッハッハ!」
「さ、早紀様……」
「アッハッハッ――」
カチャン
カチャン…
カチャンカチャン……
「早紀様?」
「……あれ、弾が無くなった。どうしよう」
「エェェエェェエェェエェェ!?」
「ご、ごめんなさい……」
「グガァァァァ!!」
弾切れに気付いたかどうかはわからないが、魔物が一気に押し寄せてくる!!
「やば……」
「後は私が何とかしメス!!ハァァァァァ!」
メイが前線で一人戦うがだんだんと押されているのがわかる。そしてついに――
「ドリャァァァァ………」
突然、メイが停止する。
『バッテリーを交換してください――』
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
村人全員がハモる。
「終わった……と、桃矢と舞を連れて逃げなきゃ……」
『まだです!諦めないで下さい!!』
頭上から声が響く!
「ま、舞?!」
『さぁ禊の時間です――』
空に無数の青い光が現れる!!
「断罪の閃光――」
青い光が魔物を串刺しにしていく!!
「ガァァァァァァァ!!」
バタンッ!!
最後の一匹の魔物が倒れるまで閃光は降り注いだ――
◆◇◆◇◆
「舞っっ!!」
早紀が舞に走り寄り、抱きしめる。
「早紀ちゃん!怖かったよぉ……」
涙ぐみながらお互いの健闘を称える。そして、舞とは別のもう一人の舞が空から降りてくる。
「マイねぇさん?」
「え?……アイちゃんなの?」
「やっぱりそうだっ!ねぇさんの夢を見てた!」
「噓……だってアイちゃんは事故で……」
ガクッとひざから崩れる舞。涙があふれている。
「桃矢……どういう事?」
「わからない……幼い頃に妹を亡くしたって聞いたことはある……双子の妹だったそうだ」
二人は抱き合い確かめ合う。
「本当にねぇさんだ……ねぇさん!!」
「あぁ……アイちゃんが……生きてる……アイちゃんが……」
二人は十数年ぶりに会い、お互いに気が済むまで泣いていた――
◆◇◆◇◆
太陽が傾き、長老宅へ今日は泊めてもらうことになった。
守護神であるマイア様がお目覚めになられ、それはそれはたいそうなご馳走が出てくる……はずだった。
「本当に申し訳ありませんでした!」
早紀が皆の前で土下座をする。
「いえいえ!皆様に助けて頂いてこちらこそありがとうございます!調理も出来ず誠に申し訳ありません!」
「ひゃぁぁぁ!!すいません!!」
長老様御一行と、早紀が代わる代わる頭を下げる。
テーブルにはトマトが並んでいる。
「まさか早紀の鋳造合成で、村中の金物をすべて弾に変えて、鍋や包丁が無いとか……クシャ」
魔法の反動でまだ体が動かないので横になったまま、トマトを食べさせてもらう。
舞の膝枕で!!
「メイも動かないし、バッテリーは山小屋に戻らないとないしなぁ……クシャ」
「桃矢くんも動けないしねぇ。ふふ」
「舞ねぇさんは桃矢様が好きなんですか?」
「ぶはっ!」
舞の口からトマトが辺りに飛び散ち、舞が手で持っていたトマトが僕の顔で潰れる……
「ねぇさん……はしたない……」
「ゲホゲホッ!アイねぇ!そんなこ……ゲホ!」
「舞様が大変です!誰かお水ををを!!」
誰か……トマトを拭いてくれ……
「ゲホ……」
「と、ところで、マイア神様、トメト村の――」
「決めたわ!私も桃矢様と一緒に行くわ!」
あっ……話しかけようとしていた村長さんが固まった。
「アイ!駄目よ!あなたはこの村を守るという大事な役目があるでしょう!」
「そ、そうですじゃ!わしら、マイア神様がいなくなったらどうしたら良いか!」
「う……うぅん、それを言われると……」
アイはそれを聞き、数秒悩んでいたが何かを思いついた顔をし、おもむろに短剣を取り出した。
バサッ――
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
「これを私の代わりに崇めなさい!」
「マイア神様!!」
後ろで束ねていた髪の毛を切り落としたのだ。
「街の中央にこの髪の毛を置けば、加護は続くでしょう!私だと思って大切にしなさい!」
「ハハァァァ!!マイア神様!」
村人達が全員平伏する。舞と違い、シャキシャキした性格なんだな。
こうしてマイア神こと、舞の双子の妹、愛が僕達と行動を共にすることになったのであった。
「誰か……トマトを拭いて……」
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