異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

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第二章―彷徨うジョナサン―

2−1・女難の相

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―――マイア神城―――

翌日――

 目が覚めると、いつものベッドで寝ていた。長い夢を見ていたようだった。
 僕はあの時、早紀と舞を追いかけて穴に落ちて……死んだ。その後、その世界も死滅した。そんな夢を見ていた。

「皆、おはよう……」
「え……桃矢くん、お、おはよう……」

舞が何だか歯切れの悪い言い方をする。

「桃矢……」

早紀も深刻そうな顔をしている。

「み、みんなどうしたんだ!もう!僕が向こうで死んだからって!こ、ここにいるんだから……」

僕は空元気を出して、皆を元気づけようと試みる。

「桃矢様……そのぉ……」

愛までそんな顔するなよ……

「桃矢様っ!!ズボンは履いてくだサイ!」
「へ?」

メイに言われ、下を向くと息子がパンツ越しに元気に挨拶をしていた……

――数時間後

「それでは、桃矢様、早紀様、メイ、行ってきます」
「桃矢くん、早紀ちゃん、メイちゃん、行ってきます」

 手を振り、出発する二人。愛と舞が、ツクヨミ様からの命令で神の社という所へ向かう事になったのだ。

「気をつけてね!お手紙書くからね!」

早紀、たぶん届かないと思う。

「ツクヨミ様によろしくおたの申しマス!」

メイ、どこの方言なんだ。

「二人共、気をつけ――」

もういなかった……

 メイから後で聞いた話なのだが、舞と愛はこの地で元々一人の神だった。

マイア・マイエスタ神――そう呼ばれていた。
 
 昔、各地で神々の争いが起きた。マイア・マイエスタは争いに敗れこの地で封印された。封印される前、ツクヨミ様は一人の神を二つに分け双子としての記憶を持たせる。それはいつか、生き残った方が封印されしもう片方の魂を呼び起こせるように――
 そして争いの末、囚われた愛が封印され、残された舞が僕たちの世界に来た……

 早紀もこの地から、舞を守るために派遣された神の使いだった。二人がいつも一緒だったのはその命令が生きていたからかもしれない。

 僕は早紀と舞を追いかけ、穴に落ちただけのドジ……それを見かねてツクヨミ様が拾ってくれたそうだ。

「さて桃矢、愛と舞が帰ってくるまでに少しでも強くならなきゃね!」
「あ、あぁ……そうだな。足手まといにはなりたくないもんな」
「そうデスネ、魔法を発動する度、意識が無くなるのはちょっとデスネ、フフ」
「そうだ!メイッ!エルフの里まで案内してくれ!自分のスキルを磨きながら旅をしてみたい!」
「えっ!エルフの里!?私も行くっ!」
「ここより遥か北東にあると伝えられてはいますが、本当にあるかはワカリマセン。それでも行きますカ?」
「あぁ、もちろんだ。一度は死んだんだ。こうやって生きている限り、できる限りのことはやってやる!」
「あら、桃矢のくせに頼もしいじゃない!」
「くせに、は余計だ!」

 こうして僕達も、エルフの森を探す旅に出ることになった。

◆◇◆◇◆

一週間後―――

 僕と早紀、メイの三人はエスポワール大陸の北の端ウィンダの街へとやって来た。

「海だ……」
「ここより先は海を越えてさらに北の大陸を目指しマス」
「海か……何年ぶりに見たんだろう……」

カラーンカラーンカラーン――

近くの教会から鐘の音がする。

「あれ何かしら?桃矢!メイ!行ってみましょ!」
「ちょ!早紀!」

 走り出す早紀を追いかけて教会へと向かう。そこにはたくさんの人だかりと、陽気な――今しがた結婚式を挙げたばかりの若いカップルの姿がある。

「おめでとうございます!お幸せに!」
「お幸せに!」
「お幸せにお幸せにお幸せに――」

一人だけテンションの低い声で早紀がお祝いしている。

「司祭様ありがとうございました!」
「えぇ、お二人共お幸せに!」
「司祭様、そろそろお時間です」
「わかりました――」

幸せそうな二人がお礼を言ってるのが見える。

「いいなぁ……私も結婚式したい……」
「ん?早紀?どうしたの?」
「な、何でもないっ!」

メイが肘でコンコンしてくる。

「旦那……チャンスですゼ……」
「何がだっ!?」
「どうしたの?」
「何でもないですゼ、早紀のアネキ……」
「変なメイ」

 僕達は数日この街で滞在し、聞き込みをして、エルフの森の情報と船の手配先を探す。

「兄ちゃん、すまねぇなぁ。マサミカ大陸には行けねぇ」
「そうですか……ありがとうございました」
「これで十件目デスネ。断られタノ……」
「あぁ……」

 エルフの森があるマサミカ大陸は、何でも神と魔物との争いで現在渡ることが出来ない状態だと言う。

「さてさて、どうしようか」

僕とメイが途方に暮れていると早紀も帰ってくる。

「桃矢!メイ!」
「早紀、そっちはどうだ?」
「駄目ね、船は出せないみた――」

 と、話の途中で早紀が通路の方に目をやると、杖をつき、フードを深々と被った何やら占い師らしき老婆が歩いてくる。

「そこの若いの、ちょっと良いかな……」

目をギラつかせ、近付いてくる老婆。老婆は僕の前で立ち止まり、つぶやいた。

「お主……女難の相が出ておるの……」
「女難の相?」
「あぁ……くわばらくわばら……」

そう言うと、老婆は立ち去って行く。

「桃矢……女難の相ってどういう意味かしら?」
「早紀、僕にも何のことやら」
「桃矢様……もしかして、ジョナサンの象ガ……」

メイが僕の下半身を心配そうに見つめる。

「え?どういうこと?メイ……」
「いえ、何でもないデス……」

そう言うとうつむき加減でメイは歩いていく。

「ジョナサンの象……ていったい……」

下半身を見つめて、考え込む僕だった。
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