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第三章―尊さと鬼―
3−3・夢の歌
しおりを挟む―――サウスタンの街―――
ペラ――
『夢の歌』
とぅ……とぅ……とぅ……
堕ちてくあなたの手の平を
忘れることが出来ずに今思う
伸ばしたあなたの鬼の手は――
「夢の歌ね、懐かしいわ。小さい頃に良く聴いた」
「ん?ミーサは知ってるのか」
「えぇ、エスポワール大陸に伝わる古い歌ね」
「私も知ってる……はっきりとは覚えてないけど」
「舞も?」
「えぇ、何故かしらね。愛ちゃんの記憶と混ざってるのかしら……桃矢くん見せて」
「へぇそうなんだ。夢の歌……か」
「確か、童謡もあったわよ。言うこと聞かない子供が鬼に食べられる歌だったかなぁ……」
「へぇ……そうなんだ」
サウスタンにある図書館。ここで見つけた夢の歌が書かれた本。他にも鬼の伝承や、神にまつわる本など様々な本も見つけた。
「『王毒と呪いに関する本』――これは、必要ないな。それから『アンドロイド新書』か、これは持っていこう」
必要な本や地図をバックに入れ、サウスタンを後にする。
「さて、一旦オニノ国へ帰ろう」
「そうね、ミーサとビルもゆっくり休ませてあげたいし」
「ありがとうございます、早紀様」
「もう、お礼なんかいいっていいって!さっ!戻りましょ!」
結局、魔物の出現してきた場所は特定出来なかった。しかしここマサミカ大陸では、今も魔物がおり神々の争いの跡が痛々しく残っているのがわかった。
ブゥゥゥン――
カチャ――
◆◇◆◇◆
「うぅん!何だか別の世界に行ってた気分だわ」
「そうだな、戻ってきたぁ!て感じがする」
魔法陣を通り、暗い通路を抜け扉を開けると廃墟の村へと無事に戻れた。
ここはキュウカ島の北西の廃墟になった村。たった数日だったが何だか懐かしい感じがした。
「ねぇ……桃矢くん。オニノ国の方角……煙が見えない?」
「煙?どこだ?」
「ほら、あそこ!」
目をこらして見ると、空へと立ち上る煙が見える。
「何かおかしい、急いで戻ろう!」
「うん!」
―――オニノ国―――
「皆!桃矢様達が戻られるまで耐えるのよ!」
「はいっ!メローペ様!」
「砲撃!発射!!」
ズドォォォォォン!!
「ロザリア!ロザリア!聞こえるか!」
「――どうしたのじゃメローペ、ただ事では無さそうじゃが」
「すまぬが、時間がない手短に――」
――オニノ国北の街道
「城が見えた!!桃矢!」
「襲われてる!?魔物か!」
「あれは!?エルバルト国の旗!?どうして!」
「ミーサ様!お気をつけ下さい!あなた様を狙ってるのかもしれません!」
「なんてこと……桃矢様!?」
「大丈夫だ!!ミーサのせいじゃない!」
――オニノ国
「メローペ様!東城門破られました!」
「くっ!そっちにはレディス達が……私が行く!ここは任せた!」
「はいっ!」
――オニノ国北の街道
「東城門から煙が上がっている!そっちに向かう!舞と愛は怪我人の治療と誘導を!早紀は城門上から敵を狙ってくれ!メイは城門を閉じてくれ!」
「OK!!」
「わかった!!」
「わかりまシタ!」
「いくぞっ!!」
僕らはそれぞれ空から敵軍に突っ込む!
舞と愛はマイア・マイエスタ神に同化し城内に入り、怪我人を誘導する!
早紀は城門の上から武装し、マシンガンをぶっ放す!
僕とメイは城門の内側から門を閉める!!
「ウォォォォォォォ!!!」
メイが力任せに城門を押し、周辺の騎士達が城門の外へと押し出される!
ズダダダダダダダダダッ!!!
城内に入った敵兵は早紀によってことごとく、蜂の巣になる。
「桃矢様!!あそこにも敵兵が!!」
「ミーサ!!ビルと一緒にメイを手伝ってくれ!あそこには僕が行く!」
「はいっ!!」
「ミーサ様!背中のシールを剥がして下さい!」
「メイ様!わかったわ!!」
――城の東側は住民達の区画にしてある。そこでは無惨に死んでいった住民たちが倒れていた……
「くっそ!!」
カチャン――
村正を抜刀し、襲いかかる騎士を切り人混みの中の敵兵を倒していく――
「誰かぁ!誰かぁ!助けてぇ!!おにたぁぁぁぁん!!」
一瞬、泣き叫ぶレディスの声が聞こえた……
「あっちかっ!!」
街の噴水の辺りで泣き叫ぶ声が聞こえる!
「跳躍!!」
上空に飛び上がり、噴水を眼下に見下ろしそして――
「見つけたっ!!」
ザシュ……
着地をする前……数秒前の出来事。
それは余りにスローモーションで、目の前の光景が嘘の様な本当の出来事。
レディスが泣き止む……
その小さい手の先には……
メローペが血を流して倒れた――
「メロォォォォォペェェ!!!」
「お、おねぇちゃぁぁぁん!!いやあぁぁぁ!!」
「くそぉぉぉぉ!!!」
ザシュ!!
メローペを切った兵士を一刀両断する!!
「おいっ!メローペ!!しっかりしろ!!くっ!!マイア!マイアッ!こっちに来てくれっ!!」
「桃矢くん!?」
「はぁはぁはぁ……桃矢……様……お戻りに……ゲホッ!」
「しゃべるな!今!マイアが来るから!」
「レディス……レディスは無事です……か……はぁはぁ……」
「あぁ!大丈夫だ!」
「おねぇちゃん!!!」
「よか……た……」
「おい……メローペ!!体が……」
メローペの体が風に溶けるように消えていく……
「どうか……末永く……エルフ達を……よろ……」
消え入りそうな声でメローペがそう答えると、もう体のほとんどが消え、僕の腕の中で目を閉じていく。
バサァァ!!
「桃矢くんっ!!」
一足遅れてマイアが来てくれたが……一歩及ばなかった。もうメローペの重さを感じない……
ドクン――
ドクン――ドクン――
「ウガァァァァァァァァァ!!!」
声にならない言葉で雄叫びを上げる……
「ハァハァハァ……苦し……い……」
「桃矢くん!しっかりして!!」
ドクン――トクン――トク――
トクン――トク――
バタン――
「桃矢くんっ!?」
「おにぃたぁぁん!!いやぁぁぁ!!」
そのまま意識が遠のいていった――
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