異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

文字の大きさ
32 / 92
第四章―苛立ちと悲しみ―

4−1・エルバルト王国

しおりを挟む

―――エルバルト王国―――

「ミーサ様、こちらです」
「さ、桃矢様行きましょう」

 エルバルト王国に着いた僕達は街外れの古い洋館へと案内された。そこはかつて、ロザリア姉妹が暮らしていた住まいだった。

今はロメリア――ロザリアの妹が住んでいるそうだ。

「ロメリア様、お連れしました。こちらが桃矢様で御座います」
「ようおいでなすった。姉が大変お世話になったそうで……さ、顔を見せておくれ」
「はい、初めまして。桃矢と言います。ロザリアさんにはこちらも大変お世話になりました」

ロメリアは姉とは違い、歳相応の年配の方だった。しかしロザリアが五百歳とか言ってたからこの人も……

「ふむ。なかなか精悍な顔つきをしておられるようじゃ。若き日のジョナサンに似ておるのぉ」

四百歳以上確定。

「祖父をご存知なのですね」
「無論じゃ。姉がお熱だったからのぉ……さてお主らが来たのはダリアの件と、先の戦の件じゃろ?」
「はい、なぜあんな戦争が起きたのか教えてください。僕は大事な……大事な仲間を失いました」
「メローペじゃな。エルフ族の守護神メローペ。おしいやつを亡くしたもんじゃ……」
「エルフ族の守護神?」
「なんじゃ知らんかったのかぇ。あやつはエルフ族を守る守護神じゃ。ほれ何というか、遺体は残らんかったじゃろ?神族の証じゃ。いずれ転生してどこぞの時代でまた蘇るじゃろうて」
「そうだったのか……だから僕の手の中で消えたのか……」

 手にはまだメローペがいた感触が思い出される。仮に蘇るとしても僕はもう二度とメローペには会えないのだろう……

「ふむ。お主にはちょっと重たい十字架だったようじゃな。ん?お主その指輪は……」
「あぁ、これはロザリアさんがくれたのです」
「そういうことか。なら姉の願いを聞いてやるかの。ここでちょっと待っておれ」

そう言うと、ロメリアは数人の兵士を連れて奥の部屋へと行く。

「なぁ、ミーサ。ロメリアはエルバルト王国の幹部なのか?」
「いいえ、ロメリアは私の育ての親……おばあちゃんみたいな感じですわ。ここは私の育った屋敷ですもの」
「そうだったのか……」

そうこうしていると、一体の人形を兵士が担いで持ってくる。

「どっこらしょ……と。さて、桃矢殿、その指輪をこの人形の指にはめるが良い」
「人形の?」

僕は人形の指にレンコーンの指輪を通す。すると!!人形が光出し、眩しくて何も見えない!

「おかえりなさいマセ……ご……ごすうじんサメ……」
「ありゃ、ちょっと人形が古かったかの。まぁ、すぐに使えるようになるじゃろ」
「え?どういう……」

目を開けると、そこには黒髪の美しい女性がひざまずいていた。

「メローペ!?……これは……どういう……」
「そのレンコーンの指輪は妖精王の指輪。持つ者の記憶を人形に移せる。別名、死者の指輪。お主が今強く願った者の魂が蓮……すなわち、あの世から魂を作り人形に移したのじゃ。それを蓮魂という」
「……よくわからないが、メイと同じアンドロイドなのか?」
「違う違う。アンドロイドは戦闘特化型の兵器じゃ。この人形はその者の意思を形にした物じゃ。戦闘には向いてないわい。ミーサや、人形を綺麗にしておやり」
「はい、ばあさま。人形さん行きましょう」
「ハイ、ご主人サマ――」
「魂の定着には少し時間はかかるが、徐々に話せるようになるじゃろう」
「ロメリアさん、ありがとうございます」
「あの子をこれから頼んだよ」
「はい……大切にしますっ!」
「うむ、結構。さて本題はダリアの件じゃったな」

 ダリアは現在、王城の西の塔に幽閉に近い形で閉じ込められていると言う。何かを待っているように来る日も来る日も窓の外を眺め、魂が抜けたようだったそうだ。

 そして、エルバルト王国の大臣が動いた。たぶんこいつが黒幕なのだろう。桃之家、雉川家、犬飼家、猿渡家を引き連れ南の帝国へと攻め入るという。ここ数日のうちに動きがあるらしい。ダリアとの接触、国王との謁見はこのタイミングがベストみたいだ。

「綺麗になったよぉ!」

ミーサが人形と部屋へと帰って来る。

「お待たせシマウメ、ご主人サマー」
「う、うん、おかえり……」
「ご、ご主人サマー!!」

なんだろう……気のせいか。失敗作な人形の様な気がする……

「ご主人サマー。私の名前は……へペせす」
「……へペ?へペ……へペか……うん……」

へペがギュッと僕を抱きしめる。

「痛い!痛い!痛い!」
「ご主人サマー!!またお会いしまショウ!!」

人形の力を舐めてた。背骨が逝く前に、兵士達が引き剥がしてくれる。

「ご主人サマーとの愛をジャマするナー!!」
「ロメリア……これ本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃ!案ずるな!」

即答だった。

◆◇◆◇◆

二日後――エルバルト王国西の塔

 僕達は変装をし、ロメリアの付き人としてエルバルト城へと入る。へペはロメリアの屋敷に置いてきた。
 戦争の引き金となった大臣達は南の帝国領へと進軍を開始したとの報告を受け、急ぎ謁見の支度をしたのだ。

「ロメリア様、こちらがダリア様のお部屋になります」
「うむ。案内ご苦労。終わり次第、国王に挨拶に伺う」
「はっ!お伝えしておきます」

近衛兵はそう言うと階段を降りていく。

「姉上……」

部屋に入ると、ダリアが窓の外を見てブツブツ何かを言っている。僕達が部屋に入っても素知らぬ顔だ。

「はぁ……ぶつぶつぶつぶつ……」
「姉上!ミーサです!今、戻りまし……た」

一瞬、ミーサの方を向いたがすぐに窓の外を眺めてぶつぶつ言っている。

「うむ。何かの呪いかのぉ。ミーサよ、ダリアは何をぶつぶつ言っておる?」
「はい……え……と……」

『……トウ……ヤサ……マ……オ……コヲ……ウミ……タイ……』

「と言っている様ですが、何かのおまじないでしょうか?」
「……ちょっと待て。今、なんつった?」
「トウヤサマノオコヲウミタイ……はっ!?姉上!?」

ガタンッ!

 その時だった!窓に写った桃矢の姿を見つけ、ダリアは桃矢の胸に飛び込む!

「あぁ……桃矢様……お会いしとう御座いましたぁぁ……」
「……はい?」



 泣き崩れるダリアと桃矢をミーサは冷ややかな目で見ていた――
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

処理中です...