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第四章―苛立ちと悲しみ―
4−10・アトミックキャノン!!
しおりを挟む―――トメト村―――
僕とノアは、エルバルト王国から南東へ進みトメト村へ向かっていた。エルバルト王国から直接向かってみたものの、帝国軍、エルバルト軍とは遭遇しなかった。
ミーサ達は、エルバルト王国から東のムルーブの街へと無事に着いたそうだ。
「ノア、おかしいな。この最短ルートで来ても軍隊どころか物見すら出会わない。誤情報だったのか」
「ぬ。マイア城を目的としておるなら出会うはずじゃがの。どれ……八咫の烏!!」
ノアが声を上げると、数十羽のカラスがどこからともなく現れる。
「ぬ。カァカァカァカァ!!」
『カァァ!!』
ノアが鳥語を話すと、カラスが一斉に飛び立つ。
「ノア。それは?」
「ぬ。八咫の烏じゃ。わしの魔力で周辺の様子を見に行ってくれる。しばらく待つとするか」
トメト村に着くと冒険者達が入口を固めていた。元々居た住民達はバナナ街へ移動したため、今は冒険者達の宿泊施設になっている。
「止まれ!お前たちは何者だ!」
「僕達はマイア城の者だ!この辺りで帝国兵を見かけなかったか?」
「マイア城の者か。俺達も帝国軍の話を聞いて守りを固めている所だ。今のところ、帝国軍は来ていない」
「ぬ。妙じゃな。直進してくるならこの道なりで出会うはずじゃが……」
『カァァカァァカァァ!』
数羽の八咫の烏が戻って来て、ノアの周りに集まる。
「ぬ。そう言うことか。桃矢よ、マイア城へ急げ。帝国軍はマイア城の北で陣を張っているようだ」
「何だって!北か!」
「ぬ。おそらくじゃがマイア城の北に転移陣があるみたいじゃの」
「そういえば以前、ロザリアを追って魔物は北から攻めてきた……」
「ぬ。確定じゃな。とりあえず帝国兵をなんとかしのいだら、探すべきじゃ」
「そうだな、急いでマイア城へ行こう」
僕とノアはマイア城へと急ぐ。
―――マイア城―――
「早紀様!北にのろしが見えます!」
「来たわね!舞!愛!準備を!」
「わかった!早紀ちゃん!指示お願い!」
「ねぇさん!待ってぇ!」
「桃矢、ノア……間に合って……」
城の北から数万の軍勢が丘を越えてくる。帝国軍の旗だ。
「桃之丞様!準備が出来ました!」
「よし!雉川家、犬飼家、猿家の者は生け捕りにしろっ!他は殺しても構わん!」
「はっ!承知しました!」
「桃様、よろしいのですか。エルフ族も城にはおりますぞ」
「信右衛門……構わんさ、勝った者が正義。そして今やエルバルトは滅び、我が帝国の天下だ!鬼族を滅ぼし、桃家の名を世界に轟かす!」
「ふふふ、わかり申した。いざっ!全軍進め!」
『ワァァァァァァァァ!!!』
怒号が聞こえ、丘の上で粉塵が上がる。早紀もそれを確認し準備を始める。
「桃矢……急いで!」
桃矢とノアも跳躍で空を飛びながら、丘の上の粉塵を確認する。
「始まったか!」
「ぬ。間に合わぬか」
その時だった。目を疑う光景が見える……
「舞!愛!桃矢が来る前に発動するわ!後は来てから考えてましょう!!」
「わかったわ!早紀ちゃん!」
「早紀様!ねぇさん!準備は出来ましたわ!」
「二人共!!めいいっぱい魔力を注いで!!」
『はいっ!!』
「行くわよ!!目にもの見せてくれるわ!!」
カチッ!!
「アトミック充填開始!!マイア城!!砲撃準備!」
ドゴゴゴゴゴ………
ガシャンガシャン!!
地鳴りがし始め、マイア城が動き出す!!
城が変形し、ひざを着いた状態の巨神兵が現れる……
「ノア……あれ……何だ……?」
「ぬ。長らく生きておるが……あれは駄目なやつじゃ。言葉では説明できん……」
「ですよね……」
マイア城に近付くに連れ明らかになるソレは……
巨大ロボのソレだった……
「桃之丞様!!あれは何ですか!あんな物があるとは!」
「ぐぬぬ!アーティファクト的な古代兵器か……!くっそ!!全軍進軍やめっ!!その場で待機!!」
「全軍進軍やめぃぃ!!」
しかし動き出した数万の兵は止まらない!
怒号に命令は阻まれ、さらに巨神兵の変形音で何も聞こえない。
「舞!!愛!!城内の皆!!力を貸して!!」
「早紀ちゃん!!」
「早紀様!!」
『はいっ!!』
「行くわよ……皆……私にひれ伏しなさいっ!!」
キュインキュインキュインキュイン……
聞いたことない音が辺りに響き、動物達は森から逃げ、川も湖も生き物が息をひそめる……
「いかんっ!!全軍退却!!」
桃之丞の声は全軍に届いた。数万の兵は巨神兵を見上げ、足が止まり先程までの怒号は無くなり、無音になっていた……
「た、たすけ――」
一人、また一人と兵士が逃げ出す……
そしてその時はやってきた……
『アトミックキャノン発射っっ!!!!!』
キュイィィィィィン――
ズドォォォォォォォン!!!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
凄まじい閃光と轟音が辺りに響き渡る!!
東西数十キロの範囲で爆炎が上がりそこにいた生き物すべてを浄化する……
「ノア……これは夢なのか……」
「ぬ。夢であって欲しいほどの地獄じゃの……」
「だよね……さっ!着くぞ!マイア城に入ろう!」
城内では歓喜の声が上がっている。
たぶんこの設計はユリゲルさんの仕業だな……
「早紀!!着いたぞ!どうすればいい!」
「桃矢!!ノア!良かった!!東西の魔法陣に魔力を注入できる!?」
「わかった!すぐ向かう!しかし早紀、何て物を……」
「フフフ……桃矢、後でたくさん褒めてね!」
僕は西の部屋の魔法陣に、ノアは東の部屋の魔法陣に着座する。
「準備いいぞ!」
「ぬ。こちらも良いぞなもし」
「わかったわ!舞!愛!最後の仕上げよ!!」
『はいっ!!』
「サマーオトメ号発進!!」
「サマーオトメ号……?」
ゴゴゴゴゴゴゴ……
再び地鳴りが起き、サマーオトメ号が立ち上がる。
もう……説明は必要ではないだろう。
ロボット異世界降臨。
ひとつ言えるのは、帝国兵は全滅し……
「僕は……」
僕は……ロボットの左足担当だった……
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