42 / 92
第五章―生と死と―
5−1・新たな課題
しおりを挟む―――マイア城―――
「桃矢様……起きてください……」
「んん……メローペ?」
「はい……お久しゅうございます。今日はご報告があって参りました……」
「え?ご報告?」
「はい……ノアリス様のごはからいで、転生してまたエルフ族として生まれ変わることが出来そうです。これは桃矢様の寿命を削ってなされたということ。あの方の子孫していずれまたお会いしましょう……」
「どういうことだ?あの方?ちょっと待ってくれ!メローペ!」
ガバッ!!
目が覚めると、僕はいつものベッドで寝ていた。
「夢……か」
「ぬ。わしはノアじゃ。ユメという名ではない」
「わっ!びっくりした!!」
枕元にノアが座っていた。
「メローペの夢を見た気がするが……何だったか……思い出せない」
「ぬ。夢とはそんなものじゃ。気にするな。それより皆が待っておるぞ」
「あぁ……すぐに行く」
帝国兵を撃退した数日後。オニノ城に帰ってきた僕達はミーサ達の到着を待っていた。物見の話では、エルバルトからムルーブを越えて、数百人規模の人数になっているとのことだった。
「ミーサ様御一行がお着きになられました!」
「着いたか。ミーサとロメリアを呼んでくれ。残りの者は東街へ案内を頼む」
「はっ!すぐに!」
しばらくするとミーサとロメリアが到着した。数日しか経っていないが、帝国との戦争を終えたことでお互いが疲労していた。
「桃矢様……お会いしたかった……」
第一声にギョッとなる。早紀の前でそんな事を言うと……
「お幸せにお幸せにお幸せに……ブツブツ……」
ほら……拗ねた……
「よ、よく来たね。ミーサ。また無事に会えて良かった。今日はゆっくり休んで明日全体会議を行うと思っているがどうかな」
「はい。桃矢様の言う通りに。私は桃矢様と同じ寝室でよろしいですか?」
「ミ、ミーサ!!それはいきなりあんまりよっ!!」
「きゃぁぁぁぁ!!」
早紀に押し倒され悲鳴をあげるミーサ……今のはミーサが悪い。どんまい。
「早紀ちゃんは桃矢くんの事、好きなの?」
天然コットン百パーセントの舞が、早紀につかぬ事をお伺いする。
「こんなの好きじゃないからね!こんなの好きじゃないからね!」
なぜ二回言ったんだ。
「じゃぁいいわよね、私は桃矢様の寝室で――」
「ちょっと!ミーサ!あんまり言うと――」
ピキッ……
『全武装ギャラクシアンデッドエンドモード発動……』
「ギャァァァァァァ!!」
「誰か早紀を止めろっ!!」
「早紀ちゃん!!駄目よ!」
「ギャァァァ!!」
悲鳴と怒号が飛び交う再会になった……
「何が起きてるか見えぬが……だいたい想像がつくの……」
「ぬ。ロメリアよ。賑やかであろう」
「はい、ノア……様。こういう時間も悪くないですじゃ」
「ぬ。フフフ。わしもじゃ」
そんな幸福な時がしばらく続く――
桃之丞を大将にした帝国兵は息を潜め、エルバルト王国は復興の兆しはなくそのまま崩壊していく。
マイア城の北に隠された転移陣があった。古い遺跡の中にあったのだ。そこはエルバルト王国の北の小島に繋がっていた。
実はあの後で調べてわかったのだが、干潮時に行くと海の中にあった転移陣に陸地から道が出来ていた。ムルーブの街とオニノ国の転移陣を繋いだ為に、マイア城とエルバルト王国が転移陣で繋がったというわけだった。これで帝国兵がマイア城の北に出現したカラクリはわかった。
ただ残された課題もあった――
――翌日。
「――ここまでの説明が昨今の帝国兵との戦争の情報だ。そして課題も残った」
「桃矢様、ここからは私が……」
ミーサが席を立つ。
「私はエルバルト王国……元エルバルト王国の第二継承権を持つミーサです。私の父エルバルト国王、王妃共に先の帝国兵侵略にて亡くなりました。ただ、私の実の母はこうしてオニノ国に迎え入れられ何不自由なく暮らしています。大変ありがとうございます」
ふぅ、と一息ついて続けるミーサ。
「さて、課題と言うのがダリアの行方です。元エルバルト王国の第一継承権を持つ彼女は私の姉でもあり、このままほおっておく事はできません。たぶん身柄は帝国に――」
顔に影が落ちる……
「しかし彼女は殺されないはずです。なぜなら……彼女は……転移陣を作れるからです」
「ぬ。それはまことか?」
「なるほどのぉ。それで帝国はダリアを奪おうとあれこれ画策しておったのか……」
「はい……一部の王族しか知り得ません。お気付きの方もおられると思いますが……」
カタン……
舞が席から立つ。
「そんな気はしていました。オニノ国にエルバルト軍が攻めて来た時、あんな大勢の兵士が誰にもバレずに海を渡るのは不可能だと思いました……そしてその中心で指揮をしていたのがダリアさんでした……」
「舞さん……気付いていらしたのですね。私達をオニノ国から遠ざけ、城を奪い、この大陸からオニ一族、ひいてはエルフ族も抹殺する計画があるとの情報もありました」
「それを裏で操っていたのが帝国と繋がっていたハリス大臣達か……」
「はい、桃矢様……おっしゃる通りです」
ミーサが重い荷物をようやく下ろそうとしている。一人、王族として誰にも言わず耐えてきたのだろう。その重圧は大変なものだったに違いない……
「話はわかった。僕は帝国を許すつもりはない。時期を見ていずれ帝国を潰す。その前に偵察隊を編成しようと考えていた。発表する――」
偵察隊にはカナデを隊長とし、身軽なエルフ族、姿を隠せる妖精族の合計十名を選抜した。
「準備を整え十日後、帝国とエルバルト王国へ向かってくれ。頼んだ」
「はい!桃矢様!」
見違えるように生き生きとしたカナデ。生かしておいて正解だったかもしれない。
「早紀とユリゲルさんはマイア城の修繕、僕とノアとメイは転移陣の書き替えを行う。舞と愛はオニノ城を頼んだ」
「うん、わかった」
こうして僕達はまた動き出す――
いつか終わりを迎えるかもしれないこの一族を救う為に、日々生きる事に全力を尽くすのみだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
