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第五章―生と死と―
5−9・サマーオトメ号再び
しおりを挟む―――オニノ城―――
――神の山から帰還し三日後。
僕達はオニノ城で関係者を集め会議を行っていた。
「――そう言うことなんだ。カディアすまないが、千明の面倒を見てやってくれないか?」
「はい、私でよろしければ……千明ちゃんにはどう説明を?」
「チカゲさんは……帝国軍に捕まった……とでもしておこうか」
「わかりました。レディスもクルミちゃんもいることですし、少しは気が紛れるかと」
「すまないが、頼んだ」
チカゲさんは自らの首を切り、祭壇で倒れた。死は確認出来ていない。そのまま球体に飲み込まれたのは確認した。死んだ……と結論付けるにはもう少し時間が欲しかった。
「桃矢様、会議途中で申し訳ないですが帝国からの物見が帰還しました」
「通してくれ」
「はっ!」
廊下が急に慌ただしくなる……
「失礼します!桃矢様!急報です!帝国が魔王と思われる者により、壊滅致しました!!」
ガタンッ!
「なんだって!?」
「ぬ……やはりあの地に何かあるのだな……」
「魔王は帝国を狙って行ったのか……」
「桃矢様……実は……」
「カナデ?どうした」
「あの日、桃矢様達を追いかけて帝国城に入った際に兵士の話を立ち聞きしまして……地下に開かずの扉があり……そのぉ……」
「どうした?そこに何があるんだ?」
「……鬼の絵が描かれた扉がございました……」
「ぬぅ!そういう事かっ!それは気付かなんだ!」
「どういう事だよ!説明してくれ!」
「ぬ……鬼門じゃよ。その昔、人間が鬼を召喚したと呼ばれる転移陣……もし魔王がその門を探していたとしたら……」
「したら……?どうなるんだ?」
「鬼の生まれ故郷に魔王が転移し、その世界とこの世界を繋いでしまう可能性がある――」
「なっ!?鬼の世界を!?」
「ぬぅ……そんな事をすればこの世界にも鬼がなだれこんで来るじゃろうな……」
「それは問題なのか?」
「桃矢様、古文書によると平穏な暮らしを求めるのは一部の鬼……桃矢様のお祖父様の一族。中には人間を食らい、処刑された者も多くいるとか……」
「ミーサ……それは本当なのか?」
「はい。古文書の作者はキシボジン様でした」
「ばあちゃん……が書いたのか」
「on it another word……異端の鬼。それがジオナ様……ジョナサンの一族でした。それが長い時間をかけて、異端の鬼……鬼は異端……おにいたん……と呼ばれるようになったと」
「そう言う意味だったのか……はっ!今は感心している場合じゃない!その門が見つかる前に魔王を止めないとこの世界は!」
「桃矢、早速準備をするわ。こうなったらマイア城……いいえ、サマーオトメ号を動かすわ!」
「それは構わないが……サマーオトメ号ってネーミングが……」
「はぁ?今更何を言ってるの!早紀、舞、お馬鹿桃矢、メイ、の頭文字じゃないの!」
「ふふ、イニシャルなのよ。早紀ちゃんと寝ずに考えたの」
「舞……お馬鹿桃矢って……」
――翌日。
「アァ……テステス……コンコン……サマーオトメ号!!発進!!」
ズドドドドドド………
サマーオトメ号の準備を終え、僕達は帝国領へと向かう。今回はメンテナンスにユリゲルさんも同行してもらった。サマーオトメ号は歩く速度は遅いが一歩がおそらく数百メートルはある。休まず歩けば明日には帝国領へと入れそうだった。ところが……
「早紀、このペースだと明日の朝には到着出来そうだな。山も川も関係なく行けるのはありがたい」
「何を言ってるの桃矢?バナナ街の近くでは危なくて発動出来ないから歩いてるのよ」
「ふふ……桃矢くん、お馬鹿さん」
「な……どういう意味……?」
「こういう意味よっ!!」
ピピピ……
モニターに警告音が鳴り、デンジャラスの文字が浮かぶ。
「え……これ?何?」
「城内の皆様にご案内申しあげマス。これより、サマーオトメ号が発進致しメスので、しっかり掴まっていてくだサイ。繰り返しメス……」
城内にメイのアナウンスが響く。
ゴゴゴゴ……
地鳴りがし始める……左足担当の僕にはかなりの振動が伝わる。
頭に早紀、右腕に舞、左腕にノア、右足にメイ、そして左足に僕。残りの戦闘要員は胴体にいる。
「発動!!アトミックキャノン!!」
「ラジャー!!」
「ポチっとな」
ポチッ……
ビィィビィィビィィ!!!
警告音が鳴り響き地鳴りが激しくなる!!
ズドドドドドド………
「え?ちょ、どういう――!?」
ゴゴゴゴ……
ズドォォォォォォォォォン!!!!
まさかのサマーオトメ号の両足からアトミックキャノンが発射され、サマーオトメ号は空を飛ぶっ!!!
「ちょ!!早紀!たんまっ!!熱い!熱いって!!」
「桃矢サマ!!わたしも熱いでスガ!我慢デス!!」
「えぇぇぇぇぇぇ!?ちょ!あっつ!!」
「桃矢!!おだまり!!男の子は我慢しなさい!!」
「桃矢くん!左足バタバタしないっ!!軌道がそれますっ!」
「えぇぇぇぇぇぇ……」
わずか一発のアトミックキャノンで道中の半分以上まで一気に飛んだのだ……ものの数分で一日かかる距離を……
ドスゥゥゥゥン!!!
ゴゴゴゴ……
プスゥ……
「着地成功!!ユリゲルさん!補修箇所があれば教えてちょうだい!」
「へい!お嬢ちゃん!確認して来ますゼ!」
「胴内の皆は、再度魔力充填をお願い!魔王に一発ぶちかましてやるんだからっ!」
「ハイッ!早紀様っ!!」
あっと言う間に帝国領へと入り、そこからカナデ達が物見に走る。サマーオトメ号は、一歩一歩と帝国城へと歩みを進めるのであった……
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