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第六章―愛すべき人―
6−4・時代は繰り返す
しおりを挟む―――帝国領マルク城―――
桃矢達は、魔物の巣窟と化した帝国で戦っていた。魔王が神の山で復活し帝国を飲み込み、その勢力を拡大していく。
そんな中、魔王を倒さんとする桃矢達は数万の魔物を相手に中々前進出来ずにいた。
「くっ!こいつら次から次へと!」
「ぬ。もしや……どこかで魔界門までもが開いておるやもしれん……魔界と人間界を繋ぐ門……」
「魔界?おいおい!鬼門だけじゃないのか!そんな話は聞いてないぞ!」
ザシュ!!
「それを閉じないとこの群れはどんどん出て来るのか!」
「ぬ……おそらくな」
「くっ……早紀!!猿鬼!人の避難が終わったら魔界門を探すぞ!!」
「わかった……わ!!だけどこの大群では前へ進めない……!!」
「くっ……我が力を持ってもこの人数は少々不利カト……」
猿鬼の奥義で全員格段に力は上がっている。魔力にも余裕はある。ただジリ貧だった。単純に数で押し負ける。
「皆!!北の方角を見て!何か来る!!」
後方から舞の声がする。
「北?」
桃矢達が見つめる先に砂煙が見える。
「エルバルトの方角……新たな敵なのか?」
「ぬ……これ以上増えるとさすがに無理と言わざるを得ぬな……」
「ピコーン!ピコーン!」
「え?猿鬼の頭が光ってる……?」
「アァ……マサカ……この信号ハ……!!」
猿鬼の中に眠る鬼の血が騒ぎ出す――
「仲間ガキマシタ……遠い遠い昔ノ……」
「仲間?」
北の軍勢から声が聞こえる。
「我が名はミズチ!!」
「我が名はアズチ!!」
『鬼の名において助太刀致すっ!!』
数千のその軍隊は一直線に桃矢達の元まで魔物を蹂躙して行く――
「ミズチ殿……アズチ殿……お久しゅう御座いマス!!」
「ん!?三郎様の所にいたロボットではないか!」
「あ……いえ、わしは猿鬼に御座いマス!」
「何を言うか!猿鬼はもっとこう……おっさんだった!がはははは!!」
「え……いや、姿は違いますガ……」
「まぁよい、ところで三郎様のお子は……!!」
「こちらがご主人様で御座います!」
猿鬼が僕の元へ二人を呼ぶ。
「あなた達はいったい……?」
呆然とする桃矢の前にひざまずき、涙を流すミズチとアズチ……
「大きくなられましたな……坊ちゃま……」
「三郎様に良く似ておられる……」
「良くわからないが……ありがとう。恩に着る」
「はっ!!ミズチとアズチ!命に替えましても坊ちゃまをお守り致します!!」
ミズチとアズチの鬼の軍は想像を超えていた。魔物達をあっと言う間に飲み込んでいく。
そして、さらに援軍が到着する。
「カディア!!レディス!!」
「おぉい!!おにぃたんっ!!」
カディア親子が、冒険者、人魚族、エルフ族など数千の援軍を引き連れ現れる!!
「桃矢様!遅くなりました!チハヤ様の命により、我ら人命救助と後方支援を行います!!皆様は魔王の元へ参られよ!!」
「チハヤさんの!?……いったいどうして?」
「桃矢様。チハヤ様は昔、大切な人を魔物に……」
「……そうか。今は何も聞くまい。援軍感謝する!!」
「はいっ!」
「おにぃたん!!がんばってぇ!!」
舞もサマーオトメ号をカディアに任せ、合流する。僕等は鬼の軍勢の後ろから城を目指して突き進む。
「ふはっはっは!!我が名はナオト!!見よ!この剣こそ神に与えられた伝説の剣!エクスキャリパー!!今こそ魔物共に目にもの見せてくれるわ!」
時々、勘違いした冒険者も混じってはいるが形勢は逆転し城門が目前まで迫る。
「この城門を開けないと城内には行けないな!!」
「ご主人様!上空から回り込みまショウ!」
「そうだな!猿鬼!飛ぶぞ!跳躍!!」
僕とノア、早紀、猿鬼と舞が城内に飛び込んだ……
「ソコマ……デダ……」
城内に数人の人影がある……
口が耳まで裂け、目は光を失い、人とも悪魔とも言える生き物……
「ミーサ……?いや……おい……あんたまさか……」
「桃矢……想像してる人で間違いないかもね……」
「嘘でしょ……何でこんなことに……」
「陽子……さん……なんで……?」
ミーサによく似た雰囲気の女性。
それは桃矢達がいた世界の学校で先輩だった女の子……
「ぬ。知り合いか?だが、アレはもう人のそれではないぞ」
「桃矢……あれがヨウコパイセンだとしても、もう……」
「早紀。あぁ……わかってる。昔、ちょっと好きだっただけだ」
「え?」
「え?」
「何?」
早紀と舞がすごい形相で桃矢を見る。
「あのね!桃矢!冗談を言っていいタイミングと悪いタイミングがあるの!」
「桃矢くん!今のは駄目よ!私は昔から桃矢くんが好きなのに!なんでそんな事言うの!」
「え?え?ちょ!なんで二人共怒ってるの!昔の話!昔の!もう良いじゃないか!」
『良くないっ!!』
目が点になる陽子先輩……
「ア、アノォ……ソロソロ、タタカッテイタダイタリ、デキマセンカ?」
「はぁ?ヨウコパイセン!今はそれどころじゃないんですよ!だいたいパイセンが何でこんなとこにいるんですか!!」
「そうですよ!!桃矢くんが鼻の下を伸ばしてるじゃないですかぁ!!最悪最悪最悪!!」
「エェェェ……」
立場が無い陽子先輩……
「マオウサマ二イワレテ、ソノォ……シカタナク……」
「帰ってください!!ヨウコパイセンは二度と桃矢の前に現れないでください!!」
「そうです!先輩でも容赦しませんよ!!桃矢くんが好きとか言うし!!もう先輩!大っ嫌いっ!!」
「ゴ、ゴメンナサイ……」
「ぬ……謝ったぞ……良いのか?お主はそれで……」
……魔王との戦闘は目前だっ!!
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