異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

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第七章―鬼斬丸―

7−8・タケミカヅチ登場

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―――死者の泉―――

「ぬ……アドヴァンが上司だとは思わなんだ……」
「あのぉ……」

幽霊が申し訳無さそうに声をかける。

「同僚にも相談したのですが、ノアリス様がそのぉ……上司になって頂けたら……」

両指でツンツンしながら上目遣いでノアを見る幽霊。

「怖いからその顔やめて……あっ。ごめんなさい」
「はっ!?すいませんすいません!」
「ぬ……死者の番人はとおの昔に引退したのでな……」
「ノア?死者の番人ってなんだ?」
「ぬ……わしやアドヴァンのように死を司る神じゃよ。魂を操ったり、導いたりする。中には神じゃない者もおる。神の元について修行を――あっ」
「あっ」

どうやら、ノアと同じ事を思いついたみたいだ。

「ぬ……サユキよ。そなたに問う。一度しか言わぬ」
「は、はい……ノア様、何でしょうか」
「ぬ……わしの元で死の番人になれ」
「え……」

 そう、サユキは成仏を本当は望んでいない。まだこの世界に未練がある……死の番人になれば肉体が無くとも幽体として生きる術があるかもしれない。
 しばらく考えてサユキが答える。もしNOなら、サユキはこのまま召されて逝くのであろう。

「はい。お願いします!」
「ぬ……決まりじゃ……死神ノアリスの名において命ずる!この者サユキをわしの後継者とする!!」
「はいっ!がんばり――」

ノアが命じ、サユキが返事をしようとした瞬間!!

キラン――
ゴロゴロ……

ズドォォォォォン!!!

突然空から光の柱が落ち辺りが光に包まれる。

「ギャァァァ!!タスケ――!!」

死者の泉はその熱量で消滅し、そこにいた幽霊もまた光に飲まれ消滅した。

ゴゴゴゴゴ……

「よいしょっと。ちょっとお邪魔するよっと」

煙が昇る泉があった場所から男の子が現れる。

「ぬぬ……お主はタケオかぇ?」
「おっ!ノアリスじゃねぇか!久しぶりだなっと!」
「誰だ……こいつ……只者じゃない……」
「ん?こいつとは無礼な。おいらはタケミカヅチ。神だなっと」
「タケミカヅチ……?」
「ぬ……本物のタケミカヅチじゃ。こやつも死の番人の同僚じゃ。お主……何しに来た?」
「あぁ、何しに……では無く、上空を飛んでたらここらで妙な気配を感じてなっと……降りて来たんだよ……て、もういないのか?」
「……まさか鬼斬丸が近くに居たのか」
「鬼斬丸ねぇ……ふぅん……面白そうな事をしてるじゃないの。混ぜてよっと」

 空から突然降ってきたタケミカヅチこと、タケオは平然と近寄って来る。
 敵対していないのに冷や汗が背中を流れる。ノアとは違う別次元の生き物の様なそんな気配だ。

「ふぅん……おにぃさんは鬼の匂いがするねっと。そっちのおねぇさんは違う魂が入ってるね。そこの……え?そのおねぇさんは人間でも魔物でもない……何者?」
「あぁ……そのアンドロイドはメイ。平たく言うとロボットだ……」
「何だって!!ロボット……!初めて見たよっと……動かないの?」
「ぬ……魂の蓮魂がうまくいかなんだ」
「面白そうだね、おいらにやらせてよっと!」

そう言うと、タケオはサユキとメイの側に行く。

「ノア……大丈夫なのか?泉の幽霊消滅しちゃったし……」
「ぬ……腕は確かじゃ。ただ……」
「ただ……?何?」

『タケミカヅチの名において命ずるっと!我の光の雷を――』

ゴロゴロゴロゴロ……
ピカッ!!

辺りが暗くなり始め稲光が走る。

『――その身に宿せよっと!!』

その時だった!!
そこにいた誰もが予想し得ない事が起こる!

「あっ!桃矢くんっ!もうここにいたの!もの……すっごい探したんだからね!私、足の皮むけちゃって――」
「は?陽子先輩?ちょっ!あぶなっ――!!」

ズドォォォォォォォン!!!

「へ?」

凄まじい閃光と轟音が、サユキ達を包みこむ!!

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「ちょ!!たんま!たんま!今のは誰だよっと!!巻き込んじゃったよっと!!」
「ぬ……これは駄目なヤツかもしれん……」

ゴロゴロゴロゴロ……

 雷の音が遠ざかり、辺りが霧に包まれていく。静けさの中、聞いたことのある音がした。

ミィィィィン……プシュウ……

………

……



――数十分後。

皆の健康状態の確認と事情聴取が終わる。

 メイの体にはメイ。サユキの体にはチカゲ。陽子の体には桃矢。桃矢の体にはサユキ。そして幽体になった陽子。

「あのぉ……桃矢くん。私、この穴ぽこから動けないんですけどぉ?」

幽霊の陽子が目をパチクリしている。

「ぬ……自爆霊じゃな」
「それを言うなら地縛霊でしょ……」
「ハハハ、ゴシュジンタマオモシロイ。ヒューヒュー」
「ねぇ……メイもおかしいんだけど……」
「ぬ……リセットされたのじゃろ?猿鬼の魂が入っていた事で多少なり人間に近かった、というだけじゃ」
「桃矢様、この体は……?」
「サユキさん……ちょっと待ってて。僕もそれどこじゃない……」

目覚めたチカゲはようやく自分の魂が他人に入ってる事に気付く。

「私……どうして……?桃吉さん?え?」
「チカゲねぇさんおかえり。会いたかったよ」

チカゲに僕は事情を説明する。

「私がそんな事を……そう言えばあの日、頭に呪文のような声が聞こえて来て……それからずっと眠っていたような……」
「そうか。愛を連れ去った時にはすでに誰かに術式を施されていたのか……でも安心したよ、チカゲねぇさん」
「私は桃吉さんの姉……?なの?」
「そうだよ、ねぇさん」
「そっか……うん……」

ちょっとさみしげな表情浮かべるチカゲ。

「さて、どうしよう。失敗したなっと……」

そして大失態を誤魔化そうとするタケオだった。
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