異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

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第八章―赤蛇様―

8−7・あの日見た夢の続き

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――小さい頃、桃矢は良く同じ夢を見た。

 それは夏の日の夕方。友達と遊び、お別れをし、一人で家に向かっていると必ず赤い蛇が出てきた。怖くは……ない。その赤い蛇はいつも一人で寂しそうにしていた。桃矢は語りかける。

「一緒に帰ろう」

と。

 赤蛇は嬉しそうに桃矢に付いてきた。そしてそこで夢はいつも終わる――

【デゼスポワール大陸】
―――双竜島―――

桃矢が思い立った様に立ち上がる。

「いつからなんだろう?あの夢を見なくなったのは……」
「桃矢様?」
「忘れていたよ。小さい頃、僕は……」

ドクン――

桃矢の体が小さく震える。

「小さい頃、僕は既に赤蛇と出会っていたんだ。そしてあの日、瀕死の状態の赤蛇を……」

ドクン――

『私はもう長く生きれません……どうか私を助けてください――』
「あぁ、かわいそうに……ぼくが助けてあげる……」

クチャ……クチャ……クチャア……

「うわぁぁぁぁぁ!!!」
「桃矢様っ!!大丈夫ですか!!」

――幼少期

 桃矢は思い出した。ぽっかり無くなった記憶が蘇る。桃矢は赤蛇を食べたのだ。それをあろうことか――

「桃矢、帰ったの?あら?何食べてるのっ!お母さんにも――え?いやぁぁぁぁぁ!!」

――母親に見られ、その後しばらく病院へ入れられた。赤蛇を食べていた桃矢は母親にとって異質の化物に見えたのだ。
 母親は桃矢を怖がり、うつ状態になった。それから母親とは話をした記憶がほとんどない。今思えばあの時から鬼の血が目覚め始めていたのだろう。

「はぁはぁはぁ……」
「ぬ……お主……目が……」
「んん?桃矢。お前……それは蛇眼なのか……っと」

 桃矢の額に……蛇の目が開眼する……異質に思われるその光景は神達にとっては好機であった。

「はぁはぁはぁ……皆も僕を怖がる……のか?」
「ぬ……なぜじゃ?わしと同じ、三つ目ではないか」
「ゴシュジンタマーカッケー!キラキラ!!」
「桃矢様……素敵……結婚して下さい」
「桃矢、お前は面白いなっと。気に入ったよっと!」
「な……僕が怖くない……?のか……そうか……そうだったんだ……」
「ゴシュジンタマー!ワロテルー!」
「くく……すまない。僕は笑ってるのか……くく……」

 桃矢は高揚していた。なぜかはわからない。ただ自分の恐ろしく醜い姿をさらしても、ここにいる者達は何ともないのだ。それが当たり前かのように――

「すまない。少し興奮してしまったようだ……行ってくる」
「ぬっ!待て!桃矢!またお前は突っ走りおって!作戦と言う――はぁぁぁ、あやつはまったく!」

ノアの話も聞かず雷雲から、大蛇の背に飛び移る桃矢。

「おい、赤蛇よ。少し話をしないか?」

 桃矢が大蛇に話しかける。バカバカしくも見えるこの一言が赤蛇に伝わった。

ギロリ――

『お主……まさか――なのか?』
「……なんだ。蛇なのに言葉がわかるのか?話が伝わらぬなら殺してしまおうと思ったが」

 大蛇は動きを止め、首をぐぐっと曲げて背中の桃矢を見下ろしその大きな目で桃矢を覗き込む。

『やはり、その額の目は亡き我が子の目。お主その目をどこで手に入れたのじゃ?』
「これは――」

 桃矢は幼少期の思い出話をし始める。大蛇は顔を近づけ黙って話を聞く。

『そうじゃったのか。私のかわいい子が異世界の門をくぐったのを見た者がおったのじゃ……そうか、お主の中で生きておったか』

悲しそうな顔をする赤蛇。

『その子を助けてくれて感謝する。しかし――』
「しかし?」
「おぉい!桃矢様!大丈夫ですか!?」

 赤蛇が止まったのを不思議に思い、ノアやセリ達も赤蛇の背に飛び移る。

『しかしのぉ……お主には関係の無い話かもしれぬが、私を起こした事実は変わらぬ……もう手遅れじゃ』

 赤蛇の話では、赤蛇の魂は双竜島で壺に入れて封印してあったのだという。千年に一度、壺を交換する際に目覚め、酒を喰らい踊りそしてまた眠りにつくのだと言う。千年の滝という地名はそこからきたのだろう。

「壺の中!?」
「ぬ……まさか千年の滝壺にあったセリが入っていた封印の壺かえ……?」
「え!?私が足を滑らせて入ってしまったあの壺ですか!」
『たぶんそれじゃろうな。いつも壺は双竜島で保管してある。しかし今回は無理矢理起こされたのじゃ。何者かが封印を解いたのじゃろう』
「鬼斬丸……弱い女子供を連れ去り、殺し、挙げ句の果てに赤蛇様の封印にまで手にかけるとは!!」

 桃矢はその理由を知り、ようやく鬼斬丸達に怒りが込み上げてくる。そして黙って聞いていたメイが口を開く――

「ヘビガ、シャベクッタ……」

 そのあまりに遅い反応に一同、一瞬目を向けるが何も無かったように振る舞う。

「ヘビガ、シャベクッタ……」
「それで、赤蛇様は双竜島に向かってどうするおつもりなのですか?」
『あの地には異世界への転移門が存在する。私が起きてる間は転移門が開くはずじゃ。私の分身とも呼べるあの忌まわしい兵器を止めねば……』
「赤蛇様が災害なのだと思っていました……災害は別にあると?」
『はっはっはっ!私はただ酒を喰らい踊るだけじゃ。災害ではないぞ?それにの。鬼等が殺した女子供は私への生贄ではない。あれは鬼共の自己満足じゃろ』
「それでは赤蛇様は何を危惧なさっておられるのですか?」
『古代兵器オヘビウェポン……私が目覚める時アイツも必ず復活する。偶然なのか必然なのか』
「古代兵器オヘビウェポン……」

 桃矢達は自然と大きなうねりへと巻き込まれていく。それも偶然なのか必然なのか。
 エスポワール大陸とデゼスポワール大陸の運命を賭けた戦いが始まろうとしていた――

「ヘビガ、ワローテル……」
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