異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

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第九章―世界の向こう側―

9−8・結婚式の夜

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【エスポワール大陸】
―――オニノ国―――

 桃矢達がデゼスポワール大陸から帰ってきて、半月後。
 桃矢は正室に早紀を、側室にミーサを迎える事になった。
 各国から来客や祝辞が届き大いに賑わった。昼間は盛大に宴を開き、夜は遅くまで飲み明かした。

「もう……飲めな……うぅ……気持ち悪い……」
「ららしないわねぇ……ひっく……桃矢のくせに……ひっく」
「もう二人共飲みすぎよ!舞さん、お水を!」
「はいはい!」

ガタン……

桃矢は大広間からバルコニーへと出て、夜風に当たる。

「はぁ……風が気持ちいい……うぅ……ノア?こんな所にいたのか……」
「ぬ……酔っ払いが、近寄るでない」
「なんら……冷たいなぁ……うぅ……気持ち悪い」
「ぬ……メイよ、こやつを部屋まで運んでおやり」
「ヘイッ!ガッテンショウチノスケベ!」

桃矢はメイに担がれ、自室へと連れて行かれる。

「ぬぅ……やれやれ」

 ノアが夜空を見上げるとひときわ明るい赤い星と小さな青い星が輝いていた。

「ぬぅ……あれは母子星か」
「ノア様はこちらにいらしたのですか」
「ぬ……ミーサよ。あれを見よ」
「あら、珍しい。母子星ですわね。新しい命が産まれてくる時に強く輝くと聞いた事がありますわ……綺麗ですわね」
「二人共、もう片付けるわよ!手伝って!」
「舞さん、今行くわ。さ、ノア様もおやすみになってください!」
「ぬぅ……」

 数時間後、盛大に行われた宴が終わり大広間は暗くなり、夜のとばりが訪れる。
 暗闇の中、大広間の王座にノアが腰掛けている。うっすらと月明かりが差し込み、ノアの三ツ目が光る。

「ぬ……?そろそろかのぉ……」

バチバチ……

 ノアが待っていたのを知ってか知らぬか、一瞬部屋が明るくなりまた元の暗闇に包まれる。大広間の中央にはタケミカヅチが立っていた。

「よっこいしょういちっと」
「ぬ……タケオ。そろそろ来る頃だと思っておったぞ」
「ノアリスよっと、まいど」
「ぬ……神の社の匂いがする……お主、本体と接触したのではあるまいな」
「ははは!相変わらずノアリスはするどいよっと。神の社には行ったが天照大神様はおいでにならなかったよっと。ただ……神命が下りているよっと」
「ぬ?神命じゃと……?」
「あぁ……天界からの命令だ。良く聞けだよっと……」

『鬼子母神を探せ、その孫に当たる鬼の血を引く桃矢太郎はすみやかに殺せ。出来ない場合は天兵を派遣する』

「ぬわんじゃとっ!?」
「これで全部わかったよっと。神達は鬼族をこの世界から全て殺す為にジオナ達をエスポワール大陸へ転移させ、太郎と言う悪魔を生み出させた。そして太郎を悪役に仕立て、鬼族の皆殺しを企んだ……よっと」
「ぬ……後ろで糸を引いてた神の手先の名は……?」
「ハリス……という名だったそうだよ。トキの兄……もう知ってると思うが、ウシミツに調べさせていたのだよっと」
「ぬ?ハリス……どこかで聞いたような……?しかし村長もお主の連絡役であったか……」
「あぁ……ノアリス。どうする?僕はこれで君たちを…いや、桃矢を殺さないといけなくなったよっと……」
「ぬばかな!桃矢の功績を考えれば、殺すどころか、神にもなれる存在ぞ!愚かな事を申すな!」
「ははは!あの死神ノアリスが一人の鬼をかばうか。愉快だよっと!」
「ぬばかにするな!!」

カチャ……

ノアリスは何もないはずの闇より、大鎌を取り出す。

「ぬ……桃矢の命はやらん。タケオよ。まずはわしが相手じゃ……」

ザッ……

「はぁ、ノアリスは冗談が通じないねぇ……っと!」

バリバリッ!!

 タケミカヅチは閃光し、一瞬でノアリスの間合いへ入り込む!稲光で形取った剣をノアめがけて振りかざす!

キィィィィン!!

ノアの大鎌が闇ごと稲光を受け止める!!

「ぬぐぐぐぐ!!」
(ノアリス、良く聞けよっと……神の命令で近くで見張っている者がいる。僕は鬼子母神を探すという理由で半月の間、身を隠す。その間に何とかしてくれっと……)
(ぬなっ!どういうことじゃ!)
「くっ!さすがノアリス!」

その時だった。大広間のドアが開き、明かりが点く。

「誰ですか!こんな時間に!もう宴は終わって……」
「ぬぅ!愛か!近付くな!巻きこまれるぞ!!」

『雷帝のかんざし』

チュドォォォォン!!

激しい閃光が天井を突き破り、ノアの足元に穴が開く!

パラパラ……

「ノアリス様!大丈夫ですか!今のはタケミカヅチ様ですか!」
「ぬぅ……タケオはどこじゃ!」

 大広間には砂煙が上がり、そこにはすでにタケミカヅチの姿は無かった。しばらく後に、舞、ミーサ、メイも駆けつけた。

――翌日

 朝、起きてきた桃矢と早紀が皆に事情を聞く。大広間の床に開いた穴を囲んで……

「何てことだ……タケミカヅチが何でこんな事を……」
「ぬ……桃矢よ、話がある。皆、下がっておれ……」
「ノア様?」
「ん?ノア?どうしたんだ」
「ぬ……いいから桃矢と話がある……皆下がれ……」

 いつもと違う雰囲気を察して、皆、大広間から出ていく。

「ノア?改まってどうしたんだ?タケミカヅチといったい何があったんだ」
「ぬ……良く聞け桃矢。お主の命はもう長くはない……」
「!?」

 ――ノアは昨夜起きた話、過去の出来事、神の命令……全てを桃矢に伝える。

「はは……朝から重い話をしやがって……」
「ぬ……聞かぬ方が良かったかぇ?」
「いや……ありがとう。新婚早々、離婚の危機だな。しかし、ばあちゃんは生きていたのか」
「ぬん……鬼子母神は神じゃからの。肉体が死んだとてそれは器でしかない。何かに乗り移り機が熟すのを待っていた可能性もある……」
「そしてハリス公爵が神の使い……昨夜、ノアとタケミカヅチを見張ってた者もいる……半月か。たった半月でこれを全部片付けるのか。はは……とんだ災難だな」
「ぬ……どうするのじゃ?」
「まずはばあちゃんを探そう。ばあちゃんがもしあの壁画に残したメッセージを書いたのなら止めないとな。最悪、僕がそこで死んだとしても……」
「ぬ……桃矢……」

 桃矢は深呼吸をし、覚悟を決めた。そして扉の向こうで待っている皆を呼びに行った。
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