異世界ざこぴぃ冒険たん

ざこぴぃ。

文字の大きさ
16 / 113
国作と往古来今

第15話・プリン登場

しおりを挟む

―――ウェスタン王国王広間―――

 ブロンド髪の美女が兜を外し、膝を立ておじぎをする。

「アリス様、国王様、お初にお目にかかります。マリア・エルバルトと申します」
「お、おねぇちゃんっ!?」
「エルバルト教会の者か。なぜここに?」
「はっ。妹のメリダが誘拐され、ここウェスタンで目撃情報があり、調査しておりました。まさかここで出会えるとは思いませんでした……うぅ」

涙ぐみながら、彼女は続ける。

「ハリス侯爵に人身売買の疑があると聞きました。そしてハリス侯爵は私達の父と母の仇っ……うぅ……!」
「うむ。もう良い。メリダよ、そやつを少し休ませるがよい」
「はい。アリス様……」
「ハリス侯か……。ちょっと調べさせるとしよう」

 国王がそう言い、側近に伝える。メリダはマリアの手を取り、姉妹で王広間から出て行く。

「……うむ。次はプリンじゃ。いつからこっちにいたのじゃ?」
「プリン?アリス、プリンって誰だ?」

 初めて聞く名だ。すると突然、チグサが直立不動で目を見開いて答える。

「はいっ!中央都市でチグサを見つけて、媒体ばいたいにして今日まで休んでおりました。ねぇさま!」
「どうりで、ウェスタンに来る馬車の中でハルトではなく、わしを見ておったのじゃろ?」
「おっしゃる通りです。ですが魔力維持もきつく、昏睡状態でした。申し訳ありません」
「わかった。チグサの体を返してやれ。お前もハルトの中に入るが良い」
「はいっ!ねぇさま!」

 チグサが直立不動でしゃべるのを目の当たりにし、国王がおろおろとしている。大事な娘なんだろう。プリンがチグサの体から抜けると、チグサの体が足元から崩れた。
 アリスは意識を失ったチグサを近衛兵に預け、近衛兵にイカの丸焼きとお手拭きをお願いしている。まだ食う気か。
 その後、僕は国王に中央都市の復興計画を説明した。ゼシカ達冒険者、城騎士団、商人、馬車などを1ヶ月程貸り受けたいとお願いした。

「たった1ヶ月で良いのか?その程度なら特に問題はなかろう。商人、馬車はラルクに言うがいい。して、資金はどうするのじゃ?城を復興するとなるとかなりの金貨が必要だと思うが?」
「ご安心下さい。先の討伐でそこそこ金貨は持っておりますし、私に少々考えがありまして。国が出来たあかつきにはウェスタン王国との同盟、道の整備など、またご協力下さいませ」
「ほほぅ……国を作ると言うのか。面白い。わかった。お主に任せよう」
「はっ!ありがとうございます。1週間後には出立したいと思います。また王妃の件もありますので、本日は祝賀会が終わり次第、城下の宿に移りたいと思います」

これで出立の準備に取りかかれる。

「あい、分かった。ところでゼシカよ。その、なんだ。ハルト殿とは……その、もう仲良くしておるのか?」
「はい。毎晩同じ布団で寝ています」

ゼシカが真顔で答える。

「嘘つけっ!ゼシカ!そんな事を言ったら国王様が――!?」
「……そう、そうか、そうかに!」

 国王も怒るどころか動揺して、そう、と言ってしまう状況だ。

「ぼくも一緒に寝てるよっ!一緒に寝てたら子供ができるって、ばば様が言ってたから!」
「リンまで!ある意味間違いではない!ないが!今は国王様を煽るなっ!」
「うむ……ハルト殿はあれか。たくさんの女の子がいなければ落ち着かない質なのだな……」
「変態じゃからのぉ……」

 国王がアリスの方を見て、、という顔をしている。僕の評価っていったい……。

「し、しかし、この石像のアリス様と本物のアリス様を比べても、今も変わらずお美しいですな!」
「そうであろう!国王、お主よくわかっているではないか!」

 なぜかヨイショする国王。明らかに話を変えようとしている。でも、あの石像って……。

「ねぇ、アリス。ひとつ聞きたいんだけど、あの石像って……胸、盛ってない?」
「ピキッ!貴様!くらえっ!ハルトッ!!世界のイカ丸投げ日エンドイカヴァーストッ!!」
「なにぃぃぃぃぃ!??」

 アリスにいきなりイカの丸焼きを投げつけられ、これは避けきれないっ!どうする!

「ハルトッ!危ない!完全防御パーフェクトディフェンス!!」

 ゼシカが僕をかばって、手を広げ前方に立つ!しかしスキルはまだ発動しきっていないっ!!

「あぁぁぁっ!!」

 その場にいた全員が、スローモーションの様にゼシカに駆け寄ろうとするが……。

『びちゃ!!』

ゼシカの顔にイカの丸焼きが炸裂した!!

「ぶはぁぁぁっ……」
「あっ……」
「ゼシカ……す、すまぬ……」

ちょっと反省するアリスだった。

―――宿屋フラン―――

「ふぅ、着いた!ようやく堅苦しいのから開放された!」
「ハルト、お疲れ様でした!結局、祝賀会も忙しかったですね」
「料理おいしかった!お腹いっぱい!」

 ベッドに横たわり、天井を見上げる。
 マリアもチグサも祝賀会には参加していて一安心した。マリアとメリダは明日には合流予定だ。
 チグサは王族の娘だった。プリンが体に入っていた事も、何も覚えていない様だった。
 チグサってどことなく妹みたいでかわいいんだよなぁ……妹?ふと、そんな感情を覚えた。
 ゼシカはチグサの護衛を解かれ、しばらく冒険者としてまたやっていく事になった。
 後で聞いたのだが父がウェスタン国王、母は王宮のメイドだったらしい。チグサとは義理の姉妹だそうだ。
 ウェスタン王国正室の王妃はチグサを産んだあと、病で亡くなり、後妻でやってきた王妃があの口の悪い王妃だそうだ。
 なんだかややこしいなぁ……しかし、僕はこれで自分の目的のために動ける。

 アリスはと言うと、実体化するのに魔力をかなり消費するらしく1日のうち数時間は僕の中で寝ているそうだ。今は僕の中でアリスとプリンが仲良くお昼寝だ。
 プリンはアリスを崇拝する神様らしい。また今度詳しく聞いてみよう。

 ――そんな事を考えながら僕はいつの間にか寝入っていた。

◆◇◆◇◆

 ……いつの間にか寝ていたようだ。まだ外は薄暗い。

「はぁはぁはぁ……」
(ん……なんだ。なにか聞こえる……)
「ハ、ハルト……私もう……我慢できない」
(!!?ゼ、ゼシカっ!?)

 僕の布団に潜りこんでくるゼシカ。暗くて見えないが、たぶん……洋服は着ていない。僕はここで初めてを迎える事になる……のか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

女神の白刃

玉椿 沢
ファンタジー
 どこかの世界の、いつかの時代。  その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。  女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。  剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。  大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。  魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。  *表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...