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無限牢獄の生娘
第59話・正室と側室
しおりを挟む―――コリータ王国―――
「うぅ……眩しい……」
「ご主人様、おはようございますにゃ」
にこっと笑うクルミ。アリスの部屋から目覚め、起き上がろうとすると体のあちこちが痛い。
「まだ寝てなきゃ駄目だにゃ。傷はふさがってますだにゃ、血が足りてないですにゃ」
「おっ、旦那様。お目覚めかっ!ちゅ!」
レディがキスをしてくる。……寝起きなのに。クルミが見てるのに。
「シャァァァァァァァァァァ!!」
「ん?」
レディに対してクルミが怒ってる。
「で、なぜレディは動き回れるんだ。相当な深手を追ったはずでは?」
「人魚だから?」
レディは腕を組み、首をかしげる……わからんのかいっ!!
「そうだ、ミヤビとベリアルさんは!?」
「お二人共、順調に回復しておりますにゃ。もう日常生活は出来るまでになったにゃ。ウェスタン国王様も無事お目覚めになられま……シャァァァァァァァァァァ!」
クルミよ、僕の腕を噛むな。
目が覚め、気を失う前の事を少しずつ思い出す。ミヤビの腕を繋げた後、天之叢雲も複製したのだった。後はアクアがウェスタン国王の呪いを解いてくれたのだろう。
「わかった。1時間後に全員食堂に集合させてくれ。ゼシカも呼んでくれ」
「わかりました。ご主人様、ふぅぅぅぅ!」
亜人猫族のクルミの喜怒哀楽がかわいい。自己制御できないのだろう。
―――コリータ食堂―――
「ざわざわ……」
「皆さんお静かに!これよりハルト国王より大事なお話があります。国王どうぞ」
静まり返る食堂。
「こほん。まずは皆さん、今回の事件について説明します」
イスタン帝国の進軍、ウェスタン国王の呪い、王妃の死、天之叢雲、そして剣聖ミヤビ……僕が説明し終わると、ミヤビが立ち上がる。
「この度は我が不甲斐ないばかりに皆さんにご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。我に出来ることがあればこれから少しでも恩返しをしていこうと思っております」
深々と頭を下げるミヤビ。
「わかった。では早速だが……金貨100枚の話は無しで」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?ハルト殿!それは約束が――!」
「その代わりにコリータ王国の騎士団長に任命する」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?我はもう引退した身で――!」
「コリータ王国は本日より、最低限の防御軍隊の結成をします。ミヤビ騎士団長、そしてギル副団長にて編成を行うように」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?旦那!俺もですかいっ!」
ギルが聞いてないよ!という顔をする。
「それからウェスタン国王にご提案があります。サルトこっちへ」
「なんじゃ?改まって……」
「ご存知の通り王妃は亡くなられ、これよりさらにイスタン帝国の進軍は増えるかと思われます。そこでご提案です。僕はゼシカを正室に迎え、サルトを養子に迎えます」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?ハルト殿!そそそれはけけけっこん――!」
皆、同じ反応するなぁ……。
「ウェスタン国王には引退表明をして頂き、サルトを第一王子としチグサを婚約者と致します」
「しかし……いや、待てよ。それなら誰も争う火種がなくなるのか。でもゼシカを嫁に出す条件となると……」
「ハルトっ!大好きっ!」
「ちっ!」
ちっ!言うな。レディとメリダの舌打が聞こえた。そしてサルトが胸を張り、ウェスタン国王の前に立つ。
「お父上。いえ、ウェスタン国王様。ぼくは今回の件で、母を殺したイスタン帝国を憎んでいました。だけどハルトさんに教えてもらいました。憎しみからは何も生まれない、生きてる限り誰かのために尽くせと。それはぼくの中では……チグサなんです。チグサのために生きていきたい。是非、善処して頂けないでしょうか」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?サルト?え?私が?え?」
真っ赤になるチグサ。すっかり男らしくなったな、サルト。
「わかった。帰って急ぎ会議を行う、善処しよう」
「ありがとうございます」
さて、これからが本番だ。
「さて、ここからが本題です。今回の件も含めてこれからの事をお話します。僕がこの国を作ったのは……」
そう、それはアリスに言われた6人の神の子を作る為。
「……ですのでゼシカを正室に迎えたいと考えます。そして今後は側室にレディ、メリダ、エル、リンをと考えています。まぁ、あくまで個人の意見なのでこちらは追々考えたいと思います」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!」
「イヤァァァァァン!」
「あぁぁぁぁぁぁぁ!」
「いや、その、マジで?照れる」
「……ギャッ!」
「シャァァァァァァァァァァ!」
ギャッ!って何だ。
「うむ、聞いての通りだ。これは創造神であるわしの意見でもある。皆、ハルトに従え。この大陸を守るためじゃ。それに……もう交尾もほとんど済んでおるっ!!」
ダンッ!!机を叩くアリス。
「……いや。ちょっと待て、アリス今なんつった?」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
騒然となる食堂。してないとは言わないけど、してるとも言い難い……半分半分だ。
「皆様!静粛にっ!!」
「こ、こほん。まだ決定ではなく、順序立て時間をかけてそうしたいなぁ、という感じなので。ほらっ!ゼシカに子供が出来たと勘違いしたとかではないから!ははは……」
疑いの視線をアクアが送ってくる。
「うっ……。それからこの城の城外四隅に、剣術訓練場、魔法訓練場、農業漁業育成所、製錬育成所を開設したいと思います。そして城の見張り塔内に教育施設も作り、子供達の教育を始めます。管理運営をアクア、ミレーさん、ベリアルさんにお任せしたい」
「ほんとですかっ!!一度、先生をしてみたかったんです!」
「意義はありません。全力でやります」
ミレーさんもベリアルさんも乗り気だ。
「え!いくらかかるの!えっと……あれがこうなって、それがあぁなって……もう頭がパンクするぅぅぅぅ!!」
「アクア!大丈――!?ギャァァ!」
アクアの感情が高まると魔法壁が生成され、近付いたギルがふっ飛ばされた。
「合わせて、ミレーさんとベリアルさんはコリータ王国を拠点に音楽活動をして欲しい。マネージメントはベリアルさんに任せる。エルはエルフ族で音楽に精通する者を募集してくれ、エルフ族で音楽隊を結成したい」
「はい、すぐに募集します。あ……あなた。ポッ」
「ありがとうございます。皆様、改めてよろしくおねがいします!」
「ミレーと共に頑張ります。お任せください」
パチパチパチパチ……!
「リン、アカシア、サウスタンの進捗状況は?」
「はっ。国王様、ほぼ修繕改築終えております」
「ハルト!すごいんだよっ!図書館に出来た大穴と新しく出来た温泉がね!観光なんとかターンで人がいっぱい来てる!」
「結果オーライだな。ところでプリンの容態はどうだ?」
「さっきからあそこでプリンを召し上がっておられますが……」
「え?」
「ん?んぐうん?ちゅるん。何?」
「怪我は治ったんかい!?」
「さすがわしのプリン!かわゆいのぉ」
「ねぇさまぁぁぁ!」
がしっと抱き合うアリスとプリン。スリスリスリスリ……。
「も、もういいぞ、プリン。ちょっと離れ……」
「いやですぅぅぅ!」
「ピキッ!ありすちょっぷ!!」
「ふぎゃぁぁぁぁ!!」
はぁ、もうほっとこ。
「それでは各自、行動を起こしてくれ!以上!」
『はっ!!』
皆それぞれ、打ち合わせをする者、急いで食堂を出る者、バタバタと動き出した。
「ふぅ、疲れた」
「ご主人様、お疲れ様ですシャァァァァァァァァァァ!」
「いててて!」
クルミにまた腕を噛まれる。
「クルミの名前が無かったにゃ!私もしつそくになりたい!」
「側室ね。わかった、わかった。考えておくよ。よしよし」
「ゴロゴロゴロゴロ……」
クルミの頭を撫でてやるとようやく大人しくなった。
「また忙しくなりそうだな……」
その前に僕はとりあえず数日間の養生を余儀なくされた。
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