106 / 113
この世界の希望
第104話・新世界
しおりを挟む―――コリータ王国―――
世界の崩壊……巨大隕石アンコロモチの襲来が終わり、空は晴れ渡る。しかし、コリータ王国にはこの戦いで亡くなった者達がいた。
「アリス様ぁぁぁ!国王様っ!プリン様!!」
泣き叫ぶマリン。目の前で3人の姿が……徐々に消えていく。
「この世界を救った……か。それも一興……」
「月子様!!何とかなりませんかっ!!」
「わしの力ではどうにもならん。が、3人の努力は決して無駄にはならんよ。……さぁセリよ、そろそろ天界へ連れて行ってやろう」
「はい、月子様。それでは皆様、短い間でしたがお世話になりました」
「さらばだ」
そう言うと月子とセリ、そして白兎も天界へと旅立って行った。
「皆様!いつかまたっペ!!」
月子達がいなくなり、またアリスの姿も完全に消えていく……。
それに合わせるかの様に、手を握るハルトの体もプリンの体もほとんどが消えている。
そこにいる全員が涙を流し天に祈り、魔法球を通じて全大陸の仲間達も天に祈る。
そしてレディ、エル、エリサ達が各都市から駆けつけた。
が……すでに時間は刻々と過ぎており何もできない。
「くっそ!!ネプじぃさま!!何とかならないのか!!こんな……こんな終わり方なんて……ぐっ!」
涙をこらえていたレディが涙を流す。ネプチューンからの回答はない。既に何も出来ないことを察したのだろう。
エルの目にも3人の消えていく最後の姿が映る……。
「ハルトォォォォ!!うぅ……!ゼシカ、リン!お願い!!ハルトを!!ハルトを連れて行かないでっ!!」
「うぅぅぅぅ……!ご主人様……!」
そして、ついに3人の姿が消えて無くなった。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!神様!!」
その場にいる全員が泣き崩れる……。
その時だった!耳をつんざく音が聞こえてくる!
『――キィィィィィィィィィン!!』
アリスの姿が消えたと同時に、世界中が光に包まれるっ!!
そして次の瞬間!激しい衝撃と音が辺りに鳴り響くっ!!
ズドォォォォォォォォォン!!
バサバサバサバサバサッ!!
ピュゥゥゥゥゥゥゥ!!
バチィィィィィィィィン!!!
………
……
…
……しばらくして、辺りから音が消えまた静まり返る。
「な!今のはなんなんにゃっ!?」
「な、何じゃ!何も見えん!!」
「何事ですのっ!」
激しい光と音がおさまり、辺りがだんだん見えてくる。
そして……!!
「まさか……アリス様の最後の言葉って……!」
「THE・完全複製て、聞こえた気がする……」
「世界が元通りになってるにゃ……!」
壊れたはずの城壁、燃えた山、氾濫した川……全てが災害が起こる前の状態になっていた。
ザァァ……!
「……か!誰か聞こえぬか!!」
「ミヤビ師匠!?」
「レディか!!急ぎサウスタンに救護班をよこしてくれ!!プリン様が!」
その場にいた全員が耳を疑う。
「プリン様がなぜサウスタンに……?」
「詳しい事はわからぬが空が光ったと思ったら、空から降ってきて!いいから誰か早く来いっ!!」
「わ、わかりました!救護班!急ぎサウスタンへ!」
「はっ!」
カツン……カツン……カツン……。
カチャ……キィィィィ。
伝令の兵士が屋上の扉を開けようとした時、城内から扉が開いた。
「どういう事だ。私は……いったい……え?エル?エルなのか?」
「え……うそ……なんで……?何で……!?」
―――神の社―――
「セリよ、しばらくここで待て。用事を済ませてくる」
「はい、月夜見命のおば様」
「おば様じゃない!おねぇ様じゃ!」
「は、はい!おねぇ様!!」
「ねぇさん、聞こえておるか。約束通り全ての魂を元の場所へと返したぞ。はぁ、帰ったらまたお父様とお母様に言い訳せねばならんな。ふぅ」
「おかえりなさいませ。月子様ぺ」
「ふふ。お主も口癖が直らぬか。白兎……いや白兎神よ。長らく、偵察ご苦労じゃった」
「はっ!ありがたきお言葉っぺ。これを持ち帰りましたっぺ」
「うむ。天之叢雲は砕け散ったが、この勾玉と、鏡があればいずれまた役に立つこともあろうて。さて、最後の仕上げをお父様にお願いしに行こうかのぉ。はぁ、憂鬱じゃて……」
そう言うと月子は天界への扉を開けた。
―――サウスタンの町―――
「ここは……?」
「プリン様っ!わかりますか!マリンです!」
「マリン?私は……誰……」
「うむ、記憶が混濁しておるようじゃな」
「ミヤビ様。プリン様は血圧、脈拍とも異常はなく、外傷もありません。ただ……」
「エリサ、ただなんじゃ?」
「ただ、想像でしかないですがプリン様の肉体は神族の力を失い人間族に近い体質になっているかもしれません。それと……」
「それと?」
「お腹にお子様がおられます」
「なんじゃと!?」
「ここはどこですか……?体が動かない……」
「プリン様、ここはサウスタンですわ。無理に動かさずしばらくここで養生しましょう。ミヤビ様、このまま警護をお願いしても?」
「あぁ、マリン。もちろんだ。千冬をコリータに連れて帰ってやってくれ」
「わかりました」
マリンが念話器を使い、仲間達に話しかける。
「皆さん聞いてください。プリン様がサウスタンで見つかりました。ただ記憶が混濁しており、しばらくこちらで安静にしてもらいます。もしかしたらですが……もしかしたら……ぐっ」
言葉に詰まるマリン。
「国王様もどこかで……うっうっ……!」
マリンはこらえていた涙が……また流れた。蜘蛛の糸を掴むような話だが、プリンが生きていた事によって、もしかしたらという思いが声に出た。
「そうじゃな。皆で探そう。もしかしたら旦那様もどこかで苦しんでいるかもしれない……」
「レディさん……そうですわね……きっとどこかで――」
それから皆で数週間、数ヶ月、数年……大陸中でハルトを探し続けた。
しかしハルトは結局、見つからなかったのだった……。
………
……
…
◆◇◆◇◆
―――コリータ王国南門―――
――世界の崩壊から5年の月日が流れた……。
「あぁ、ちょっと待って下さい!通行証か、身分証明書をお持ちですか?」
「いや……すいません。持ってません……あの、水を1杯くれませんか……」
「困ったな。ここは許可証が無いと入れないんだ。ビル!水を1杯持って来てくれないか!」
「はいはい!」
ビルが水を1杯、旅人に持って来る。
「ゴクゴクゴクゴク……ぷはぁ……」
その人はフードを深く被り、かなり薄汚い成りをした人だった。
「ありがとうございます。助かりました。ところで、ここはどこですか?」
髪もボサボサで顔も泥だらけで、着ている服もボロ布の彼が聞く。
「ここはコリータ王国。かつて、この大陸を支配したハルト様のお国だ。最高に住みやすい町なのさっ!」
「ハルト様……?」
「おいおい!ハルト様を知らないとは田舎からやって来たんだな!その昔――」
ポタン……!ふいに彼が涙がこぼした。
「ハル……ト……?」
彼には、聞き覚えがある名前だった。
しかし思い出せない。だけど……なぜか胸が熱くなる。
「おい!ビル!何をしている!!」
「レディ様!す、すいません!すぐに戻ります!!」
「ったく。御仁よ、すまない。ここは身分証明書か通行証がないと通してやれない……ん?御仁?泣いているのか?」
「すいません……わからないのですが何だか涙が止まらなくて。水をありがとうございました。それでは失礼します」
「あぁ、無理はなされるなよ……?」
キィィィィィィィィィン!それは突然思い出される奇跡だった!
レディの持っている妖刀村正が激しく音を立てたのだっ!!
『カタカタカタカタカタカタッ!!』
「な、なんじゃ!?村正!?」
『――その昔、互いに思いを寄せた神がそれぞれ持っていたという。離れ離れになっても引き寄せ合うという伝承がある』
以前ネプチューン神が言ってた言葉が突然脳裏をかすめ、レディの目に彼の腰にぶら下がる剣が見えた……!
「待たれよっ!!お主、その剣をどこで!!」
「いや……記憶がなくて……ずっと持ち歩いていますが……この剣が何か……?」
彼の腰からぶら下がっているその剣は、忘れるはずもない神器・天十握剣だった……!
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女神の白刃
玉椿 沢
ファンタジー
どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる