『運命って信じますか?』

東雲皓月

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十七話

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~今井アヤセ視点~


あー、なんやかんやで無事に会計をする時間になって内心やっとかって感じですわ。

てか聞いて下さいませんかね?

普通さ、皆で食べに来てるのに勝手に頼んで勝手に食ってる奴らが居たんだけど…有り得なくない?

私や蒼さんやミナちゃんとかはちゃんと聞いたんだぞ。

どれが要るかとか要らないとかをさ。

なのに、あんの馬鹿四人ときたら……ミナちゃんが一回聞いて頼んだヤツを「えっ、一人で食うの?」とかどん引きしたように聞いた奴らが居た訳なんですよ。

アンタら、人の話もまともに聞けねぇのかよって感じ。

こっちがどん引くわ!

んで、さっきのなかったように「また集まりましょうね~♪」とかメスブタが言ってて吐き気したな。

もう二度とアンタらは呼ばん!

てか次あると思ってる奴らが不思議なんだけど。

会計同じにしてんのに、勝手に頼んで食いやがって…だったら別のテーブル行って会計別にして欲しかった。

割り勘なのになんでアンタらの分まで割り勘しなきゃいけないわけ?

こっちが食べてないのもあんだろーが。

頭湧いてるわ、本当。

今度宮本に愚痴ってやろう。


「美味しかったねぇコウキ君♪」

「だよなー。また来よっかミホちゃん♡」


はいでたー。

マジ鳥肌ものですからー、二人の世界に行くならよそ行ってやれや~。

もう二度と会う事も無いだろうから、言いたい事全部言ってやる!

イチャイチャする馬鹿二人とワイワイしてる残りの馬鹿二人に、店を出たあと私は近寄って睨み付けた。


「…なぁ、今日楽しかった?」

「えっ、楽しかったけど」

「あーそう?こっちは全く楽しくなかったんだけど」


腕を組んで見下すように馬鹿四人を睨み付けて言ってやると、コウキとか言う馬鹿が呆れたように阿呆な事を口走った。


「あー・・・まぁ、あの二人が空気悪くしたもんな。俺もそれに関しては同感だわ」

「……あぁ?今、なんつった。あの二人??」

「え、だから…藤崎さんと三神さんの事だろ?」

「馬鹿じゃねぇの?あの状況をみてまだ、んな事言ってるなら……アンタそうとうクズだな」

「はぁっ!?なんだよ、き、急に!!」


女如きに、ビビりやがって。

これだからクズはクズなんだよ。

あの二人が空気を悪くした?

違うだろ、そこに居るメスブタ達だろ。

怒りがピークに達した私は、我を忘れてクズ四人に冷めた視線を浴びせた。

離れた場所には、ナオちゃんとタツミが様子を伺うようにチラチラ見て。

蒼さんと三神はクズ四人をなんの感情もない表情で見据えている。


「リナを馬鹿にしたアンタらも、それを否定しないクズ野郎も……マジでふざけんなよ?本当なら、リナの前で土下座させたいくらい腹立ててんだ。でも、リナが止めたからしなかった」

「ハァー・・・そんなの知らなーい。私達が何したってーの?ただちょっとからかっただけじゃん」

「そうだよね~。私達が悪いなら、証拠あるの?ないよね~?」


・・・本気で言ってるのか?コイツら。

だったら、私だって黙っちゃいないからな。

メスブタ達の態度に腹を立てたのは私だけじゃなかった。

宮本を知ってるナオちゃんもタツミも、馬鹿な事言うなって後ろから痛い程伝わる。

悪いのは明らかにメスブタ達なのに、それを認めない精神に心底嫌気がさす。

ヘラヘラ笑って、自分達は何も悪くないって?

虫ずが走る。


「からかっただけ、ね……」

「そーそー。それにぃ、自分に非があるって自覚あってお疲れ会に参加しなかったんでしょ?あの女」

「そうだよねー?まぁ、こんな可愛い私達が居ちゃ、引け目感じて当たり前だろうけどぉー」


ケラケラと馬鹿みたいに笑うメスブタは、私の目の前で宮本を侮辱する。

本当に許せない。

見た目で判断するなっつーの!

宮本の良さを、アンタらなんかが知るわけないだろーが!!


「……大概にしとけや。あぁ?あの子の何を知ってるっつーんだよ!!なぁ!!?」

「…っ!!」

「ビビりで臆病でめったに怒らない宮本がっっ!アンタらに対しては怒った!その理由が、自分じゃなくて自分の大切な人を馬鹿にしたからって………そんな馬鹿みたいなお人好しを、よくも貶せるな!?」


怒りで自然と込み上げてくる熱が身体中を駆け巡る。

只でさえ、キツい目つきだって言われて気にしてたけど今だけはそんな目つきを有り難く思ってしまう。

縮こまる馬鹿四人に、私はまだ言い足りないとばかりに言葉がスラスラと口から出てくる。


「大体、お疲れ会っつってんのにテメェら四人共クソか。合コンしたきゃあな、よそでやれってんだ!」

「っ…な、なによ……自分が男にモテないからって僻んじゃって!」

「僻む?まだ馬鹿発言するのか、ブス女」

「ブ、ブス女!?」

「おー、いくら見た目が可愛くても中身がブスならブスなんだよ、このブス」


はぁー、言いたい事言ったらスッキリした。

おーおー、そんなに応えました?

ワナワナと身体震わせて。

顔も恥ずかしさのあまり真っ赤になってるし。

ざまぁーねぇなって感じだわ。


「ひ、ひどい……私達が何したって言うの?うわーん、コウキく~ん」


おいおい、まだ男に縋るんか?

呆れたな。


「ちょ、ちょっと!ミナ、アンタもなんとか言いなさいよっ!」

「……ハルちゃん…私達、友達やめよう。こんな、酷い人だったなんて知らなかった…」

「っミナ!?」

「学校でも、話掛けないでね。私も無視するから」


軽蔑するようにハルから離れるミナちゃんは、元友達としてと言い私に謝罪した。

なんでミナちゃんが謝るのって私は思ったけど、辛そうな顔を見て言えなかった。


「ミナちゃん、大丈夫だから、ね?なんかあったらいつでも連絡しな」

「…有り難う御座います、アヤさん。それじゃ、私は帰りますね」

「ん。気をつけてね」

「はい」


無理して笑うミナちゃんは、そのまま会釈して迎えに来た車へと乗り込んだ。

本当に、イイ子だなぁとシミジミ感じた。


「~~~~~っ裏切り者…」

「これで分かった?アンタが性格ブスだから、友達も友達じゃなくなったね」

「~~~ったの~~~~アンタのせいよ!!」


怒り狂ったハルは私に向かって平手を喰らわそうと手を上げる。

でも、運動神経のいいアヤさんがかわせない訳がなく余裕の表情でそれを待ち構えていると。


「……いい加減にしろよ?ブス」

「手をあげるのは、僕も見過ごせないですね」


目の前でハルの手首を掴んで止める三神と庇うように立ちはだかる蒼さんがいた。


「っ……離して!!痛い!!」

「はぁっ?馬鹿言え。リナはもっと痛かった筈だ、自分の大切な奴を侮辱されてっ」

「……っ……!?」

「なんなら、この手首…へし折ってやろうか?あ?」

「アキトさん…流石にそれは駄目ですよ」


やり過ぎだと言わんばかりに蒼さんが苦笑して止めると三神は怒りの矛先を蒼さんに向ける。


「なんだよ?また庇う気か??」

「そうは言ってないですよ。ただ、ダメージを与えるだけなら他にもやり方があるって言いたいだけです」

「……ふーん。まぁ、ここで怪我させたらこっちも不利だしな…なかなか良いこと言うじゃネェか」


ニヤリと悪戯を楽しもうと悪い顔をする三神に、蒼さんもでしょうと言いたげに微笑む。


(………この二人のタッグ…かなり怖いな)


ドMかと思った三神だけど、宮本以外に対しては鬼畜な程にドSだと思い知らされる。

いや、それもどうなんだって話しだけどね。

しかし、一番ビックリしたのは蒼さんかな。

まさか蒼さんからこんな言葉が出るとは思わなかった。


「ほら、離してあげて下さい。アキトさん」

「……尺だが、仕方ねえな」


渋々とハルの手首を離した三神に、また助けてくれたと勘違いしたのか蒼さんにしがみついて怖かったと泣き出す馬鹿な女が一人いた。


「ふぇーん!怖かったですぅ~」

「…………」


よくもまぁ、飽きずにやれるな。

二人の会話を聞いてなかったのかな?

てか、蒼さんの顔みたら??

かなり見ちゃイケない顔なのに。

いや、そうとう鈍感な奴だったらただ微笑んでるようにしか見えなくもないけど……。


「有り難う御座います、あおいさ・・・」

「僕の名前を呼ぶなって、さっきも言ったよね?君の耳は飾りかな?」

「………ぇ」

「汚わらしい手で、触らないでくれませんか?汚れます」


地を這うような低い声で、ハルの手を払うように退かした蒼さんの姿は本当に恐怖そのものだった。


「あぁ、そうそう。リナさんに言ってた言葉何でしたっけ?…自分が可愛いとでも思ってるんじゃない?、でしたっけ」

「………っ!」

「それから、さっきの勘違い女って言葉もいただけませんね」

「な、なによ……?」

「リナさんは、可愛いし勘違いなんかしてません。言うなら、貴女達の方じゃないですか?救いようもないブスがリナさんを侮辱してイイと思ってるなんて……僕なら嫌だなぁ。こんな醜い人と付き合うなんて」


お、おお………めっちゃ言うやん、蒼さん。

流石の私すら戸惑うぞ。

あと、絶対に宮本がここにいたら恥ずかしさのあまり穴に入りたいとか言うレベルに蒼さんが凄い事サラッと言い切ってるし。

やべー、蒼さんの言った台詞を宮本に聞かせてやりたいわー。

虫けらを見るように蒼さんがハルを見据えたあと、ミホとコウキの方を見つめてからフッと小馬鹿にしたように嘲笑った。


「さてと、じゃあ解散しましょうか」

「っ…そ、そうだな!じゃー、俺はアキトと蒼を車まで送るから!じゃなぁー、アヤさん!!」

「…おい、ひっぱんなよ。馬鹿山っ」


脱兎の如くに山口は急いで自分の車に三神を連れて乗る。

元凶を連れてきたテメェが後始末せーやって感じだけど、まぁそれはあとでいくらでも言ってやろう。

蒼さんも山口の車に乗ると、窓を開けてニッコリ笑顔で私達に手を振った。

勿論、あの馬鹿三人は除いて。


「…さて、私達も帰りますかね~」

「そうだねぇ~。こんな気分悪い場所にいつまでも居たくないもんね」

「ハハハッ、言うね~ナオちゃん。そうゆうの嫌いじゃないよー」

「マジで?ww」

「マジっすよ~」

「マイちゃん好きだよー」

「え、テレるw」

「えー、俺は俺は?w」

「んー、普通?」

「普通ww」


三人でワイワイしながら車に乗り込み、馬鹿三人などお構いなしに私達はその場を去った。

ナオちゃんを家まで送ったあと、あのグループラインからすぐに脱退して宮本にも何も言わず脱退させた。

詳しい話しはまた会った時に言うと約束をして。

あぁ、あと山口にはラインでバイト先で話しがあるから覚悟しとけよと送っておいた。


(…それにしても、あの二人の紳士っぷりは宮本にちょっと見せたかったなぁ…)


クスクスと思い出し笑いが込み上げてくる中、タツミの愚痴をうんうんと聞いてその日は互いの愚痴大会をしたのだった。



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