『運命って信じますか?』

東雲皓月

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十九話

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月日は流れて、年を越しました。

明けましておめでとうございます。

私の心は明けませんけどね、ははは。

あ、聞いて下さいよ!

とうとうやっとの思いで仕事を辞めました!

パチパチパチパチ~。

と、言うわけですが……今ニートです、はい。

まぁ何とかなりますって!

前向きに考えないと辛過ぎて泣けちゃいますからねぇ。

今日は一月六日の土曜日です!

えっ?何があるのかって?

知りたい?知りたい?

仕方ないなぁーもう♪

今日は仕事休み中と言うわけで、お家でゴロゴロしてまーす。

ん?なんで仕事辞めてるのに仕事休み中かって?

・・・親にね、まだ言ってないのよ。

だって怖いし家にもっと居ずらくなって精神的のダメージが半端ないの。

アハハ~、まぁお家でゴロゴロは冗談だとして。

今日という今日は、ちょっと特別です。

なんとあの蒼さんからお出掛けの誘いが来たんですよ!

もうね、会えるっていう喜びと以前のお礼ができるっていう気持ちで今テンションがおかしいのです。

だからちょっとだけお洒落しちゃいました。

どんな服装かはご想像にお任せします♪

あぁ、でも勘違いしないで欲しいのがこれはあくまで”デート“じゃないって事です。

えー、デートじゃないの?って思った方、絶対にいますよね?

それが違うんだなぁー♪

デートって男女がイチャイチャキャッキャッしてる事ですよね?

私の場合、プラスマイさんも居るので違います。

なんでマイさんが居るの?って疑問を持った方、お忘れだと思いますが私は人見知りなんです。

えっ?聞いてない?知らない?

またまた~、嘘仰いな~♡

まぁ一対一の遊びなんて、マイさん以外とめったにしません。

しかも相手は男の人ですよ?

いやー、ナイナイ。

なので、マイさんに無理言ってついて来て貰うようにお願いしましたとも。

面倒くさがりなマイさんを必死に説得してやっとの思いで了承を得た訳ですが。

集合場所では、ニヤニヤが止まらないマイさんに私は愛想笑いしかできません。


「あ、リナさん!ごめん、待たせちゃったかな?」

「いえ!私達もさっき着たばかりなんで大丈夫ですよー」

「……リナは三十分前から居たけどね」

「ちょっとマイさん!?」

「え、そうなの?」

「ァ、アハハ~・・・それよりも、喉渇いてません?どこかでお茶でもします?」


もうっ!マイさんったら!

余計な事言って、私の反応みて楽しむんじゃないの!


「そっかぁ。でも、それくらい楽しみにしてたって事だよね?僕的にはちょっと嬉しいかな」

「え、そ、そうですか?」

「うん。でも早く着いたなら連絡してくれれば良かったのに。そうしたら走ってでも来たし」

「い、いやいや~!そんな事しなくても大丈夫ですからっ」

「えー、チラチラ携帯で確認してたくせにぃ~。強がんなよ☆」

「ちょっとマイさんは黙ってなさいっ」


口を開けばすぐからかおうとするんだから、マイさんは。

なんだかんだでホント、人をからかうの好きだよねー。

まぁ、そういうマイさんだから嫌いじゃないんだけど。

場を和ませて楽しませてくれるし。

そういうのにちょっと掬われてるのもあるから、私もあんまり言わないけどね。

でも今日だけは!

今日だけは大人しくいて下さい。

本当に。


「あ、あそこにカフェがあるよ。ちょっと入ろうか」

「は、はいっ」


近場にあったカフェに入ると、先に席を確保して各々注文していく。

蒼さんとマイさんは既に会計を済まして席で何かを話している。

何を話してるんだろう……盛り上がってるみたいだけど。

気になる。

どうかマイさんが変なこと言ってませんよーに!

一方、席に座っている二人というと。


「えー、じゃあ気付いてたんですか?」

「うん。最初は薄々だったんだけど、お疲れ会が終わったあとでね」

「あー、もしかしてアレですか?」

「そうそう。でもアキトさんは気付いてなかったみたいだし大丈夫だと思うよ」

「それはそれで……どんだけ鈍感なんだって思いますけどね;;」

「まぁ、それは僕もちょっと思ったかな…」

「じゃあ、蒼さんの前ではフリしなくてもいいですね」

「アハハ、そうだね」


どうやら蒼さんはマイさんが女で彼氏みたいな素振りをしていたのを薄々気付いていたらしい。

確信を得たのは、あの焼き鳥屋を出た後の出来事でだと。

メスブタが言ったあの一言で気付き、あえて言わなかったそうだ。


「いやー、案外鋭いですね蒼さんって」

「そうかな?……でも、気付きたくない事だってあるよ」

「えっ?」

「あ、リナさん。こっちこっち」


意味深な台詞を言うだけ言って話を逸らした蒼さんに、マイさんはちょっと違和感があったがそれ以上は追求しない事にした。

注文を終えて席に着く私は、二人がどんな話をしていたかを聞いた。

だけど、詳しい話はしないで蒼さんがマイさんの協力者になったという話だけだった。

この短時間で何があったかは知らないけど、二人が仲良くなった事に少しだけ安堵した。


「あ、はいコレ。マイさんにあげようと今日持ってきたんだ」

「えー、マジで?サンキュー。やっぱり天ちゃんは神だな、うん」

「神ww」

「また宮本はガチャして~、嬉しいけど金の無駄使いはするなよ?」

「はいはい。ところで今からどうするの?蒼さんもいるし」

「おー、それな。蒼さんってカラオケとか興味あります?」


ゲームのキャラクターストラップをマイさんにあげた私は、これからどうするか聞きながらアイスコーヒーにガムシロを三つ入れる。

どうするかを蒼さんに聞いたマイさんに、蒼さんは笑ってカラオケに行くのを賛成してくれた。


「それにしても、二人って本当に仲が良いね」

「あー、まぁお互いに気が楽ですしねぇ」

「あと、マイさんとは趣味思考が似てるんで」

「それなー」

「へぇー、羨ましいなぁー。僕もそんな親友が欲しいよ」


ワイワイと楽しく会話をしている今この瞬間が幸せだと私はシミジミかみ締めている。

・・・奴のラインが来なければ、だけど。

ブブッ

ほら、また着ましたよ。

えーっと何何?

”今から仕事~、辛いよ~。リナにあーいーたーいー“

一日に数回も来る奴のラインは、基本無視をしているのだけど。

返さないともっとうざいメールを寄越すので、仕方なく返してはいる。

”はいはい。仕事して下さい“

よし、今日はもう返事返さないぞ。


「ん?誰とライン??」

「えっ?あぁ、どうでもいい人だから気にしないで」

「・・・その反応、三神からとみた」

「なんで分かったの。アンタはエスパーか」

「そりゃあ分かりますよー。でもいいのかなぁー?他の男とラインしちゃってー。蒼さんがいるってのに☆」

「……からかわないでいいのっ。もう、すぐそう言うんだから」

「バレたか♪」


呆れたように溜め息を吐くと、マイさんはこれでもかってくらいに楽しそうな顔をしている。

蒼さんはそんなやりとりを黙って聞いていた。

頼んだブラックコーヒーを飲みながら。


「さてと、じゃあそろそろカラオケにでも行きますか」

「だね。あ、蒼さんは他に寄りたい場所とかってあります?」

「いや、大丈夫だよ。久々に歌うから音痴でも笑わないでね?」

「大丈夫ですよっ!私も下手な方なんで」


お昼過ぎの一時にカフェから出ると、マイさんの車で行く為エスカレーターに向かう。

その間も会話は弾む弾む。


「えっ、蒼さんって今年で二十四なんですか!?」

「うん。まだ誕生日はきてないから二十三なんだけど」

「そうなんですねー。てっきりアキトさんと同じか一個上だと思いましたよ…」

「え、どうして?」

「だってアキトさんより大人びてるじゃないですか。あの人って子供っぽいしチャラ男だし…」

「アハハ、確かに見た目は若々しいよね。でもやる時はやる人だし面倒見も良かったりするんだよ」


蒼さんの口からそんな事がでるなんて思わなかった。

そっか、やる時はちゃんとやるんだアキトさんって。

初めてあった印象とは随分違ってるんだな。

チャラ男で不真面目だとばかり思ってたよ。

まぁ、今も思ってるけど。


「てか、蒼さん。若々しいとか三神より下なのにジジくさいですよww」

「え、そうなの?」

「そうですよー。ほら、車に乗って下さい」


マイさんの車に着いた私達はお喋りしながら中へと入った。

後ろに私と蒼さんが乗ったのを確認するとマイさんは車を動かした。


「そっかぁー。ジジくさいのか……気をつけよう」

「もー、マイさんが変な事言うから蒼さんが落ち込んでるじゃない!」

「え、気にしてるんですか?大丈夫、まだ若いですってw」

「そうですよ!若々しい人より若々しいですから!気にしたら駄目ですよっ」

「若々しい人よりってww」

「アハハ、リナさんって本当に面白い人だなぁ~」

「え、え?何か間違ってます??」

「無自覚乙~♪」

「えぇ~、何がいけなかったんですか…」


はい、まぁこんな感じで楽しい今日を過ごしましたとさ。

車内の中でもワイワイとはしゃぐ私達は、無事にカラオケに行って無事帰りましたとも。

因みに、音痴だとか気にしてた蒼さんの歌声はかなり上手くて私もマイさんも驚きましたね。

点数が九十超えるレベルとか、聞いてませんよ蒼さん。


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