ハロー。最強な貴方へ

空見 大

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二章

25話

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「ただいま」

転移魔法を使用して知っている場所に行く場合は基本的に自分が前転移した場所かその近くに転移することが多い。
その理由は様々あるが転移先が他の物体とかぶっている可能性が低いことが一番大きな理由である。
異常の理由からアデルが転移するのは転移前にいた食堂であり、人の気配を感じたアデルが挨拶をしながらそうして戻ってくると青白い顔をしたリナが酒瓶を片手にアデルの方を向いていた。

「──うっぷ……うぇ…」

ほんの一瞬我慢しようとしていたリナだったが、連日の酒が彼女の体をどうしようもないほどの衝動で貫く。
外へと向かって少しだけ漏らしながら走っていくリナの後を追うこともできず、アデルはその後姿を眺めていることしかできない。
こぼしていったものの処理をして、近くにいたメイドから事情説明と叱りを受けたアデルはリナの部屋の前にいた。
コンコンとノックしてみれば声は帰ってこないが部屋の中で何かが動く気配がする。
居ることは分かっているが相手の気持ちも考えてアデルは扉の前からリナへと声をかけることにした。

「リナ。入ってもいいか?」
「頼む、頼むから話しかけないでくれ。本当にお願いだから」

部屋の中からかすれるような声音でそんな言葉が返ってきてアデルは自分がどれだけやらかしてしまったかを痛感する。
見栄を張りたい相手の目の前で酒で酔いつぶれたところを見られた上に、あろうことかその人物の目の前で吐くなどアデルだって想像するだけで寒気がする状況だ。
伊達に長く生きていないのでこのような状況に相対したことは何度もあるが、今回に限っては相手が相手なうえに飲んでいた原因がアデルにある以上時間が解決してくれるだろうなどという適当な回答でこの場を濁すわけにもいかない。

執事バトラー、居るんだろ」
「ここに。必要なものは揃っております」
「悪いんだけどいまから転移で送るから向こうに物資をおいてグノシーの監視をしておいてくれない? こっちのことが終わったらそっちに行く」
「了解いたしました」

とりあえずこれでこちら側に時間を割ける。
嫌われるとまではいかずとも状況を悪化させる可能性はあるが、それで相手の気持ちが晴れるのであればと覚悟を決めてアデルがドアノブに手をかけて力を入れようとしているとふと横から声がかかった。

「──アデル、ちょっといいか?」
「ああ、俺からも話があったところだよオスガルド」

執事やメイドたちならばいざ知らず、それなりに仲のあるオスガルドが話があると言ってきたことにアデルは安心感を覚えていた。
連れられるままに廊下を移動し、彼が秘密に作ったのだという小さなバーのようなスペースに案内されるとカウンターに座りだされた酒を一息に飲む。
魔界の酒は度数が人の世界のそれとは桁違いで、鼻から抜けていくアルコールの強さにいくらアデルでも頭がくらくらしてくる。

「酒は飲んでも飲まれるな、なんて言葉が人間にはあるらしいが、飲ませたのはお前だアデル」
「わーってるよ。というより俺はいまお前に飲ませられてるわけだが」
「たとえ命懸けで殺し合った男同士でも酒が入らんとできん会話というのもあるということだ」

メイドから聞いた話ではリナがああして酒を飲んでつぶれていた理由はアデルがいきなりグノシーとどこかに行ったからだ。
最初は自分のもとに帰ってくると強気だったらしいが、丸一日たっても戻ってこなかったので不安になって酒を飲み始めたらしい。
魔界の時間軸と地上の時間軸はかなりずれているので、向こうで一日を過ごせば魔界では三日ほどが経過する。
よく考えてみれば魔界という危ない場所で一人きり、しかも自分はその場所について何も知らないのだから不安から酒の量が増加したとのことだ。
どう考えてもしっかりと説明してから行かなかった自分が悪いとアデルもわかっているので、彼は珍しく反省していた。

「まぁ言いたいことはわかるけどさ」
「人にもいろいろ居ることは分かっている。別に嫁を一人にしろとは言わん、我も嫁は複数いるからな。だが思わせぶりな態度を取るのは良くないな」
「結構直接的に好きって言ってるつもりなんだけど……」
「我らは一度契約を結べばそれを無視することはまずできない。だが人は違うだろう? それに人は嘘をつく。お前がそうだとは言わないがそれでも疑うには十分だろ」

告白した時点でアデルからしみればそれでいいと思っていたのだが、確かに何か形に残す用なことをしなければ相手が不安になるのも仕方がない。
指輪を用意しようかとも考えて手の中で適当な指輪を作り出してみるが、そんなものを相手に渡したところで意味があるのだろうかと考えて手の中で握りつぶす。
並大抵の物を作り出せる上に今まで働いたことによって莫大な金銭を稼いでいるアデルにとってプレゼントとはこの世で一番難しいものだと言える。
悩むアデルだったが、幸運なことにいまこの場にはアデルよりもさらに長生きでかつ恋愛経験のある男がいるのだ。

「どうすればいいんだろうな?」
「どうすればいいか、か。それならば我が作戦を考えてやろう。ごにょごにょ……」
「本気か?」
「本気と言わずしてなんという。少なくとも我はこれ以上にカッコいい男の姿を知らん」
「成功しなかったら恨むぞ」
「その時はうちの娘を持っていけ」
「いらんわ」

ハイベリアに言われたことを真に受けて、アデルは決意を新たにする。
背中を押されるままにアデルはそうしてリナの部屋の前に再びやってきた。
先ほどまでのように重たい雰囲気が漂っているが、それでもさっきまでにくらべれば型の荷が随分と下りた気がする。

「……入るぞ」
「アデル、ダメだ」

ダメと返答が返ってくるが、さっきまでに比べれば拒絶の意思が薄いように感じられる。
少しだけ時間をおいたことで冷静になったのだろう。
アデルは言葉を無視してそのまま部屋の中へと入ると、困ったような顔をしたリナの顔が目に映る。
窓際に置かれた椅子に腰を掛けている彼女の手元には温かいお茶が用意されており、おそらくはメイドの誰かが気を聞かせてくれたのだろうことが垣間見えた。

「ダメだと言っただろう。あいかわらず、話を聞かんやつだな……ふふっ、酒臭いぞアデル」
「なんで笑うのさ、ハイベリアに巻き込まれて大変だったんだから」
「そこは嘘でも私に気を使って飲みに行ったというべきだぞ、私の前で吐いたら100点満点だ」
「さすがにそこまでやったらキャラがぶれてるでしょ」

軽口を交わしながら相手の状況を確認しつつアデルはリナのもとに少しずつ近寄る。
まるで初めての場所に来て警戒している猫のようなそんなアデルの姿にすこし笑みがこぼれそうになるリナだったが、少し意地悪をしてみようとじりじり距離を詰めてくるアデルに対して一瞬引いたような態度を見せると途端にぴたりとアデルが止まった。
最強という称号を持つ人間がまるで怒られている子供の用にびくびくとしているのはなんとも不思議な光景だ。
世界広しといえどもこの光景を見れる人間はそうはいないだろう。
なんとなくアデルに意地悪をしたくなったリナがそうして遊んでいると、ついにはアデルが意を決したように普段からは想像がつかないほどにか細い声を出す。

「ごめん、何も言わずに勝手に魔王と消えて。不安にさせて……悪かった」

謝ることに慣れていないのだろう。
目を合わせることができず頭を下げて必死に許しを請うその姿はリナが人生で初めて見るアデルの姿だ。
いままで強い姿しか見てこなかったアデルがそうして自分に頭を下げている。
その事実がリナの心を強く揺さぶり、そして同時に彼女の心の何かに火をつけた。
いままで有耶無耶にしていたこと、お互いに話すべきではないとなんとなく思っていたから無視していたことをリナは何の迷いもなくそれが二人の関係性を変化させる劇薬だと知りながら手を出す。

「……構わない、そう言ってやることは簡単だが、この際だ。はっきりとさせようじゃないかアデル、お前にとって私はなんなんだ?」
「大切な存在だよ。俺を助けてくれた、リナがいなかったらきっと死んでたと本気でそう思う。だから命の恩人……が、一番近いのかな。」

なぜいまそんな話をするのかと思いながらアデルは素直に思っていたことを口に出す。
命を助ける側であって助けられることなど1000年の人生で一度か二度あった程度の彼にとって、誰かに助けられるということは大きな出来事だ。

「アデルは昔のことを覚えているか? 私たちが初めて会った時のことを」
「それはどっちの話? 騎士団長としての君の話なのか、それとも小さい子供だった時の君の話か」
「……やはり覚えていたのだな」
「忘れないよ、そっちが覚えてると思っていなかったし本当に強くなろうとしてるとも思ってなかったけどね」

アデルと同じくらい強くなりたいと言ってきた子供は何もリナだけではない。
沢山の子供がアデルにあこがれてその力を目指し、そしてアデルが知らない間にその力量差に絶望して気が付けば大人と変わらない彼らがそこにはいる。
久々に会った人間が子供のころは、あの頃は大言壮語を吐いていたといわれたときの気持ちはアデルにとって絶望に値するものだった。
初めてリナを見たとき、強くなろうとしていた彼女を見て抱いた感情を今でも覚えている。

「初対面のころに私を殴り飛ばしたのも、アデルの隣に立てるくらい強くなったかを探るためか?」
「人聞きの悪い言い方しないでよ。どうせ覚えてないだろうと思ってさ、若干の八つ当たりと覚えてるってことを伝えたつもりだよ」
「あれで覚えてると思っているとは思わんだろう、普通に殺されるかと思ったぞ」
「受けきったじゃん。あれ結構うれしかったなぁ、あんなに強くなってると思わなかったよ。こんなに美人になってるとも思わなかったしね」

リナの髪に手を触れながらそんな歯の浮いたようなことを口にするアデルに対して、リナは特に抵抗する様子もなくその行為を受け入れる。

「私のことは好きか?」
「ごめん正直好きって感情はわかんない、ただずっと一緒に居たいとは思うよ」
「正直だな。だが私もそうだ、好きという感情は分からんがお前とはずっと一緒にいたい」

抱きしめてくるリナのことをアデルは抵抗せずに受け止める。
相手とずっと共に居たいと思えること以上に大切なことなどあるだろうか。
そこにあるのは確かに愛であり、リナにとってそれだけで安心を手に入れるには十分だった。
だがアデルはそれを安心だとは思わない。
彼がハイベリアから渡せと言われたもの、そして彼もそれこそが自分が渡せると思った最高の物をアデルはリナの手に握らせる。
無色透明な結晶は持っただけで何かの力があると思わせるだけの物であり、魔族の男たちが愛する女に渡すものだ。

「これは魔界にある結晶、中に火がともって見えるだろ? それは俺の心の写し身なんだ。俺が嘘をつけば青く、本当のことを言っていれば赤くなる」

そういって渡された結晶をリナが見てみれば確かに中で温かい光が煌々と輝いている。
この結晶は魔法とはまた違ったこの世界の法則で作られており、本人の同意のもと作られたこの魔道具はどれだけ取り繕ったところで真実を映し出す。
相手に心のすべてをさらけ出すことがアデルが自分自身で思う最良の選択であり、アデルそのものともいえる結晶をリナは大事そうに手にした。

「お前はいつも不器用だな。ありがとう、アデル」
「それと一応指輪もね」
「グノシーにはもう渡してあるのか?」
「うーん、まぁおいおいかな」
「そうか。そういえばなんでグノシーを嫁にするんだ? 別に文句があるわけではないが、ふと疑問に思ってな」

この質問が飛んでくることはアデルの想像の範囲内だ。
ちらりとリナが視線の端で本人も無自覚の間に決勝へと目線を映しているのを見ながら、アデルは素直に話す。

「グノシーには悪いけど、自分なりのケジメだよ。グノシーには魔王の力を理性のある魔王として制御してもらわないと困る。そのためには恋愛感情が最も有効的な手段なんだけど魔族の特性上自分より強い生物しか愛することができない。こっちの都合で好きにはなってもらうけどその気持ちに答えないっていうのは誠実じゃないと、そう思ってるんだよ」
「……そうか、グノシーはそれを分かっているんだろうな。なら私からいう事はもうない。グノシーが待っているだろう? 魔王の力を早く扱えるようにしてグノシーと一緒に帰ってきてくれ」
「ああ。すぐに帰ってくる」

寂しくないと言えば嘘になるが、いまは彼が自分の元に帰ってくると自身を持ってリナは言える。
転移魔法によって消え去ったアデルの背中を追いかけながら、リナはいまかいまかとアデルが帰ってくるのを楽しみに待つのだった。
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