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幼少期:共和国編
抜根的な治療法
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いくつか麻薬グループのアジトを潰す中で、使われている麻薬が雨が多いこの気候だからこそ生える麻薬であることを割り出す
迷宮がいつ暴走するか分からずそちらに軍を裂いているので、その関係で治安が悪化している話を聞きつけるエルピス
解決までに残り一週間以上はあるが、早急に討伐を目指して行動を始める。、
暗闇に幾つかの光が走る。
魔法によって生み出された鮮やかな光は見るものを魅了するが、その光は触れれば即座に命を断つ危ない光だ。
奴隷達の歓声を耳にし急足で向かってくる男達を前にしてエルピスが取った行動は、光源の破壊であった。
「──ッ! 敵襲!! 敵襲だぁぁあっ!!」
ここは地下の奥深く。
人工的に光を作らなければ、目の前に広げた手のひらさえ見えないほどの暗闇が辺り一面を覆っている。
亜人種ならばいざ知らず。
人間は技能による補助がなければ、完全な暗闇に適応することはできない。
「灯りは付けるな! 付けたところから狙い撃ちされるぞ!!」
「場所は分かってるんだ! お前ら囲め!!」
「……超冷静じゃん」
男達の声を聞きながらエルピスは予想外の反応に面倒くさそうに呟いた。
いきなり襲撃されたのだ。
野盗崩れ程度なら、もう少し驚く時間があってもいいはずである。
神人としての目と神域の効果によってこの空間の全てを掌握しているエルピスは、目が見えないながらに協力してこちらへとにじり寄ってくる男達の姿を確かに捉えていた。
「じゃあ後は頼んだよ」
そう言いながらエルピスが行ったのは防御魔法を展開して自分の背後に居る捕まった人たちを守る事。
攻撃に転じれば目の前の敵を蹴散らすのは簡単だろうが、護衛対象から離れるのはリスクもあるし何より頼れる仲間たちがこの場には居るのだ。
「――まかせなさいッ!!」
エルピスの声に呼応するようにして穴から飛び込んできたアウローラ達。
落ちてくるまでに状況を理解したセラの魔法によって一行が空中にピタリと止まると、即座にアウローラが魔法を放つ。
使用した魔法は光魔法に分類される<閃光>であり、一瞬目の奥が焼けてしまう程の鋭い光が辺り一帯を包み込む。
それと同時に灰猫とエラが付近の小屋に飛び移り近接戦闘を開始。
2人とも亜人種として暗い場所に耐性があるうえにどうやらセラによって魔法的に強化されているらしく、視界の自由度という圧倒的な優位を確立した状況で行われる戦闘はまさに蹂躙であった。
「クソッ!! なんなんだこいつら!!」
道中何度か遠距離から攻撃を仕掛けようとした魔法使いや弓使いなどが居たものの、アウローラだけでなくセラとエルピス3人の手によって見事に完封されている。
そうして戦闘はものの数分で完全勝利に終わり、エルピスはぼこぼこにされた兵士の一人を回復させ簀巻きにした状態で雑に地面に投げつけた。
「さてと、取り合えずここで何をしてたのか、聞かせてもらいましょうか」
「…………言うと思うのか?」
戦闘も終わりせっかくの暗がりではこちらの怖さが伝わりづらいだろうとわざわざ光をともしたエルピスは、男の前に座りこんでなぜこんなことをしたのか問いただす。
そんなエルピスに対しての男の返答は彼の立場からしたら当然の物だった。
逃げるという選択肢を考えるにはあまりにも戦闘力に差があるのは既に先程実演済みであり、もし仮に彼らが罪を認め洗いざらい吐いたとしてこの国の司法にかけられれば彼らに待っているのは結局死である。
だからこそエルピスはそんな彼の問いかけに対して元から持っていた答えを返す。
「ぜんぜん」
その言葉に拍子抜けしたような顔をする男。
だがエルピスにとってみれば大切なのは目の前の男の言葉ではなく、鑑定によって彼から得られる情報である。
鑑定によって表示されるのは大まかに分けて3つある。
一つ目がその者の技能等の情報、二つ目は犯罪歴等々、三つめは個人情報だ。
深い情報を知ろうとすればするほど時間はかかるし、相手が自分と同じくらい強ければ更にかかる時間は増えていく。
今回に限っては相手は格下であり時間をどれほどかけたとしても問題はない。
大切なことは情報漏洩を避けるために自殺か他殺で彼が死んでしまう状況を避ける事だけだ。
「個人的に怪しいのはやっぱり共和国の盟主達かな。権力争いが苛烈になってるって話はチラッと聞いてるし」
「………………」
「隠しても無駄ですから、早く吐いた方が何かと都合がいいと思いますよ。このままだと共和国側に引き渡させていただきますが」
相手からの反応がなくてもエルピスは淡々と言葉を吐き続ける。
実際この国の司法を当てにはしていないので、引き渡すことはまずしないだろう。
ならもし彼等に全てを話すから助けてくれと言われたら、どうするだろうか。
現実的なのは一ヶ月ほどアルヘオ家で幽閉し、事実確認が取れ次第死刑制度の無い適当な国で牢獄を堪能してもらうというものだ。
やったことの責任は取る必要があるので刑務所暮らしはしてもらうにしても、殺されてしまうことはそれで避けられるだろう。
「………………」
「そうですか。残念です」
あくまでも口を割るつもりはないらしい。
男の態度からそう判断したエルピスは、縛りあげたまま男に背を向けてその場を後にする。
必要な最低限の情報は鑑定によって既に取得済みであり、何も情報を吐くつもりのない男を相手に長々と話し合いをする時間は必要ない。
一応周囲を確認しつつ少し歩くと、アウローラ達が何やら話し合いを行っているのが目に留まる。
「あっ、エルピス戻ってきた」
「ただいま。調べてきたけど共和国の盟主がやっぱり関わってるみたいだね」
「こんな短時間で吐いたの!? 一体何したのよ」
「吐いてないよ。鑑定で所属部隊割り出したんだ。そしたら前アウローラを攫った所と同じようなのに所属してたよ」
「それ本当に正確な情報なの?」
アウローラが疑ってしまうのも無理はない。
この世界において鑑定の技能は非常に貴重な物であり、持っているだけでも食うに困らないほど重宝されている技能だ。
そんな鑑定だが効果が強烈故に対抗する手段も数多く存在する。
例えば魔道具、例えば技能、たとえば魔法。
様々な方法を用いて妨害するのが世間一般的には常識とされており、アウローラ自身も鑑定の技能を持っているからこそ情報の信憑性が気になるのは仕方のない所である。
「確かな情報だよ。特殊技能を使ってるし、魔法や魔道具の類はない。まぁそれでも騙されてるなら、それこそただの盗賊にはできっこない芸当だよ」
「その鑑定を使えば、僕の素性だって分かるって事?」
じろりと睨みつけるような目で灰猫はエルピスを見る。
過去に何か並々ならぬ事があったのだろうという事はエルピスだって理解しているので、早々にその疑念を否定する。
「分かるよ。使って欲しくなさそうだから使ってないけど」
「ふぅん……ま、それならいいけど。それよりここ、妙だよ」
一先ず見ていないという事は信用されたのだろう。
少しだけ気分がよさそうに尻尾を振りながら近くにあった机の上をコンコンと叩く。
机に何かあったのかと視線を移してみるが、神域で事前に確認した通りこの場所には特に特筆する様な物はない。
だとすれば灰猫が言っているこの場所とは、いまいる空間そのものの話だろう。
確かに洪水対策の水路だとしてもやたらと横道は多いし、この場所に人が済めるだけの足場を用意してあるのも違和感はある。
そんなエルピスの言葉を肯定するように灰猫は言葉を続ける。
「盟主の関係者だって言ってたけど、奴隷商ではないってことだよね?」
「……そうだね。奴隷商人だったらそっち系の称号が付いているはずだけど、さっき見た時は誰も奴隷商の称号は付いていなかったよ」
「それは……おかしくないですかエルピス様。先ほど捕まっている人たちに少しだけ話を聞きましたが、ここに捕まってから既に2週間以上経過している者も多く、最も長いものでは三ヶ月間も居たと聞いています。その間に少なくとも2回は大幅な人員移動があったとか」
奴隷商として活動していないにも関わらず、人はどこかに送り込まれている。
灰猫が妙だと口にするはずだ。
人を売り買いしたその瞬間から奴隷商の称号は付くはずで、称号の隠蔽を行おうと思えば特殊技能と魔道具の合わせ技でもしない限りエルピスの鑑定を抜けるのは不可能なはず。
一人二人が何らかの方法でエルピスの鑑定を抜けることは考えられるにしても、この場に居た敵全員が鑑定から逃げおおせるのはあまりにも非現実的だ。
だとすれば人を売りに出す以外で共和国の盟主が手動の元に大量の人員をどこかに送り込んでいるのだ。
では一体どこに?
そしてそれは何の目的で?
「考えられるものとして一番現実的なのは、儀式魔法の生贄でしょうね。仮に魔法の発動に使っているのだとしたら、こんな地下深くに人を集めているのも盟主が動いているのも納得がいくわ」
「儀式魔法って……そんな……じゃあ捕まった人たちは?」
「戦術級……今回の人数的にはその上の国家級魔法でしょうね。その発動に必要なのは魔力と供物、生物の命はその両方をこなせる貴重な資源よ。だからアウローラが想像している通り、もうこの世界にはいないでしょうね」
エルピスが平然と攻撃に使用している国家級魔法は、本来大量の触媒と供物を必要とする。
彼の場合は魔神という特権と通常よりも遥かに多い魔力消費と緻密な魔力操作によって必要とされている物を踏み倒しているだけ。
価値のある魔道具などはもちろんの事、セラの口にした通り人というのはよい供物になるのだ。
発生させる魔法の規模や効果に応じて必要になる人の数は大きく変動するが、長期間にわたって運用されるような国家級魔法を使用しているのであれば犠牲者の数は増すばかり。
複数個所でここと同じように捕まっている人達が居る事を確認できているので、既に3桁以上の人間が犠牲になっている事だけは間違いない。
「話の規模が随分と大きくなってきたね。そこまで強い魔力反応があれば気が付くはずだけど、どこからもそんな反応感じなくない?」
「これだけ大きな国家なら隠すための魔道具だってあるはずよ。まだいまのエルピスじゃそれを見つけるのは難しいでしょうね」
魔神の称号を解放できていない今のエルピスでは、残念なことに現在発動している国家級魔法を無理やり止めるという手法を取ることは出来ないようだ。
それが出来れば話が早かったのに……そう思わずにはいられないエルピスだが、ことここに至ってはその方法を実現できなかったことは幸運だったのかもしれない。
既に盟主と一戦を交えたことのあるエルピスがこれ以上この国の内政に干渉した場合、共和国とアルへオ家が正面切っての戦闘に発展する可能性だってある。
家長がエルピスになった後ならばまだしも、現在家の最高決定者であるイロアスは魔界に行っているので下手にエルピスが問題を起こすのはまずい。
「だったら、とりあえず今捕まえている奴らは喋れないようにして、他のところから捕まっている人たちだけを救出するのがいまの最善じゃない?」
「そうなるか。連絡が途絶えて不審がられても面倒だし、今日中に全部終わらせよう」
決めてしまえばあとは他の所も同じように制圧し開放していくだけのこと。
その後、全ての地下奴隷施設は壊滅する運びとなるのであった。
/
時刻は夜。
宿屋に帰宅したエルピスはベッドに体を預けると数回大きく伸びをして、それから大きく深呼吸をする。
命の危険は一度もなかったが、それでも戦闘をこなせば気疲れはするもの。
そうしてゆったりとしていれば自然と自分が平和な世界に戻って来てこれた事を自覚できる。
「疲れたぁ!」
「結局あの後潰して回ったは良いけど、まさか夜中までかかるとはね」
戦闘自体はすぐに終わったが、犯人の引き渡しと捕まっていた人達の逃走経路の確保が大問題だったのだ。
表沙汰にすると後々面倒だからと金で動きそうな商人を数人捕まえ、エルピス直筆の手紙を持たせて王国へと走らせるという計画自体は良かった。
金で動きそうな商人に伝手がない事と、いきなり夜間見ず知らずの人間が大量に移動すると言う明らかに不法な行為が行われている現場が存在すると言う点にさえ目をつぶればだが。
実際は幸運なことに馬車を運転できる者がそれなりにいたので、エルピスが契約魔法で相手を縛った上で転移魔法を用いて強力魔法反応を出さない様に首都近郊の森の中に転移させたのがつい先ほど。
共和国の魔法に対する警備がどれほどか分からなかったので、相当な準備をして行った一大魔法である。
証拠は少しも残っていない……はずだ。
「想像していたよりもよほど大きな案件のようですね。薬物ともどうやら絡んでいるようですし」
「異世界人を探すって旅の目標から考えるとちょっとズレてはいるけど見過ごせないしね」
「ただ場所を特定して根本を叩けない以上、今日助けた人達は大丈夫にしてもそのうち別の人が回収されてまた同じようなことが行われるでしょうね」
「それはそうなんだよなぁ……。怪しい場所をしらみ潰しに探せばいつかは当たるだろうけど、流石にそんなことしたら反感凄いだろうなぁ」
ただでさえ現状やりすぎているのだ。
表立ってこれ以上盟主やその地位に近い人間とやり合うのはエルピスとしても避けたい。
「問題を解決したいなら、根本をなんとかしないと」
「そうは言ってもさすがに今回の一件に表立って手を出すのは危険すぎます。共和国の最高位冒険者が出てこないとも限りませんし」
実際問題はそこだ。
仮にもしエルピスが最高位冒険者に街中で襲われた場合、生き残る為にはさすがに反撃する必要がある。
ミスミス殺されるつもりはないし、ましてや仲間に被害を加えられる可能性があれば全力で相手することも仕方のないことだと割り切っている。
ただ前回は相手がこちらの領域で好き勝手したから咎めることができたが、人道的に正しい行いをしているとはいえいまのエルピス達が他国で好き勝手やっているのは歪めようのない事実である。
「セラはどう思う?」
「リスクリターンが合っていない……という話は置いておくとしても、現状のこの国ではそもそも事件解決は不可能よ。なにせ軍の人間が出払いすぎてる影響で、そもそも首都自体の治安が崩壊してるもの。どんな方法で治そうとしたってどこかでまた再発するわよ」
「国軍を戻す事ができれば少しはこの状況もマシになる……か。そうなるとやっぱり迷宮攻略は必須かな」
それにハッキリ言ってエルピスは捉えられた人達の使い道に思い当たる節があった。
5年前から攻略されていない迷宮に、その迷宮が溢れ出しそうと言う話が出て来るる前から徐々に増えていた失踪者。
麻薬が市場に出回り始めた時期とかぶっているのは偶然の可能性も捨て切れないが、少なくともあんな地下で国家級魔法を使おうとしている理由は明らかに迷宮関連の魔法を使用するつもりだからだ。
仮にそれが迷宮を破壊する様な魔法のために用意されているのであれば、エルピスが迷宮を踏破さえして終えば奴隷も必要なくなると言う話である。
なんにせよここは手詰まりな以上、迷宮を攻略するのが今のエルピスの最善手であることは間違いがない。
「5年も攻略出来ていない迷宮か……中はすごいことになってるだろうね」
「まぁそれは行ってからのお楽しみって事で」
それはそれはひどいことになっているだろうが、逆に戦いの感を取り戻すのには丁度いい場所なのかもしれない。
最近弱い敵ばかりで鈍っている自分には丁度いいだろうと思いつつあれやこれやを考えていると、気がつけばエルピスはいつの間にか眠ってしまっていたのであった。
迷宮がいつ暴走するか分からずそちらに軍を裂いているので、その関係で治安が悪化している話を聞きつけるエルピス
解決までに残り一週間以上はあるが、早急に討伐を目指して行動を始める。、
暗闇に幾つかの光が走る。
魔法によって生み出された鮮やかな光は見るものを魅了するが、その光は触れれば即座に命を断つ危ない光だ。
奴隷達の歓声を耳にし急足で向かってくる男達を前にしてエルピスが取った行動は、光源の破壊であった。
「──ッ! 敵襲!! 敵襲だぁぁあっ!!」
ここは地下の奥深く。
人工的に光を作らなければ、目の前に広げた手のひらさえ見えないほどの暗闇が辺り一面を覆っている。
亜人種ならばいざ知らず。
人間は技能による補助がなければ、完全な暗闇に適応することはできない。
「灯りは付けるな! 付けたところから狙い撃ちされるぞ!!」
「場所は分かってるんだ! お前ら囲め!!」
「……超冷静じゃん」
男達の声を聞きながらエルピスは予想外の反応に面倒くさそうに呟いた。
いきなり襲撃されたのだ。
野盗崩れ程度なら、もう少し驚く時間があってもいいはずである。
神人としての目と神域の効果によってこの空間の全てを掌握しているエルピスは、目が見えないながらに協力してこちらへとにじり寄ってくる男達の姿を確かに捉えていた。
「じゃあ後は頼んだよ」
そう言いながらエルピスが行ったのは防御魔法を展開して自分の背後に居る捕まった人たちを守る事。
攻撃に転じれば目の前の敵を蹴散らすのは簡単だろうが、護衛対象から離れるのはリスクもあるし何より頼れる仲間たちがこの場には居るのだ。
「――まかせなさいッ!!」
エルピスの声に呼応するようにして穴から飛び込んできたアウローラ達。
落ちてくるまでに状況を理解したセラの魔法によって一行が空中にピタリと止まると、即座にアウローラが魔法を放つ。
使用した魔法は光魔法に分類される<閃光>であり、一瞬目の奥が焼けてしまう程の鋭い光が辺り一帯を包み込む。
それと同時に灰猫とエラが付近の小屋に飛び移り近接戦闘を開始。
2人とも亜人種として暗い場所に耐性があるうえにどうやらセラによって魔法的に強化されているらしく、視界の自由度という圧倒的な優位を確立した状況で行われる戦闘はまさに蹂躙であった。
「クソッ!! なんなんだこいつら!!」
道中何度か遠距離から攻撃を仕掛けようとした魔法使いや弓使いなどが居たものの、アウローラだけでなくセラとエルピス3人の手によって見事に完封されている。
そうして戦闘はものの数分で完全勝利に終わり、エルピスはぼこぼこにされた兵士の一人を回復させ簀巻きにした状態で雑に地面に投げつけた。
「さてと、取り合えずここで何をしてたのか、聞かせてもらいましょうか」
「…………言うと思うのか?」
戦闘も終わりせっかくの暗がりではこちらの怖さが伝わりづらいだろうとわざわざ光をともしたエルピスは、男の前に座りこんでなぜこんなことをしたのか問いただす。
そんなエルピスに対しての男の返答は彼の立場からしたら当然の物だった。
逃げるという選択肢を考えるにはあまりにも戦闘力に差があるのは既に先程実演済みであり、もし仮に彼らが罪を認め洗いざらい吐いたとしてこの国の司法にかけられれば彼らに待っているのは結局死である。
だからこそエルピスはそんな彼の問いかけに対して元から持っていた答えを返す。
「ぜんぜん」
その言葉に拍子抜けしたような顔をする男。
だがエルピスにとってみれば大切なのは目の前の男の言葉ではなく、鑑定によって彼から得られる情報である。
鑑定によって表示されるのは大まかに分けて3つある。
一つ目がその者の技能等の情報、二つ目は犯罪歴等々、三つめは個人情報だ。
深い情報を知ろうとすればするほど時間はかかるし、相手が自分と同じくらい強ければ更にかかる時間は増えていく。
今回に限っては相手は格下であり時間をどれほどかけたとしても問題はない。
大切なことは情報漏洩を避けるために自殺か他殺で彼が死んでしまう状況を避ける事だけだ。
「個人的に怪しいのはやっぱり共和国の盟主達かな。権力争いが苛烈になってるって話はチラッと聞いてるし」
「………………」
「隠しても無駄ですから、早く吐いた方が何かと都合がいいと思いますよ。このままだと共和国側に引き渡させていただきますが」
相手からの反応がなくてもエルピスは淡々と言葉を吐き続ける。
実際この国の司法を当てにはしていないので、引き渡すことはまずしないだろう。
ならもし彼等に全てを話すから助けてくれと言われたら、どうするだろうか。
現実的なのは一ヶ月ほどアルヘオ家で幽閉し、事実確認が取れ次第死刑制度の無い適当な国で牢獄を堪能してもらうというものだ。
やったことの責任は取る必要があるので刑務所暮らしはしてもらうにしても、殺されてしまうことはそれで避けられるだろう。
「………………」
「そうですか。残念です」
あくまでも口を割るつもりはないらしい。
男の態度からそう判断したエルピスは、縛りあげたまま男に背を向けてその場を後にする。
必要な最低限の情報は鑑定によって既に取得済みであり、何も情報を吐くつもりのない男を相手に長々と話し合いをする時間は必要ない。
一応周囲を確認しつつ少し歩くと、アウローラ達が何やら話し合いを行っているのが目に留まる。
「あっ、エルピス戻ってきた」
「ただいま。調べてきたけど共和国の盟主がやっぱり関わってるみたいだね」
「こんな短時間で吐いたの!? 一体何したのよ」
「吐いてないよ。鑑定で所属部隊割り出したんだ。そしたら前アウローラを攫った所と同じようなのに所属してたよ」
「それ本当に正確な情報なの?」
アウローラが疑ってしまうのも無理はない。
この世界において鑑定の技能は非常に貴重な物であり、持っているだけでも食うに困らないほど重宝されている技能だ。
そんな鑑定だが効果が強烈故に対抗する手段も数多く存在する。
例えば魔道具、例えば技能、たとえば魔法。
様々な方法を用いて妨害するのが世間一般的には常識とされており、アウローラ自身も鑑定の技能を持っているからこそ情報の信憑性が気になるのは仕方のない所である。
「確かな情報だよ。特殊技能を使ってるし、魔法や魔道具の類はない。まぁそれでも騙されてるなら、それこそただの盗賊にはできっこない芸当だよ」
「その鑑定を使えば、僕の素性だって分かるって事?」
じろりと睨みつけるような目で灰猫はエルピスを見る。
過去に何か並々ならぬ事があったのだろうという事はエルピスだって理解しているので、早々にその疑念を否定する。
「分かるよ。使って欲しくなさそうだから使ってないけど」
「ふぅん……ま、それならいいけど。それよりここ、妙だよ」
一先ず見ていないという事は信用されたのだろう。
少しだけ気分がよさそうに尻尾を振りながら近くにあった机の上をコンコンと叩く。
机に何かあったのかと視線を移してみるが、神域で事前に確認した通りこの場所には特に特筆する様な物はない。
だとすれば灰猫が言っているこの場所とは、いまいる空間そのものの話だろう。
確かに洪水対策の水路だとしてもやたらと横道は多いし、この場所に人が済めるだけの足場を用意してあるのも違和感はある。
そんなエルピスの言葉を肯定するように灰猫は言葉を続ける。
「盟主の関係者だって言ってたけど、奴隷商ではないってことだよね?」
「……そうだね。奴隷商人だったらそっち系の称号が付いているはずだけど、さっき見た時は誰も奴隷商の称号は付いていなかったよ」
「それは……おかしくないですかエルピス様。先ほど捕まっている人たちに少しだけ話を聞きましたが、ここに捕まってから既に2週間以上経過している者も多く、最も長いものでは三ヶ月間も居たと聞いています。その間に少なくとも2回は大幅な人員移動があったとか」
奴隷商として活動していないにも関わらず、人はどこかに送り込まれている。
灰猫が妙だと口にするはずだ。
人を売り買いしたその瞬間から奴隷商の称号は付くはずで、称号の隠蔽を行おうと思えば特殊技能と魔道具の合わせ技でもしない限りエルピスの鑑定を抜けるのは不可能なはず。
一人二人が何らかの方法でエルピスの鑑定を抜けることは考えられるにしても、この場に居た敵全員が鑑定から逃げおおせるのはあまりにも非現実的だ。
だとすれば人を売りに出す以外で共和国の盟主が手動の元に大量の人員をどこかに送り込んでいるのだ。
では一体どこに?
そしてそれは何の目的で?
「考えられるものとして一番現実的なのは、儀式魔法の生贄でしょうね。仮に魔法の発動に使っているのだとしたら、こんな地下深くに人を集めているのも盟主が動いているのも納得がいくわ」
「儀式魔法って……そんな……じゃあ捕まった人たちは?」
「戦術級……今回の人数的にはその上の国家級魔法でしょうね。その発動に必要なのは魔力と供物、生物の命はその両方をこなせる貴重な資源よ。だからアウローラが想像している通り、もうこの世界にはいないでしょうね」
エルピスが平然と攻撃に使用している国家級魔法は、本来大量の触媒と供物を必要とする。
彼の場合は魔神という特権と通常よりも遥かに多い魔力消費と緻密な魔力操作によって必要とされている物を踏み倒しているだけ。
価値のある魔道具などはもちろんの事、セラの口にした通り人というのはよい供物になるのだ。
発生させる魔法の規模や効果に応じて必要になる人の数は大きく変動するが、長期間にわたって運用されるような国家級魔法を使用しているのであれば犠牲者の数は増すばかり。
複数個所でここと同じように捕まっている人達が居る事を確認できているので、既に3桁以上の人間が犠牲になっている事だけは間違いない。
「話の規模が随分と大きくなってきたね。そこまで強い魔力反応があれば気が付くはずだけど、どこからもそんな反応感じなくない?」
「これだけ大きな国家なら隠すための魔道具だってあるはずよ。まだいまのエルピスじゃそれを見つけるのは難しいでしょうね」
魔神の称号を解放できていない今のエルピスでは、残念なことに現在発動している国家級魔法を無理やり止めるという手法を取ることは出来ないようだ。
それが出来れば話が早かったのに……そう思わずにはいられないエルピスだが、ことここに至ってはその方法を実現できなかったことは幸運だったのかもしれない。
既に盟主と一戦を交えたことのあるエルピスがこれ以上この国の内政に干渉した場合、共和国とアルへオ家が正面切っての戦闘に発展する可能性だってある。
家長がエルピスになった後ならばまだしも、現在家の最高決定者であるイロアスは魔界に行っているので下手にエルピスが問題を起こすのはまずい。
「だったら、とりあえず今捕まえている奴らは喋れないようにして、他のところから捕まっている人たちだけを救出するのがいまの最善じゃない?」
「そうなるか。連絡が途絶えて不審がられても面倒だし、今日中に全部終わらせよう」
決めてしまえばあとは他の所も同じように制圧し開放していくだけのこと。
その後、全ての地下奴隷施設は壊滅する運びとなるのであった。
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時刻は夜。
宿屋に帰宅したエルピスはベッドに体を預けると数回大きく伸びをして、それから大きく深呼吸をする。
命の危険は一度もなかったが、それでも戦闘をこなせば気疲れはするもの。
そうしてゆったりとしていれば自然と自分が平和な世界に戻って来てこれた事を自覚できる。
「疲れたぁ!」
「結局あの後潰して回ったは良いけど、まさか夜中までかかるとはね」
戦闘自体はすぐに終わったが、犯人の引き渡しと捕まっていた人達の逃走経路の確保が大問題だったのだ。
表沙汰にすると後々面倒だからと金で動きそうな商人を数人捕まえ、エルピス直筆の手紙を持たせて王国へと走らせるという計画自体は良かった。
金で動きそうな商人に伝手がない事と、いきなり夜間見ず知らずの人間が大量に移動すると言う明らかに不法な行為が行われている現場が存在すると言う点にさえ目をつぶればだが。
実際は幸運なことに馬車を運転できる者がそれなりにいたので、エルピスが契約魔法で相手を縛った上で転移魔法を用いて強力魔法反応を出さない様に首都近郊の森の中に転移させたのがつい先ほど。
共和国の魔法に対する警備がどれほどか分からなかったので、相当な準備をして行った一大魔法である。
証拠は少しも残っていない……はずだ。
「想像していたよりもよほど大きな案件のようですね。薬物ともどうやら絡んでいるようですし」
「異世界人を探すって旅の目標から考えるとちょっとズレてはいるけど見過ごせないしね」
「ただ場所を特定して根本を叩けない以上、今日助けた人達は大丈夫にしてもそのうち別の人が回収されてまた同じようなことが行われるでしょうね」
「それはそうなんだよなぁ……。怪しい場所をしらみ潰しに探せばいつかは当たるだろうけど、流石にそんなことしたら反感凄いだろうなぁ」
ただでさえ現状やりすぎているのだ。
表立ってこれ以上盟主やその地位に近い人間とやり合うのはエルピスとしても避けたい。
「問題を解決したいなら、根本をなんとかしないと」
「そうは言ってもさすがに今回の一件に表立って手を出すのは危険すぎます。共和国の最高位冒険者が出てこないとも限りませんし」
実際問題はそこだ。
仮にもしエルピスが最高位冒険者に街中で襲われた場合、生き残る為にはさすがに反撃する必要がある。
ミスミス殺されるつもりはないし、ましてや仲間に被害を加えられる可能性があれば全力で相手することも仕方のないことだと割り切っている。
ただ前回は相手がこちらの領域で好き勝手したから咎めることができたが、人道的に正しい行いをしているとはいえいまのエルピス達が他国で好き勝手やっているのは歪めようのない事実である。
「セラはどう思う?」
「リスクリターンが合っていない……という話は置いておくとしても、現状のこの国ではそもそも事件解決は不可能よ。なにせ軍の人間が出払いすぎてる影響で、そもそも首都自体の治安が崩壊してるもの。どんな方法で治そうとしたってどこかでまた再発するわよ」
「国軍を戻す事ができれば少しはこの状況もマシになる……か。そうなるとやっぱり迷宮攻略は必須かな」
それにハッキリ言ってエルピスは捉えられた人達の使い道に思い当たる節があった。
5年前から攻略されていない迷宮に、その迷宮が溢れ出しそうと言う話が出て来るる前から徐々に増えていた失踪者。
麻薬が市場に出回り始めた時期とかぶっているのは偶然の可能性も捨て切れないが、少なくともあんな地下で国家級魔法を使おうとしている理由は明らかに迷宮関連の魔法を使用するつもりだからだ。
仮にそれが迷宮を破壊する様な魔法のために用意されているのであれば、エルピスが迷宮を踏破さえして終えば奴隷も必要なくなると言う話である。
なんにせよここは手詰まりな以上、迷宮を攻略するのが今のエルピスの最善手であることは間違いがない。
「5年も攻略出来ていない迷宮か……中はすごいことになってるだろうね」
「まぁそれは行ってからのお楽しみって事で」
それはそれはひどいことになっているだろうが、逆に戦いの感を取り戻すのには丁度いい場所なのかもしれない。
最近弱い敵ばかりで鈍っている自分には丁度いいだろうと思いつつあれやこれやを考えていると、気がつけばエルピスはいつの間にか眠ってしまっていたのであった。
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これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
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そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
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