異世界に来たけど、どうする?

ほうれん草オバケ

文字の大きさ
8 / 55

7話 森での出会い

しおりを挟む
  「よっと」

  攻撃を避けると同時に剣を振り猿の魔物の首を落とす。ーーーうん、いい感じだ。お、あれは!

「……パンツうさぎだ」
  なに言ってるの?とか思ってるだろう、だけど残念ながら本当の名前である、見た目はうさぎだ、違う所は毛が下腹部にしか生えていないと言う事だ。その為、初めて会った冒険者が『まるでパンツを穿いてるみたいだな!』と言った所からパンツうさぎ、と言われてるらしい。
ーーーでもそんな事はどうでもいい……何よりもあのウサギは旨いのだ。
「あいつらのお土産に狩って行くか……」
  
  あいつは気配に敏感で何より脚が速い、一度逃げられたら捕まえられない……。だから気配を消す、音を出さない為に動きを最小限に、殺気も出さない為にーーー斬る。


「………おっと」
  いつの間にか仕留めていた、集中するのは良いんだけど、どうも記憶の方が飛んでしまう。
  よく、『お前は集中すると凄いが記憶が飛ぶのは危ないから早く使いこなしなさい』とか言われたっけな~。おじさん今どこで冒険してんのかな。


  ウサギの血抜きが終わり獣道を進んで行く、迷うことは無い。何度も通ってる道だ。
  しばらく歩くと広い空間に出た、そこは花が一面に咲き正面には透き通る様な綺麗な湖があった。

  俺はそこで辺りを見渡す、すると目的の奴らを見つけた、あっちもこちらに気付き近寄って来る。片手を上げながら俺は挨拶をする。

「よ、久しぶり元気?」
「わん!わん!」
「がう!」
「………」(コクリ)

  目の前に小さい狼の子供が二匹とその親狼が居た。





 ーーー コイツらとの出会いは半年位前の話。

「ふっふふふ……」
  買った、とうとう自分の剣を買ってやったぜ!エクスカリバーとでも名付けてやろうか……
「俺のエクスカリバーが血を欲している……」
  聖剣なのか魔剣なのかよく判らん発言なこれじゃ。でもせっかく買ったんだし試したいなぁ。

「?あれは……パンツうさぎじゃん」
  お、珍しい。確か父さんが言うにはかなり旨いらしいけど……
「………殺るか」
  ーーそーっと、そーっと……って!?
「ーーあぁ!待て!」
  くっそ、木の枝を踏んじまったみたいだ!
  とにかく追いかけーーはや!
  

  追いかけたのはいいが、ウサギの脚が速く徐々に引き離されて行く。

「ぜぇ……ぜぇ……このぉ、喰らえ!」
  最早ヤケクソ気味に右手に持った剣をウサギに投げつけた、ずっと走って疲れていたせいか剣はあらぬ方向に飛んで行った。ウサギは急に左に方向を変え全身のバネを使いトップスピードで方向を変えた。

「な!? もう……無理だ……脇腹痛い」
  それでも名残惜しくウサギを見たら何故かウサギが倒れていた。

「はぁ……はぁ……なんで!?」
  近寄って見るとどうやら自分が投げた剣が運悪く刺さってしまったらしい。
「マジか、ノーコン万歳だな……」


  焚き火に調味料等で味付けをしたパンツうさぎを近付け火を通す。
「あー、いい匂い……」
  

  ーーーそろそろいい頃合いかな?よし、じゃあ頂き……
「うお!?なんだ?」
  服を何かに引っ張られてる感じがする。

  後ろに視線を向けると二匹の子狼がグルグルと喉を鳴らしながら俺の服を噛んで引っ張っていた。
「ん、なんだ肉が欲しいのか?」
  俺が二匹にそう言うと一瞬肉の方に視線が行き欠けたが無視をして背を向け歩き出した。
「あ、おいもう行くのか?」
  出来ればモフりたかった……

  二匹は少し進むと立ち止まり俺の方を見て鳴いて来た。

「来て欲しいのか?」
  と聞くと二匹は頷き先に進んで行く。

「な!ちょ、待てって!」
  えーっと、火を消して、荷物と剣。それに肉!ーーよし、これで大丈夫……て、あいつらもうあんな所まで行きやがって少しは待ってくれよ!


  しばらく進むと花が一面に咲いている湖にたどり着いた、だけどそんな光景を堪能する程の余裕が無かった。視線の先には子狼の親であろう大きな狼が血だらけで倒れてた居た。

「おいおい……」
  恐る恐る近付いて診る、何かの魔物にヤられたであろう引っ掻き傷があった。ケガをしてだいぶ時間が経っているのだろう息が弱い。
  二匹の子狼がこっちを視る。
「………」『………』
  

 「はぁ……」
  あー、もうやってやんよ! 
  確かリュックの中に薬と包帯があったはず……

「ーー今から薬塗るから暴れるなよ……」
  湖の水を使い傷を流した、暴れるかと思ったが本当に体力が殆ど無いようでピクリとも反応せず浅い呼吸を繰り返すだけだった。そのあと指に付けた薬を傷に塗り包帯を巻こうとした。

「ぐおおおぉぉ!」
  も、持ち上げられない!ど、どうする。これじゃあ包帯が巻けない、……こうなれば。

  狼の腹に中身のパンパンのリュックを軽く下に挟み込み両前足、両後ろ足を両手で掴み引っ張ると同時にリュックを押し出し狼をリュックの上に置くと言う作戦を実行した。まぁ、ちょっと体が痛むかもしれないけど大丈夫だよね?

「ふんぬぅぅぅ!はいれぇぇぇ!」
『………』(ぷるぷるぷる)
  隣で俺の様子を観ていた子狼達が震えている、そんな凄い顔してるか今の俺………


  その後はなんとか包帯を巻き、一応ポーションを飲ませた。しばらくすると呼吸が安定してきて安堵する。

「ふぃ~、これで多分平気かな?」
「わふわふ!」「きゃんきゃん!」
「うわぁ!」
  二匹がお礼をするかの様に俺の顔を舐めて来る。ーーーペロペロ、ペロペローーーペロペロ、ベロベローーーベロベロ、ベロン、ベロン

「ちょっ、なめ……舐め過ぎっ!」
  取り敢えず今の所は親狼の方は大丈夫そうだし帰るか。
「んー、じゃあ俺は帰るな?」
『………』
  んな捨て犬みたいな目で見るなよ……
「明日も診に来るから大人しく待ってなさい……ほら、これあげるから」
  俺の食べ掛けのウサギ肉を置くと二匹は近寄って来て、いいの?本当にいいの?と見てくる
「食べて良いよ、ほら」
「「わふ(きゃん)!」」
  元気がいいねー全く。ーーーーー



  それからはほぼ毎日湖に通い親狼の様子を診に行ったりしていた。徐々に傷も直り動ける様になっていった。最初こそ親狼に噛みつかれそうにはなったけど俺が手当てをしたと知ると大人しくなった。




  そして今に至るという事だ。今はたまに一緒に狩りに行ったりすらする、大事な相棒達だ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!

碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!? 「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。 そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ! 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...