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……沢山の大きなビルが立ち並ぶ交差点…

…沢山の人が忙しなく行き交う…

(あぁ、前世の記憶…かな)

高いところから見下ろすような視点が切り替わり交差点で信号待ちをしているところに移動した

見覚えのある背丈、服装、髪型…あれは
(私だ…人間だった時の)

交差点の待ち時間が長いのでスマホで次の現場の確認をしている所だろう、普段は車で移動しているが近場だと徒歩で移動することが多い

しばらくすると急ブレーキの音とともに何かにぶつかる音が聞こえ、顔を上げるとぶつかったであろう車が目の前に迫っていた

(…やっぱり死んだんだ…運がなかったなぁ…)

そして暗闇になった

.

.

.

.

(…終わり?じゃないよね?小鳥の方の記憶も知れるはずだし…)

.

.

.

暗い卵のなか、身動きひとつ出来ない…
どうしよう、殻を割って早く会いたいのに、外に出たいのに…

外から親達の声が聞こえる…

[ねぇ、あなた、他の雛はもう既に孵って育ち、巣立っているのにこの子だけ出てこないわね]

[そうだな、もうダメなのかもな]

[…自然界の運命さだめ…従うしかないのよね…]

[…ああ]

[…わかったわ、この子は諦めましょう、腐って他の雛に病気が伝染らないように処分するわ…]

処分…そっか…

[すまない…
これは自然界の運命さだめだ]

[…ごめんね]

身体の中心がふわっと浮く感じがする
処分といっていたから地面に落としたのだろう


…遠くで微かに誰かが話している、これは多分小鳥の親達



[…折角産んでくれたのにすまないな]

[…仕方ないわ1年頑張って暖めたけどダメだったの]



あぁ…ボクは産まれることが出来なかった…
優しそうなパパとママに会えたかもしれないのに…


[…さぁ、もうここは使えない…新しい森へ行こう]

[…えぇ…じゃあね…]

さようなら…おやすみなさい…あなた達の子供として産まれたかったな…

ぐしゃっと何かの潰れる音と痛みで記憶は途切れた




(…産まれることの出来なかった小鳥…1年も温め続けてくれた親鳥達……私じゃなくてこの子が黄泉返っていれば……

…いや、黄泉返ったとしても異物扱いされちゃうだけか…この世界も前世と同じで黄泉返りなんて普通はないからね…)

自分の死の間際の記憶と小鳥の死の間際の記憶が戻った




〝あなた達はとても不幸だった、これは転生の際に不手際を起こした私達の責任、この子はもう戻れないとこまでいってしまったけどあなたは何とか繋ぐことが出来た
…元の世界に戻せなくてごめんなさい、どうか自由に生きてください〟


死んだ後、暫くは真っ暗な空間にいたのを思い出した、そこで聞いた声のことも


(…繋いでくれてありがとうございます、その子がまたあの親鳥の子供として産まれることを祈っています)


夢は薄れ遠のいていく

微かに〝ありがとう〟と〝さよなら〟が聞こえた気がする…
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