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後に伝説になる者たちの始まり
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「ちっ……結局またハズレか……」
リーゼルは忌ま忌ましそうにそう吐き捨てると、もうここには様は無いと言わんばかりにきびすを返しギルドを出て行こうとする。
だが、そこに一組の新米冒険者が帰ってきた。
彼らはギルドに入ってくると、剣呑な雰囲気を漂わせるリーベルに気を向けるより先に受付へ向かう。
そしてカウンターの上に袋を一つドサリと置くと、憤りの籠もった声で受付嬢とカースィに詰め寄る。
「昨日受けたゴブリン退治の依頼だけど、依頼書と違って二十近いゴブリンが居たんだが!」
パーティのリーダーであるアービーはそう言うなり、袋の中身をカウンターに広げた。
袋の中身は小柄な魔石で、数はおよそ二十。
それは彼らがゴブリンの群れを倒して得たものだった。
「危うく死にかけたのよ」
「依頼はきちんと精査してるって言ってたわよね」
「危険手当くらい付けてもらわないと割に合わないぜ」
カウンターの上の魔石を見て、受付嬢だけで無くカースィも驚いた表情を見せる。
それだけではない。
ギルドの中で先ほどまでリーベルに恐れおののいていた他の冒険者たちもその話を聞いて気色ばんだ。
「お、おい。あいつらが受けてたのって」
「たしかゴブリンが三体、東の森に出たから退治してくれって奴だよな」
「それがどうして二十もいやがんだ」
「そんなに居たら普通気が付くだろ。依頼主は一体誰なんだ」
冒険者たち。
特にこの町に居るような二つ星以下の者たちにとって、魔物の数の間違いは直接命に関わる問題だ。
一体や二体の誤差は、ゴブリンのような小物ではよくあることだ。
だが、今回のように三体と報告されたのに二十体もいた等と言うことは流石に看破できる物ではない。
普通であれば今頃アービーたちのような駆け出し冒険者はゴブリンの餌になっていたはずだ。
騒ぎが大きくなって行く中、一人の冒険者がアービーに声を掛ける。
「お前たち、それで良く無事に帰ってきたな」
「こいつのおかげだよ」
アービーはそう言って腰の剣を軽く叩いてみせる。
「そいつはあれか。例の鍛冶師の坊主が出て行く前に直したっていう」
「ああ。この剣のおかげでなんとかゴブリンたちを倒すことが出来たんだ。出来れば礼をしたいんだが……でもあいつはもういないんだろ」
アービーがそう答えると、突然彼の腰の剣が何者かの手によって引き抜かれた。
「ふむ……この剣は」
予想外の出来事に何が起こったのかわからない彼らの前で、その剣を引き抜いた女――リーゼルは軽く剣を振った。
するとどうだろう。
魔石がばらまかれたカウンターが、音も無く真っ二つに切り裂かれたでは無いか。
「ひいっ」
「お、おい貴様何を」
悲鳴を上げる受付嬢と、リーゼルの行為を咎めようとするカースィ。
しかし、そのカースィの鼻先にアービーの剣が突き出された。
恐怖に目を見開き動きを止めたカースィに、冷たいリーゼルの声が届く。
「おいお前。さっき例の鍛冶師は偽物だと言ったな」
「……」
「ではこの剣は何だ?」
そんなことを言われてもカースィには何が何だかわからない。
名にも応えられずに居ると、リーゼルの横から剣の持ち主であるアービーが彼女の腕を掴む。
「おい君。僕の剣を勝手に使わないで貰いたいんだが」
「……そうだ、お前で良い。話を聞かせろ」
「話だと?」
リーゼルは目線を自分の腕を掴む青年に移す。
そして切っ先をカースィからはずし、剣の柄をアービーに差し出しながら応える。
「そうだ。この剣を直したという男のことだ」
「ティルトのことか?」
アービーはアーヴィンを取り返すと鞘に収めつつ話す。
「ティルト……そうか、ガーディヴァルの弟子はティルトというのか」
「お、おい。どういうことだ」
自分の鼻先から切っ先が消えたことで我を取り戻したのか、横からカースィが口を挟んだ。
リーゼルの言い方だと、まるであの偽物だと追い出した少年が本物のガーディヴァルの弟子だと言っているようではないか。
「お前、ギルドマスターだと言うならそれなりに力も知識もあんじゃないのか?」
「?」
「……やれやれだな。いくら田舎の弱小ギルドとはいえ、ギルドマスターのレベルがあまりにも低すぎる」
リーゼルはそう嘆息すると、顔を怒りと屈辱で赤くするカースィを指さして厳しい声で言い放つ。
「お前が偽物だと決めつけて追放した鍛冶師は、本物のガーディヴァルの弟子に間違いないと言うことだ」
「本物……だと。だが奴は簡単な装備すら……」
「それよ。ガーディヴァルの話をギルマスであるお前が殆ど知らないとはほとほと呆れるしかない」
伝説の鍛冶職人ガーディヴァル。
彼の伝説の中で一つだけまるで笑い話のような話があった。
「ガーディヴァルはその伝説級の腕前に反して、簡単な鍛冶仕事は上手く出来ないという有名な話だ」
強力な魔物を一刀両断するような剣は造れるのに、普通の包丁は造れない。
どんな魔法でも防ぐ盾は造れるのに、何度挑んでも歪んだ鍋蓋しか出来ない。
「お前はこの剣を見たのか?」
「い、いや」
「だろうな。もしこの剣を見ていれば、嘘つきだと追い出すなどあり得ないだろうからな。この剣は伝説級の聖剣だよ」
リーゼルの言葉にギルド中にざわめきが広がる。
なんといっても四つ星の冒険者……しかも二つ名が付くほどの者が告げたことだ。
誰もがそれが真実だと確信した。
「これが……聖剣……」
「本当にアービーの爺さんって凄い人だったのか」
腰に戻した剣をもう一度抜き、アービーはその刀身をじっと見つめる。
そしてその刀身を見つめるもう一人の男――カースィの顔がどんどん青ざめていく。
「その剣……それを本当にあいつか……ティルトが鍛え直したってのか……」
「ふむ。一応はこの剣のすごさがわかったようだな。だがもう遅い。私はそのティルトという少年を追う」
リーゼルはそう言い放つとギルドの出口に向かって歩き出す。
そしてスイングドアを開いた所で足を止めると、背中越しに最後の言葉を残した。
「アービーと言ったな。その剣はこの先もお前を助け導いてくれるだろう。私にはそれがわかる」
「……」
「大切にしろ」
リーゼルはアービーの返事を待たず外に出て行ってしまった。
ギルドの中に残ったのは様々な感情が交じり合った空気。
その中にはあからさまにギルドマスターであるカースィに対する失望感が含まれていて。
「それじゃあギルマス」
聖剣アーヴィンを腰に戻したアービーはそう口にしながら振り返る。
そして未だに茫然自失なカースィに向けて静かな口調でこう切り出した。
「今回のゴブリン退治についての弁明を聞かせて貰いましょうか」
後にその話は、伝説の冒険者アービーとその仲間たちが最初にくぐり抜けた試練として語り継がれることになる。
同時にガーディヴァルの弟子であり、師匠をも超える鍛冶師と謳われるティルトの名が歴史上初めて記された物語。
「あー、もう。どうして包丁の一つも造れないんだよっ僕は!」
だがその時の彼は、未だ苦難の道の途中であったという。
リーゼルは忌ま忌ましそうにそう吐き捨てると、もうここには様は無いと言わんばかりにきびすを返しギルドを出て行こうとする。
だが、そこに一組の新米冒険者が帰ってきた。
彼らはギルドに入ってくると、剣呑な雰囲気を漂わせるリーベルに気を向けるより先に受付へ向かう。
そしてカウンターの上に袋を一つドサリと置くと、憤りの籠もった声で受付嬢とカースィに詰め寄る。
「昨日受けたゴブリン退治の依頼だけど、依頼書と違って二十近いゴブリンが居たんだが!」
パーティのリーダーであるアービーはそう言うなり、袋の中身をカウンターに広げた。
袋の中身は小柄な魔石で、数はおよそ二十。
それは彼らがゴブリンの群れを倒して得たものだった。
「危うく死にかけたのよ」
「依頼はきちんと精査してるって言ってたわよね」
「危険手当くらい付けてもらわないと割に合わないぜ」
カウンターの上の魔石を見て、受付嬢だけで無くカースィも驚いた表情を見せる。
それだけではない。
ギルドの中で先ほどまでリーベルに恐れおののいていた他の冒険者たちもその話を聞いて気色ばんだ。
「お、おい。あいつらが受けてたのって」
「たしかゴブリンが三体、東の森に出たから退治してくれって奴だよな」
「それがどうして二十もいやがんだ」
「そんなに居たら普通気が付くだろ。依頼主は一体誰なんだ」
冒険者たち。
特にこの町に居るような二つ星以下の者たちにとって、魔物の数の間違いは直接命に関わる問題だ。
一体や二体の誤差は、ゴブリンのような小物ではよくあることだ。
だが、今回のように三体と報告されたのに二十体もいた等と言うことは流石に看破できる物ではない。
普通であれば今頃アービーたちのような駆け出し冒険者はゴブリンの餌になっていたはずだ。
騒ぎが大きくなって行く中、一人の冒険者がアービーに声を掛ける。
「お前たち、それで良く無事に帰ってきたな」
「こいつのおかげだよ」
アービーはそう言って腰の剣を軽く叩いてみせる。
「そいつはあれか。例の鍛冶師の坊主が出て行く前に直したっていう」
「ああ。この剣のおかげでなんとかゴブリンたちを倒すことが出来たんだ。出来れば礼をしたいんだが……でもあいつはもういないんだろ」
アービーがそう答えると、突然彼の腰の剣が何者かの手によって引き抜かれた。
「ふむ……この剣は」
予想外の出来事に何が起こったのかわからない彼らの前で、その剣を引き抜いた女――リーゼルは軽く剣を振った。
するとどうだろう。
魔石がばらまかれたカウンターが、音も無く真っ二つに切り裂かれたでは無いか。
「ひいっ」
「お、おい貴様何を」
悲鳴を上げる受付嬢と、リーゼルの行為を咎めようとするカースィ。
しかし、そのカースィの鼻先にアービーの剣が突き出された。
恐怖に目を見開き動きを止めたカースィに、冷たいリーゼルの声が届く。
「おいお前。さっき例の鍛冶師は偽物だと言ったな」
「……」
「ではこの剣は何だ?」
そんなことを言われてもカースィには何が何だかわからない。
名にも応えられずに居ると、リーゼルの横から剣の持ち主であるアービーが彼女の腕を掴む。
「おい君。僕の剣を勝手に使わないで貰いたいんだが」
「……そうだ、お前で良い。話を聞かせろ」
「話だと?」
リーゼルは目線を自分の腕を掴む青年に移す。
そして切っ先をカースィからはずし、剣の柄をアービーに差し出しながら応える。
「そうだ。この剣を直したという男のことだ」
「ティルトのことか?」
アービーはアーヴィンを取り返すと鞘に収めつつ話す。
「ティルト……そうか、ガーディヴァルの弟子はティルトというのか」
「お、おい。どういうことだ」
自分の鼻先から切っ先が消えたことで我を取り戻したのか、横からカースィが口を挟んだ。
リーゼルの言い方だと、まるであの偽物だと追い出した少年が本物のガーディヴァルの弟子だと言っているようではないか。
「お前、ギルドマスターだと言うならそれなりに力も知識もあんじゃないのか?」
「?」
「……やれやれだな。いくら田舎の弱小ギルドとはいえ、ギルドマスターのレベルがあまりにも低すぎる」
リーゼルはそう嘆息すると、顔を怒りと屈辱で赤くするカースィを指さして厳しい声で言い放つ。
「お前が偽物だと決めつけて追放した鍛冶師は、本物のガーディヴァルの弟子に間違いないと言うことだ」
「本物……だと。だが奴は簡単な装備すら……」
「それよ。ガーディヴァルの話をギルマスであるお前が殆ど知らないとはほとほと呆れるしかない」
伝説の鍛冶職人ガーディヴァル。
彼の伝説の中で一つだけまるで笑い話のような話があった。
「ガーディヴァルはその伝説級の腕前に反して、簡単な鍛冶仕事は上手く出来ないという有名な話だ」
強力な魔物を一刀両断するような剣は造れるのに、普通の包丁は造れない。
どんな魔法でも防ぐ盾は造れるのに、何度挑んでも歪んだ鍋蓋しか出来ない。
「お前はこの剣を見たのか?」
「い、いや」
「だろうな。もしこの剣を見ていれば、嘘つきだと追い出すなどあり得ないだろうからな。この剣は伝説級の聖剣だよ」
リーゼルの言葉にギルド中にざわめきが広がる。
なんといっても四つ星の冒険者……しかも二つ名が付くほどの者が告げたことだ。
誰もがそれが真実だと確信した。
「これが……聖剣……」
「本当にアービーの爺さんって凄い人だったのか」
腰に戻した剣をもう一度抜き、アービーはその刀身をじっと見つめる。
そしてその刀身を見つめるもう一人の男――カースィの顔がどんどん青ざめていく。
「その剣……それを本当にあいつか……ティルトが鍛え直したってのか……」
「ふむ。一応はこの剣のすごさがわかったようだな。だがもう遅い。私はそのティルトという少年を追う」
リーゼルはそう言い放つとギルドの出口に向かって歩き出す。
そしてスイングドアを開いた所で足を止めると、背中越しに最後の言葉を残した。
「アービーと言ったな。その剣はこの先もお前を助け導いてくれるだろう。私にはそれがわかる」
「……」
「大切にしろ」
リーゼルはアービーの返事を待たず外に出て行ってしまった。
ギルドの中に残ったのは様々な感情が交じり合った空気。
その中にはあからさまにギルドマスターであるカースィに対する失望感が含まれていて。
「それじゃあギルマス」
聖剣アーヴィンを腰に戻したアービーはそう口にしながら振り返る。
そして未だに茫然自失なカースィに向けて静かな口調でこう切り出した。
「今回のゴブリン退治についての弁明を聞かせて貰いましょうか」
後にその話は、伝説の冒険者アービーとその仲間たちが最初にくぐり抜けた試練として語り継がれることになる。
同時にガーディヴァルの弟子であり、師匠をも超える鍛冶師と謳われるティルトの名が歴史上初めて記された物語。
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