親友の秘密

はじまり

 ぼんやりとした不安。
 芥川龍之介ならそういうのかもしれない。 

  俺は少しオタクの高校1年生山下達也。人付き合いが悪いわけでも顔が怖いわけでもないただのごくごく普通の高校生なのだが…。

  正直に言って友達が少ない。別に友達なんかいらないという態度でいるが、本当はそんなことはない。友達が欲しい。そんな俺だが仲のいい友人がいる。山川だ。

  山川と知り合ったのは高校の入学式の日だ。中学の友達と離れ不安だった俺に席の近かった山川が話しかけてきた。そこでアニメの話で盛り上がりそれから話すようになった。

  8時にそろそろなる。もう少しで山川も学校に来るだろうと思っていると
「おはよう、山下くん。」
 という山川の明るい男子にしては高い声が聞こえてきた。
「おう。」
 俺はそれにどうでもいいように答える。しかし、本当は山川が来てくれてすごく嬉しい。
  
一人悲しく教室の隅でラノベを読むオタクは目の当てようがないからである。