選択肢なんかいらない

ryuki

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かっかみさまと○○?

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 「ガツガツ」
 俺は未だかつて現実で見たことがない。本当にガツガツとご飯を食べる子を。

 「おいおい、そんなに急いで食べんなよ。ご飯は逃げないぞ」

 なんで俺は同い年くらいの子にご飯を食べさせているのだろうか。
 この子は加奈子と彩乃が呼び出した子だ。
 つまり神様なのだ。
 神様ってこんなんだっけ?
 それにしてもこの子は何者なんだ?
 確かに俺はこの子を知っている。知っている気がする。しかし、細かいことは覚えていないのだ。
 思い出そうとすると吐き気と頭痛がする。

 「ごちそうさま」
 食べ終わったらしい。満足げにくつろいでいる。
 「お前は何者なんだ?」
 「私、神様。呼び出された」
 「名前はなんていうの?」
 「名前はまだない」
 自慢げにない胸を張る自称神様。お前は猫かよ。夏目漱石もびっくりだな。
 
 「名前があるのは一部の神様だけ。私はそんなにえらい神様じゃない」
 「じゃあ、特になんもできないのか?」
 「うん、男を女にすることや人に特殊能力をつけることぐらいしかできない」
 「結構できるな」
 「えっへん」
 「そんな偉そうにすんなよ」
 「えらいもん。神様だから」
 やれやれ。誰がこんな子に育てたのだろうか?
 「ところで、お前俺ん家にずっと住んでるつもり?」
 「ダメなの?」
 潤んだ瞳で上目遣い。これは魔法の力を秘めている。
 「いいよ」

 神様との同居が始まりました。
 
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