不遇??僕のことが大好きな神様がいるのでどうでも良いのです!

雨霧れいん

文字の大きさ
7 / 7

優しいのに怖くて、怖がる自分が嫌いで

しおりを挟む
「あぁ、ごめんね。怖かったか」

「うん、お父様も、お母様も、お兄様も...こわくさせてごめんなさい...」

混乱した頭では、うまく言葉を選ぶことができない。
だって、さっきまでフィリオは僕ににこにこしてくれて、こんな怖いことしてなくて..。僕のため、のはずなのに。怖い..、怖い。

「だって、僕は..、殴られたわけじゃない、なんにも..されてないの。なのに、傷心して、僕がわるいから」

「っ、そんなこと!!アミュにそう思わせる時点で、悪は彼方だ。」

でも、だって..、なんていう言葉が頭に浮かんでは消える。
そう言われてみれば、確かに僕は悪くないのかもしれない。だけど、生まれてからずっと愛されなくて、長年培われてきた自責の念はそう、軽々しく消えるものじゃなかった。

誰も口を開かない。まさに、硬直状態。フィリオが僕の頭を撫でていること以外..、家族は瞬きの1つもしていない。そろそろ、涙出ちゃうんじゃない?
その時、教会の扉が開いた。

「アミュ!!!!大丈夫...、誰!?」

「メリアっ...、その、これは..」

僕が何かを言う前に、メリアは駆け寄ってくる。それも、フィリオに敵対心むき出しで。

「誰、アミュの何ですか!?」

「ライブルーズ公爵家の者か、俺は最高神フィリオ。アミュの恋人だ」

「初耳!!アミュって神様と許嫁なの!?てか、本当に神様!?」

メリアが驚くのも無理はないと思う。僕だって最初、好きって言われたり色々、信じ切ることができなかった。それに、今も夢を見ているのではないかと思っている節がある。

「アミュが信頼できる者なのだな。二人で待っておいてくれ、ちょっと王家と話をしてくる。」

「え..フィリオ、!ひどいことはしないで...、」

「やっちゃえ!!!」

「メリアっ!?」

フィリオは”よろしく頼んだぞ”とメリアに言っては、王家もとい僕の家族を別室へ連行していった。命が心配になるが、僕も頼んだしフィリオはきっと加減をしてくれる。うん、きっと。

「どういう状況なの?これ。説明して!」

「うん、説明はする。けど、ちょっと弱音吐かせて...」

「珍しいじゃん、何でも聞くよ。」

「あのね..っ、」

僕は状況説明を兼ねて言葉を紡いだ。
お祈りを捧げたらいつの間にか白い部屋、多分天界に居たこと。会ったその場でフィリオに告白されて、驚いたこと。地上に戻ったら急に家族を脅し始めて、僕をつかんだお父様を神力で弾き飛ばしたこと。...うれしい気持ち反面、怖かったこと。

「嬉しいって、おもっちゃうのも..家族が危険な目にさらされてなんも、かなしいって..おもえなくって」

「かぞくなのに、なんで...ぼくってやっぱだめな子だし..、守ってもらってるのに怖く思っちゃって、どうしたらいいか、わかんなくて..っ!!」

目からは涙があふれ落ちた。
メリアは僕が落ち着くまで頭を撫でて、待ってくれた。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

みみみみみ
2025.07.02 みみみみみ

かわいー♥
不遇時代のダメダメな奴らは捨てちゃって幸せになってねー♥

解除

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている

青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子 ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ そんな主人公が、BLゲームの世界で モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを 楽しみにしていた。 だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない…… そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし BL要素は、軽めです。

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

元の世界では異端だった俺、転生したら不思議ちゃんキャラで愛され無双

太郎51
BL
“端”が存在する世界エイテルに生まれ育ってきた俺、ミラ・アベルはひょんなことから異世界に! その世界とは“チキュウ”というらしく、魔術も世界の端も無いらしい!? 元の世界では魔術が使えず『異端』と呼ばれていた俺、まさかの無双____!?

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼2025年9月17日(水)より投稿再開 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。