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君しかいない、君が良い
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『弐条会にこんな幼い幹部がいるなんて知らなかったんだ。ねぇ、どうやってその地位を手に入れたの? もしかして他の幹部の血縁者?』
どうしよう…。
公園のベンチに座っていると目の前に立つ羽魅にガンガンと質問攻めにされる。ただ、あまり詮索されたくはないのでどう答えたものかと頭を悩ませていた。
十七歳で同じく高校生のはずの彼は私服だ。もしかしたら学校が休みだったのかもしれない。
『…すみません。勤務時間外なんで』
マスクをし直してから頭を下げると彼は面白くなさそうに腕を組んだ。
『ふぅん。…ねぇ、それ制服ってことは近くに通ってるんだよね。ヤクザが学校かぁ。学校に通っての仕事が許されるって高待遇じゃん。
うーん。やっぱり血縁者か…、超強いアルファってとこ?』
得意げな顔をする羽魅の後ろには馬美も控えている。しかし羽魅を止める様子もないし、ただ静観するのみだ。
『ねぇ。僕の物になってよ。幹部で一番弱いのはどう見たって君でしょ』
『…自分、弐条会の者なんで』
なんなんだ、これ。
半ばゲンナリして身体を逸らしていると彼は何を思ったのか自信満々に自分の胸を叩く。
『後で僕に感謝するに決まってる。此処で僕の元に下って過ごすのが良いよ。
どうせあの男は僕に逆らえないしね! だって僕はオメガだもん。好みの匂いをした優秀な遺伝子を持つオメガなんだから無理もないか』
そう言って笑う羽魅は無邪気だ。それを当然とばかりに声高らかに言うのは褒められたことではないが、言ってる内容は、まぁ正しい。
ボスは彼の匂いを気に入り、跡目争いの条件はオメガとの結婚。契約は成立して互いの利害は一致してる。
『…なら、なんで自分を』
『一番言うこと聞きそうだし、弱そうだから? いざって時にさ、やっぱり身内に裏切られると精神的ダメージ強そうじゃん。あんな強いアルファに力じゃ敵わないもん。保険だよ保険。強くてルックスが良いのは本当に最高だけど、彼は少し強過ぎたみたい』
心底困りました、みたいな顔をする羽魅に俺は開いた口が塞がらない。マスクをしているから誰にもわからないだろう。
精神的ダメージ? …え、何。なんなんだこの人、言ってる意味がわからないんだが。
『ちょっと。どうなのさ? 早く答えてよ』
少し苛立った様子の彼が迫り、思わず逃げ出したくて腰を浮かせる。断っても言い掛かりをつけてきそうだから逃げてしまうかと企んだら、俺と羽魅の間にとある人物が割って入った。
『…この子が何か粗相でもしましたか、羽魅様』
片手で軽く引き寄せられてオメガにしては高身長の彼の上半身に触れながら隠れるようにそっと覗く。
現れたのは覚だ。まさかの人物の登場に驚きつつ、しっかりと服を握る。
『…誰、アンタ』
『羽魅様。弐条会の幹部で、弐条様の運転手です』
そっと馬美が口添えをすると羽魅が覚を上から下までじっくりと眺める。
『え? だってこの人、オメガじゃん』
その一言に一瞬で場の空気が凍る。馬美ですら若干気まずそうな顔をするから当然だ。
第二性を…、ましてオメガであることを赤の他人がそんな大声で言うなんて言語道断。タブーだ。
『え? オメガの幹部とか正気なのかな。運転なんて、いつも横にいるガタイの良いアルファの付き人にさせたら良いのに』
お前が正気か?!
次々と出てくる失言の数々に思わず怒りで震える。他所の人選に何故そんなに簡単に口が出せるのか理解できない。
覚さんの運転は丁寧で正確なんだぞ!! ていうか何で刃斬の兄貴の名前すら覚えてねーんだよ!
『…もしかして、アンタ』
何かを疑うような眼差しを覚に向ける。その言葉の続きを何となく察した俺は真っ青になりながら彼の背中から出る。
『もしかして愛じ『はいもしもしぃ!!』…は?』
愛人という単語を打ち消すようにスマホを取り出して電話に出たフリをする。一気に視線が集まるのも構わず演技を続けて、徐々に覚の手を引きその場から引き離す。
『遅れてすみません! はい! はい! すぐ行きます、はい!』
無駄にデカい声で誰かに呼ばれてる風を装いつつ、通話を切るような仕草をしてからスマホを仕舞う。唖然としていた羽魅は徐々に面白くないといったように表情を顰める。
『…なに。いきなり』
『すみません。でも呼び出し受けたんで、もう行きます。覚さん丁度良かった。送ってほしいな、俺は覚さんの運転だと車酔いしなくて安心するから』
けっ、と羽魅から視線を外して覚さんの腕を軽く引っ張ってそう言えば…ずっと黙っていた彼は驚いたように綺麗な顔をキョトンとさせ…やがて嬉しそうに笑う。
『…学校』
覚の手を引いて出口に向かっていると、羽魅が思い出したように呟く。
『頑張ってね?』
可愛らしい笑みを浮かべて小首を傾げる姿は愛らしいが、その内容があまりにも物騒過ぎる。
…他言すれば学校を割り出すってことかよ。
『どうも。失礼します』
近くに停めてあった弐条会の車に乗り込む。助手席に乗るように言われて座ると、シートベルトを閉めてすぐに出発した。
はぁ。やっと解放された…。
『あー。しんど…。覚さん、助けに来てくれてありがとう。あの人、ベンチの前を塞ぐもんだから逃げ辛くてさぁ…』
隙間を塞ぐようにデカいのはいるし、と愚痴を溢しながらマスクを外して空気を吸うと運転している覚が赤信号で停止したと同時にぐりぐりと頭を撫でる。
『あれでは助けに行ったのではなく、自分が助けられたようなものですよ。君を迎えに行くのが遅れると猿石から連絡が来て、位置情報から自分が近かったから来たんです。
まさか彼に絡まれているとは。君は相変わらずのトラブルメーカーさんですね』
俺はトラブル起こしてない、巻き込まれて毎回致命傷になってるだけ。
グッタリしていると覚が苦笑いを浮かべてハンドルを切る。暫くして着いたのはアジトではなく駐車場で、そこからすぐ側にあるカフェを指差された。
以前の分も含めて奢るからお茶でもしないかという誘いだった。ここまで来て断るのもなんだし、普通に覚とお茶をしたかった俺はすぐに頷く。
『このカフェ、以前からスイーツが充実してるって話題だったから行きたかったんですけど以前のこともあって一人だと敬遠してたから嬉しいです。
はい、メニュー。好きなの選んでね、宋平』
メニューを受け取ると真っ先に季節のアイス特集なる魅力的な文面を見つけ、食い入るように見る。季節限定のサツマイモ味なるものが気になったのでそれが良いと言えば、目の前に座る覚は少し不満そうに眉を顰める。
え。な、なんかマズかったか?
『少な過ぎます。もっと頼んで、君は甘いものいける口でしょう?』
『あ。そっち…。じゃあ、えっと…このケーキセットも一緒が良いな!』
慌ててケーキセットを指差すと覚は今度は満足そうに頷いてから店員さんを呼んで注文を済ませる。
俺はケーキセットとサツマイモのアイス。覚は大きめのプリンアラモードだ。
『プリンアラモードが好きなんだ?』
『ああ。自分は卵系の料理が好きで、スイーツならプリンが一番好きなんです』
プリンか…。
自分では作ったことないけど、昔…兄ちゃんが作ってたな。やってみるか。
二人で雑談を交わしながら互いのスイーツを食べ比べしたりする。男二人ではあるが、覚は凄く綺麗な男性だしこういうカフェが似合うタイプだ。
『…自分、もしかしたら近々クビになるかもしれないんです』
『は…? く、クビ?! なんで!!』
突然のカミングアウトに思わずアイスがスプーンから落ちてしまう。何故だと問い詰めると覚が語ったのは、その採用理由だった。
『自分が採用されたのはね、番持ちのオメガだったからなんだ。免許も色々持ってるけど、あの許嫁君が言ってたように刃斬さんも同じような免許を持ってる。
だけど、あの場にいる誰もが出来ない役割の為に自分がいる。…ボスのオメガの世話やサポートをする為にね。だからほら、いつかは刃斬さんがボスの方で…番になる子の運転手に自分がなる予定だったんだよ』
少し寂しそうにコーヒーカップを持ち、中を覗く彼の瞳は色んなことを思い出しているようだ。目線はコーヒーだけど、見ているのは…過去の記憶だろうか。
『番には先立たれるし、ボスの番には世話係がいて、オメガとしては自分よりも位が高いしサポート出来るようなことなんてない。
…ね? 自分が弐条会にいられる理由がないんだ』
無理矢理作った笑顔は、今にも泣きそうに見える。平静を装う彼がコーヒーを飲もうとした時、俺は溶けそうなアイスを放って口を開いた。
『ボスは覚さんを追い出したりしないよ。だって、覚さんはもう弐条会の一員だ。幹部の一人で、大切な仲間。ボスや幹部の皆をよりよく知ってる。
そんな大切な理解者をボスが捨てたりするわけない。それに、俺はやっぱり覚さんの運転する車に乗るのが好きだよ』
溶けてしまったアイスを全て掬って食べる。
『美人の運転する車って、控えめに言って最高じゃない?』
ああ。初めての口説き文句なのに、なんか格好付かないな。
少し照れ臭くて笑うと覚がみるみると顔を赤くしてから堪らずといったように笑い出す。彼にしては豪快で、遠慮なしのそれに店内の人は目が釘付けになる。
涙を溜めた目で俺を見つめた彼は、満面の笑みを浮かべてから俺の頬を突く。
『マセ餓鬼』
ぐりぐりされて俺が悲鳴を上げると覚は消え入りそうな声で何か呟いた。
『…君が良かったな』
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どうしよう…。
公園のベンチに座っていると目の前に立つ羽魅にガンガンと質問攻めにされる。ただ、あまり詮索されたくはないのでどう答えたものかと頭を悩ませていた。
十七歳で同じく高校生のはずの彼は私服だ。もしかしたら学校が休みだったのかもしれない。
『…すみません。勤務時間外なんで』
マスクをし直してから頭を下げると彼は面白くなさそうに腕を組んだ。
『ふぅん。…ねぇ、それ制服ってことは近くに通ってるんだよね。ヤクザが学校かぁ。学校に通っての仕事が許されるって高待遇じゃん。
うーん。やっぱり血縁者か…、超強いアルファってとこ?』
得意げな顔をする羽魅の後ろには馬美も控えている。しかし羽魅を止める様子もないし、ただ静観するのみだ。
『ねぇ。僕の物になってよ。幹部で一番弱いのはどう見たって君でしょ』
『…自分、弐条会の者なんで』
なんなんだ、これ。
半ばゲンナリして身体を逸らしていると彼は何を思ったのか自信満々に自分の胸を叩く。
『後で僕に感謝するに決まってる。此処で僕の元に下って過ごすのが良いよ。
どうせあの男は僕に逆らえないしね! だって僕はオメガだもん。好みの匂いをした優秀な遺伝子を持つオメガなんだから無理もないか』
そう言って笑う羽魅は無邪気だ。それを当然とばかりに声高らかに言うのは褒められたことではないが、言ってる内容は、まぁ正しい。
ボスは彼の匂いを気に入り、跡目争いの条件はオメガとの結婚。契約は成立して互いの利害は一致してる。
『…なら、なんで自分を』
『一番言うこと聞きそうだし、弱そうだから? いざって時にさ、やっぱり身内に裏切られると精神的ダメージ強そうじゃん。あんな強いアルファに力じゃ敵わないもん。保険だよ保険。強くてルックスが良いのは本当に最高だけど、彼は少し強過ぎたみたい』
心底困りました、みたいな顔をする羽魅に俺は開いた口が塞がらない。マスクをしているから誰にもわからないだろう。
精神的ダメージ? …え、何。なんなんだこの人、言ってる意味がわからないんだが。
『ちょっと。どうなのさ? 早く答えてよ』
少し苛立った様子の彼が迫り、思わず逃げ出したくて腰を浮かせる。断っても言い掛かりをつけてきそうだから逃げてしまうかと企んだら、俺と羽魅の間にとある人物が割って入った。
『…この子が何か粗相でもしましたか、羽魅様』
片手で軽く引き寄せられてオメガにしては高身長の彼の上半身に触れながら隠れるようにそっと覗く。
現れたのは覚だ。まさかの人物の登場に驚きつつ、しっかりと服を握る。
『…誰、アンタ』
『羽魅様。弐条会の幹部で、弐条様の運転手です』
そっと馬美が口添えをすると羽魅が覚を上から下までじっくりと眺める。
『え? だってこの人、オメガじゃん』
その一言に一瞬で場の空気が凍る。馬美ですら若干気まずそうな顔をするから当然だ。
第二性を…、ましてオメガであることを赤の他人がそんな大声で言うなんて言語道断。タブーだ。
『え? オメガの幹部とか正気なのかな。運転なんて、いつも横にいるガタイの良いアルファの付き人にさせたら良いのに』
お前が正気か?!
次々と出てくる失言の数々に思わず怒りで震える。他所の人選に何故そんなに簡単に口が出せるのか理解できない。
覚さんの運転は丁寧で正確なんだぞ!! ていうか何で刃斬の兄貴の名前すら覚えてねーんだよ!
『…もしかして、アンタ』
何かを疑うような眼差しを覚に向ける。その言葉の続きを何となく察した俺は真っ青になりながら彼の背中から出る。
『もしかして愛じ『はいもしもしぃ!!』…は?』
愛人という単語を打ち消すようにスマホを取り出して電話に出たフリをする。一気に視線が集まるのも構わず演技を続けて、徐々に覚の手を引きその場から引き離す。
『遅れてすみません! はい! はい! すぐ行きます、はい!』
無駄にデカい声で誰かに呼ばれてる風を装いつつ、通話を切るような仕草をしてからスマホを仕舞う。唖然としていた羽魅は徐々に面白くないといったように表情を顰める。
『…なに。いきなり』
『すみません。でも呼び出し受けたんで、もう行きます。覚さん丁度良かった。送ってほしいな、俺は覚さんの運転だと車酔いしなくて安心するから』
けっ、と羽魅から視線を外して覚さんの腕を軽く引っ張ってそう言えば…ずっと黙っていた彼は驚いたように綺麗な顔をキョトンとさせ…やがて嬉しそうに笑う。
『…学校』
覚の手を引いて出口に向かっていると、羽魅が思い出したように呟く。
『頑張ってね?』
可愛らしい笑みを浮かべて小首を傾げる姿は愛らしいが、その内容があまりにも物騒過ぎる。
…他言すれば学校を割り出すってことかよ。
『どうも。失礼します』
近くに停めてあった弐条会の車に乗り込む。助手席に乗るように言われて座ると、シートベルトを閉めてすぐに出発した。
はぁ。やっと解放された…。
『あー。しんど…。覚さん、助けに来てくれてありがとう。あの人、ベンチの前を塞ぐもんだから逃げ辛くてさぁ…』
隙間を塞ぐようにデカいのはいるし、と愚痴を溢しながらマスクを外して空気を吸うと運転している覚が赤信号で停止したと同時にぐりぐりと頭を撫でる。
『あれでは助けに行ったのではなく、自分が助けられたようなものですよ。君を迎えに行くのが遅れると猿石から連絡が来て、位置情報から自分が近かったから来たんです。
まさか彼に絡まれているとは。君は相変わらずのトラブルメーカーさんですね』
俺はトラブル起こしてない、巻き込まれて毎回致命傷になってるだけ。
グッタリしていると覚が苦笑いを浮かべてハンドルを切る。暫くして着いたのはアジトではなく駐車場で、そこからすぐ側にあるカフェを指差された。
以前の分も含めて奢るからお茶でもしないかという誘いだった。ここまで来て断るのもなんだし、普通に覚とお茶をしたかった俺はすぐに頷く。
『このカフェ、以前からスイーツが充実してるって話題だったから行きたかったんですけど以前のこともあって一人だと敬遠してたから嬉しいです。
はい、メニュー。好きなの選んでね、宋平』
メニューを受け取ると真っ先に季節のアイス特集なる魅力的な文面を見つけ、食い入るように見る。季節限定のサツマイモ味なるものが気になったのでそれが良いと言えば、目の前に座る覚は少し不満そうに眉を顰める。
え。な、なんかマズかったか?
『少な過ぎます。もっと頼んで、君は甘いものいける口でしょう?』
『あ。そっち…。じゃあ、えっと…このケーキセットも一緒が良いな!』
慌ててケーキセットを指差すと覚は今度は満足そうに頷いてから店員さんを呼んで注文を済ませる。
俺はケーキセットとサツマイモのアイス。覚は大きめのプリンアラモードだ。
『プリンアラモードが好きなんだ?』
『ああ。自分は卵系の料理が好きで、スイーツならプリンが一番好きなんです』
プリンか…。
自分では作ったことないけど、昔…兄ちゃんが作ってたな。やってみるか。
二人で雑談を交わしながら互いのスイーツを食べ比べしたりする。男二人ではあるが、覚は凄く綺麗な男性だしこういうカフェが似合うタイプだ。
『…自分、もしかしたら近々クビになるかもしれないんです』
『は…? く、クビ?! なんで!!』
突然のカミングアウトに思わずアイスがスプーンから落ちてしまう。何故だと問い詰めると覚が語ったのは、その採用理由だった。
『自分が採用されたのはね、番持ちのオメガだったからなんだ。免許も色々持ってるけど、あの許嫁君が言ってたように刃斬さんも同じような免許を持ってる。
だけど、あの場にいる誰もが出来ない役割の為に自分がいる。…ボスのオメガの世話やサポートをする為にね。だからほら、いつかは刃斬さんがボスの方で…番になる子の運転手に自分がなる予定だったんだよ』
少し寂しそうにコーヒーカップを持ち、中を覗く彼の瞳は色んなことを思い出しているようだ。目線はコーヒーだけど、見ているのは…過去の記憶だろうか。
『番には先立たれるし、ボスの番には世話係がいて、オメガとしては自分よりも位が高いしサポート出来るようなことなんてない。
…ね? 自分が弐条会にいられる理由がないんだ』
無理矢理作った笑顔は、今にも泣きそうに見える。平静を装う彼がコーヒーを飲もうとした時、俺は溶けそうなアイスを放って口を開いた。
『ボスは覚さんを追い出したりしないよ。だって、覚さんはもう弐条会の一員だ。幹部の一人で、大切な仲間。ボスや幹部の皆をよりよく知ってる。
そんな大切な理解者をボスが捨てたりするわけない。それに、俺はやっぱり覚さんの運転する車に乗るのが好きだよ』
溶けてしまったアイスを全て掬って食べる。
『美人の運転する車って、控えめに言って最高じゃない?』
ああ。初めての口説き文句なのに、なんか格好付かないな。
少し照れ臭くて笑うと覚がみるみると顔を赤くしてから堪らずといったように笑い出す。彼にしては豪快で、遠慮なしのそれに店内の人は目が釘付けになる。
涙を溜めた目で俺を見つめた彼は、満面の笑みを浮かべてから俺の頬を突く。
『マセ餓鬼』
ぐりぐりされて俺が悲鳴を上げると覚は消え入りそうな声で何か呟いた。
『…君が良かったな』
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