12 / 18
生き残り
しおりを挟む
クロエは、マイラー公爵邸を訪ねて行った。
今日のクロエは薄紅色の訪問ドレスを着ている。
マイラー公爵邸で再会予定のガージニア王国第一王女ロニア王女は、優しく思慮深い人物だった。クロエの兄弟は何十人もいたが、生き残っているのはロニア王女を含めて4人だけだ。行方不明の異母姉達はきっと生きていると信じていた時期もあったが、第6王女メルーシア王女から託された手帳を見て、クロエは行方不明の姉妹たちの生存を諦めた。
マイラー公爵邸は、青と白を基調とした美しい屋敷だった。敷地内には森や整理された庭があり、門から屋敷まではかなりの時間がかかった。
クロエは、馬車から降りて、マイラー公爵邸へ入って行った。
先日の舞踏会で会ったマイラー公爵がクロエへ声をかけてくる。
「よくお越しいただきました。ルーナ妃様。」
マイラー公爵の側には、イアンナが佇んでいるが、相変わらず不愛想で笑おうとしない。
クロエは、中庭に通された。
青空が広がり、太陽の光が色とりどりの花を輝かせている。
無数のキラキラ輝く宝石が咲き誇っているようだった。
マイラー公爵は言う。
「ロニア王女はこちらに来られてから部屋に引き籠る事が多い。娘のイアンナがよく話し相手になっていたのですが、ルーナ様が来られたのなら回復するかもしれません。娘のイアンナはとても優秀で、この屋敷の管理やマイラー商会のアドバイザーも勤め上げる才媛です。もし新しい妃として迎え入れていただければ、きっと妃様のお役に、、、、」
その時イアンナが言った。
「お父様。そのくらいになさってくださいませ。ロニア様をお呼びいたしますわ。お父様は席を外してくださいませ。」
公爵は言う。
「いやしかしだな。私もロニア王女様とお会いしたいのだが。戦争が終わってから一度しかお会いしていない。」
イアンナは言った。
「まあ、ロニア王女様は、戦争のトラウマで男性に対して恐怖を感じるようになったとお伝えしたではありませんか?医師の診断書もありますのよ。ルーナ様とお話したらよくなるかもしれません。そうすればお兄様との結婚話も進みましょう。焦りは禁物ですわ。お父様。」
マイラー公爵は言う。
「うむ。ルーナ妃様、私はここで失礼いたします。是非ともイアンナを皇帝の妃に迎える話をご検討くださいませ。ルーナ妃様が了承すれば、あの頑固な皇帝も納得されるでしょう。」
イアンナ・マイラー公爵令嬢は私を敵のように睨みつけている。とてもじゃないが、ジークに進める事なんてできそうにない。
私は、戸惑いながら引きつった笑みを浮かべた。
マイラー公爵が中庭を離れてから、イアンナ・マイラー公爵令嬢は無表情で立ち上がり、私の側を通り抜けて奥のドアへ向かった。
「偽物のくせに。」
私の横と通り抜ける時、イアンナ・マイラー公爵令嬢は私にそう声をかける。
私は、立ち上がりイアンナを見る。
奥のドアは、客室に繋がっているようだ。
そのドアから出てきたのは、私が探していたあの人だった。
今日のクロエは薄紅色の訪問ドレスを着ている。
マイラー公爵邸で再会予定のガージニア王国第一王女ロニア王女は、優しく思慮深い人物だった。クロエの兄弟は何十人もいたが、生き残っているのはロニア王女を含めて4人だけだ。行方不明の異母姉達はきっと生きていると信じていた時期もあったが、第6王女メルーシア王女から託された手帳を見て、クロエは行方不明の姉妹たちの生存を諦めた。
マイラー公爵邸は、青と白を基調とした美しい屋敷だった。敷地内には森や整理された庭があり、門から屋敷まではかなりの時間がかかった。
クロエは、馬車から降りて、マイラー公爵邸へ入って行った。
先日の舞踏会で会ったマイラー公爵がクロエへ声をかけてくる。
「よくお越しいただきました。ルーナ妃様。」
マイラー公爵の側には、イアンナが佇んでいるが、相変わらず不愛想で笑おうとしない。
クロエは、中庭に通された。
青空が広がり、太陽の光が色とりどりの花を輝かせている。
無数のキラキラ輝く宝石が咲き誇っているようだった。
マイラー公爵は言う。
「ロニア王女はこちらに来られてから部屋に引き籠る事が多い。娘のイアンナがよく話し相手になっていたのですが、ルーナ様が来られたのなら回復するかもしれません。娘のイアンナはとても優秀で、この屋敷の管理やマイラー商会のアドバイザーも勤め上げる才媛です。もし新しい妃として迎え入れていただければ、きっと妃様のお役に、、、、」
その時イアンナが言った。
「お父様。そのくらいになさってくださいませ。ロニア様をお呼びいたしますわ。お父様は席を外してくださいませ。」
公爵は言う。
「いやしかしだな。私もロニア王女様とお会いしたいのだが。戦争が終わってから一度しかお会いしていない。」
イアンナは言った。
「まあ、ロニア王女様は、戦争のトラウマで男性に対して恐怖を感じるようになったとお伝えしたではありませんか?医師の診断書もありますのよ。ルーナ様とお話したらよくなるかもしれません。そうすればお兄様との結婚話も進みましょう。焦りは禁物ですわ。お父様。」
マイラー公爵は言う。
「うむ。ルーナ妃様、私はここで失礼いたします。是非ともイアンナを皇帝の妃に迎える話をご検討くださいませ。ルーナ妃様が了承すれば、あの頑固な皇帝も納得されるでしょう。」
イアンナ・マイラー公爵令嬢は私を敵のように睨みつけている。とてもじゃないが、ジークに進める事なんてできそうにない。
私は、戸惑いながら引きつった笑みを浮かべた。
マイラー公爵が中庭を離れてから、イアンナ・マイラー公爵令嬢は無表情で立ち上がり、私の側を通り抜けて奥のドアへ向かった。
「偽物のくせに。」
私の横と通り抜ける時、イアンナ・マイラー公爵令嬢は私にそう声をかける。
私は、立ち上がりイアンナを見る。
奥のドアは、客室に繋がっているようだ。
そのドアから出てきたのは、私が探していたあの人だった。
114
あなたにおすすめの小説
身代わりーダイヤモンドのように
Rj
恋愛
恋人のライアンには想い人がいる。その想い人に似ているから私を恋人にした。身代わりは本物にはなれない。
恋人のミッシェルが身代わりではいられないと自分のもとを去っていった。彼女の心に好きという言葉がとどかない。
お互い好きあっていたが破れた恋の話。
一話完結でしたが二話を加え全三話になりました。(6/24変更)
初恋にケリをつけたい
志熊みゅう
恋愛
「初恋にケリをつけたかっただけなんだ」
そう言って、夫・クライブは、初恋だという未亡人と不倫した。そして彼女はクライブの子を身ごもったという。私グレースとクライブの結婚は確かに政略結婚だった。そこに燃えるような恋や愛はなくとも、20年の信頼と情はあると信じていた。だがそれは一瞬で崩れ去った。
「分かりました。私たち離婚しましょう、クライブ」
初恋とケリをつけたい男女の話。
☆小説家になろうの日間異世界(恋愛)ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18)
☆小説家になろうの日間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18)
☆小説家になろうの週間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/22)
私を簡単に捨てられるとでも?―君が望んでも、離さない―
喜雨と悲雨
恋愛
私の名前はミラン。街でしがない薬師をしている。
そして恋人は、王宮騎士団長のルイスだった。
二年前、彼は魔物討伐に向けて遠征に出発。
最初は手紙も返ってきていたのに、
いつからか音信不通に。
あんなにうっとうしいほど構ってきた男が――
なぜ突然、私を無視するの?
不安を抱えながらも待ち続けた私の前に、
突然ルイスが帰還した。
ボロボロの身体。
そして隣には――見知らぬ女。
勝ち誇ったように彼の隣に立つその女を見て、
私の中で何かが壊れた。
混乱、絶望、そして……再起。
すがりつく女は、みっともないだけ。
私は、潔く身を引くと決めた――つもりだったのに。
「私を簡単に捨てられるとでも?
――君が望んでも、離さない」
呪いを自ら解き放ち、
彼は再び、執着の目で私を見つめてきた。
すれ違い、誤解、呪い、執着、
そして狂おしいほどの愛――
二人の恋のゆくえは、誰にもわからない。
過去に書いた作品を修正しました。再投稿です。
沈黙の指輪 ―公爵令嬢の恋慕―
柴田はつみ
恋愛
公爵家の令嬢シャルロッテは、政略結婚で財閥御曹司カリウスと結ばれた。
最初は形式だけの結婚だったが、優しく包み込むような夫の愛情に、彼女の心は次第に解けていく。
しかし、蜜月のあと訪れたのは小さな誤解の連鎖だった。
カリウスの秘書との噂、消えた指輪、隠された手紙――そして「君を幸せにできない」という冷たい言葉。
離婚届の上に、涙が落ちる。
それでもシャルロッテは信じたい。
あの日、薔薇の庭で誓った“永遠”を。
すれ違いと沈黙の夜を越えて、二人の愛はもう一度咲くのだろうか。
私と彼の恋愛攻防戦
真麻一花
恋愛
大好きな彼に告白し続けて一ヶ月。
「好きです」「だが断る」相変わらず彼は素っ気ない。
でもめげない。嫌われてはいないと思っていたから。
だから鬱陶しいと邪険にされても気にせずアタックし続けた。
彼がほんとに私の事が嫌いだったと知るまでは……。嫌われていないなんて言うのは私の思い込みでしかなかった。
月夜に散る白百合は、君を想う
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢であるアメリアは、王太子殿下の護衛騎士を務める若き公爵、レオンハルトとの政略結婚により、幸せな結婚生活を送っていた。
彼は無口で家を空けることも多かったが、共に過ごす時間はアメリアにとってかけがえのないものだった。
しかし、ある日突然、夫に愛人がいるという噂が彼女の耳に入る。偶然街で目にした、夫と親しげに寄り添う女性の姿に、アメリアは絶望する。信じていた愛が偽りだったと思い込み、彼女は家を飛び出すことを決意する。
一方、レオンハルトには、アメリアに言えない秘密があった。彼の不自然な行動には、王国の未来を左右する重大な使命が関わっていたのだ。妻を守るため、愛する者を危険に晒さないため、彼は自らの心を偽り、冷徹な仮面を被り続けていた。
家出したアメリアは、身分を隠してとある街の孤児院で働き始める。そこでの新たな出会いと生活は、彼女の心を少しずつ癒していく。
しかし、運命は二人を再び引き合わせる。アメリアを探し、奔走するレオンハルト。誤解とすれ違いの中で、二人の愛の真実が試される。
偽りの愛人、王宮の陰謀、そして明かされる公爵の秘密。果たして二人は再び心を通わせ、真実の愛を取り戻すことができるのだろうか。
6年前の私へ~その6年は無駄になる~
夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。
テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる