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第12話 学院
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準備が整ったグランとリアナは、帝国学院のパーティへ向かう為、馬車に乗り込んだ。
リアナはブルーシルバーのドレスの上に、黒に染められた毛皮のコートを羽織っている。ダイヤのネックレスにイヤリングをつけ、長い濃紺の髪は纏め上げられ、サファイヤの髪飾りをつけられた。グランは黒と青のタキシードを着て、リアナの装飾品と対になっているサファイヤのカフスボタンを身に着けていた。
馬車の外は既に薄暗くなっていた。
舗装された道路の脇に規則正しく並ぶ街灯と、無数に灯る建物の窓明かりが輝きをはなっている。
馬車が揺れる度に、窓から見える光も上下に揺れ、ダンスを踊っているかのように煌めく。
リアナの隣には、グランが座っていた。
グランは、リアナに寄り添い、支えるかのように左手を握りしめている。
グランは、出会った時からとても距離が近いと感じる事がある。
根暗な才女と呼ばれていたリアナには無縁だったが、帝国学院の仲間達には複数の男女で遊ぶ人も多く、学院内でも腕を組んだり、抱き合っている人達を時々見かけていた。女性研究員の多くは、誰が誰と付き合っているのか、いつも噂をしていた。リアナにとって着飾る彼女達や、人気がある男性達が遠い存在に感じられる事がよくあった。
金髪で整った顔立ちのグランは、あの人達と同じように沢山遊んでいそうだ。きっとグランにとって、異性と手を繋いだり、抱きしめる事はなんでもない事なのだろう。
リアナの左手を包み込むグランの温かさは、力強く安心できる。
馬車から、窓の外を眺めなら、リアナは左手の温かさを少しだけ心地よく感じていた。
帝国学院の正門に馬車はたどり着いた。
帝国学院は、帝国全土から知識が集結する場所だった。幼少学院、小等学院、中等学院、高等学院、学術院から構成されている。中等学院からは帝国外からの留学生も受け入れており、リアナは13歳から中等学院へ留学生として編入した。マージャス侯爵家には、海運業に関する資料が豊富にあった。そのほとんどの知識をリアナは13歳まで読み耽り理解していた。リアナの成績は優秀で、学術院を卒業してからも研究員として帝国学院へ在籍し働く事が出来た。
馬車は、荘厳な正面玄関を通過していく。
帝国学院のパーティは、中央ホールで開催されている。
周囲が暗くなっているにも関わらず、沢山の明かりが中央ホールまで連なっていた。
リアナの手を握りながら、グランが言った。
「もうすぐ着くよ。リアナ。君と一緒に参加できて嬉しいよ。」
「私も貴方に会えてよかったわ。こんなに早くここに来れるとは思っていなかったもの。」
(帝国学院のセキュリティは厳重だから、ここまで辿り着いても学院には入れないかもしれないと思っていた。今日のパーティであの子達を見つけて確かめよう。どうして私が研究メンバーから外される事になったのか。)
馬車から降りると、周囲には沢山の人達がいた。
タキシードを着た男性が、煌びやかなドレスを着た女性をエスコートしている。無数の色のドレスは、華やかで美しい。正面の白磁の階段を沢山の人達が登っていく。
会場は煌々と明かりが灯り、中からは生演奏の音楽が聞こえてきた。
リアナは、一瞬海の中の熱帯魚達を思い出した。
近付き仲間になろうとしても、一瞬で霧散する夢のような光景。
「リアナ。さあ、行こう。」
だけど、今リアナの隣にはグランがいる。
彼が、リアナの腰に手を回しエスコートしてくれる。
今、リアナが立っているこの場所は夢ではなく現実だと、グランの手の温かさがリアナに教えてくれる。
「ええ。」
リアナはグランと一緒に足を進めた。
リアナはブルーシルバーのドレスの上に、黒に染められた毛皮のコートを羽織っている。ダイヤのネックレスにイヤリングをつけ、長い濃紺の髪は纏め上げられ、サファイヤの髪飾りをつけられた。グランは黒と青のタキシードを着て、リアナの装飾品と対になっているサファイヤのカフスボタンを身に着けていた。
馬車の外は既に薄暗くなっていた。
舗装された道路の脇に規則正しく並ぶ街灯と、無数に灯る建物の窓明かりが輝きをはなっている。
馬車が揺れる度に、窓から見える光も上下に揺れ、ダンスを踊っているかのように煌めく。
リアナの隣には、グランが座っていた。
グランは、リアナに寄り添い、支えるかのように左手を握りしめている。
グランは、出会った時からとても距離が近いと感じる事がある。
根暗な才女と呼ばれていたリアナには無縁だったが、帝国学院の仲間達には複数の男女で遊ぶ人も多く、学院内でも腕を組んだり、抱き合っている人達を時々見かけていた。女性研究員の多くは、誰が誰と付き合っているのか、いつも噂をしていた。リアナにとって着飾る彼女達や、人気がある男性達が遠い存在に感じられる事がよくあった。
金髪で整った顔立ちのグランは、あの人達と同じように沢山遊んでいそうだ。きっとグランにとって、異性と手を繋いだり、抱きしめる事はなんでもない事なのだろう。
リアナの左手を包み込むグランの温かさは、力強く安心できる。
馬車から、窓の外を眺めなら、リアナは左手の温かさを少しだけ心地よく感じていた。
帝国学院の正門に馬車はたどり着いた。
帝国学院は、帝国全土から知識が集結する場所だった。幼少学院、小等学院、中等学院、高等学院、学術院から構成されている。中等学院からは帝国外からの留学生も受け入れており、リアナは13歳から中等学院へ留学生として編入した。マージャス侯爵家には、海運業に関する資料が豊富にあった。そのほとんどの知識をリアナは13歳まで読み耽り理解していた。リアナの成績は優秀で、学術院を卒業してからも研究員として帝国学院へ在籍し働く事が出来た。
馬車は、荘厳な正面玄関を通過していく。
帝国学院のパーティは、中央ホールで開催されている。
周囲が暗くなっているにも関わらず、沢山の明かりが中央ホールまで連なっていた。
リアナの手を握りながら、グランが言った。
「もうすぐ着くよ。リアナ。君と一緒に参加できて嬉しいよ。」
「私も貴方に会えてよかったわ。こんなに早くここに来れるとは思っていなかったもの。」
(帝国学院のセキュリティは厳重だから、ここまで辿り着いても学院には入れないかもしれないと思っていた。今日のパーティであの子達を見つけて確かめよう。どうして私が研究メンバーから外される事になったのか。)
馬車から降りると、周囲には沢山の人達がいた。
タキシードを着た男性が、煌びやかなドレスを着た女性をエスコートしている。無数の色のドレスは、華やかで美しい。正面の白磁の階段を沢山の人達が登っていく。
会場は煌々と明かりが灯り、中からは生演奏の音楽が聞こえてきた。
リアナは、一瞬海の中の熱帯魚達を思い出した。
近付き仲間になろうとしても、一瞬で霧散する夢のような光景。
「リアナ。さあ、行こう。」
だけど、今リアナの隣にはグランがいる。
彼が、リアナの腰に手を回しエスコートしてくれる。
今、リアナが立っているこの場所は夢ではなく現実だと、グランの手の温かさがリアナに教えてくれる。
「ええ。」
リアナはグランと一緒に足を進めた。
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