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アリスの母親ローズ
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土曜日に友人宅へ遊びに行っていたはずのアリスが夕方になっても帰って来ずに真夜中まで母のローズは探し回った。アリスの友人の家にも連絡をしたがすでに帰っていると言われ、心当たりを全て探すが見つからない。出張中の夫の代わりに同居の義父に付き添われ、夜中にも関わらず警察に行き捜索願を出した。
アリスはまだ12歳だ。当然警察もすぐに動いてくれるとばかり思っていた。だが、警察からは家出の多い年頃だから週明けまで様子をみた方がいいと言われ、すぐに捜索してくれそうに無かった。
アリスは明るく素直な子だ。確かに夫は出張が多いが、ローズは義両親とも同居しておりアリスは家族に愛されながら育った。アリスは内気なローズには似ておらず意欲的で、土曜日も財布とスマホを持って友人宅へ遊びに行った。
アリスは中学生になる事を楽しみにしており、先週はローズと新しい靴や服を一緒に買いに行ったばかりだった。
何度か、警察に訴えたが、週明けに学校にも警察が事情を聞きに行くからと言われ返されてしまった。
日曜日は義父、義母と共にアリスを探した。アリスが行くような店や友人宅も手分けして回ったが、見つからない。夫も心配していたが、日曜日にも関わらず外せない仕事があるらしく出張先から帰宅出来なかった。
心配で眠れず、月曜日を迎え、また探しに行こうとしていると、警察から電話があった。
身元確認の為、警察署に行くと、変わり果てた姿のアリスがあった。確かに土曜日外出した時の服装だった。アリスの体は至る所が水を含み腫れ上がっていた。義父に似たパッチリとした二重も、ローズに似た口元も見る影がない。川の下流で発見されたアリスの体は所々痛み服も破れている。最愛の娘のアリスの亡骸に縋りつきローズは泣き崩れた。
ローズが夫のレイサンと出会ったのは30歳の時だった。ローズは事務としてレイサンと一緒の会社で働いていた時に声をかけられた。ローズは母と二人暮らしだったが、前の年に母を癌で亡くしてからは一人で暮らしていた。ローズは母子家庭で、仕事に忙しい母に変わり家事をする事が多く、学生の時も就職してからも男性と付き合った事が無かった。
レイサンはローズの3歳年下だったが、大人しく真面目なローズに惹かれたから、結婚を前提に付き合って欲しいと言われた時は嬉しかった。
ローズは、その頃仕事での人間関係に疲れて辞めたいと思っていた。その年に移動してきた上司と相性が悪く、些細な事で注意される事が増えていた。
付き合って話を聞くと、レイサンは自分の母の事が心配だと言う。レイサンは若いながら順調に仕事で実績を上げており、次の昇進で出張が多い役職につく可能性が高いという。レイサンは両親と同居しているが、両親の仲はあまり良く無く母からも早く結婚して嫁を貰うように言われているらしい。
母親の話が多いとローズは違和感を感じたが、異性と付き合うのは初めてで、こんなものかと自分を納得させた。
何度かデートをしてから、レイサンの自宅へ招かれると、義母になるマリアがもてなしてくれた。義母は社交的な性格で、口下手なローズにもいろいろ話しかけてくれる。結婚後は退職して主婦になって欲しいとも言われ、仕事を辞めたかったローズは義母の言葉に後押しされるように結婚を決意した。
結婚式は挙げずに入籍だけすまし、ローズはレイサンの家に引っ越した。
初夜はお互いぎこちなかった。レイサンもあまり経験が無いらしく、お互い手探りで体を繋げた。
ローズはそれなりに幸せだった。ローズが仕事を退職した頃にレイサンの昇進が決まった。
昇進した役職ではレイサンは1ヶ月のうち数日しか自宅に帰ってこない。義母とローズに見送られながら、レイサンは出張へ行った。
義母が変わったのはレイサンが出張に出かけてからだ。元々外出する事の多かった義母だが、レイサンが出張で家をあけると家事を全てローズに任せるようになった。
結婚当初はレイサンとローズの家事だけだったが、レイサンが出張に行ってからは、義母の洗濯や掃除も加わった。ローズも初めは断ろうとした。
「主婦をさせてあげているのにこんな事もできないの。」
「貴方は私を楽させる為に結婚してきたのでしょう。」
「口答えするならレイサンに別れるように言ってもいいのよ。」
義母は、ローズに告げてきた。それから義母はローズに会うたびに責めてくるようになった。元々義父の両親の遺産だった屋敷はとても広く、使われていない部屋もあった。義母も業者に掃除を依頼していたみたいだが、いつしかローズが屋敷中掃除をする事になっていた。
義母は業者を呼ぶはずだったお金で外で遊んできている様子だった。
レイサンは出張中、あまりローズに連絡をしてこない。出張から帰ってきたレイサンに話そうとするが、義母が睨みつけてくる。出張で疲れたレイサンに夜告げても、面倒臭そうに「母の事は任せるよ」と言われるだけだった。
結婚してから半年程たった頃、義父が屋敷に帰ってきた。
レイサンに聞いていたように義父と義母はあまり仲がよくないらしい。義父が家にいる時は義母が義父を避けるため、ローズが嫌味を言われる事が減った。義父はなにかとローズを気遣ってくれてローズは少し楽になった。
レイサンと結婚して1年がたった頃、
ローズは妊娠した。
お腹の子は順調に育ち元気に産まれてきた。娘はアリスと名づけられた。
レイサンの出張はあいかわらず多かったが、自宅にいる時はアリスを良くあやし、可愛がってくれる。
義父は、元々大手出版社に勤めて、記事を書く為に遠出する事が多かったみたいだった。現在はフリーとなり自宅にいる事が増えていた。元々親の遺産があり、お金には困っていない様子だった。アリスに入り用な物など何かと義父が買ってきてくれた。
義母は相変わらず趣味の外出が多く、義父を避けていたが、アリスにはオモチャや絵本、お菓子を与え遊んでくれる事も多かった。
ローズは結婚してよかったと心から思うようになっていた。最愛のアリスはスクスクと育ち、風邪もほとんどひかない。このままの幸せが続くと思っていた。
アリスは小学6年生になってから、土曜日は仲のいい友人の所へ遊びに行くようになっていた。スマホとお昼代を持ち、毎週10時頃に出かけて16時頃に帰ってくる。
母から離れて自主的に行動する娘に寂しさを感じるが、娘の成長がローズは嬉しかった。
その日もいつも通りアリスは出かけて行った。
だが、元気なアリスが二度とローズの元に帰ってくる事は無かった。
アリスはまだ12歳だ。当然警察もすぐに動いてくれるとばかり思っていた。だが、警察からは家出の多い年頃だから週明けまで様子をみた方がいいと言われ、すぐに捜索してくれそうに無かった。
アリスは明るく素直な子だ。確かに夫は出張が多いが、ローズは義両親とも同居しておりアリスは家族に愛されながら育った。アリスは内気なローズには似ておらず意欲的で、土曜日も財布とスマホを持って友人宅へ遊びに行った。
アリスは中学生になる事を楽しみにしており、先週はローズと新しい靴や服を一緒に買いに行ったばかりだった。
何度か、警察に訴えたが、週明けに学校にも警察が事情を聞きに行くからと言われ返されてしまった。
日曜日は義父、義母と共にアリスを探した。アリスが行くような店や友人宅も手分けして回ったが、見つからない。夫も心配していたが、日曜日にも関わらず外せない仕事があるらしく出張先から帰宅出来なかった。
心配で眠れず、月曜日を迎え、また探しに行こうとしていると、警察から電話があった。
身元確認の為、警察署に行くと、変わり果てた姿のアリスがあった。確かに土曜日外出した時の服装だった。アリスの体は至る所が水を含み腫れ上がっていた。義父に似たパッチリとした二重も、ローズに似た口元も見る影がない。川の下流で発見されたアリスの体は所々痛み服も破れている。最愛の娘のアリスの亡骸に縋りつきローズは泣き崩れた。
ローズが夫のレイサンと出会ったのは30歳の時だった。ローズは事務としてレイサンと一緒の会社で働いていた時に声をかけられた。ローズは母と二人暮らしだったが、前の年に母を癌で亡くしてからは一人で暮らしていた。ローズは母子家庭で、仕事に忙しい母に変わり家事をする事が多く、学生の時も就職してからも男性と付き合った事が無かった。
レイサンはローズの3歳年下だったが、大人しく真面目なローズに惹かれたから、結婚を前提に付き合って欲しいと言われた時は嬉しかった。
ローズは、その頃仕事での人間関係に疲れて辞めたいと思っていた。その年に移動してきた上司と相性が悪く、些細な事で注意される事が増えていた。
付き合って話を聞くと、レイサンは自分の母の事が心配だと言う。レイサンは若いながら順調に仕事で実績を上げており、次の昇進で出張が多い役職につく可能性が高いという。レイサンは両親と同居しているが、両親の仲はあまり良く無く母からも早く結婚して嫁を貰うように言われているらしい。
母親の話が多いとローズは違和感を感じたが、異性と付き合うのは初めてで、こんなものかと自分を納得させた。
何度かデートをしてから、レイサンの自宅へ招かれると、義母になるマリアがもてなしてくれた。義母は社交的な性格で、口下手なローズにもいろいろ話しかけてくれる。結婚後は退職して主婦になって欲しいとも言われ、仕事を辞めたかったローズは義母の言葉に後押しされるように結婚を決意した。
結婚式は挙げずに入籍だけすまし、ローズはレイサンの家に引っ越した。
初夜はお互いぎこちなかった。レイサンもあまり経験が無いらしく、お互い手探りで体を繋げた。
ローズはそれなりに幸せだった。ローズが仕事を退職した頃にレイサンの昇進が決まった。
昇進した役職ではレイサンは1ヶ月のうち数日しか自宅に帰ってこない。義母とローズに見送られながら、レイサンは出張へ行った。
義母が変わったのはレイサンが出張に出かけてからだ。元々外出する事の多かった義母だが、レイサンが出張で家をあけると家事を全てローズに任せるようになった。
結婚当初はレイサンとローズの家事だけだったが、レイサンが出張に行ってからは、義母の洗濯や掃除も加わった。ローズも初めは断ろうとした。
「主婦をさせてあげているのにこんな事もできないの。」
「貴方は私を楽させる為に結婚してきたのでしょう。」
「口答えするならレイサンに別れるように言ってもいいのよ。」
義母は、ローズに告げてきた。それから義母はローズに会うたびに責めてくるようになった。元々義父の両親の遺産だった屋敷はとても広く、使われていない部屋もあった。義母も業者に掃除を依頼していたみたいだが、いつしかローズが屋敷中掃除をする事になっていた。
義母は業者を呼ぶはずだったお金で外で遊んできている様子だった。
レイサンは出張中、あまりローズに連絡をしてこない。出張から帰ってきたレイサンに話そうとするが、義母が睨みつけてくる。出張で疲れたレイサンに夜告げても、面倒臭そうに「母の事は任せるよ」と言われるだけだった。
結婚してから半年程たった頃、義父が屋敷に帰ってきた。
レイサンに聞いていたように義父と義母はあまり仲がよくないらしい。義父が家にいる時は義母が義父を避けるため、ローズが嫌味を言われる事が減った。義父はなにかとローズを気遣ってくれてローズは少し楽になった。
レイサンと結婚して1年がたった頃、
ローズは妊娠した。
お腹の子は順調に育ち元気に産まれてきた。娘はアリスと名づけられた。
レイサンの出張はあいかわらず多かったが、自宅にいる時はアリスを良くあやし、可愛がってくれる。
義父は、元々大手出版社に勤めて、記事を書く為に遠出する事が多かったみたいだった。現在はフリーとなり自宅にいる事が増えていた。元々親の遺産があり、お金には困っていない様子だった。アリスに入り用な物など何かと義父が買ってきてくれた。
義母は相変わらず趣味の外出が多く、義父を避けていたが、アリスにはオモチャや絵本、お菓子を与え遊んでくれる事も多かった。
ローズは結婚してよかったと心から思うようになっていた。最愛のアリスはスクスクと育ち、風邪もほとんどひかない。このままの幸せが続くと思っていた。
アリスは小学6年生になってから、土曜日は仲のいい友人の所へ遊びに行くようになっていた。スマホとお昼代を持ち、毎週10時頃に出かけて16時頃に帰ってくる。
母から離れて自主的に行動する娘に寂しさを感じるが、娘の成長がローズは嬉しかった。
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