【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)

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限界離婚≪再≫

再生の灯

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夫の広一と再会した後、京香は夫とまた暮らす事になった。

入籍はできないけど、面倒はみるからと夫は優しそうな声で京香に告げてきた。

正直ほっとしていた。

まさか生活保護を受ける事になるなんて想像していなかった。

京香は、離婚届を出すときに、家の貯金通帳を持ち出した。

そのお金は既に無くなり、生活保護を受ける為、なにもかもを失った。

そうしないと生きて行けなかったからだ。

入籍はできないけど一緒に暮らそうと広一は言う。

入籍なんてそんな事はどうでもいい。

ただ、人間らしい暮らしができるなら、、、、

そう京香は思っていた。








だけど、時々目が見えたならと、どうしても思ってしまう。


たしかに義足だし、満足に歩けない。


だけど、杖を使えば立ち上がり、棚に寄りかかりながら引き出しを開ける事だってできる。


広一と共に暮らす部屋は、二人部屋で生活保護を受けていた時の部屋に比べると広く快適だった。


だけど、広一と常に一緒に行動し、広一が外出した時も、なぜか監視されているような居心地の悪さを感じる。


少しくらいなら、、、、


気晴らしで、、、、


楽しめたなら、、、、



そう、元義母の文の部屋には、文がいつも貴重品をいれていた箪笥が運び込まれていた。


きっとあそこには、文の貴重品があるはずだ。


少し頂くだけだ、、、、


でも、その為には目が見えないといけない。






そんな時、広一から申し出があった。


広一と一緒に暮らす高齢者専用住宅がある未来都市で大規模な再生医療の治験を実施するらしく、対象者を募集していると告げられた。


京香の目も、治験の対象疾患に含まれており、成功すればまた見えるようになるという。





京香は、すぐに了承した。




また、目が見えるようになれば、、、、



そうすれば、、、きっと、、、、



































京香は再生医療技術で作られた硝子体と網膜の移植を受けた。


手術は成功し、今日は京香の包帯が外される日になっている。


広一を含め、再生医療治験の対象者募集の手伝いをしていたらしい麗奈とその夫が同席しているらしい。


包帯が外された麗奈は目を開ける。








目の前には、はっきりと夫の広一の顔が見えた。


以前より、なぜか若返ったように見える。


(見える、、、見えるわ。これで、、、私はまた、、、、)


だけど、広一の後ろにいる麗奈と、その夫を見た時に京香は叫び声を上げた。


「徹!どうしてここにいるの!貴方、あの人が私を騙したのよ。私の300万円を返しなさいよ。」


麗奈の隣には徹がいた。京香はまだあの時の300万円を返して貰っていない。


京香の味方だと思っていた広一が落ち着いた声で言った。

「徹君は、麗奈の夫だよ。そんなに興奮すると体に悪い。落ち着きなさい。京香。」

麗奈はワナワナと震える。

「まさか、、、、私を騙していたの!」

徹は笑って言った。

「騙してなんていないさ。勝手に家に来て居座ったのは京香さんだろ。それに俺の家の物を持ち出して売り払った事は知っているよ。合計で幾らになった?300万円以上になったはずだよ。ブランド品ばかりだったからね。」


京香は、ビクリと震えて、恐る恐る広一を見る。


広一は、うっすらと笑っていた。


(この人は知っている。なのにどうして私を迎えにきたの?)


(逃げよう。こんな薄気味悪い場所で暮らすのは嫌よ。また適当に男を捕まえればいい。目が見えるようになったのよ。少しくらい足が悪くても、、、、、、、)


そう思い、立ち上がろうとした京香は、目の前の鏡を見て違和感を持った。


そこに映っている筈の人物がいない。


鏡に映っているのは、広一、京香、徹が立つ光景だ。ベッドに座っているあの老婆はだれだろう。


真っ白な白髪に、染みが多い肌、手入れをされていないからか皺が目立ち肌色も悪い。


見た事のない人物が鏡に映っていた。


そう、この部屋で座っているのは京香だけのはずだ。


だけど、鏡には京香は映っておらず、薄汚れた老婆が映っている。





嫌な予感がして京香は鏡を呆然と見つめた。



そんなはずがないと首を振る。



鏡の中の老婆も首を振った。



驚き、おもわず後ろへ下がろうとする。


鏡の中の老婆も同じように動き離れる。



「まさか、、、、、わたしなの、、、、、そんな、、、、」



そう、そこに映っているのは京香だった。


信じられない。


生活保護になったのは1年程だったはずだ。



たしかに沢山糖尿病の合併症が出た。


満足に治療を受ける事が出来なかった。


食事も粗末な物ばかりで、化粧品なんて買えるはずが無かった。


それでも、、、、こんな。


酷くショックを受け震える京香を見ながら広一は言った。


「どうしてそんなに驚いている。私が君に再会した時から、君は今の姿だったよ。」


京香は言う。
「こんな、、、、こんな姿になったら、、、、もう誰も私の事を、、、、」


広一は微笑み言った。
「そうだね。私以外の男は誰一人として君の相手はしないだろうね。」


京香は、涙を流した。

(ああ、だめだ。もう本当に後がない。もう一度私が何かをしたら、、、、)


薄々気が付いている。

謝りながらも広一が籍を入れないのは、京香の事を信用していないからだと。

二人部屋にも関わらず貸金庫に貴重品を預けている広一は京香に隙を見せる事がない。

息子夫婦とは再会したが、住所や連絡先を未だに教えて貰えない。

自由になるお金なんて一円もない。

ただ、生活保護から抜け出して、広一の情けに頼っているだけだ。







広一は言った。

「さあ、退院の準備をして家に帰ろう。僕たちの家にね。」



京香は、項垂れながらわずかに頷いた。
































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