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それから
保健室の天使
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「こんにちは。どうしましたか?」
保健室の戸を開けたら、穏やかに笑う天使が居た。
違う、この春から来た高梨先生だ。
「う、あ、の…」
お腹を押さえながら、私は高梨先生が指差してくれた椅子の方へと歩いて行く。
「お腹が痛いのですか?」
「う、あ、は…」
心配そうに高梨先生が私の顔を覗き込んで来る。
黒目がちの割と大きな目で、それは反則だよ。
開けられた窓から風が入り込んで来て、高梨先生の艶々とした黒髪を揺らす。
薄い青い色の着物の上に白衣を纏っている高梨先生は、もう、天使の一言に尽きる。
大人の男の人とは思えない華奢な身体に、その低過ぎない澄んだ声とか。
細い指とか。
指…ん?
「…せんせ…指…」
「…え? …ふえっ!?」
左手の薬指にあるそれを指差せば、高梨先生は一気に顔を赤くして、右手で左手を隠してしまった。
何この生き物、可愛いんですけど…。
パチパチと瞬きして、その赤い顔を見れば、ますます赤くなって行く。
このままだと、首まで赤くなりそう。
高梨先生は独身だって聞いていたんだけど。
先週の金曜日には、高梨先生が指輪をしてるとか、そんな話は無かった。
て事は、この土日で、そうなったって事で。
うわあ、この話をしたら、学校中大騒ぎになりそう。菅原先生なんて目じゃないわ。
高梨先生のファンは多い。女の子も男の子も、ほとんどの子が高梨先生に好意を持っている。
だって、高梨先生は優しい。時々見せる天然な処もポイントが高い。
高梨先生の前に居た女の先生は最悪だった。
こうして、生理痛が酷くて保健室に来ても、鎮痛剤を飲ませるだけで、さっさっと教室へ戻れと言われた。
同じ女なんだから、生理痛の酷さを解っていると思うのに。
でも、高梨先生は違う。
薬を飲ませた後は、何時も痛みが治まるまで、ベッドで休んで行ってと言ってくれる。それがどんなに嬉しい事か、高梨先生は知っているのかな?
「ええと! 薬! 鎮痛剤ですよね? 安西さんは、何時もこのぐらいの間隔ですものね。直ぐに気付いてあげられなくて済みません」
そう言いながら立ち上がって、薬棚へと歩いて行く高梨先生の後ろ姿を見る。
「…え…」
名前…月に一回ぐらいしか来ないのに…?
まだ、三ヶ月しか経ってないのに?
「…名前、呼ばれるのは嬉しいですよね?」
そうやって、はにかんだ様に笑いながら、薬とコップに水を入れて渡して来るのは、本当に成人した男の人なのか。いや、もう、本当に天使。天使以外の言葉が出て来ない。この天使を射止めたのは、果たしてどんな人なのだろう? 高梨先生の様に、何処かおっとりした人? それとも真逆? プロポーズは? 先生から? それとも、相手の女の人から?
「雪緒ー! メシ食おうぜ!」
薬を飲み込んだ時、場の雰囲気を壊す騒々しい声が届いた。
「葉山先生!」
お弁当箱を持った葉山を、高梨先生が窘める。
腰に手をあてて、めっとか、もう、どうしてくれよう。
「あ、悪い。生徒が…って、安西か。大丈夫か? 何処が悪いんだ?」
生理痛だなんて、そんなの言える訳ないじゃない、馬鹿葉山。
そんなんだから、果たし状を貰ったりするのよ。
「夏風邪の走りの様で、少々熱があるんです。ですから、お静かにお願いしますね。安西さん、ほら、ベッドで休んで下さい」
「はい、ありがとうございます」
高梨先生に言われて、私は一番奥にあるベッドに、カーテンを閉めて潜り込む。
ああ、もう。
本当に、高梨先生のお嫁さんが羨ましい。
きっと、先生のお弁当はお嫁さんが…。
「んー、雪緒の玉子焼きは何時も美味い!」
…先生のピシッとした白衣はお嫁さんが…。
「雪緒、アイロン掛けるの上手いよな、今度俺のも頼む」
…お部屋のお掃除は…。
「あ。今度俺の部屋、掃除してくれる? 何でも奢るからさ!」
…………………先生…お嫁さん…必要…?
…ま、まあ…家事が苦手なお嫁さんでも…あれよね…愛があれば…ってヤツよね…。
なんて思いながら、私は薬の作用で深い眠りに落ちて行った。
――――――――おまけ――――――――
旦那様「そこっ! 踏み込みが甘いっ!!」
星 「…たいちょ、機嫌悪いな?」
瑠璃子「金曜日は普通だったよね?」
旦那様「私語は慎め! 二人纏めて相手してやるから、掛かって来い!」
星&瑠璃子「えええええええ!?」
保健室の戸を開けたら、穏やかに笑う天使が居た。
違う、この春から来た高梨先生だ。
「う、あ、の…」
お腹を押さえながら、私は高梨先生が指差してくれた椅子の方へと歩いて行く。
「お腹が痛いのですか?」
「う、あ、は…」
心配そうに高梨先生が私の顔を覗き込んで来る。
黒目がちの割と大きな目で、それは反則だよ。
開けられた窓から風が入り込んで来て、高梨先生の艶々とした黒髪を揺らす。
薄い青い色の着物の上に白衣を纏っている高梨先生は、もう、天使の一言に尽きる。
大人の男の人とは思えない華奢な身体に、その低過ぎない澄んだ声とか。
細い指とか。
指…ん?
「…せんせ…指…」
「…え? …ふえっ!?」
左手の薬指にあるそれを指差せば、高梨先生は一気に顔を赤くして、右手で左手を隠してしまった。
何この生き物、可愛いんですけど…。
パチパチと瞬きして、その赤い顔を見れば、ますます赤くなって行く。
このままだと、首まで赤くなりそう。
高梨先生は独身だって聞いていたんだけど。
先週の金曜日には、高梨先生が指輪をしてるとか、そんな話は無かった。
て事は、この土日で、そうなったって事で。
うわあ、この話をしたら、学校中大騒ぎになりそう。菅原先生なんて目じゃないわ。
高梨先生のファンは多い。女の子も男の子も、ほとんどの子が高梨先生に好意を持っている。
だって、高梨先生は優しい。時々見せる天然な処もポイントが高い。
高梨先生の前に居た女の先生は最悪だった。
こうして、生理痛が酷くて保健室に来ても、鎮痛剤を飲ませるだけで、さっさっと教室へ戻れと言われた。
同じ女なんだから、生理痛の酷さを解っていると思うのに。
でも、高梨先生は違う。
薬を飲ませた後は、何時も痛みが治まるまで、ベッドで休んで行ってと言ってくれる。それがどんなに嬉しい事か、高梨先生は知っているのかな?
「ええと! 薬! 鎮痛剤ですよね? 安西さんは、何時もこのぐらいの間隔ですものね。直ぐに気付いてあげられなくて済みません」
そう言いながら立ち上がって、薬棚へと歩いて行く高梨先生の後ろ姿を見る。
「…え…」
名前…月に一回ぐらいしか来ないのに…?
まだ、三ヶ月しか経ってないのに?
「…名前、呼ばれるのは嬉しいですよね?」
そうやって、はにかんだ様に笑いながら、薬とコップに水を入れて渡して来るのは、本当に成人した男の人なのか。いや、もう、本当に天使。天使以外の言葉が出て来ない。この天使を射止めたのは、果たしてどんな人なのだろう? 高梨先生の様に、何処かおっとりした人? それとも真逆? プロポーズは? 先生から? それとも、相手の女の人から?
「雪緒ー! メシ食おうぜ!」
薬を飲み込んだ時、場の雰囲気を壊す騒々しい声が届いた。
「葉山先生!」
お弁当箱を持った葉山を、高梨先生が窘める。
腰に手をあてて、めっとか、もう、どうしてくれよう。
「あ、悪い。生徒が…って、安西か。大丈夫か? 何処が悪いんだ?」
生理痛だなんて、そんなの言える訳ないじゃない、馬鹿葉山。
そんなんだから、果たし状を貰ったりするのよ。
「夏風邪の走りの様で、少々熱があるんです。ですから、お静かにお願いしますね。安西さん、ほら、ベッドで休んで下さい」
「はい、ありがとうございます」
高梨先生に言われて、私は一番奥にあるベッドに、カーテンを閉めて潜り込む。
ああ、もう。
本当に、高梨先生のお嫁さんが羨ましい。
きっと、先生のお弁当はお嫁さんが…。
「んー、雪緒の玉子焼きは何時も美味い!」
…先生のピシッとした白衣はお嫁さんが…。
「雪緒、アイロン掛けるの上手いよな、今度俺のも頼む」
…お部屋のお掃除は…。
「あ。今度俺の部屋、掃除してくれる? 何でも奢るからさ!」
…………………先生…お嫁さん…必要…?
…ま、まあ…家事が苦手なお嫁さんでも…あれよね…愛があれば…ってヤツよね…。
なんて思いながら、私は薬の作用で深い眠りに落ちて行った。
――――――――おまけ――――――――
旦那様「そこっ! 踏み込みが甘いっ!!」
星 「…たいちょ、機嫌悪いな?」
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