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ギャル親父は壁になりたい
07.何でお前が壁になるんだ
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「…凄いな…叔父×甥…甥×叔父もだが…これ程あるとは…」
帰宅して、食事やら風呂やらスキンケアやらを済ませた後、俺はパソコンを起動してアオッターを見て唸っていた。昼の発言に、かなりの返事を貰っていて、両手を合わせて拝んだのは言うまでもない。特に、拡散してくれた、しまあつ君と、おっくんさんと、こばちゃんさん、それから…田中さん…いや、プロだなんて知らなかった。取り敢えず、代表作としてプロフィ―ルにある『君色の風』をババゾンで注文した。届くのが楽しみだ。電子書籍でもあるが、俺はやはり紙で発行されてあるのなら、紙で欲しい派だ。紙の方が目に優しいし、あのページを捲る感触が好きなのだ。疲れたら、栞を挟んで続きを期待しながら本を閉じる。あれを味わえるのは、紙しかない。
「…これとこれは、皆が書いているから、これらを先に読むか…後は休みの日に回して…」
教えてくれた先輩方にお礼の返事を書いてから、俺は件の作品を読み始めた。
そして、アオッターに以下の文字を打ち込んでいた。
『何で死ぬんじゃああああああああああああっ!! 何が来世だこんちくしょうっ!! 皆が皆、前世の記憶を持ってるとか思うなよ!! そうそう都合良く同じ時間で出逢える訳がないだろが、ああん!? どんだけの天文学的な数字に期待してんじゃわれえっ!? 今だよ、今!! 今しかその想い文字数』
敢えて作品名は書かない。いや、タグを確認しなかった俺が悪いんだが。
別にバッドエンドが悪い訳では無いし、嫌いだと云う訳では無いんだが、今の話の主人公が高校生だったから、矢田の姿と重ねてしまって、つい叫んでしまった。
矢田にバッドエンドは似合わない。自分に懐いてくれる子は可愛いのだ。幸せになって貰いたい。
「けどなあ…タグの中にはネタバレもあったりするから、極力見たくないんだよなあ…」
あらすじだけ読んで、タグの確認はしない。これは、やはり紙で慣れているからなのだろうか? まあ、中には帯で盛大にネタバレをしている作品もあったりするが。
「それにしても…」
この作品が推されると云う事は、やはり古来から日本人は、駆け落ち心中が好きなんだなと改めて思う。純文学では良くあるからな。
「この世で結ばれぬ縁ならば…か…」
両腕を頭の後ろに回して、手を組んで背を仰け反らせて天井を見る。
俺だったらどうするだろう?
俺が、もし甥っ子を好きになったら?
結ばれないと解っているのに、それでも諦められないとなったら?
「う~ん…」
唸って目を閉じれば、前世の俺の姿が浮かぶ。
煙草代わりに、30円のキャンディーを咥え、片手には銀麦…は、あの時代には無かったよな…まあ良いか…前世の俺、澄が壁に背中を預けて座り込む。片膝を立てて、銀麦を持つ右手を膝に乗せ、口の端だけでニヤリと笑いながら、親指だけを残して拳にした左手を顔の高さまで上げる。そして、その親指を勢いよく、下へと向けた。
『GOじゃねーっ!! GOじゃねーだろーっ!! 何暢気にビール呑んで壁になってんだーっ!!』
カタカタと気が付けば俺はそう打ち込んで送信していた。
ああ…だが、前世の俺なら、澄ならば、そうするだろう。
もし、澄が叔父を好きになったら、間違いなく迷うことなく告白し、玉砕している事だろう。ん? 何で、玉砕前提かって? そりゃあ、あの澄だぞ? うだうだ悩むのは性に合わない、それが澄だ。それに、親父ギャルだった。モテる筈が無い。自分で言っていて虚しいが、モテた記憶等無い。ヤンキーには懐かれたが、それだけだ。
「…まあ、今世でもモテた記憶は無いが…っと…」
待てよ…?
もしかして、俺、圧倒的に恋愛スキル足りていないのでは?
彼女と別れて二十年。そこから、恋愛沙汰は一切無し。仕事と読書一筋。
「…………………………………」
たらりと、俺の額から一筋の汗が流れた。
『叔父×甥とか甥×叔父とか言ってる場合じゃねぇっ!! 胸キュンな初々しい話をくれええぇっ!! そこから始めないと駄目だったああああっ!!』
情けない事だが、仕方が無い。
俺は恥を忍んで、そう打ち込んだ。
勿論、先に教えて貰った話は全部読むが。
実際に甥っ子に姪っ子は居るが、会う機会は少ない…てか、実家になかなか帰らないからだが。こちらに来た当初は帰っていたが、段々と億劫になったんだよなあ…歳かな…。
「…良い機会だし、冬休みにでも帰ってみるか? 兄貴達も帰って来れば良いんだが…あ、お年玉…」
帰宅して、食事やら風呂やらスキンケアやらを済ませた後、俺はパソコンを起動してアオッターを見て唸っていた。昼の発言に、かなりの返事を貰っていて、両手を合わせて拝んだのは言うまでもない。特に、拡散してくれた、しまあつ君と、おっくんさんと、こばちゃんさん、それから…田中さん…いや、プロだなんて知らなかった。取り敢えず、代表作としてプロフィ―ルにある『君色の風』をババゾンで注文した。届くのが楽しみだ。電子書籍でもあるが、俺はやはり紙で発行されてあるのなら、紙で欲しい派だ。紙の方が目に優しいし、あのページを捲る感触が好きなのだ。疲れたら、栞を挟んで続きを期待しながら本を閉じる。あれを味わえるのは、紙しかない。
「…これとこれは、皆が書いているから、これらを先に読むか…後は休みの日に回して…」
教えてくれた先輩方にお礼の返事を書いてから、俺は件の作品を読み始めた。
そして、アオッターに以下の文字を打ち込んでいた。
『何で死ぬんじゃああああああああああああっ!! 何が来世だこんちくしょうっ!! 皆が皆、前世の記憶を持ってるとか思うなよ!! そうそう都合良く同じ時間で出逢える訳がないだろが、ああん!? どんだけの天文学的な数字に期待してんじゃわれえっ!? 今だよ、今!! 今しかその想い文字数』
敢えて作品名は書かない。いや、タグを確認しなかった俺が悪いんだが。
別にバッドエンドが悪い訳では無いし、嫌いだと云う訳では無いんだが、今の話の主人公が高校生だったから、矢田の姿と重ねてしまって、つい叫んでしまった。
矢田にバッドエンドは似合わない。自分に懐いてくれる子は可愛いのだ。幸せになって貰いたい。
「けどなあ…タグの中にはネタバレもあったりするから、極力見たくないんだよなあ…」
あらすじだけ読んで、タグの確認はしない。これは、やはり紙で慣れているからなのだろうか? まあ、中には帯で盛大にネタバレをしている作品もあったりするが。
「それにしても…」
この作品が推されると云う事は、やはり古来から日本人は、駆け落ち心中が好きなんだなと改めて思う。純文学では良くあるからな。
「この世で結ばれぬ縁ならば…か…」
両腕を頭の後ろに回して、手を組んで背を仰け反らせて天井を見る。
俺だったらどうするだろう?
俺が、もし甥っ子を好きになったら?
結ばれないと解っているのに、それでも諦められないとなったら?
「う~ん…」
唸って目を閉じれば、前世の俺の姿が浮かぶ。
煙草代わりに、30円のキャンディーを咥え、片手には銀麦…は、あの時代には無かったよな…まあ良いか…前世の俺、澄が壁に背中を預けて座り込む。片膝を立てて、銀麦を持つ右手を膝に乗せ、口の端だけでニヤリと笑いながら、親指だけを残して拳にした左手を顔の高さまで上げる。そして、その親指を勢いよく、下へと向けた。
『GOじゃねーっ!! GOじゃねーだろーっ!! 何暢気にビール呑んで壁になってんだーっ!!』
カタカタと気が付けば俺はそう打ち込んで送信していた。
ああ…だが、前世の俺なら、澄ならば、そうするだろう。
もし、澄が叔父を好きになったら、間違いなく迷うことなく告白し、玉砕している事だろう。ん? 何で、玉砕前提かって? そりゃあ、あの澄だぞ? うだうだ悩むのは性に合わない、それが澄だ。それに、親父ギャルだった。モテる筈が無い。自分で言っていて虚しいが、モテた記憶等無い。ヤンキーには懐かれたが、それだけだ。
「…まあ、今世でもモテた記憶は無いが…っと…」
待てよ…?
もしかして、俺、圧倒的に恋愛スキル足りていないのでは?
彼女と別れて二十年。そこから、恋愛沙汰は一切無し。仕事と読書一筋。
「…………………………………」
たらりと、俺の額から一筋の汗が流れた。
『叔父×甥とか甥×叔父とか言ってる場合じゃねぇっ!! 胸キュンな初々しい話をくれええぇっ!! そこから始めないと駄目だったああああっ!!』
情けない事だが、仕方が無い。
俺は恥を忍んで、そう打ち込んだ。
勿論、先に教えて貰った話は全部読むが。
実際に甥っ子に姪っ子は居るが、会う機会は少ない…てか、実家になかなか帰らないからだが。こちらに来た当初は帰っていたが、段々と億劫になったんだよなあ…歳かな…。
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