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攻略されていたのは、俺?
【18】※
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それは、暗い昏い笑みだった。
メゴロウが、して良い表情じゃない。
メゴロウは、こんな風には笑わない。
そこから漂う雰囲気だって、何処のラスボスだよと言いたいぐらいに黒く昏い。
「…ごめんなさい…こんな思いをさせてしまって」
ふっと黒い目を細めて、メゴロウは身を屈めて両手を伸ばして来て俺の顎を持ち上げた。
そうすれば真っ直ぐとメゴロウと視線が合わさる。
「…汚い…から…君の手が…」
怖いぐらいに昏く優しく俺を見て来るメゴロウに、何とか言葉を紡ぐ。
吐くだけ吐いて、まだ口周りを拭っていない。メゴロウの手が汚れる。
「…ああ…アニキの事では無くて…この汚い女ですよ」
ガシャッと、ボキッと、そんな何かを砕く音が聞こえた。
メゴロウが足元にある何かを踏み潰した音だろう。
やけに乾いた音が室内に響いた。
「…アニキは綺麗ですよ…。…それなのに…ごめんなさい…」
「…メゴロウ…?」
親指の腹で、メゴロウは優しく丁寧に俺の口周りを拭う。
胃液やら涎やらで汚いと思うのに、酷く優しく丁寧に。
何で謝るんだ?
何でお前が謝るんだ?
お前は…誰、だ?
混乱なんて、している様には見えない。
とても落ち着いていて、冷静でいる様に見える。
…違う。
これは、俺が知っているメゴロウとは違う。
では、誰だ?
人がいきなり老化して腐って死んだのに。
何で、お前は落ち着いている?
何で、驚かない?
こんな、現実では起こり得ない事があったのに、何で?
ここはゲームの世界だが、剣や魔法のファンタジーな世界じゃない。現代日本と同じ、科学の世界だ。そりゃ、科学で解明出来ない事もあるが、大体はそれで片付く世界…――――――。
「…って…いたのに…綺麗に…してあげます」
「…っ…!?」
口周りを拭いていたメゴロウの親指が、俺の下唇を撫でたと思ったら、いきなり熱い何かに唇を塞がれてしまった。
何かって?
「んぅっ!?」
メゴロウの唇に、だ。つまり、これは…。
キ ス だ 。
は!? え!? キス!? 俺とメゴロウが!? 何で、何で、何で!?
「~~~っ、メ、ゴ…ッ!!」
混乱しながら、頭を振って唇を離して声を上げれば、後頭部に手を回され引き寄せられ、口を開いた隙間から舌を挿し込まれ、絡め取られた。
何だこれ、何だこれ!?
何で何で何で何で何で!?
何で、俺とメゴロウがキス、それもこんなディープなキスを!? やはり混乱しているのか!? いや、待て、落ち着け!! お前はヒロインと幸せになるんだ! 俺とじゃない!!
腕をメゴロウの背中に回して、バンバンと叩くが、口内を動き回る熱くぬるついた舌の動きは止まらず、口の中に唾液が溢れて来る。
「~~~っ!!」
駄目だ駄目だ駄目だ!
幾らエロゲの主人公でも、男の俺とこんな事をしたら駄目だ!!
「…こっちも…綺麗にしなきゃ…」
ひゅっと、俺は喉を引き攣らせた。それは、唇を離したメゴロウが、そう呟くと同時に、俺のちんこを撫でたからだ。
誰だよ、ちんこを出したままにしていたのはっ!!
出しっぱなしは駄目だって、使った物はきちんとしまいましょうねって、小さい頃に散々言われただろう!?
俺だよ、畜生っ!!
てか、あの流れでちんこに気が行くか!?
ああ、混乱しているのは、俺もだ!!
「いっ…! それは、いけないよ、メゴロウ…っ…!!」
「…どうして…? あの女には触らせたのに? あの女の中に入ろうとしていたのに…?」
誰がっ!!
誰が、好き好んであんな女にっ!!
ああ、でも、やっぱりメゴロウには、そう見えていたのか。
嫌だ。
メゴロウにそう思われるのは嫌だ。
泣きたくなる。
いや、もう泣きたい。
嫌われても良いって、憎まれても呪われても良いって思ったが、嫌だ。世界中の誰から嫌われても良いけど、メゴロウにだけは、やっぱり嫌われたくない。
「…違う…」
違う…無理矢理…いや、隙があった俺も悪いけど、けど、俺の意思じゃない。
俺は、あんな女の事なんか、何とも思っていない。そりゃ、ゲームしてた頃は、お近付きになりたいって思ったりしたけど。けど、こんなのだって知ってたら、そんな事思いもしなかったよ。
違うんだ。
だから、笑ってくれよ。
何時もみたく、照れ臭そうに笑ってくれよ。
そんな昏い目で俺を見ないでくれ。
そんな昏い笑みを見せないでくれ。
俺、メゴロウの笑顔が好きなんだ。
雛鳥みたく、俺に懐いてくるメゴロウにご飯を食べさせるのが好きなんだ。
何時も何時も、気が付けば俺に引っ付いて寝てるメゴロウの寝顔をこっそり見るのが好きなんだ。
お前が淹れてくれるコーヒーを飲むのが好きなんだ。
ああ…そうか…俺は…。
「…私は…君が…メゴロウが……」
…好きなんだな…。
そう、言おうとした。
そう、言葉にしようとした。
けど。
「ゴボッ…!」
実際に、俺の口から出たのは、そんな音。
ぽたりぽたりと、口から溢れて行くのは赤い紅い血。
顎を伝い、胸に脚に、ちんこに、ベッドの上、白いシーツに広がって行く。
――――――…え…?
血の流れを追って、自然と落とされた視線の先、右胸の下には、園芸ハサミがぶすりと刺さっていた。
――――――…何で…?
メゴロウが、して良い表情じゃない。
メゴロウは、こんな風には笑わない。
そこから漂う雰囲気だって、何処のラスボスだよと言いたいぐらいに黒く昏い。
「…ごめんなさい…こんな思いをさせてしまって」
ふっと黒い目を細めて、メゴロウは身を屈めて両手を伸ばして来て俺の顎を持ち上げた。
そうすれば真っ直ぐとメゴロウと視線が合わさる。
「…汚い…から…君の手が…」
怖いぐらいに昏く優しく俺を見て来るメゴロウに、何とか言葉を紡ぐ。
吐くだけ吐いて、まだ口周りを拭っていない。メゴロウの手が汚れる。
「…ああ…アニキの事では無くて…この汚い女ですよ」
ガシャッと、ボキッと、そんな何かを砕く音が聞こえた。
メゴロウが足元にある何かを踏み潰した音だろう。
やけに乾いた音が室内に響いた。
「…アニキは綺麗ですよ…。…それなのに…ごめんなさい…」
「…メゴロウ…?」
親指の腹で、メゴロウは優しく丁寧に俺の口周りを拭う。
胃液やら涎やらで汚いと思うのに、酷く優しく丁寧に。
何で謝るんだ?
何でお前が謝るんだ?
お前は…誰、だ?
混乱なんて、している様には見えない。
とても落ち着いていて、冷静でいる様に見える。
…違う。
これは、俺が知っているメゴロウとは違う。
では、誰だ?
人がいきなり老化して腐って死んだのに。
何で、お前は落ち着いている?
何で、驚かない?
こんな、現実では起こり得ない事があったのに、何で?
ここはゲームの世界だが、剣や魔法のファンタジーな世界じゃない。現代日本と同じ、科学の世界だ。そりゃ、科学で解明出来ない事もあるが、大体はそれで片付く世界…――――――。
「…って…いたのに…綺麗に…してあげます」
「…っ…!?」
口周りを拭いていたメゴロウの親指が、俺の下唇を撫でたと思ったら、いきなり熱い何かに唇を塞がれてしまった。
何かって?
「んぅっ!?」
メゴロウの唇に、だ。つまり、これは…。
キ ス だ 。
は!? え!? キス!? 俺とメゴロウが!? 何で、何で、何で!?
「~~~っ、メ、ゴ…ッ!!」
混乱しながら、頭を振って唇を離して声を上げれば、後頭部に手を回され引き寄せられ、口を開いた隙間から舌を挿し込まれ、絡め取られた。
何だこれ、何だこれ!?
何で何で何で何で何で!?
何で、俺とメゴロウがキス、それもこんなディープなキスを!? やはり混乱しているのか!? いや、待て、落ち着け!! お前はヒロインと幸せになるんだ! 俺とじゃない!!
腕をメゴロウの背中に回して、バンバンと叩くが、口内を動き回る熱くぬるついた舌の動きは止まらず、口の中に唾液が溢れて来る。
「~~~っ!!」
駄目だ駄目だ駄目だ!
幾らエロゲの主人公でも、男の俺とこんな事をしたら駄目だ!!
「…こっちも…綺麗にしなきゃ…」
ひゅっと、俺は喉を引き攣らせた。それは、唇を離したメゴロウが、そう呟くと同時に、俺のちんこを撫でたからだ。
誰だよ、ちんこを出したままにしていたのはっ!!
出しっぱなしは駄目だって、使った物はきちんとしまいましょうねって、小さい頃に散々言われただろう!?
俺だよ、畜生っ!!
てか、あの流れでちんこに気が行くか!?
ああ、混乱しているのは、俺もだ!!
「いっ…! それは、いけないよ、メゴロウ…っ…!!」
「…どうして…? あの女には触らせたのに? あの女の中に入ろうとしていたのに…?」
誰がっ!!
誰が、好き好んであんな女にっ!!
ああ、でも、やっぱりメゴロウには、そう見えていたのか。
嫌だ。
メゴロウにそう思われるのは嫌だ。
泣きたくなる。
いや、もう泣きたい。
嫌われても良いって、憎まれても呪われても良いって思ったが、嫌だ。世界中の誰から嫌われても良いけど、メゴロウにだけは、やっぱり嫌われたくない。
「…違う…」
違う…無理矢理…いや、隙があった俺も悪いけど、けど、俺の意思じゃない。
俺は、あんな女の事なんか、何とも思っていない。そりゃ、ゲームしてた頃は、お近付きになりたいって思ったりしたけど。けど、こんなのだって知ってたら、そんな事思いもしなかったよ。
違うんだ。
だから、笑ってくれよ。
何時もみたく、照れ臭そうに笑ってくれよ。
そんな昏い目で俺を見ないでくれ。
そんな昏い笑みを見せないでくれ。
俺、メゴロウの笑顔が好きなんだ。
雛鳥みたく、俺に懐いてくるメゴロウにご飯を食べさせるのが好きなんだ。
何時も何時も、気が付けば俺に引っ付いて寝てるメゴロウの寝顔をこっそり見るのが好きなんだ。
お前が淹れてくれるコーヒーを飲むのが好きなんだ。
ああ…そうか…俺は…。
「…私は…君が…メゴロウが……」
…好きなんだな…。
そう、言おうとした。
そう、言葉にしようとした。
けど。
「ゴボッ…!」
実際に、俺の口から出たのは、そんな音。
ぽたりぽたりと、口から溢れて行くのは赤い紅い血。
顎を伝い、胸に脚に、ちんこに、ベッドの上、白いシーツに広がって行く。
――――――…え…?
血の流れを追って、自然と落とされた視線の先、右胸の下には、園芸ハサミがぶすりと刺さっていた。
――――――…何で…?
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