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攻略していたのは、僕
【05】
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顔を上げれば、冷ややかな青い目が僕を見ていた。
けど、目が合った瞬間にふっと細められて、軽く口角が上がって、それは、まるで僕を挑発している様に見えた。それは、一瞬だったけれど。その一瞬で十分だった。
ぶわっと、顔に熱が集まる。きっと、今の僕はどんなに熟れたトマトよりも赤い筈だ。皮が弾けるかも知れない。
「…じゃあ、メゴロウ君の席は…」
先生の言葉に僕は頷いて、片手を挙げてる女の子の隣の席へと歩いて行く。
頭も、足元も、ふわふわしてる。
…か…あぁっわいぃ…っ……!
何あれ何あれ何あれ?
あんなに綺麗なのに、あんな乱暴な言葉を使うだなんて。
僕への忠告なんだろうけど、逆効果だ。
ケタロウ様は、凄く優しい人なんだ。
わざわざ言い難い事を言ってくれた。
梅の僕を気遣ってくれた。
もっと、彼と話したい。
もっと、彼を知りたい。
もっと、彼に近付きたい。
「向こうが、科学室や家庭科室…移動教室がある校舎です。また、食堂もあちらに。お昼休みには一緒に行きましょう」
「あ、はい…」
そう思っていたのに、休み時間には隣の席になった女の子…ナ・デシコさんに、軽く学園内を案内されていた。
深い藍色の髪は、真っ直ぐと腰まで伸びていた。額の真ん中で長い前髪を分けていて、小さい頃に読んだ絵本の異国のお姫様みたいだ。深い灰色の瞳は女の子にしては細めかな。可愛いよりは、美人って言った方が合う。けど。
…ケタロウ様の方が綺麗だ…。
彼より綺麗な人なんていない。
纏う雰囲気が全然違う。彼の周りは、輝いて見えた。
今日は無理だけど、明日のお昼は…あ、同じ寮にいるんだ。夜、食堂で会えるじゃないか。
◇
「…食べ過ぎた…かも…」
お昼を食べ終わった僕は、食堂から見えた噴水のある中庭に出て来ていた。お腹を擦りながら、噴水の周りを歩く。サアサアと散る水飛沫が気持ち良い。
けど…お腹が重い…お昼休みになって、デシコさんと食堂に来て一緒に食べていたんだけど…『…ごめんなさい…。…私…胸焼けが…お昼休みは十三時までなので、午後の授業に遅れませんよう…』って、口をハンカチで押さえて食堂から出て行った。食べ掛けで出て行くなんて、行儀が悪いな。作った人と食べ物に謝ってと思いながら、僕はデシコさんが残したオムライスも食べた。チーズ入りでとても美味しかった。そこで更にチーズフォンデュを追加したのが駄目だったのかも。だって、チーズフォンデュなんて、そんな贅沢な物、家では食べた事が無かったんだもの、仕方が無いよね。いや、その前のミートソースが余計だったのかな。それとも、仔羊のフィレステーキ? ううん、その前のマルガリータピザ? ああ、シーザーサラダは余計じゃないよね? 野菜も食べないとね。でも、あまり美味しい野菜じゃ無かったなあ。ドレッシングで誤魔化していたけど、家の野菜の方が美味しいや。こんな都会じゃ、採れたての野菜なんて無理なんだろうな。いや、そこからのアップルパイとガトーショコラと苺のミルフィーユと…後は…。
「あーっ! いたいた、転校生くーん!」
「ん?」
僕の事かな? 僕しか居ないよね?
噴水を見ていた顔を声が聴こえた方へと向けたら、ツインテールにした、ショッキングピンクの髪色が目に痛い女の子が、手を振って走って来るのが見えた。
誰だろう? 同じクラスの子じゃないよね? 居たら気付く筈だし。
「あのねーっ!!」
デシコさんの声が落ち着いていたから、やけに甲高い彼女の声が耳に障る。同じクラスじゃなくて良かった。って、走るスピードが落ちないけど止まれるのかな? って、本当に止まる気なくない!?
「ちょ…っ…!」
ツインテールをぶんぶん振り回して近付いて来る彼女へと、僕は制止の意味を込めて右掌を向けた。けど、時既に遅し。
「う"っ"!?」
ドンッて胸に衝撃を受けた僕の身体はぐらりと傾いて、背中から噴水の中へと落ちてしまった。ぴちゃぴちゃと顔に当たる水飛沫は気持ち良かったけれど、まだ春のこの時期に、全身で水浴びしたいとは思わないよ。
うう、背中もお尻も痛いし、ズボンどころかパンツもぐちゃぐちゃだよ。気持ち悪いし、重いし。早く退いてくれないかな?
僕の脚を跨いで、ぽけぇっと見てるピンクの子を恨みがましく見た時。
「倒れて来る女子を支えてやれないだなんて、梅は随分と貧弱な様だね? 大丈夫かい?」
随分と冷ややかな声が近くから聞こえて来た。声の聞こえた方へと顔を動かせば、ブレザーから腕を抜いているケタロウ様の姿があった。
「ツイ・ピンコ嬢、貴女も淑女を目指すのなら、落ち着きと云う物を覚えた方が良いね」
そう言いながら、脱いだブレザーをピンクの子の肩に掛けてあげて、手を差し伸べるケタロウ様が眩しくて、鼻血が出そうになって、慌てて鼻を押さえた。
「…元気な様で何より。それならば、早く彼女を連れて救護室へ行きたまえ」
「え? あ?」
ぽんっと、ピンクの子の肩を叩いて、その場を去るケタロウ様とピンクの子を見比べる。胸の前でブレザーの襟を合わせるピンクの子。そこには、濡れた白いブラウスにぺったりと張り付いた、ピンク色のブラジャーが透けて見えていた。
嘘!? 誤解された!!
けど、目が合った瞬間にふっと細められて、軽く口角が上がって、それは、まるで僕を挑発している様に見えた。それは、一瞬だったけれど。その一瞬で十分だった。
ぶわっと、顔に熱が集まる。きっと、今の僕はどんなに熟れたトマトよりも赤い筈だ。皮が弾けるかも知れない。
「…じゃあ、メゴロウ君の席は…」
先生の言葉に僕は頷いて、片手を挙げてる女の子の隣の席へと歩いて行く。
頭も、足元も、ふわふわしてる。
…か…あぁっわいぃ…っ……!
何あれ何あれ何あれ?
あんなに綺麗なのに、あんな乱暴な言葉を使うだなんて。
僕への忠告なんだろうけど、逆効果だ。
ケタロウ様は、凄く優しい人なんだ。
わざわざ言い難い事を言ってくれた。
梅の僕を気遣ってくれた。
もっと、彼と話したい。
もっと、彼を知りたい。
もっと、彼に近付きたい。
「向こうが、科学室や家庭科室…移動教室がある校舎です。また、食堂もあちらに。お昼休みには一緒に行きましょう」
「あ、はい…」
そう思っていたのに、休み時間には隣の席になった女の子…ナ・デシコさんに、軽く学園内を案内されていた。
深い藍色の髪は、真っ直ぐと腰まで伸びていた。額の真ん中で長い前髪を分けていて、小さい頃に読んだ絵本の異国のお姫様みたいだ。深い灰色の瞳は女の子にしては細めかな。可愛いよりは、美人って言った方が合う。けど。
…ケタロウ様の方が綺麗だ…。
彼より綺麗な人なんていない。
纏う雰囲気が全然違う。彼の周りは、輝いて見えた。
今日は無理だけど、明日のお昼は…あ、同じ寮にいるんだ。夜、食堂で会えるじゃないか。
◇
「…食べ過ぎた…かも…」
お昼を食べ終わった僕は、食堂から見えた噴水のある中庭に出て来ていた。お腹を擦りながら、噴水の周りを歩く。サアサアと散る水飛沫が気持ち良い。
けど…お腹が重い…お昼休みになって、デシコさんと食堂に来て一緒に食べていたんだけど…『…ごめんなさい…。…私…胸焼けが…お昼休みは十三時までなので、午後の授業に遅れませんよう…』って、口をハンカチで押さえて食堂から出て行った。食べ掛けで出て行くなんて、行儀が悪いな。作った人と食べ物に謝ってと思いながら、僕はデシコさんが残したオムライスも食べた。チーズ入りでとても美味しかった。そこで更にチーズフォンデュを追加したのが駄目だったのかも。だって、チーズフォンデュなんて、そんな贅沢な物、家では食べた事が無かったんだもの、仕方が無いよね。いや、その前のミートソースが余計だったのかな。それとも、仔羊のフィレステーキ? ううん、その前のマルガリータピザ? ああ、シーザーサラダは余計じゃないよね? 野菜も食べないとね。でも、あまり美味しい野菜じゃ無かったなあ。ドレッシングで誤魔化していたけど、家の野菜の方が美味しいや。こんな都会じゃ、採れたての野菜なんて無理なんだろうな。いや、そこからのアップルパイとガトーショコラと苺のミルフィーユと…後は…。
「あーっ! いたいた、転校生くーん!」
「ん?」
僕の事かな? 僕しか居ないよね?
噴水を見ていた顔を声が聴こえた方へと向けたら、ツインテールにした、ショッキングピンクの髪色が目に痛い女の子が、手を振って走って来るのが見えた。
誰だろう? 同じクラスの子じゃないよね? 居たら気付く筈だし。
「あのねーっ!!」
デシコさんの声が落ち着いていたから、やけに甲高い彼女の声が耳に障る。同じクラスじゃなくて良かった。って、走るスピードが落ちないけど止まれるのかな? って、本当に止まる気なくない!?
「ちょ…っ…!」
ツインテールをぶんぶん振り回して近付いて来る彼女へと、僕は制止の意味を込めて右掌を向けた。けど、時既に遅し。
「う"っ"!?」
ドンッて胸に衝撃を受けた僕の身体はぐらりと傾いて、背中から噴水の中へと落ちてしまった。ぴちゃぴちゃと顔に当たる水飛沫は気持ち良かったけれど、まだ春のこの時期に、全身で水浴びしたいとは思わないよ。
うう、背中もお尻も痛いし、ズボンどころかパンツもぐちゃぐちゃだよ。気持ち悪いし、重いし。早く退いてくれないかな?
僕の脚を跨いで、ぽけぇっと見てるピンクの子を恨みがましく見た時。
「倒れて来る女子を支えてやれないだなんて、梅は随分と貧弱な様だね? 大丈夫かい?」
随分と冷ややかな声が近くから聞こえて来た。声の聞こえた方へと顔を動かせば、ブレザーから腕を抜いているケタロウ様の姿があった。
「ツイ・ピンコ嬢、貴女も淑女を目指すのなら、落ち着きと云う物を覚えた方が良いね」
そう言いながら、脱いだブレザーをピンクの子の肩に掛けてあげて、手を差し伸べるケタロウ様が眩しくて、鼻血が出そうになって、慌てて鼻を押さえた。
「…元気な様で何より。それならば、早く彼女を連れて救護室へ行きたまえ」
「え? あ?」
ぽんっと、ピンクの子の肩を叩いて、その場を去るケタロウ様とピンクの子を見比べる。胸の前でブレザーの襟を合わせるピンクの子。そこには、濡れた白いブラウスにぺったりと張り付いた、ピンク色のブラジャーが透けて見えていた。
嘘!? 誤解された!!
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