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おまけ
危機編・06
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「初めまして。トナ国の、ゴンベ・トナだよ」
生徒会長に言われた通りに、俺達は昼時に近い頃に大学部の温室に来た。
そこで、左腕に食パン一本を抱えて、背中にはリュックを背負った青年が朗らかな声と笑顔で、右手を差し出して来たから、俺とメゴロウは慌てて腰を降ろして膝を付き、右手を胸にあてて頭を下げた。
トナ国は隣国の名前で、ゴンべと言ったら、そこの第三王子の名前だ。ゴンベ王子は、背中まで伸ばした青銀の髪に、丸みを帯びた深い翠色の瞳、すっと通った鼻筋に、褐色の肌と中々に麗しい容姿をしていた。
まあ、そんな容姿はともかく。
生徒会長のアホ! 何が隣国からもだ! この園芸サークルに居るなら居るで先に言えよな!!
「ああ~。そんなのは、必要ないから。ほら、立って。そこのテーブルに、ほら。もう、トイセ君、何とかしてよ」
「君達二人を歓迎する昼食会だ。気楽にしろ」
出来るか、ボケっ!!
隣に王子様が居るのに、何で、そんな偉そうなんだ、お前はっ!
こちとら誰かさんみたいに、オリハルコンやミスリルの心臓なんざ持ち合わせて居ないんだよ!
大学部でも、松竹梅は関係無いと謳っていると云う話だが、王族ともなれば、話は別だろうが! しかも、隣国って! いや、別に敵対してるとか、そんなのは無いが、いわばお客さんだ。そんなお客さんに、失礼な事をしでかしたら問題になるんじゃないのか?
「う~ん。ガッチガチだね。どうしようか?」
動き出さない俺達の耳に困った様なゴンベ王子の声が届く。
「二人の緊張が解れるまで、予定通りにサンドイッチを作ろう。匂いを嗅げば動き出すだろう」
しかし、続く生徒会長の声は何時も通りで、何だか人を食い意地の塊の様に言ってくれた。
おいっ!!
俺はそんなに食わないし、メゴロウは食べるのが好きなだけだぞ!
「…あ、んのぅ~…。…また、とうもろこしにキャベツ…その他もろもろ…いっかな…?」
生徒会長にツッコミを入れそうになった処で、ボソボソとした、第三者の声が聞こえて来た。
「あれ? 午前中に大量に持って行った筈だけど、もう無いの?」
ゴンベ王子が、食パンを切る手を止めて、俺達の後ろに立つ男に声を掛けた。
「…薬…何か…効いたみたいで…また、身体が大きく…」
「あ、そうなんだ、大変だね。好きなだけ持って行って良いよ。ね、トイセ君」
「ああ。何時もの場所にある物は好きに持って行くと良い」
「…あ、ありが、とう…」
ボソボソとした声のままだが、男は礼を行ってバタバタと走って行った。
どんな奴なんだ? と、後ろを見れば、肩まであるボッサボサの天然パーマの茶色い頭…何だか、鳥の巣みたいだな…と、白い…いや、何か結構汚れてヨレヨレだな…白衣を纏ったひょろりとした背中が見えた。
「ほら、これ。イチゴとベーコンを交換して貰ったよ。あと卵とマヨネーズとマスタードとハムと…」
そんなゴンベ王子の声が聞こえたかと思ったら、ジュージューとした音が聞こえて来て、ベーコンを焼く良い匂いがして来た。
…いや、色々とな?
ツッコミどころ満載でさ、敢えて見ないようにしていたんだが…メゴロウも同じく、そこから目を離していたんだが…やっぱ、ツッコんでも良いかな? 良いよな?
まず、目の前にど~んとあるダイニングテーブルだ。六人掛けぐらいあるよな? 昨日行った、テ・リヤアにある、何時も座らされるテーブルと同じぐらいだ。真っ白なそれは、この緑の中に確かに映えるが。椅子は手抜きで、何処かの会議室からくすねて来たような、パイプ椅子だ。それが、四脚ある。で、テーブルの上には、カセットコンロが二つ。一つは、ゴンベ王子が使っていて、そこからはベーコンの焼ける良い匂いがして来ている。で、もう一つは、生徒会長が使っていて、そこにあるのは、ホットサンドメーカーで、チーズの焼ける匂いがして来ている。俺の視界の隅に、ヒクヒクと動くメゴロウの鼻が見える。
…………なあ………お前ら二人、やけに手慣れてないか? もしかして、毎日ここで食べてるのか? テーブルにある野菜は、ここで採れた物か? リュックから取り出したチーズやらハムやらベーコンやらは、カフェで物物交換して来たのか? そのパンも? あんたら二人、何してんだ?
…てか…王子のくせに、料理するんだな…。
…何か…もう、どうでも良くなって来たかも…。
…王子も半袖Tシャツに、もんぺにゴム長だし…良いよな…。
遠い目をして、頭上を見上げれば、今日は天窓が開かれていて、そこからひゅる~と、ちょっと冷えた風が入って来て、俺の髪を揺らして行った。
生徒会長に言われた通りに、俺達は昼時に近い頃に大学部の温室に来た。
そこで、左腕に食パン一本を抱えて、背中にはリュックを背負った青年が朗らかな声と笑顔で、右手を差し出して来たから、俺とメゴロウは慌てて腰を降ろして膝を付き、右手を胸にあてて頭を下げた。
トナ国は隣国の名前で、ゴンべと言ったら、そこの第三王子の名前だ。ゴンベ王子は、背中まで伸ばした青銀の髪に、丸みを帯びた深い翠色の瞳、すっと通った鼻筋に、褐色の肌と中々に麗しい容姿をしていた。
まあ、そんな容姿はともかく。
生徒会長のアホ! 何が隣国からもだ! この園芸サークルに居るなら居るで先に言えよな!!
「ああ~。そんなのは、必要ないから。ほら、立って。そこのテーブルに、ほら。もう、トイセ君、何とかしてよ」
「君達二人を歓迎する昼食会だ。気楽にしろ」
出来るか、ボケっ!!
隣に王子様が居るのに、何で、そんな偉そうなんだ、お前はっ!
こちとら誰かさんみたいに、オリハルコンやミスリルの心臓なんざ持ち合わせて居ないんだよ!
大学部でも、松竹梅は関係無いと謳っていると云う話だが、王族ともなれば、話は別だろうが! しかも、隣国って! いや、別に敵対してるとか、そんなのは無いが、いわばお客さんだ。そんなお客さんに、失礼な事をしでかしたら問題になるんじゃないのか?
「う~ん。ガッチガチだね。どうしようか?」
動き出さない俺達の耳に困った様なゴンベ王子の声が届く。
「二人の緊張が解れるまで、予定通りにサンドイッチを作ろう。匂いを嗅げば動き出すだろう」
しかし、続く生徒会長の声は何時も通りで、何だか人を食い意地の塊の様に言ってくれた。
おいっ!!
俺はそんなに食わないし、メゴロウは食べるのが好きなだけだぞ!
「…あ、んのぅ~…。…また、とうもろこしにキャベツ…その他もろもろ…いっかな…?」
生徒会長にツッコミを入れそうになった処で、ボソボソとした、第三者の声が聞こえて来た。
「あれ? 午前中に大量に持って行った筈だけど、もう無いの?」
ゴンベ王子が、食パンを切る手を止めて、俺達の後ろに立つ男に声を掛けた。
「…薬…何か…効いたみたいで…また、身体が大きく…」
「あ、そうなんだ、大変だね。好きなだけ持って行って良いよ。ね、トイセ君」
「ああ。何時もの場所にある物は好きに持って行くと良い」
「…あ、ありが、とう…」
ボソボソとした声のままだが、男は礼を行ってバタバタと走って行った。
どんな奴なんだ? と、後ろを見れば、肩まであるボッサボサの天然パーマの茶色い頭…何だか、鳥の巣みたいだな…と、白い…いや、何か結構汚れてヨレヨレだな…白衣を纏ったひょろりとした背中が見えた。
「ほら、これ。イチゴとベーコンを交換して貰ったよ。あと卵とマヨネーズとマスタードとハムと…」
そんなゴンベ王子の声が聞こえたかと思ったら、ジュージューとした音が聞こえて来て、ベーコンを焼く良い匂いがして来た。
…いや、色々とな?
ツッコミどころ満載でさ、敢えて見ないようにしていたんだが…メゴロウも同じく、そこから目を離していたんだが…やっぱ、ツッコんでも良いかな? 良いよな?
まず、目の前にど~んとあるダイニングテーブルだ。六人掛けぐらいあるよな? 昨日行った、テ・リヤアにある、何時も座らされるテーブルと同じぐらいだ。真っ白なそれは、この緑の中に確かに映えるが。椅子は手抜きで、何処かの会議室からくすねて来たような、パイプ椅子だ。それが、四脚ある。で、テーブルの上には、カセットコンロが二つ。一つは、ゴンベ王子が使っていて、そこからはベーコンの焼ける良い匂いがして来ている。で、もう一つは、生徒会長が使っていて、そこにあるのは、ホットサンドメーカーで、チーズの焼ける匂いがして来ている。俺の視界の隅に、ヒクヒクと動くメゴロウの鼻が見える。
…………なあ………お前ら二人、やけに手慣れてないか? もしかして、毎日ここで食べてるのか? テーブルにある野菜は、ここで採れた物か? リュックから取り出したチーズやらハムやらベーコンやらは、カフェで物物交換して来たのか? そのパンも? あんたら二人、何してんだ?
…てか…王子のくせに、料理するんだな…。
…何か…もう、どうでも良くなって来たかも…。
…王子も半袖Tシャツに、もんぺにゴム長だし…良いよな…。
遠い目をして、頭上を見上げれば、今日は天窓が開かれていて、そこからひゅる~と、ちょっと冷えた風が入って来て、俺の髪を揺らして行った。
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